【名前】アユカワ・コト
【性別】女性
【出典】あいりすミスティリア!~少女のつむぐ夢の秘跡~
【スタンス】対主催→英霊剣豪(マーダー)→玉壺の作品(マーダー)



【ロワでの動向】
参戦時期は不明(語り次第では追記)。当初は寝ぼけていたのもあってかルール説明をしているバド星人の話を居眠りガンスルー……していたのだが、バド星人の説明に対し嫌煙のおばさんと同じアイリスの仲間であるクルチャが抗議してきたことで状況が一変

抗議直後、首に填められていた首輪から電子音が鳴り響く、死の恐怖から仲間や冥王への助けを求める叫びを響かせながらそのまま顔が爆散
この光景を見せられたコトは煮え滾りそうな怒りを胸に秘め、今までののほほんとした態度や眠気を全てかなぐり捨てて主催の一人である陰陽師ことキャスター・リンボに斬りかかる、が

「はははははははなるほど、その剣技、ここまで近づかれるまで悟らせぬその捷さ、かのエンピレオに匹敵する剣豪とお見受けする。しかししかししかし、その刃では拙僧の身体は貫けぬよ」

だが、その怒りに任せた攻撃はいとも容易くリンボの五芒星の縛によって受け止められ、コト自身も身動きが取れなくなってしまう。その間にターバンのガキがリンボの足にナイフを刺す、ただの人間が英霊に傷をつけることなど不可能、直様コトの目の前で爆散させられてしまう

「ですが、その度胸と無謀に免じて、今貴方をここで4人目の見せしめとして殺すのは辞めにしましょう。ただし、貴方にはこの殺し合いを盛り上げるための爆竹――拙僧の秘術によって全てを殺し尽くす英霊剣豪となってもらいましょう!」

キャスター・リンボによって一切鏖殺の宿業を埋め込まれ身体も、心も、魂も英霊剣豪として染め上げられていく。コトが宿業に呑まれる前に思ったのは、仲間たちの安否と、かつて守れなかった姫を思い出させる吸血鬼の友人と、冥王と――眼の前で仲間を殺されてしまったのに結局無力だった自分の不甲斐なさであった


一切鏖殺の宿業を埋め込まれ、殺し尽くすためだけに会場に降り立ったアユカワ・コト――否、セイバー・等活地獄
幾多の敵を斬り殺めた「細雪の凶刃」が成り堕ちた先は“互いに殺し合う地獄”そのもの
その宿業に寧ろ心地よさすら覚えて嗤う剣鬼の姿は、本来の彼女を知る人ならば信じられない程に禍々しいものであった
そんな彼女が出会ったのはクロノスの最高幹部「十二神将」の一人たるリヒャルト・ギュオー

出でよ、血華咲き誇る我らが極地!
敗北せし者の魂を取り込み喰らう屍山血河の死合舞台!
我が刃の忌名、セイバー・等活地獄!
我が骸の真名、アユカワ・コト!
いざ、いざ、いざ。いざ覚悟召されよ十二神将!
いざ!尋常に!———————勝負!

首を斬られようとも心臓を貫かれようとも死なぬ身体を以ってギュオーを追い詰めるも、相手はアルカンフェルを除けば十二神将最強の存在、力技で宿業を引き裂き、敗北してしまう
だが彼女にとってはそれが救いだったのであろう、消えゆく意識の中、彼女はここに参加させられている仲間の一人であるアシュリー・アルヴァスティを傷つけずにすんだという安堵の元、最後に愛しき冥王の名を呟き、その生命に幕を下ろすのであった

「にーさん……」




















だが、運命の悪戯か、彼女の物語はまだ終わりではなかったのだ
死体になった彼女に目をつけたのは、翼戦士の一人であるクリムと行動を共にしていた十二鬼月が一人、上弦の五『玉壺』。死体と化した彼女を見た玉壺は、そこから生まれたインスピレーションから彼女を芸術品へと仕立て上げる


『剣姫の妄執』――コトの死体、そしてその他諸々を組み合わせ、玉壺の血鬼術によって作り上げられたおぞましき怪物
歴戦の剣士さと強者の哀れさを表現するために身体には必要以上の刀傷が付けられ、血鬼術によって追加で四本の腕を装着され、更には背中に挿し込められた鉄破片を捻れば、彼女の最後のセリフである「にーさん」という言葉が再生される
人間の尊厳を、コトの思いをも徹底的に踏みにじり、穢す最悪の作品。壺の使い魔召喚に制限がかけられているため協力な手駒として生み出された哀れな怪物は、芸術家気取りの鬼の命令のままに改めて敵を殺す怪物と成り果てる


そして運命はまさに彼女を嘲笑うかのように――よりによってアシュリー・アルヴァスティと今の彼女を引き合わせた

自慢気に作品の出来を説明する玉壺に対し、コトの魂すら侮辱した玉壺に隠しきれない怒りを見せながらも、怪物と成り果てたコトをせめて自分の手でその魂を冥王の元へ還そうとするアシュリー
だが、『剣姫の妄執』は迷いを見せるアシュリーに対し優位に戦いを進めるには十分な実力であり、事ある毎につぶやかれる「にーさん」という言葉がアシュリーの心を残酷に揺さぶり、その動きを鈍くする

見かねたアシュリーの同行者であったセレクターの水嶋清衣によって、放心から『剣姫の妄執』の一刀に引き裂かれそうになったアシュリーが突き飛ばされ助かるも、玉壺の作品を見てやる気が出たクリムによって清衣は残酷な方法でアーティスティックに爆殺される

しかし、清衣爆殺の光景を見て絶叫したアシュリーを見た玉壺のクリムが何をトチ狂ったのか「彼女は自分の芸術に見とれているんだ」と互いに譲らず勝手に殴り合い勃発、その間にアシュリーには逃げられ、『剣姫の妄執』はただこの下らない二人の喧嘩が謎の清々しいエンドを迎えるまでを見せられるのであった


殺し合いも中盤となり、クリムと玉壺の二人がヌカ・タウンに急襲、そこにいる対主催を殲滅せんとクリムが気まぐれにぶっ放した原爆によって二人とは一時期離れ離れに、すぐに二人とは再開したものの、自分がいない間に新しいアシュリーの同行者を玉壺が殺害したのはまた別のお話

そして第三回放送も近い中、遭遇したアキュラ組と芸術家気取りチーム+ヒューマギアによるヌカ・タウンでの戦いが勃発


『剣姫の妄執』の相手はまたしてもアシュリー・アルヴァスティ。だがやはり彼女はまだ迷いを振り切っておらず動きも緩慢、『剣姫の妄執』からすれば簡単に捻り潰せるほどであった――しかし

アシュリー・アルヴァスティはこの土壇場で迷いを振り切った。「アンロック」という掛け声とともに清衣から託されたルリグ『ピルルク』と合体、コード・ピルルクならコード・アシュリー誕生である
ピルルクのスキル「ピーピング・アナライズ」により『剣姫の妄執』の内面情動を読み取り、攻撃を躱し、形勢は逆転した


アユカワ・コトは苦しんでいた。『剣姫の妄執』あるエリアに侵入した際、エリア効果で判明した内情は「にーさんと、みんなのもとへかえる」、そして「だれかわたしをとめて」

仲間を守れず、開放されたと思いきやまた別の悪鬼に死体すら利用され、思いすら踏みにじられ、あと一歩の所でアシュリーすら殺してしまうところまでいった
まだこのロワで誰も自分で殺していないだけましだった、でもこのままだと本当にアシュリーを殺してしまいそうだった。止めてほしかった、殺してほしかった、誰でもいいから、助けてほしかった

『にーさん……にーさん……にーさん……にーさん……』

うめき声のように、助けを呼ぶように、その瞳から血の涙を流し動き回る剣姫の妄執

「――コト、もう、楽になってください」

騎士は、そんな哀れな少女を解き放つために技を振るう

《水の呼吸 『銀琴』ノ型 銀蒲公英・落花流水》

それは、アシュリーの技と、アシュリーが錆兎から教わった『水の呼吸』と、よりによって自分の技の組み合わせの奥義

頸を斬られ、その形を保てなくなり、崩れ行く『剣姫の妄執』の身体。太陽の光を浴び溶けゆく吸血鬼のごとくその身体は崩れ去り、最後に


「ありがとう」


かつて「細雪の凶刃」と呼ばれ、英霊剣豪にされ、挙句の果てにその死体を怪物へと作り変えられた剣姫は、その妄執より解き放たれ、世界樹の、冥王の元へと還っていったのであった



余談ではあるが、戦闘後のアシュリーの分析によると、本来のコトならばアシュリーの技をのらりくらりと避けながら、落とし穴なり何なりでアシュリーを上手く嵌めて勝っていたであろう。だが、不必要にも付けられた六本の腕はそんな彼女の捷さを、特性を殺していた、つまり素材を活かしきれていなかったのだ

「――ちゃんと、本気の貴方との決着を着けたかったです」


アシュリーは、こんな不本意な形でのライバルとの決着に瞳を濡らすのであった

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最終更新:2019年11月08日 17:52