【架空学園3におけるロール・設定】
元ロワでの設定は
こちら
……というのは『表側』の設定。
その正体はオリ学園世界に究極の魔導書を使い地獄のような改変を行い、世界を滅茶苦茶した元凶にして殺し合いの黒幕。
その理由も「カオスにした世界に飽きてきたから、よりカオスに作り直す」という身も蓋もない、それでいて危険な思想のため。
――というのも『オリ学園ロワ』での話。
この世界ではそんな大層な存在ではなく、元設定と同じく日常にスリルを求めてるだけのハイテンション女子高生である(流石にこの殺し合いの司会ではないが……)。
郁子やなぎこさんなどクラスメイトに友達も多く、童磨とは幼馴染で仲良し姉弟のようである。
なお、今ロワ独自設定として、母親が童磨が父親を追い出して教祖になる前の万世極楽教の信者であり、ある者と浮気していたとされている。
母の浮気症により家庭環境はクラスメイトの中でも悪い方なのだが、それでも周囲には明るく振る舞っている。
そんな彼女の『裏側』とは……
【今ロワでの動向】
殺し合いに巻き込まれた八千重、だが能天気な彼女はこの殺し合いをドッキリかサバゲ―か何かだと誤解していた……
彼女の支給品はこの世界のスーパー戦隊もの作品キャラである瀬道道治ことセト(オリ学園ロワのセトを参照)のデフォルメぬいぐるみであり、お腹を押すと台詞を喋るだけの指パッチンの音がするだけのぶっちぎりのハズレ支給品である。
だがこんなものを支給されてしまったので、余計に八千重の誤解を招いてしまう。
ぬいぐるみ『実はゼノヴァイパーの力を君に授けたの、僕なんだよね』
八千重「……なんか見覚えあると思ったら歪蛇戦隊ゼノヴァイパーのキャラよね……小さな頃、童磨ちゃんと家で見てたの思い出したわ」
場違いにも昔を懐かしみ微笑む八千重。
そんな彼女にこの殺し合いで初めて出会ったのは対主催であり、この殺し合いを壊そうとしている巽だったのは幸運だったのかもしれない。
今一つこの殺し合いをドッキリか何かだと思い込んでいる八千重との話し合いに苦戦する巽だったが八千重の支給品にリボルバー拳銃を発見し、試しに壁に撃たせて見ると、実弾であったことが発覚する。
八千重「これ……本物?」
どうやら殺し合いは本当に行われているようだと、八千重は漸く自覚する。
そして、現実を理解した彼女は巽の意志に同意した。
巽「表側さん、俺と一緒に協力してほしい」
八千重「ええ、分かりました。私も一緒に行きましょう」
だが、それは極めて軽いノリで、どこか事態を許容しているかのような了承であった。
さらに、心の中で一瞬よぎる。
彼の悲劇的な末路をこの目で見てみたいという謎の感情が……
せっかくの非常事態。
そして自分の求めていたスリルが、目の前にある。
ならばいっそ、欲望に身を任せて殺し合いを楽しむ道を――
そんな昏い考えがよぎった次に、郁子やなぎこら友達の顔、そして親友である童磨の顔が過った。
殺し合いに乗ると言うことは、彼らや彼女らを裏切り殺すということになる。
そう思った時、八千重は背を向けていた巽に向けていた銃口を下ろし、ディパックにしまい込んだ。
八千重は悪戯っぽく笑うと引き金の代わりにぬいぐるみのお腹を押した。
ぬいぐるみ『知り過ぎは良くないなぁ?』
巽「ん? どうしたんだ表側さん?」
八千重「いや、なんでもないよ」
そんな彼らの自体が急変するのは直後にリリカが襲撃してきた時のことである。
父親に会えなくなるという恐怖心から殺し合いに乗ったリリカの襲撃を受けた二人。
なんとか説得しようにも恐慌状態にあるリリカは聞く耳を持たない。
交戦するしかなくなるが、巽はまだしも八千重は戦闘に関しては素人。
リボルバー拳銃を撃って抵抗するが素人の弾は脅しや牽制にすらならず、リロードの隙を狙われてリリカの蹴りにより吹っ飛ばされしまう。
飛ばされた先が藁の中じゃなければそのまま衝撃で死んでいただろう。
そんな中、巽とリリカが交戦を続けていることを尻目に、動けなくなった八千重は何者かに救助された。
いや、厳密には救われたというより誘拐されたというのが正しいだろう。
彼女を少しだけ戦場から離れた小屋に連れ出したのは、マーダーの馬場であった。
馬場は一時的に気を失った彼女から武器を没収した後で椅子に座らせて取引を持ち掛けてきた。
俺と一緒に手を組んで殺し合いに乗って欲しいと。
馬場は日常の時点からずっと八千重を観察していたのだ。
彼女の裏側で燻ぶってる無自覚な悪逆――サイコパスな一面を。
この殺し合いに関しても恐れるどころかウキウキしている部分が見受けられ、先ほどのリリカとの戦いでは、巽を手助けしようとはしていたのも確かだが、リリカを撃つことにはさほど躊躇いがなかった。
つまり、八千重の『裏側』は無自覚なサディストであると、馬場は事実を突きつけたのである。
八千重自身も言われてみれば思い当たることが多々あり、驚きこそすれ馬場の推理は的を得ている気はしている。
馬場の思惑としては八千重は戦闘に関しては素人だが、頭は悪くない。
仮に巽に取り入る形で対主催の内部にステルスマーダーとして活動すれば、挟撃も可能になる。
見返りはスリルと生き残りが残り二人になるまでは八千重と馬場は互いに殺し合わない約定である。
主催である田無たちへの反抗など、電脳世界に精神を囚われている以上は足掻くだけ無駄。
肉体は現実世界の方で囚われているからである。
クラスメイトを殺すのは抵抗があるかもしれないが、生きるためだ、仕方ないと馬場は説く。
そして、欲望を発散するまたとない機会とも……だからこそ殺し合いに乗ろうと、馬場は誘った。
八千重は葛藤する。
日常の中、求めていた非日常のスリルは、今まさに目の前にある。
馬場の手を取れば、楽しいゲームができるであろう。
もう一つの理由として、馬場に武器を没収されている以上、逆らえばズガンと殺されるということ。
馬場はあえてその辺は語らなかったが、「死にたくなければ取引に応じろ」とも言っているのだ。
故に八千重は殺し合いに乗る道を選――ぼうとした時、懐かしき思い出がフラッシュバックする。
それは幼き日のこと。
母親が信望し、そこの教祖の愛人として不貞を働いている万世極楽教の本部にて、小さな八千重は宗教団体の息子である童磨と出会った。
彼は八千重と同じく、両親がいながら家族がいないも同然とも言える環境にあった。
屑な親同士を持ち家庭に居場所がない二人が一緒に遊んで仲良くなるまで、そう時間はかからななかった。
やがて二人は成長し、このままでは万世極楽教において真面目に救いを求める信者のためにならないと、童磨は改革のために両親を宗教団体から追い出して乗っ取った。
その時の横にも八千重がいて、童磨に悪知恵を貸し与えた。
やがて同じ高校に進学し……童磨は隣のクラスの胡蝶しのぶに恋をした。
童磨の恋を応援しつつも、寂しい思いをしたのは、それだけ童磨がかけがえのない存在だったからだろう。
もしかしたら童磨がいなかったら、郁子やなぎこのような友達もできず、殺し合いを止めたいと願った巽を背後から撃つような悪い女になっていただろう。
童磨はスリルより大切な人間性をくれた恩人だ
――殺すことなんてありえない!
彼が失望する顔さえ見たくない!
八千重はそう思うと、馬場の提案を蹴った後に彼が没収しそこねたセトくんぬいぐるみを頭に投げつけて、小屋からの逃走を謀った。
ぬいぐるみ『だったら君には『正義の味方』になりきれるようにしてあげよう』
ぬいぐるみは馬場の頭に見事クリーンヒットし、馬場が撃った弾丸は八千重から逸れた。
あとは逃げて巽と合流し、馬場が殺し合いに乗っている情報を拡散する必要があった。
それがどこかでまだ生きているハズの童磨や郁子・なぎこのためになると信じて。
そして八千重は小屋を出た瞬間、奇襲的に首から上に金属バットが当たり、胴体と別れた彼女の頭は壁にぶつかって粉々に弾け飛んだ。
下手人は教師であるエレンであった。
実はエレンは馬場が事前に嘘を吹き込んで手駒にしており、八千重はそのことを知らなかったのだ。
そして死角に潜んでいたエレンの持つシギル「ホームラン・イェーガー」の力により、首をホームランされ絶命させられてしまったのだ。
馬場の見立て通り、表側八千重の『裏側』は母親の不倫のせいで歪んだサイコパスなサディストであるかもしれない。
しかし心の『内側』にあった人間性までは見抜けなかった。
その人間性故に命を落とす結果になってしまったが、彼女は世界に仇なす悪魔にも、殺し合いと暴力を楽しむ悪女にもならず、ただの女の子として死ぬことができた。
そして八千重が童磨との出会いによって善良な心を生み出すきっかけを掴んだように、童磨も八千重からかけがえのない心をもらっていた。
それはやがてこの殺し合いにおいて大きな意味を持つが、それはまた別の項目で確かめて欲しい。
最終更新:2024年01月19日 22:20