「天狗 -てんぐ- 」
二人の、男女の、子供が歩いていた
「なあ、いい?」
「なによ?」
「おまえさ、都会からきたんやろ?」
「そうだけど?」
ここはとある山奥にある村の通学路
「うちの村の伝説を教えてやろうか?」
「なによ、伝説って?」
生まれつきその村に住む村人の少年と
最近都会から越してきたばかりの少女は並んで歩きながら話していた
「天狗って知ってっか?」
「知ってるわよ、赤くて鼻が長い妖怪でしょ?」
「そうじゃ、その天狗」
男はそう言うとぐるぐる回りながら走りだした
天狗って何でもわるーいことをしてるってよく聞くけどねぇ
「じゃあ、わたしのパパの職場がここになったのも?」
少女は尋ねた
「そうじゃぁ、天狗のせいかもなぁ」
少年は答えた
「じゃあ、
テストの点数が悪かったのも?」
「それも、天狗の仕業かもなぁ」
「私の部屋が汚いのも?」
「はいはい、あんたのせいあんたのせい」
「そこはノりなさいよっ!」
少女は手にしていた傘を少年につついた。
少年は走り出し、少女は追いかける。
しばらく走ると、二人も疲れたのか走るのをやめ、再び歩き出した。
「それで、天狗がどうしたの?」
少女は少年に問う
「ああ、うちの村じゃ天狗は神なんよ」
「へえ?」
少年は歩きながら空を見上げた。そして、続けて話し始める。
「天狗について知ってることとかあっか?」
少女は、妖怪については全然だ。
「ううん、よく分からないけど、さっき見たいに悪いことをしているんじゃないの?」
「うむ、そういうところは多いのぅ」
天狗の仕業ってね
「しかし、悪い事をしなければ無害な妖怪とも聞くわね」
少女は妖怪については本で読んだことがある。
天狗は無害な場所が多い。
「けどな、うちの村は違うんよ」
「?」
「よそ者を極端に嫌うんだわ」
少年はカバンから写真を取り出した。
「これは、ちょっと前までにうちの村にいた人たちなんだ」
「…へえ?」
その写真に写っていた人に規則性はなく、老若男女様々な人がいた。
「これ、うちに越してきたり、住んでいたり、しばらくの間だけいた人の写真なんだ」
「…で?」
「 い な く な っ た ん じ ゃ 」
突然少年は立ち止りそう言った。少女は驚き少年の方を見た。
少年の眼は黒くなっていて、まるで別人のようだった。
その時、左手にある森が風も無いのに突然揺れはじめた。
森の中から沢山のカラスが飛び舞い、空は黒くなっていた。
「 天狗は仲間の所につれていくのが得意なんだ 」
「 そ ん な 伝 説 じ ゃ あ よ 」
そんな、少年の生気の感じられない声が聞こえた。
少年のいた方に目を向けたが、少年はいなくなっていた。
代わりに 、 い た の は
, ;,勹
ノノ `'ミ
/ y ,,,,, ,,, ミ
/ 彡 `゚ ゚' l
〃 彡 "二二つ
| 彡 ~~~~ミ
,-‐― |ll 川| ll || ll|ミ―-、
/ |ll | ヽ
/ z W`丶ノW ヽ
/ \\ / / |
/ 天 \`i / / 狗 |
【妖怪ロワエピローグ 天狗 完】
最終更新:2013年02月17日 10:26