【名前】大泉聖
【性別】女
【出展】オリ学園ロワ

【架空世界におけるロール・設定】
この世界ではゼノヴァイパーは歪蛇戦隊というスーパー戦隊扱いでありドンブラザーズの後輩戦隊に当たる。
しかし、原作ロワ同様に戦隊間の仲が悪く、ゼンカイザーブラックである介人から信用されてない。


彼女自身の基本設定はオリ学園ロワ彼女とほぼ同じようだが、
政府直属の異能犯罪者取締及び異能隠蔽の為の組織・治龍局に所属しており、きりんやガンヴォルト、ソウルワーカーのチイとも知り合いである。
また、聖は子供の頃、対魔忍に助けられたことがあって「彼女たち対魔忍のようなヒーローになりたい」と夢を持っている。
ゼノヴァイパーサクヤに変身する力を手に入れて以降も憧れは残っているが、現実は悲しきかな、倒しても倒しても減らない羅鬼や怪人にヴィラン、まとまらないゼノヴァイパー仲間たち、相方の夏木零のフォロー不足もあってオリ学園ロワ同様ストレスで鉄面皮(顔面の表情筋麻痺)になっている。

そして数々のヒーローや魔法少女が参戦したヨミガエリまどか討伐戦において、リーダーである零(ガイスト)は敵を討つまたとないチャンスとして、ヨミガエリまどかだった結晶に縋り泣きじゃくるほむらに総攻撃を仕掛けるよう指示を出すが、京太郎(オメガ)は「ヒーローがやることじゃない」と止めに入り、裕太(レオパルド)は「撃てない」と拒否。(アシェラである姫来、サルドゥである直人はこの時は欠席)
そんな中、聖のみは零の命令に従っており、強すぎる正義感の持ち主であることが伺える。
しかし結果として意見が割れてる最中にほむらを取り逃がす形になってしまい、仲が悪く意思統一も計れていないゼノヴァイパーはこのままではダメだと一人焦ることに。

ちなみにゼノヴァイパーが一つにまとまった場合は介人からゼノヴァイパーロボなる巨大ロボが託される予定であったが、聖はどこからか聞いたのかゼノヴァイパーロボの存在を知っている。


【今ロワでの動向】
ヒーローの先輩である介人やファウンデーション事変を解決したコンパスのキラ・ヤマトが見せしめに殺されてしまう。
鉄面皮の下で動揺が隠せない聖であったが、だからといって悪に屈する気はないと対主催への道を決めた。
そんななか、キュアスカイことソラ・ハレワタールを捕捉する。
治龍局を通してキュアスカイが危険人物化していることを知っていたから悪人を排除すべくゼノヴァイパーサクヤに変身して攻撃を加えることに。
相手は何やら思い詰めていたようだが……関係ない。
先の戦いで危険人物であるほむらを取り逃がした時のような失敗はもうしないと心に誓い、容赦なく襲いかかった。

戦いは鞭と拳飛び交う接戦であったが、ソラに足場を崩され高所から落下させられて撃退させられた。
ソラは誰かを探すようにフラフラとその場を離れていった……

一方、高所から落ちた聖は生きていた。
だが落ちた場所は魔晄炉のすぐ近く……気絶した聖は眠っている間に有害な魔晄をバリバリ浴びる羽目になってしまう。

魔晄を浴びすぎた者はモンスター化する。

目覚めた聖もゼノヴァイパーではなく醜い羅鬼と化してしまったのだ。
ゼノヴァイパーサクヤならぬ羅鬼ヤクシャ(夜叉)になった。
その見た目はまさに夜叉であり、武器の鞭も腕から直接生える触手に変化。
本来のゼノヴァイパーサクヤは生体エネルギーを吸収するまたは与える支援向きの戦士だったけど、羅鬼になってからは逆に攻撃特化型になっていた。
鞭が変異した触手はエネルギーどころか肉まで食い込んで血を吸い、逆に魔晄が混じったエネルギーを与えて敵を飽和破裂させる恐ろしい能力と姿を得てしまったのだ。
変身解除して人の姿に戻ることはできず、人肉を貪りたい欲求とヒーローに戻ることが(おそらく)できない悲しみが聖を襲っていた。
偶然近くを通りがかった同僚の裕太が見つけた時はまだ正気を保っていたが。

聖「ヨクモコンナ姿ニ...ソラ・ハレワタァールゥ!!」
裕太「その声...サクヤさん!?」
聖「...ニゲテ、裕太クン」

羅鬼と化した聖を前に恐怖に耐えられなくなった裕太は逃げ出した。
一方の聖も徐々に食人衝動に耐えられなくなり「善人を殺したくないから悪人を率先して喰う」という発想に至ってしまう。
さらに逃げ出した裕太はすぐに死亡したことが放送を通して知ってしまい、彼の死の遠縁を作ったかもしれないソラへの恨みを募らせる。
この憎しみで食人衝動も更に増して悪人以外も喰いたくなってしまい、ついでに最優先事項がソラの抹殺になった。

羅鬼・聖は次に春日一行と接触。
善人の集団であったが、己の食人衝動のため一行との同行は不可能とみて、「ソラ・ハレワタールだけは信用してはダメ」という言葉だけ残して立ち去った。
しかし、このしばらく後に衝動が限界を迎えて、一時的に善人と悪人の判断がつかなくなり対主催である先生のグループを襲撃してしまうことになる。

結果は撃退され、誰も食べずに済んだものの、この戦闘で先生グループの椛が聖の触手攻撃で少し負傷。
エネルギー流し込まれての破裂死こそ寸でで触手を斬って防いだが、魔晄や羅鬼の血やらが体内に少なからず入ってしまい、これが後に椛に悲劇を招くことになる。

撃退され少しだけ衝動が落ち着いた聖だが、空腹は晴れず受難は続く。
彷徨う彼女は辛うじてまだ生きていたティシリオを発見する。
明らかに慣れた手つきで遭遇直後に火炎放射するティシリオを悪党の怪人と判断。
羅鬼化して増したスピードにより炎を回避した聖。
敵は毒のビンを投げつけたが触手鞭で跳ね返して毒を逆に食らわせ、毒と炎でのたうち苦しみながらティシリオという悪鬼は死んでいった。

俯瞰すると聖は間違いなく悪人を殺したが、聖自身はティシリオくんの死骸という名の肉が毒で食べられなくなったため、残念がっていた。


ここまで誰も喰えず、もはや空腹で死にそうな思いをする聖であったがそんな彼女に転機が訪れる。
とある戦場跡地に転がる複数の死体に混じって見覚えのある少年の遺体(なぜか尻から出血していた)があった。

ゼノヴァイパーのリーダー、ガイストであり、同戦隊では最も自分と交流を持っていた存在である夏木零
その死体を聖は貪り喰った。

「夏木くん、死んじゃったのね。
......ダイジョウブ、私がゼノヴァイパーサクヤとしてーー」

ゴギャ、バツン、ブチブチ、ゴクン

「悪人を全部食べ尽くすから」

そんな聖はゼノヴァイパーガイストという肉を喰ったせいか、少しだけ外見がより凶悪なものになっていた。
そして皮肉にも人肉を喰らう間は鉄面皮である口元が綻んで笑えていた……


死肉であるが腹が多少満たされた聖は近場で爆発が起こっていたため、現場に向かうとそこには暴龍と戦う対主催たちの姿があった。
援護をしなければ、と聖は貫通力の増した触手を放つ。

実は暴龍の正体は治龍局の仲間であるガンヴォルトであり、その背後にはきりんがいたことに気づいていなかった。
聖がミスに気付いた時にはもう既に二人は触手に貫かれていた。

聖「あ……いや、私、そんなつもり、じゃ……」
ハル「お前……! 何で二人を……!」

同じ治龍局のメンバーであるきりんとガンヴォルトを殺したと思い困惑し、さらにハルの怒りに気圧された聖は逃げ出した。
なお、きりんは後にガンヴォルトのおかげで一命を取り留めるが、ガンヴォルトは死亡する。

二人を殺したと思い込んだ聖は精神的な何かが壊れたのか人間を完全に餌としか見なくなり……それからしばらく後に、『餌』が空から落下してきた。
落ちてきたのはアンダーク五凶星という札付きの悪者であるワクワクであった。
とある戦いに敗れた彼は瀕死なれど生きていた、これは生餌を得られるまたとないチャンスと思い、ワクワクの背後から胸にかけて触手で貫いた。

聖「悪党、ごはん」
ワクワク「ゴフッ、なんてことだ、これからワクワクするところだったのに」

普段のワクワクならば羅鬼化しているとはいえ聖に勝つのは容易かったが、今は瀕死の重傷を負い消耗しきっており、聖にとっては絶好の捕食タイミングであった。
そのまま抵抗する余裕もなかったらしくバリバリと喰い、聖はご満悦の表情を浮かべた。
さらにワクワクを食べた影響なのか、触手の先がハサミになって物体や生物を工作する能力を得ていた。

聖は次なる戦場に向かう。
次に彼女が出没したのは鬼化たきなに襲撃された満足組との戦いである。
混戦の中で聖は鬼柳を餌として見据えて襲撃を行う。
しかし相手はデュエリストの中でも指折りの実力者である鬼柳。
逆にデュエルで返り討ちにされてしまった。
だが、危うくトドメをさされかけたところで自分を模したデコイを工作して逃げおおせることができた。


鬼柳に負けたことで少し冷静になった聖は考える。
ワクワクから簒奪したこの力があればゼノヴァイパーを量産して悪党を狩りまくり、効率良く食料確保もとい悪党退治ができるのではと。
さらにここから更に飛躍して同じゼノヴァイパーを捕食すれば、より悪党を殺す/食う力を得れるのではと考え始める。
悪人潰すのに仲間殺してたら本末転倒だが、実際零を捕食した時にゼノヴァイパーガイストの中にもあった羅鬼要素を吸収した影響か出力上がってるらしく、強くなれるのは間違っていない。
仲悪かったチームも自分の中で一つになれば一致団結して悪党と戦えるって仲間殺して食うのに都合良い思考までし始める始末。

それで同族の気配を本能的に察知したのかまずは近場だったゼノヴァイパーの誰かの遺体が眠る場所へ赴き始めることになる。
死体の正体はゼノヴァイパーオメガであった冬川京太郎
聖は迷うことなく死体を喰らった。

その後に遭遇したのは、誰かから逃げるように走るかやであった。
聖は最初はかやを食べようとも考えてもいたが、冬川の死体を食べた後でそんなにすぐには肉を食べられない。
腹が膨らんだ今、聖の中にあるのは歪んだ正義と自分の中に生まれた『工作』の力を試したいという気持ちであった。
そこで彼女に問いかけた。

「あなた、正義の味方であるゼノヴァイパーになってみない……?」

かやは聖の誘いに乗り、同行することになる。
2人がたどり着いた場所はゴミだらけの元リゾート地、ドンドコ島だった。
ここならかやを工作(改造)する部品には困らないだろう。

余談だが、聖が冬川の死体を食べていたことをかやはまだ知らない


そしてかやは聖によって工作(かいぞう)されることになる。
冬川のそれと見た目や光線発射能力はほぼ同じ青いゼノヴァイパー。
その名もゼノヴァイパーアルファに。

――なお、ゼノヴァイパーを語っているがら実情は羅鬼らしい(これは改造した聖も気づいてない)。


かやには戦闘経験がないのでゼノヴァイパーアルファのテストも兼ねてドンドコ島近くの戦場に赴く聖。
今度はジャマト化した『聖』あげはとそれを止めようとする一団。

ソラに多大な恨みを持つ聖は、そこから拡大解釈してプリキュアやプリキュアに連なる者=悪と思い込むようになっていた。
彼女の中ではツバサや切嗣も敵同然であり、滅ぼすべき悪だった。
かやの方は冬川たちへの償いのために思考放棄してる傾向があり、聖の言葉=正しいと思い込んでおり、襲撃に加担することになる。

最初にあげはジャマトに集中してる面子にゼノヴァイパーアルファが光線で強襲かけたんだけど、元々かやが素人ってのもあってかこれは躱されていた。
だがこれは陽動。
全員の意識が向いた隙に第二射で放たれた聖が擬似的に再現した交錯戎具「閃陀孔爆裂身(せんたくばさみ)」を放った。
3人分のゼノヴァイパーの出力+ワクワク+ワクワクが吸収してたうーたんのパワーの合せ技だから規模も破壊力も桁違い過ぎる。

これにより切嗣が致命傷を受けるがカウンターで王龍銃を撃ち込み、返す刀でチノも狙おうとしたゼノヴァイパーアルファを吹き飛ばされた。
聖の方はフリーナと重体のツバサを狙ったが、駆けつけたインクルシオを纏った沖田がインターセプト。
アルファがやられて、増援も増えた。
これ以上は攻め切れないと判断して、聖はアルファと切嗣の肉体を回収して撤退。
余談だが、この隙にジャマトあげはもいずこに消え、対主催のあげは救出作戦は最悪の結末で終わってしまった。



戦いを終えて切嗣の死体を回収し、拠点のドンドコ島に帰った聖はゼノヴァイパーアルファ(かや)を見て考える。
もっと効率よく早くゼノヴァイパーを増やせないか?
そうすれば、もっと悪を駆逐できて『肉』を手に入れることだってできるのに、と。
かやのように手術(こうさく)でゼノヴァイパーを作り出すことはできなくはないが、一人一人やっていては時間がかかると考えた。
そこで聖は変身するタイプのゼノヴァイパーではなく、インクルシオのような装甲装着型のゼノヴァイパーを閃く。
これなら時間がかかる手術なしでゼノヴァイパーを増やすことができるのではないかと。

さっそく工作を終えた聖は自分の触手細胞を元に三つの装着型ゼノヴァイパーのスーツを作り上げた。
それは憧れの対魔忍スーツを元にした――触手スーツであった。
スーツ内部の触手が装着者とリンクし、パワーを与えるというものである。
着る時、人によっては気持ち悪いが、単純なスペックはゼノヴァイパー同等となる。

ついでにドンドコ島のゴミを使って「表面の」姿をゼノヴァイパーサクヤと同じ姿にした聖は、かつて戦った満足同盟にこのゼノヴァイパースーツを与えて『実験』することにした。
満足同盟側は聖に姿を偽装されていたため過去に襲撃してきた羅鬼と一致せず、この前戦った相手だと気づけなかった。
一方聖は、鬼柳には傷つけられたことはあったものの、今はこらえる時だと、衝動を抑えて接した。

端から見ると対主催同士のやりとりにしか見えなかった。

また、キュアスカイに関しては前日譚でしんのすけ(リピロワ2017)が投稿した悪人制裁動画の中で一緒になって私刑やってるのを、満足同盟の千束達も見たことがあるらしく、そのせいでソラは元々危険な奴であり聖の言う通り殺し合いに乗ってる可能性は高いと同調。
これには聖にとって嬉しい反応であった。

千束ら満足同盟と別れた聖は、本能の疼きで二か所からゼノヴァイパーの反応があることを察する。
かやには一方に偵察の指示を出し、自分はもう一方の反応に赴くため、二人はドンドコ島を後にした。
聖にとって奇妙に感じたのは、感じたことのないゼノヴァイパーの反応であり、まだ生き残っているサルドゥでもアシェラでもないものであった。


その正体は現場にたどり着いたことで判明した。
自分の知らない白のゼノヴァイパー、婚后光子が外の世界からやってきたゼノヴァイパーリリスであったからだ。
悪党を喰い殺すため、バラバラなゼノヴァイパーが一つとなるため、仲間の捕食を繰り返す聖の魔の手がついに別世界のゼノヴァイパーにも迫ろうとしていた。

婚后「ゼノヴァイパーサクヤ……じゃない、この感じは……羅鬼!」
聖「羅鬼……違う、私は正義の味方のゼノヴァイパー!
  そして唯一のゼノヴァイパーとなるもの。
  ……私と一つになりましょう、白のゼノヴァイパー!」

聖の見た目は先の工作でゼノヴァイパーサクヤ時の姿に戻っているように見えるがこれはドンドコ島の資源(ゴミ)で作り出した拘束具をエヴァンゲリオンみたいに纏ってるだけ。
拘束具の下から牙が覗き、涎が飛び出しているのを婚后は見逃さなかった。

婚后「一つになるってまさか食べること!
   そうは行きませんわよ、どうしてそのような姿になったのかは存じませんが
   大泉聖、あなたの凶行はこのゼノヴァイパーリリスが止めて差し上げます!」
聖「なぜ私の名を……いやそれは良いわ。
  リリス、私の中で生きなさい!」

これまで会った事がない彼女はなぜか自分の名前や正体を知っていたがそんなことはどうでもよかった。
そしてぶつかり合う空力で生み出した衝撃波と無数の触手。

戦闘は終始、聖が圧倒。
二人のゼノヴァイパーの骸を食らい、ワクワクを食らい、パワーでリリスを上回っていた。
必殺技の一つ「刃裂洫奪処切処切(はさみでちょきちょき)」でトドメを刺そうとするが、寸でのところである者に救助された。
それは仮面ライダードライブに変身したアスラン(と寿々花)であった。

このまま三者といざ戦闘というところで、聖が直後に頭抱えて何かおかしくなったのを見たアスランは退散を選んだ。
実際その予想は大当たりで、アスランたちを逃した後に体中が肥大化してヘビのような化け物に変貌しようとしていた。

そう、もはや彼女は羅鬼やゼノヴァイパーの枠を超えた巨大な何かに変貌したのだ。



偵察からドンドコ島に帰ったかやは血塗れであった。
何やら悲劇があったのだろう。
満足同盟が解散し、仲間と袂を分けた千束とシャロはドンドコ島に足を運んだ。
ゼンカイザーブラックに変身できるシャロはともかく、千束はゼノヴァイパースーツが気に入っていたようだった。
そんな彼女たちを待ち受けていたのは、異形となった聖だった。

どんな異形になったかと言うと、サイズはMS並、髪はメデューサのように蛇になり、下半身は完全に蛇のそれで上半身から手が生えた醜い姿になっていた。
尻尾には人間としての大泉聖の名残とも言うべき裸の女が生えている(コミュニケーションはコチラの尻尾で取るが、あくまで人の形を模してるだけで弱点ではない)。

最悪の脱皮を果たしてしまったことに割と本心から泣く聖。
全ては魔晄に突き落としたソラ・ハレワタ―ルが悪いと弁解する。
彼女にとって幸いだったのは、異形になった哀れな聖を誰一人殺そうとはしなかったことだろう。

聖がある程度落ち着いたところで話は進んでいく。
かやは指示通り偵察任務は果たしてきて、他のゼノヴァイパーである姫来・直人が洞窟に集まっているのを遠くから写真でとってきたんだよな。
そして聖にとって仇敵であるソラや、危険人物であるエスデスがいることも四人は知ることになる。
一行は血気にはやる異形・聖の背に乗り、急ぎ洞窟へ向かうことにした。

海を渡る途中、かやが仲間を誰も守れなかったことや、千束とシャロが仲間を犠牲にしたのに倒すべきマーダーを殺せなかったことを後悔していることを知る。
対して聖は三人を慰めつつも、思想を自分の都合の良いように誘導していた。

悪党は殺されて当然
プリキュアは悪
ソラ・ハレワタールは邪悪、と


そうして四人は洞窟にたどり着いた。
洞窟の中にはエスデスこそ姿を消していたものの、お目当てのゼノヴァイパー二人と、にっくきソラがいたのだ。


聖「見つけた…悪党共…ゼノヴァイパー…そして──ソラ・ハレワタァァぁルウゥゥゥゥッ!!!」
シャロ「あんたが……あんた達みたいな悪人がいるから千夜は!絶対に、許さない!」

歪んだ正義と憎悪を滾らせ迫っていた一団。
憎き敵と取り込むべき同胞を見つけ暴れ狂う聖。
ゼンカイザーブラックに変身して戦うシャロや、かや達ゼノヴァイパーや聖に千束
しかしソラたちは彼女の言葉が全く分からず、悪人にも見えないので防戦一方にならざるを得ない。

更に洞窟にはゼノヴァイパーロボがあり、洞窟にいたソラたちはロボに搭乗していた。
聖は介人の遺産であるゼノヴァイパーロボを無傷で手に入れたい欲が出ていた。
理由は自分こそが正義の味方の遺産を得るに相応しく、ゼノヴァイパー全員を捕食して「みんな一つになれば」実質ゼノヴァイパーをまとめあげたものとしてロボに乗る資格があると考えたらしい。
その巨体でどうやって乗るのかという疑問は狂った彼女の中にはない。
だからこそハッチをこじ開けて中の搭乗員だけを殺そうとしていた。


聖の触手による援護を受けつつ、一時的に身動きが取れなくなったロボに取りついた千束・シャロ・そしてゼノヴァイパーアルファのかや。

かやのビームによる溶断により無理やりハッチを破壊してソラのいるコクピットを開け、千束はすかさず発砲。
ソラは致命傷こそ防ぐも足に風穴が開く。
そしてシャロと千束がトドメを刺そうとした……その瞬間、千束が突然苦しみだし、そして味方であるハズのシャロの胸部を突然斬りつけた。
ソラたちはおろか聖たちも驚き戸惑う中。
とうとうその時が来てしまった。

実はゼノヴァイパースーツには聖も知らない副作用があり、長く着続けると羅鬼化してしまうのだ。
浸食汚染の副作用により、千束は羅鬼と化してしまったのだ――

ちなみに聖は千束の羅鬼化に関しては本当に知らなかったとはいえ、自分が作ったゼノヴァイパースーツじゃなくてソラが原因だとして非難する有様であった。


千束の刀とギアトリンガーソードが何度も、打ち合う。
その度にゼンカイザーブラックからは火花が、千束からは血が飛び散る。
互いの激情のままに、わけもわからず一心不乱に。

そしてそれをただ見てる聖やかやではなく、戦いを止めようと動く。
同時にそれはソラ達も同じだった。
ソラは重傷の足を引きずりながらも近付き、二人を止めようとする

されども千束は止まらない。
聖に、ソラに、刀を振り回した。
だがここで奇跡が起こる。

シャロが心の力――心意に覚醒し、その力で千束を元の人間に戻す事に成功したのだ。

トラブルであった千束の羅鬼化解消にはホッと胸を撫で下ろす聖。
しかし、それはそれで事の発端(自作スーツが原因だと気づいてない)であるソラを殺そうと触手を伸ばして貫こうとする。
ソラは足の怪我の痛みで満足に回避できない。
そして、怒りで速度と威力を跳ねあげた触手は、腹を貫いた。



ソラを庇ったシャロの腹部を、ゼンカイブラックの装甲ごと抉るように――

聖「ど、どうして!?」
シャロ「かはっ、……ま、待ってサクヤ!
    この人たちは悪人じゃない……
    私と千束が斬りあった時、いつでも背後から撃てたにやらなかった……何か行き違いが……あるのかも……」
千束「シャローーーッ!!」

そう言い残し、シャロは変身解除し、ソラの腕の中に倒れこみ、倒れ込むシャロへ、千束が駆け付けるが、直に死んでいった……

その間、聖は困惑していた。
そんな聖の目の前にソラは行き、対話を試みる。

この時、サルドゥこと直人もついてきた。
ソラが変身解除し、変身道具だけでなくディパックや服さえ脱ぎ捨てたのを見るや、直人も彼女の意図を理解して変身を解除して裸体を晒した。
これは裸になることで、聖に一切の敵意がないことを示すのである。

直人とソラの「撃つな」という指示の元、ゼノヴァイパーロボに乗るシュラたちは固唾を飲んで見守る。
かやは状況についていけずオロオロしていた。

ソラと直人が無抵抗でこちらに近づいてくる。
そこに私刑動画にあった悪人の姿はなく、まるで正義の味方そのものに見えた。








だがしかし、その時にはもう聖の心が手遅れだった。
何か行き違いがあったとしても、自分をこんな体にしたのはソラだ。
聖は悩んだ末にシャロの言葉を裏切ってソラを貫いた。

「行き違いでも私はソラ・ハレワタールを許せない!」

シャロの言葉も、ソラの優しさも、直人の責任も、なにもかもが届かない。
憎しみにとらわれた聖はこうすることでしか、納得出来なかった。


ソラが殺された瞬間、直人が変身する。
責任も何もかなぐり捨てて激情のままに聖を殴った。
千束はシャロ戦の疲労で戦えず、かやは戸惑いシュラたちは見守る(発砲すると直人にも当たるため)
互いに復讐心を最大にして、両者は激突した。


この戦いの結末は壮絶だった。
憎しみ同士の殴り合いになって、あわや両者相討ちか?と思われた矢先に

あらゆる意味で全てが限界に達したかやが聖に対して暴言ぶちまけた。
正しいだとか悪いだとかわからなくなって、さっきのシャロと千束のやり取りやら、聖の事を許そうとして殺されたソラの事やら自分の忌まわしき過去のことすらかなぐり捨てて

かや「聖ちゃんは正義なんかじゃない、ただの最低な悪の怪人だよ!!」
聖「――――――――――――――ぇ」

かやが怒りで上記の台詞を叫んだのが全ての終わりだった。
その言葉に呆然となった聖が直人の剛腕に殴り飛ばされて、自分を見るかやや他の瞳に恐怖して

「私は悪くないんだぁぁ」

耐えられなくなった聖は発狂し、そのままへ洞窟の外へ逃げてしまった。

――――


「人の心を無くしたお前は…もう人間じゃないだろ?」――操真晴人


――――


逃げ出した先は図書館であり、偶然にも鏡があった。
そこに写ったおぞましい怪人の姿を見て、聖は絶叫した。

「……がう。こんなの、こんなの私じゃない!」

怒り狂った聖は真実を否定するように鏡を叩き砕いた。
だが、その姿は自分が招いた結果であることを今の彼女は理解できない。


鏡が割れる音。
乱入してきた化け物。

シドはモブムーブで「うわー!化け物だー!」と逃げ出した。
聖は化け物呼ばわりされたことに苛立ち、シドを追う。

「私は化け物なんかじゃ、羅鬼なんかじゃない!
ゼノヴァイパーサクヤ……正義の味方だあああああ!!」

シドはこの時、速さだけは凄まじい速さで逃げて図書館からも出ていたが聖も追いついてきた。

そして急にピタリと止まり、聖を見る。

「ここら辺まで来ればあいつらも追いつけないな」
「追いつかない?」

瞬間、シドの衣装がシャドウに変わる。

「そう。我はシャドウ。陰に潜み、陰を狩る者」

そしてシャドウはバールを構えて、聖を嬲る。
シャドウの力は圧倒的で弱った聖にはなおのこと敵わない。
せめてデコイを使って逃げることもできたかもしれないが、触手の先のハサミは全て折れていて使い物にならず、逃げるための工作は不能。
ハサミを叩き割ったのは直人の拳――あの時、ソラを殺さなければ彼は怒り狂わずこんなことにはならなかったのに。


ダークヒーローが怪人を退治するように。何度も、何度も容赦なくバールは叩きつけられる。

「私は悪の怪人......怪人は正義の味方に倒されるべき
あは、あはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは」

殴られながらも聖は嗤っていた。
嗚呼、彼女は信念も正義も宿した狂気でさえ完全に壊れてしまったようだった。


そして大泉聖は人間でもヒーローでもなく、怪人として屠られた。
しかしシャドウだけは彼女が元人間だと、察していた。



感情のままにソラを殺さねばシャドウに殺されることにはならなかったろう。
シャロを殺さねば心意の力で人に戻れたかもしれない。
ゼノヴァイパースーツの副作用に気づいて入れば
かやを誘わねば、狂気(せいぎ)に身を委ねていなければ、衝動に身を委ねなければ
ガンヴォルトときりんを諸とも貫かなければ
仲間の死体を喰おうなどと考えねば
ソラに襲い掛からなければ――一つでも多くの選択を誤ったが故に自分や各人に悲劇を招いたのだ。

聖は最終的に加害者になってしまった被害者であったのだろう。

そんな聖の登場話と退場話のSSタイトルをここに記そう。




      ……『戦隊大失格』と『怪人大合格』……
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最終更新:2025年04月12日 17:10