【 裁定の瞬き 】

星間航行用超巨大戦艦、天球型時空要塞カオス。
星間航行の果てに異次元の宇宙に辿り着いていた原初の父。
かの超越神は、普段においては別宇宙に干渉することもなく静寂の中で鎮座していた。
分隊したゼウス艦隊が地球という希有な資源惑星に降り立った後も、特に手を出さずに悠久の時を過ごしていた。
オリュンポスの十二神が滅びの運命を辿ったとしても、カオスはそれを忘れ去ったかのように近くて遠き場所にて眠りについていた。

その後、紆余曲折あってカオス神はユーハバッハやアンチスパイラルなどと手を結んだ。
彼らの目的を利用して『船団の維持』『母星回帰』を果たせると判断しての事だ。
ただし、彼らの思惑が達成するまでは運営を任せっきりにした。
もし彼らの緊急事態宣言を受ければ原初返還でもって惑星資源だけでも回収するつもりであったが、そのような有事になるまでは動こうとも思わなかった。

そして現在、アンチスパイラルによって時空断層の亀裂が入り、カオス神は彼方の宇宙を注視した。
反螺旋族の求めに応じ、カオス神は原初返還でもって細事たるゲームを終わらせようとしていた。
だが、自らが顕現して間もなく、原初返還を実行する前に、思わぬ攻撃が飛んできた。
その攻撃は虚しく終わってしまった。虚空の窓、時空断層の迷宮により無意味となってしまった。

カオス神の宇宙とこちら側の宇宙は、空間の亀裂でもって繋がっていた。
その亀裂は多重空間の歪みでもあり、カオスに真っ直ぐ進もうとするものを惑わせ阻む障壁でもあった。
ゆえに熱線は虚空を貫けず、無軌道に拡散され、カオス神の機体には傷一つ付けられなかった。

―――しかし、カオス神はその明確な敵意を認識し、脅威として排除することを決定した。
ソラは神々の領域、何者をも侵すことはならぬ。
天空まで届く不敬に対し、神罰を下さねばならぬ。
ゆえに機械神は、原初返還を実行する前に、誅伐による敵対者の殲滅を即座に実行した。

―――光が疾った。
超光速の一瞥、一撃。

それは事象の彼方から放たれる太陽の極光、必滅の怒り。
旗艦カオスの傘下にいる機神だろうと、一瞬にして神核を消滅させる大権能。
たとえ相手がティターン艦隊だろうと、巨大生命体タイタンだろうと、関係ない。
カオス神が見定めた物は、原初の海に還るのみ。



そのたった一度の攻撃で、世界を白に瞬かせた。















そして地上は、ゴジラは―――















一人の闘士が身代わりとなって消滅し。


レッド族三人のウルトラバリアーによって。


まだ、その命を繋いでいた。


 ~ ・ ~ ・ ~ ・ ~ ・ ~ ・ ~ ・ ~ 

【 英傑の道標 】

ウルトラマン。
宇宙の平和を守る光の巨人。
悪しき侵略者や暴れる怪獣を退治し、星々の善き生命体を護る正義の味方。
星や宇宙の危機にも臆さず巨悪に立ち向かう偉人たちである。
当然、このようなバトルロワイアルは許容できないものであった。
そして、虚空神カオスという脅威も、最大限に警戒していた。
超大な機神を倒すには、この場に集まったウルトラの戦士が力を合わせる必要があった。
また、自分達だけでも足りない可能性が大きく、他の参加者とも協力が必要だと感じていた。

スペースゴジラとの死闘を通じて、ウルトラの戦士は一カ所に集結した。
しかも、ロボットであったニセウルトラセブンはシンギュラリティに到達、正義に目覚めた。
同じく、怨念から生まれた妄想ウルトラセブンも本来のセブン像を目指すようになり、正義に目覚めた。
こうして集いし正義の使者達は、己が使命を果たすために連携して行動を始めた。

主催者が差し向けたタイムシャドウはアムロ・レイと滝沢直人に任せて、ニセセブンと妄想セブンは宇宙へ飛び立ち、残りの4名は海へ急行した。
それはバトルロワイアルの終盤、参加者達が主催者達に反旗を翻した時分。
逆に言えば主催者にとってはイレギュラーな事態であり、強硬手段を執る可能性が大いにあった。
―――つまり、全てを終わらせる機神カオスが顕現する条件が整った、と。




―――本来であれば、光の巨人と星の巨獣は、相容れぬ存在同士である。
片や、文明を破壊する怪獣。
片や、宇宙より来訪した超者。
双方が相対すれば、自動的に戦いとなり、周辺環境に甚大な被害を出していただろう。
―――だが、この時だけは、巨人と巨獣は争うことなく、共闘の道を選ぶことができた。
共通する敵、カオス神は星の命を喰らう理解しがたき存在であった。
ウルトラマン達も、ゴジラも、この時だけは『星の守護』のためだけに動いていた。

だから、セブン、セブン21、セブン上司はゴジラを護るようにウルトラバリアーを展開し。
そして、闘士メビウスは、少しでも太陽の一瞥を弱めるために、その身を挺して命を散らした。





宇宙に飛びだったニセセブンと妄想セブンは、カオス神の覗き穴へと一直線に向かっていた。
片や、本物を貶めるための偽装人形が、自らの意思で正義の自我を獲得した存在。
片や、人の怨念から生まれた虚影が、正義の心に目覚めて本物を志した存在。
共に虚偽・虚構より生まれ、そして正しき道を選んだ「特異点」。
様々な不可思議が現実へと変わるこの宇宙だからこそ、その様な奇跡の変質を成し遂げたのだ。

―――ならば、虚空という不確かな概念、あり得ざる虚構に対して。
―――己が定めた正しき道を敷き、虚空の穴に現実の穴を開ける。
―――その道理を押し通せせない訳がない。

それは、あまりにも突飛、あまりに無謀。
だが、彼らもまた「ウルトラセブン」。
今、全ての命を脅かす大きな目玉が行動を起こす前に、自らの使命を率先して行動していた。
漲るウルトラパワーが身体に輝きを帯びさせる。
二体は並んで異次元への扉へと飛び込み。
そして、次元の狭間へと消え去った。


 ~ ・ ~ ・ ~ ・ ~ ・ ~

【 神を撃ち落とす日 】

ゴジラは、最初の一撃で仕留めるつもりだった。
しかし、全力の放射熱線は虚空の王に届かなかった。
その時点で、エネルギーを消耗したゴジラは次策を失い。
核熱による自滅か、カオス神の反撃で消え去る運命しか残されていなかった。

だが、そこへ思わぬ救援がやってきた。
本来なら敵対するはずのウルトラの戦士が自分を助けてくれた。
しかも一体は身を挺して消滅し、残った三体が自身に向けてエネルギーを送り始めたのだ。
それは、共に星の脅威と戦おうとする想いで溢れていた。

ウルトラパワーを受け取り、ゴジラは再び、天を仰ぐ。
天空の巨瞳は、未だこちらを捉えている。
だが逆に、こちらも相手を捉えていた。
同時に、宇宙にて、二つの光が散るのを感じた。
虚空の穴から乱れが消えて、より鮮明に眩しく輝く天体を捉えられた。
この好機を、ゴジラは逃すはずもなく。
最後の一撃を、熾烈な光の渦をソラに放った。










こうして、超古代文明の末裔たる戦艦カオスは、自らの本懐を遂げられずに崩壊に至った。
遙か銀河の彼方より漂流し、悠久の刻に耐えられずに朽ち果てた傘下の艦々を思うと。
カオスもまた、気が狂いそうな長き旅路を終えられた事を、粛々と受け入れたのであった。

地上の異常高熱源と化したゴジラは、ついに臨界を迎えた。
さらに、ウルトラパワーを即時攻撃へと転用したことにより、体内機構へ更なる負荷・異常が増大したため。
ゴジラもまた自身の破滅を受け入れ、直後に想定以上のキノコ雲を生み出し、地上から姿を消した。

そして、怪獣王に付き添ったウルトラマン達も、白熱の衝撃に飲まれた。
ゴジラが目に見えて分かる赤熱暴走、危機的状態であることを理解した上で。
死地に赴こうとも全力で力を分け与え、星の海へと還っていった。





【カオス@Fate/Grand Order 轟沈】
【闘士ウルトラマンメビウス@ウルトラマン超闘士激伝新章 消滅】
【ニセウルトラセブン@ウルトラセブン 次元消失】
【妄想ウルトラセブン@ウルトラマン80 次元消失】
【ウルトラセブン@ウルトラファイト 死亡】
【ウルトラセブン21@ウルトラマンネオス 死亡】
【セブン上司@ウルトラセブン 死亡】
【ゴジラ@ゴジラキングオブモンスターズ 自滅】

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最終更新:2020年05月21日 19:29