最高の気分、というのはこの事だろうか


エレナを奪われ、変なやつらと一緒に旅をすることになり、一度打ち倒され、立ち直り、突然こんなヘンテコな催しに巻き込まれ、挙句の果てに宇宙崩壊の危機


聞けば聞くほど訳がわからん、が、今となってはそんなことはどうでもいい


何故だと?


―――そりゃ決まっている












―――やっと、やっと



―――やっと、エレナの仇に出会えたのだからなぁ!



~~~


吹き荒ぶ『憤怒』の暴風、宇宙空間にも関わらず、その風はカギ爪に秘められた怒りを放出するかのように

その暴風の中心に近い場所に微動だにせず立つ白い機体



「――」


復讐者はただ、怒り狂うカギ爪(セカイジュ)をただまっすぐに見据えている

見据えたまま、怒り狂うセカイジュ(セカイジュ)が繰り出す触手を、光弾を、軽々と弾きながら


『おのれええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!』


あそこにいるのは感情を無くした狂人でも、圧倒的なカリスマを持つ同志でもない、ただの、怒り狂うだけど哀れな老人の成れの果て(エレナの仇)


「……」


それを見つめる復讐者の瞳から感じ取れるのは、憎悪と、呆れと、そして―――喜びと

そして復讐者は剣を掲げる。その剣は剣に非ず、意志を集めし人々の総意(キーブレード)



「エレナァァァーッ!!」




『ヴァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!』



復讐者より壮大なるエネルギーの放流が、人々の総意が、彼の剣となり集う

狂人はそれを止めようとするが、届くことはない



「だから言ったじゃないか、キミのやっていることはただ夢を押し付けているだけだ、ハハッ」


夢の伝道師、『夢の王様』、ミッキー。彼の力によって復讐者への攻撃は全て弾かれる

老人にはわからない。ただ、怒りにまみれた老人には分かるはずもない




『何故だぁッッ!! 何故ぇ! 何故こんな酷いことが出来るぅ! 答えろ、答えろぉ!』


老人は叫ぶ、復讐者へと

そして復讐者は剣を振り下ろす









「決まってるだろう!! それは、お前が俺『たち』を怒らせたからだ!!」


復讐者の叫びとともに、人々の総意によって組み上げられた光の剣はセカイジュに向けて振り下ろされた










「チェェェェェェストォォォォォッ!!」












―――神は裁き、復讐するは我にあり

無限大とも言うべき情報の奔流がセカイジュの中にある全ての『カギ爪』を洗い流す、浄化する、駆逐する

数多にもあったカギ爪が消えていく、全てが無へと押し流される












夢の終わりは、ここに

【セカイジュ 機能停止】

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2019年09月10日 00:01