後日談というか、今回のオチ。

「つまり阿良々木君は殺し合いの中でもハーレムを作ろうとして性癖を暴露した変態だった、ってことね」
「っておい!人の話をどう聞いたらそういう総括になるんだよ!」

僕は、あの混沌とした大事件から帰還できた後、不在期間に何があったのかを戦場ヶ原に問い詰められて、洗いざらい隠さずに全てを話した。
―――だけど、どれだけ僕の事を貶めたいんだよ、この女は!

「まぁ、阿良々木君のことだから、いつも通り首を突っ込んでいつも通り大変な目に遭ってきたのね」
「なんだよ、こんな出鱈目な話、お前は信じるのか」
「そりゃあ、私からあなたに聞き出した話だし。阿良々木君、こういう時に嘘を交えて話す事はないだろうし」

そう言った後、戦場ヶ原は急に体を動かし。

「とにかく、お疲れ様」

そして、僕の頭を撫で始めた。
いやはや、男子である僕が同級生の女の子に撫でられるだなんて。
普通逆だろ。こういうの。男子が女子を撫で撫でするのが定石だろ。
でもまぁ、こんな風に誰かに頭を撫でられるのって、いつ以来だろうな。
こうやって誰かに褒められながら、顔を見つめられると。
―――すっげー嬉しいけど、すっげー恥ずかしいじゃん!



「そういえば阿良々木君、『七瀬かりん』ってアイドル、知っている?」
「……一応、まぁ知っているけど」
「あら意外、何でも知らない阿良々木君がアイドル事情に詳しいだなんて」
「いやそこまで言ってないけど、何だよ急に」

その名前を聞いたとき、僕はドキッとした。
だって、僕がその名前を初めて聞いたのはあのバトルロワイアルの最中、八神マキノの口からであって。
その事については、(特に必要ない情報だと思って)戦場ヶ原には伝えていない。
なのに、なんでこんなタイミングで?

「その娘、ちょっと前に亡くなったみたいなんだけど、巷で色々と噂が流れているのを聞いたの」
「噂?それ、誰から聞いたんだ?」
「羽川さん」

やっぱり羽川かー、だと思ったよ。
ホント、お前は何でも知っているな。
―――とまぁ、本来なら僕の脳内でいつものアレを再生しているところだが、話から少し脱線するので今回は割愛させてもらう。

「それで、どんな噂があるんだ?」
「例えば、とある地方都市に亡霊として現れた、とか」

それも、マキノ経由で聞いていた都市伝説の一つである。
というか、僕も実際にその亡霊『鋼人七瀬』とあの場所で遭遇したのだが。
あの時は逃げるので手一杯で、その一度っきりで再会することはなかったが。
―――ただ、あのときの『彼女』の異質さは、今でも忘れられない。

「とある掲示板でその亡霊はでっち上げで、掲示板の管理人こそ七瀬かりんだ!、なんて誰かが論破したとか」
「なんだそれ」

それは初耳だ。
たぶんそれは、本物の亡霊を見ていない人がトンデモ推理をしたのか。
はたまた、何か意図を持ってそんな推論をでっちあげたのか。
とにかく、僕の知らない世界で知らない戦いがあったのだろう、と特に気には止めないでいよとした。
が。

「そしたら、死んだはずの『七瀬かりん』が本当に生きて見つかった、って噂も流れ始めたそうよ」
「……は?」

なにそれ。
その噂が本当で、『七瀬かりん』が生きていたというのなら。
じゃあ、僕があそこで見た『鋼人七瀬』は。
一体、何なんだ?

「な、なんで死んでたはずの人間が生きて出てくるんだよ」
「さぁ、わからない。私も、噂で聞いた程度だし」

戦場ヶ原から要領を得ない変な話をそこまで聞いたところで。
僕の携帯電話に、メール着信のお知らせが届いていた。



宛先:八神マキノ
件名:怪事件発生、協力求む

お久しぶり、アララギ君。
早速なんだけど、アララギ君は『鋼人七瀬』の元となる『七瀬かりん』が生きていた、って話聞いている?
なんでも、岩永さんがとある掲示板で『鋼人七瀬なんて亡霊はいない、生きていた七瀬かりんが演じたに過ぎない!』って推理をでっち上げて閲覧者に信じさせたら。

 な ん と 、警察の捜査で本物の『七瀬かりん』が見つかっちゃったようなの!

まさに、嘘から出た実、ってところかしら。
この展開には岩永さんも慌てふためいて、この事態収拾に頭を悩ませているわ。
それで、アララギ君の街に今滞在している、って噂の「バランサー」の手を借りたい、って言っているから。
今度、そっちに遊びに行くね。
あと、小夜ちゃんも一緒に行くから。
案内よろしくね♪



その文章の下には、一枚の写真が添付されていた。
自撮りのおかげで顔がアップになっている八神マキノ。
その後ろで頭を抱えて発狂していそうな岩永琴子。
岩永の横で彼女を宥めようとしている鷹取小夜。
大きな亀?の上で寝そべりながら見ている依田芳乃。
拡大表示しなくても、よく分かる写真であった。

………………………………………。
なんだか今、僕の世界って色々と大変な事になっているような、そんな気がした。

「ふーん。やっぱり、私の知らないところでも阿良々木ハーレムを作っていたじゃない」

僕が動揺している間に文面と写真を見た戦場ヶ原が、したり顔でこっちを見つめていた。
―――こうなったら、妖怪ポストにでも手紙を送って、助けを呼んでみようかな


エピローグ『虚物語  第霊話 ことこエラー』

※速筆で端折って書いたので文が変なのと、色々と矛盾点がありますが、100パーセント虚構で書かれた内容なので適当に流してください。
※2021/01/11に修正、および写真に依田芳乃を追加。
 鋼人七瀬絡みでアララギ組の面子に琴子を加えましたが、正直彼女だけではアララギ組との接点が薄いので琴子と一緒にいた依田芳乃も同席させた。マキノと芳乃でアイドル繋がりもあるのである程度は補強できたのでは、と考えています。
 ちなみに「よしのタートル」なるものもうっすら想像したが具現化できないのでー。

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最終更新:2021年01月11日 17:19