【名前】九条紫音
【性別】女性
【出典】ソウナンですか?
【支給品】RR-ライズ・ファルコン@遊戯王ARC-Ⅴ




【ロワでの動向】
参戦時期はアニメ11話、イカダで魚釣り中に離岸流に流されて漂流した所からの参戦
当初こそ「何時の間にか救助されてた!これでみんな助かる!」などとお気楽な思考をしていたのだが、見せしめ達にディップが掛けられドロドロに溶けながら消滅していく姿を見せられ一転絶望のどん底に陥れられて、そのまま会場へ転移させられてしまう

転移した先は薄暗い夜の森の中。友人であるほまれ達を探して宛もなく彷徨うも、歩けど歩けど闇は果てなく何も見えない。孤独に押し潰されそうだったが、ようやくまともな人と出会うことが出来た……

「よ、よかった……いきなり殺し合いなんて言われて、友達も見つからないし……」
「ほう、そうか……それは災難だったな。だが安心したまえ、その心配もすぐに終わる」


「――何故ならお前の命はこの儂の糧となるのだからな」


だがそれは人ではなく、人の肉を食らう鬼―――そのうちの1体である矢琶羽。鬼なんて非現実的なものを普段の紫音なら信じるはずもないのだが、殺し合いのルール説明であんな異常なものを見せられた以上、目の前の男の発言が嘘などとは思えず、兎に角逃げるしか無かった

が、逃げても逃げてもまるで自分の居場所が最初から分かっていると言わんばかりに追いつかれて、最終的には走り出したのに何故か男の目の前まで移動させられてしまう

このままでは、死ぬ。彼女は確信した、このまま自分は目の前の鬼に食われて死ぬのだと。飛行機の墜落事故に巻き込まれ、ほまれ達とソウナン生活を続けながら何とか生き残った、だけどここまでだ。
嫌だ、こんな訳の分からない場所で、わけのわからない何かに殺されるのは嫌だ。

彼女は叫ぶ 「助けて」と
男は嗤う 「こんな場所に誰も助けなど来ない」と

だが九条紫音はそんな男の嘲笑に耳を貸さずに叫び続ける


「誰でもいいから、助けて―――!!!」


「――承知した」


声が聞こえ、眼前の鬼を自分を引き離すかのように広がる炎

目の前に現れたのは、白い肌を持った白い髪の青年

「あ、あなたは……?」
「問おう、俺を呼んだのは、お前か?」

――赤のランサー、施しの英雄カルナ。九条紫音の助けに応じ、ここに降臨した



目の前の鬼を追っ払った後、そのどさくさで森を脱出した事もあり、一旦情報の交換と自己紹介へ
……と思ったのだが何故か目の前の青年の姿が透けて居るように見える

どうやら自分を助けた前に相応の実力者と連戦を繰り返していたらしく、さっきの炎で魔力切れ寸前になってしまったとの事。そのためこのままでは消えてしまうという爆弾発言を告げられる
さらっと衝撃的な事を言われてしまったが、だからといって今にも消えそうなカルナを放ってはおけない。何か自分に出来ないかと問い、その答えとして帰ってきたのが仮契約。要するに自分をマスターとして契約してもらうことで何とか現界は可能だという。
等のカルナ本人からは魔力の消費を理由に遠慮されたが、紫音はだからといって見殺しにするわけには行かないとその方法を実行しようとする。カルナも紫音の意思を否定する理由もないので素直に受け入れることにした


で、そんなこんなで結成されたタッグであるが、当の紫音本人は島生活から脱却したこともあり吹っ切れた
偶然見つけたレストランでの久方ぶりのまともなフレンチ、散髪で髪を整え、島生活でこびりついた匂いを風呂で洗い流し、ついでにマッサージチェアで癒やされたり……

「マスター、今まで何があったかは知らんが、あまりはしゃぎすぎるのは抑えておいたほうがいいぞ」

とりあえず読み手からしても「おい、ロワしろよ」なわがままっぷり。ただしカルナさんの忠告は聞き流したりはしなかったのセーフセーフ
フリーダムな振る舞いは後にであったエステルとグレイの死霊関連タッグに出会っても相変わらずであり、度々二人を呆れさせていた
だが、ただ自由に振る舞っていただけではなく、一方通行死亡で暗くなり気味だったエステルのメンタルケアの為にレストランから頂戴した肉類でバーベキューを開こうと提案したりと、本人なりに二人を気遣う場面も見れた
これに関しては参戦時期がアニメ10話でのハチミツ採りの一件でほまれが蜂に刺された一件が少なからず影響したものかと思われる

……ただ本人も友達である明日香や睦の死亡を放送で知った時は泣き出してグレイやカルナに慰められた事も



だが、そんな状況が一変したのが中盤。ロワ屈指の強マーダーである四皇ビッグ・マムの襲来
無機物に魂を与え意思を宿す『ソルソルの実』より生み出されるホーミーズによる数の暴力、そしてマム自身の鉄の風船とも言うべき硬さとスペックに皆は苦戦を強いられる
エステルの使役するG・ロードランナーは錯乱が精一杯、グレイもアッドがいなくて変わりに使っているジャック・オ・ランタンの鎌では決定打不足、そして一番まともにダメージを与えられるカルナは何故か疲労していた

カルナがああなった理由は紫音には分かりきっていたことだ――私のせいだ。
マスターはサーヴァントに魔力を注ぎ戦う力を与える。だがそもそも世界の違いもあるにしてもまともな魔術回路を持ち合わせていなかった紫音ではカルナに与えられる魔力など雀の涙ほどだ。
もっともカルナ本人がその気になれば無理やりにでも魔力を組み上げることが出来る、だが彼はそれをしなかった。
最も自分の意志で令呪を切ってカルナのブーストをするという選択もある、だが、それでは一時しのぎにしかならないしそもそもの話どんな指示をすればいいのかなんて分かるわけがない
だが、追い詰められたのが原因なのか、ロワに飛ばされた当初に確認したとあるカードの存在を思い出す。ただし、それを実体化させるには特別の器具が必要とも聞いてもいる――だが、仮にも魔力である令呪をカルナではなくこのカードに切れば――

彼女の賭けは当たった。起死回生の一手として、支給されていた遊戯王カード『RR-ライズ・ファルコン』に令呪1画分の魔力を注ぎ込む事で実体化に成功。ファルコンの効果で周りのホーミーズから攻撃力を吸収し、マムに対し『ブレイズクロー・エボリューション』を炸裂させ、何とかマムを撤退へ追い込ませることに成功するも、少々疲れたのか目眩がしてしまった紫音は――そのまま吐血し、気を失ってしまった


―――暗闇の底に意識が沈んだ紫音は夢を見た

母親に河に捨てられる子供の姿を見た

感情の機敏を学べず、その粗暴な素行から人々から煙たがれる青年の姿を見た

黒肌の青年に対抗し、武芸を披露する青年の姿を見た

身分の違いから笑いものにされる青年の姿を見た

過酷な運命を受け入れ、それでもなお戦おうとする青年の姿を見た

姑息な計略に嵌るも、自らの破滅の運命を受け入れる青年の姿を見た

周りに味方など一人も居ないにもかかわらず、それでも戦おうとする青年の姿を視た


そして、一騎打ちの果てに、黒肌の青年の放った矢に穿たれた青年の――カルナの姿を見た

ビデオを視聴するかの如く相手陣営の卑怯な手口を知っていた紫音は我が身を省みず抗議しようとする、だがその声も、その手もすり抜けるばかり。これは夢だ、ただの夢。虚ろに揺蕩う記憶の回廊

だから紫音の声は誰にも届かないし、その手はすり抜けるだけ。既に死に絶えた青年に駆け寄ろうとした途端、地面は孔を開け、暗闇の中に少女は呑み込まれる――そして少女は再び意識を失った


目を覚ますと、そこには知らない小屋の天井と、エステルが居た
エステルが話すには、あの時の令呪の使用の際、自らの生命エネルギーを魔力として変換しての使用だったため、そのフィードバックとして吐血したものだという
エステルが適切な処置をしたことでなんとか一命は取り留めたが、もしまた下手に令呪を切ろうとするならば、それがどのような使用方法であろうと、最悪命を失いかねないという忠告。そして結果どうであれ、助けてくれたことへの御礼の言葉がエステルから告げられた

役には経ったものの、結局みんなに苦労をかけてしまったと、エステルが去った後の一室で自嘲気味に呟く紫音。そんな彼女のいる部屋に入ってきたのはマスターの様子を見に来たカルナ
せっかくということで自分が気を失っていた時に見た夢の話をカルナにしてみる。実はカルナも一時の休息の際に紫音の過去を垣間見ていたとのこと

家族や飼い犬の事はともかく、さらっと無人島での恥ずかしい記憶を知られた紫音は思わず赤面、だが其れ以上に気になる――カルナの過去の話を切り出してみる

どうして、あんな過去を、あんな悲惨な人生を歩んでおきながら、誰も憎まなかったのか
どうして、母親の誘いを断わったのか
どうして、あんな卑怯な真似をされて、どうして――

九条紫音にとって、言うべき言葉は沢山あった。だが施しの英雄は答える

「俺はただ、報いてくれた人々に恥じる事がないように生きてきた、ただそれだけだ」
「そこに、何の後悔も、憎悪もない。――いや、後悔なら、一つぐらいあったかもな」

九条紫音は、それ以上何も問わなかった。自分には眩しすぎた、輝きすぎていた、英霊として、同じ人間として
そして恥じた、弱くて身勝手な自分なんかよりも、他にマスターに相応しい人物がいただろうに、と

「マスターが何を思っているのかは分からんが、俺はお前のマスターとしてお前のために戦うだけだ」

自分の心を見透かしたような言葉が、何故か重く伸し掛かった。
思わず気分転換と肌が荒れているから化粧品の類を取りに行きたいという方弁を使い外に出ようとする。距離からしてデパートとこの小屋からは近く、すぐに用事を済まして戻ってくればいいと思った
何故か靴紐が切れていた、カルナが「嫌な予感がする」と言っていたが、流石に靴紐が切れていたぐらいで嫌な予感なんて冗談程度だと思った


――それが、今後の彼女の転換期となるとも知らず



「どうやら相当な槍の使い手と見た。貴様の首はこの拳王が物にしてくれる!!」


世紀末覇者、北斗四兄弟の長兄、拳王ラオウ――強者の気を感じ、ここに降臨

絶望的だった、別のマスターならともかく自分のせいで満足に戦えない今のカルナでは、ビッグ・マム戦から一息ついたとは言え流石に絶望的すぎた

エステルからの忠告すら忘れてしまう危機的状況に、あの状況を打破したカードを使おうとする、が――

「――また会ったな小娘」

最初に出会った鬼が目の前に現れた。何故か顔面は白く傷のようなものが複数付けられているが、そんな事は関係ない。その鬼とは別にもう一人の白い『鬼』もいて、自分が戻って来ていない事に気づいたエステルとグレイが助けに来たけどその鬼が操る糸に絡め取られてしまっていた
あのときのカルナの言葉を冗談ではなく真面目に聞いていれば、あの時が勝手に出ていかなければ

「無想陰殺!」

そう思う頃には既に遅く、目の前で疲弊したカルナが拳王の拳に穿たれていた



紫音はこの光景をただ見つめていた、そして思った
これは罰だ、無人島でもほまれさんたちに迷惑をかけ、ここでもカルナの足かせになり、挙句の果てに自分の不注意で皆を危険に巻き込んでしまった

当然の報い、罰、罪、傲慢の代償――だけど、だけれども。身勝手だけれど、それでも死にたくないと涙が流れてくる

本当に自分勝手だ、こんな状況になった元凶が、生きたいと願うことは間違いなのに

もし、願いが一つ叶うならば

もし、この身勝手な自分を許してくれるなら

たった一度だけ、誰でもいいから、この先の未来、自分がどうなってもいいのなら


「――助けて。誰か、みんなを、私たちを、たすけて――」


「――承知した」


刹那、目の前が閃光に包まれ、二人を縛っていた蜘蛛糸も、二人の鬼も、拳王も、光の中に包まれた





「――マスター、すまない。どうやらさっきの魔力放出で、俺は自らの存在を保つことすら出来なくなったようだ」

夢なのか、現実なのか、何も見えない光の中で、彼は語る。光の中で見える彼の姿は蜃気楼のごとく朧げで、触れようものなら霧散してしまいそうで

必死に手を伸ばし、掴もうとする。だけど届かない、届かないと言うよりも、掴めない。幻のごとく
それでも、離したくないと、行かせたくないと、手をのばす、だけど


『生きるがいいマスター。必ず誰かが、誰でもない――』


そう言い残して、施しの英雄は、私のサーヴァントは――何処かへいなくなってしまった
最後は掠れて、よく聞こえなかった



目を開けると、そこには何もなかった
地面や木々が何かに溶かされたような後があった
その中心にナニカの残骸があった。私はそれを拾った
令呪はまだ残っていた、彼がまだ生きていると信じたかった


――放送で鈴森明日香と、彼の名が流れたのは、その直後だった

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最終更新:2019年10月29日 23:45