男は一人、データベース以外には何も無い部屋に佇む。
彼の名は「リュウヤ」。時間保護局の隊長にして、今回の殺し合いでの主催者の一人である。

(ギエンは死に、ユーハバッハは斃れ、予定外の事は幾つも起こったが…殆どが想定内。
私が垣間見た数々の未来の中では、この時点で既に死んでいる筈の参加者もまだ残ってはいるが……危険視する程ではない。
我々の時代を守る為の技術と知識は手に入った、大消滅も問題なく発生させれる…。ここで退いてもいいが……。
……私の運命を変える為には奴が…滝沢直人が邪魔になるな…。)

彼のもう一つの目的である「自分の死の運命を変える」事。
それを果たす為に彼は自分の代わりに滝沢直人がタイムファイヤーの装着者になり、死の運命を擦りつけようと仕向けたのであった。
しかし滝沢直人はこの期に及んで健在である。
なので彼は、温存していた改竄装置を利用し、滝沢直人を葬ろうとしていた。
その為に彼はタイムシャドウにある命令を組み込んでいる。
「滝沢直人をこの部屋に誘い込め」───と。

「そろそろ来るか…来い滝沢直人、お前には定められた役目がある…」

一人呟くと彼は、右腕に装着しているクロノチェンジャー、次いで懐に入っているDVディフェンダーに目線を移す。

(万が一の為とは言え、これを使う事態にならない事を祈るか…。)

そう思いながら彼は、生贄を待った。
───自身が軽視した存在がきっかけとなり、敗北する未来も知らずに───

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最終更新:2020年05月21日 23:04