No. タイトル 登場人物
できごと

237 東海道和馬、クロ、グラハルト・フォン・ウェデマイヤー、薬師寺瑪瑙、天川星太、松浦愛、霧子・ヒューズ、真討煉、ジェニファー・シャルパンティエ、神奈瞬、有馬天狼、神使勇護、恐怖の大王、結城豊重、九夜恭介、相葉智和、足利輝義、鴻上友朗、一ノ瀬慶悟、紫宮宮子、ミスサイタマ、群馬王マエバーシ田所剛史
東京王戦を終えた高校組の下に一ノ瀬が合流
ボロボロな在り様が互いの激戦を物語っており、多くはからなかったが、天使属性を得た副作用でたまに発光する一ノ瀬がからかわれた
そして流れる放送でおっさん組の死を知る、親友の死にさすがにショックを隠しきれない和馬
そでも生徒たちに心配をかけまいと気丈に振る舞う和馬を気遣う九夜とウェデマイヤー大人組であった
そんな大集団を見つめる野獣の眼光があった。田所である
あいつら全員ボロボロだし勝てるんじゃね? っていうか残り人数的にこいつら皆殺しにしたら優勝確定じゃね?
という発想の下、パワードスーツに乗った田所が意気揚々と高校組の前に登場
それに対して、前島のパワードスーツだと反応する瞬や神使
壊れたコクピットから覗く顔に校長の仇と反応する瑪瑙やウェデマイヤー
目の前で美月を殺され直接暴行を受けた霧子が強い反応。満場一致で敵認定を受ける
そして各々がこれまでの思いを振り返りながら攻撃をしていく
松浦愛の重力攻撃、九夜の真祖ビーム、神使の勇者魔法、相葉の降霊魔法、ミスサイタマの埼chicが放たれ
それらすべてをインパクトの瞬間に瞬が異能殺しで倍加してスパーク。慈悲はない
ついでに天狼が異能殺しであけた穴に群馬王とウェデマイヤーの狙撃が放たれ、どの攻撃で死んだんだかわからないうちに田所が死亡する
余りのフルボッコに感想スレが田所さんかわいそう・・・な雰囲気になったとかならなかったとか。多分なってない
238 東海道和馬、クロ、グラハルト・フォン・ウェデマイヤー、薬師寺瑪瑙、天川星太、松浦愛、霧子・ヒューズ、真討煉、ジェニファー・シャルパンティエ、神奈瞬、有馬天狼、神使勇護、恐怖の大王、結城豊重、九夜恭介、相葉智和、足利輝義、鴻上友朗、一ノ瀬慶悟、紫宮宮子、ミスサイタマ、群馬王マエバーシ、鈴木某毒島信子ジョン・シェフ、黒井龍太、カズマ、松井さん
田所戦の少し後で鈴木と毒島を引き連れたシェフが合流
そしてその光景を一歩引いた位置から見てた龍太、カズマの二人が白旗を振り交戦の意思はないことをアピールしながら登場する
これで、もう生き残りのほとんどはここに集まったこととなり、これからどうするか話し合われることに
ひとまず大人数でも落ち着ける場所ということで、とある高校に移動
とりあえず首輪が邪魔だということで足利が残り全員の首輪を解除していく作業に移る
ボロボロの皆を見たシェフが飯食って寝れば何とかなるという理論で料理を提案
帰り際いい肉見つけましたとT-REXの死体を取り出すシェフだが、反対多数で使用を断念
いらないならその恐竜くださいと松井さんが唐突に登場、突然現れた松井さんに皆警戒するが、松井さんと面識のある和馬がとりなし事なきを得る
そして松井さんは和馬に「ありがとう」と言い残しT-REXの遺体を引き取って立ち去る。あとついでに首輪外してくださいと要求することも忘れなかった
松井さんはその後一人で親友の司が可愛がってたT-REXを手厚く葬った
ジェニファーはシェフの料理の手伝いを買って出て、シェフと共に学食へと移動。その他のメンバーは生徒会室に集まり話し合うことに
脱出するにはどうしたらいいのかという疑問に、野原の遺したノートから友朗が東京駅の召喚が必要であるはずだと推察
東京駅の召喚方法には東京と強い繋がりを持つ聖遺物が必要であり、それを相異世界の重層座標に配置し召喚の儀を行う必要があるという結論に
だが、相異座標を知ろうにも、そもそもここは何処なのかという疑問に、紫宮が鯰から聞いた情報を伝える
その情報から完成した地図を基に、友朗がポイントを特定する。すげぇなこの園児
一方その頃、会議に参加できないおバカ組は別室で待機
この学校に隠された兵器があるとこの予言の書に記されている、その話に喰いつき興味を持つバカども
結局、探しに行こうという話になり、一人、予言の書が自分の空想ノートであると気づき悶える天川
そして言い出せないまま予言の書に従い探索すると、本当に妄想通りの複座型メカを発見。え、なにそれ恐い
会議もひと段落したところで、出来ましたよー。というジェニファーの声が、全員が食堂へと向かうことに
239 東海道和馬、クロ、グラハルト・フォン・ウェデマイヤー、薬師寺瑪瑙、天川星太、松浦愛、霧子・ヒューズ、真討煉、ジェニファー・シャルパンティエ、神奈瞬、有馬天狼、神使勇護、恐怖の大王、結城豊重、九夜恭介、相葉智和、足利輝義、鴻上友朗、一ノ瀬慶悟、紫宮宮子、ミスサイタマ、群馬王マエバーシ、鈴木某、毒島信子、ジョン・シェフ、黒井龍太、カズマ
最終局面に向けて体力回復と英気を養うべく宴会が開かれる
宴会には学食の材料からどうやって作ったんだという豪華料理が並び、ジェニファーのスイーツも振る舞われた
カズマもお近づきのしるしにとフライドチキンな小指盛り合わせを用意するが、これには誰も手を付けなかった
人づきあいが苦手な毒島は緊張しっぱなしだったが、彼女をにこやかに受け入れる高校生たち。そして、新たな昔の人、某に根掘り葉掘り話を聞く瑪瑙
俺、この戦いが終わったらと、露骨な死亡フラグを立てる足利と友朗。ミスサイタマを口説く群馬王。ミスサイタマを見たカズマがそれとなく和馬に合体を進めるが断られる
大王ちゃんが瞬の異能殺しの詳細を知りマジ逃げして神使の後ろに隠れる
真討が調べた限り、発見された複座型は能力増幅型で操縦者と能力者の二人が必要であるという事で
操縦者はなぜか完璧に操作方法を知ってる天川が、能力者は愛が適任ということで話は落ち着く
そんな彼らを見つめ、戦時末期に自身の部隊に配属された少年兵を重ねるウェデマイヤーは、戦いを子供たち任せにしてしまっている現状を不甲斐なく思う
それは僕も同じですよ、と和馬が答え、それでも自分は生徒たちを信じて託すしかないと、続けた
そして宴も終わりに近づいたころ、一団とは少し離れた場所で瞬と天狼が話をしていた
瞬は前島を助けることができなかった己の無力を嘆き、異能を殺すためだけに調整されたその力を嫌った
そんな彼に、その力は人を守るための力であると天狼が励ましの言葉を贈った
そんな中、ふと外を見た相葉が散っていった魂の存在に気づく。そして彼らが自分たちを応援していることを知ったのだった
あと足利の首輪解除作業がやっと終わった
240 グラハルト・フォン・ウェデマイヤー、真討煉、九夜恭介、群馬王マエバーシ、黒井龍太、カズマ
学生や疲れの見えるモノ達を休ませ、その間に友朗が指定したポイントに辿り着く6人
その道中に回収した、東京都繋がる聖遺物――東京王の亡骸をポイントの中心に配する
だがここで一つの問題が噴出する。で? 儀式って何すればいいの、という問題である
戻って友朗先生に意見伺おうぜ、と早くも白旗を上げる真討
最悪そうするのも仕方ないが、とりあえずやるだけやってみよう。ということで色々やってみることに。そして迷走が始まる。
ウェデマイヤーが描いたナチ特有の魔法陣の周囲を群馬王がグンマーの伝統的な踊りで練り歩き、そこに響く山育ち龍太の雄叫び、その横で謎の呪文を唱える九夜
各々が思う儀式らしき行いを繰り広げる光景を見つめ真討は思う(…………なんやこれ)成功の気配が欠片も感じられないその儀式を中断させる
考えなしじゃなく駅に必要なものはなにかということを考えようということになるが、そこでカズマが衝撃的な発言をする。そもそも駅って何さ、と
そこからかー、と頭を抱える真討だったが、カズマに説明していく中で、駅なんだから入るには切符が必要なんじゃという結論に至る
ためしに、ちょうど財布にあった定期を聖遺物に咥えさせてみたところ、東京駅の召喚に成功する
241 東海道和馬、クロ、グラハルト・フォン・ウェデマイヤー、薬師寺瑪瑙、天川星太、松浦愛、霧子・ヒューズ、真討煉、ジェニファー・シャルパンティエ、神奈瞬、有馬天狼、神使勇護、恐怖の大王、結城豊重、九夜恭介、相葉智和、足利輝義、鴻上友朗、一ノ瀬慶悟、紫宮宮子、ミスサイタマ、群馬王マエバーシ、鈴木某、毒島信子、ジョン・シェフ、黒井龍太、カズマ、織田良子、???(神州王)
東京駅召喚の一報を受け休息を終えた一同が東京駅入り口に集結する
ここを潜り抜ければ元の世界のさいたま新都心に繋がっているはずだという友朗
斥候として先行して中の様子を伺った九夜と群馬王の話によれば中は迷宮化しており、どんな危険があるかわからないという
駅構内は薄暗く自然発光する一ノ瀬を先頭に、一行ははぐれないよう一丸となって進んでいった
そのころ地上では現れた東京駅に近づく影があった。誰もに忘れ去られた存在、織田良子である
ここにこんなもの無かったよなぁ? とか思いつつとりあえず進んでゆく良子
その途中やたらと光り輝く人影(?)を発見、だが地味すぎて気づかれずスルーされる
一方、地下深くまで進んだ一向だったが、突如、一ノ瀬の放つ天使の光より眩い光が出現。
その光から以前も感じた気配を察した瞬が反応する「貴様は――――」
「よくぞここまでたどり着きました」
その光が放つ圧倒的重圧に押しつぶされそうになる一行の前に――――神が君臨する
242 東海道和馬、クロ、グラハルト・フォン・ウェデマイヤー、薬師寺瑪瑙、天川星太、松浦愛、霧子・ヒューズ、真討煉、ジェニファー・シャルパンティエ、神奈瞬、有馬天狼、神使勇護、恐怖の大王、結城豊重、九夜恭介、相葉智和、足利輝義、鴻上友朗、一ノ瀬慶悟、紫宮宮子、ミスサイタマ、群馬王マエバーシ、鈴木某、毒島信子、ジョン・シェフ、黒井龍太、カズマ、神州王
「どういうことだ? お前は確かに殺したはずだがな」
「異能殺し。確かに恐ろし能力です、よもや私が死ぬとは思いもよらぬ出来事でした。
 ですがアナザーサイタマにも神は存在する。あなたが殺したのは神の同意存在。
 そして思い出してください、そこのミスサイタマを、そう、我らは二柱で一つの神なのです!」
現れた神が、この場に存在していた神と融合する。
「これこそが我が真の姿。私は47都道府県を束ね日本を統べる神にして王――――神州王。
 先に言っておきましょう私の力は東京王の47倍です」
「そうかい。だったら――――何でも殺してやるよ」
開幕、無慈悲な異能殺しが放たれる
だが神州王が氷のような外見になったかと思うと、特殊な歩法で異能殺しを回避する
「闘歩駆王のモード。無駄ですあなたの攻撃は私には当たりません」
そして、神州王がバトルロワイヤルを開いた目的を語る
神を信じぬ日本人への試練を与え神への敬意を取り戻す、そのためにアナザー世界や様々なものを生み出した
「その中であなた方が足掻く様は面白いものでした」「てめぇ…………!」
自らの生み出された理由を知り、神使が怒りに燃える。それは他の者たちも同じである
「ここにきてまだ神への敬意を取り戻せぬとは、嘆かわしいことです。致し方ありません」
神州王が猛虎柄に変わる。禁忌王のモードである
カツンと、杖で地面をたたくと、そこから悪意を持って死んでいった怨霊たちが亡者のように復活する
「あなた方のお相手は彼らがしてくれるでしょう。そしてここまでご苦労でした――――天狼」
神州王の言葉に、天狼がその立ち位置を変える。亡者軍団の先頭、参加者たちと敵対するように
「……どういうことだ天狼?」和馬が問う。天狼は答えない
理由はわからない、だが確かな事として天狼が裏切ったという事実があった
「では、後は任せましたよ天狼」神州王がこの場を後にする
「逃がすかよ!」「ま、待ってよ神使」
目の前の亡者を魔神剣で蹴散らし、その後を神使が追い、大王ちゃんがさらにその後を追従する
「ここは僕らに任せて君たちも行け!」
九夜の言葉に、群馬王、ミスサイタマが頷き、神使に続き駆ける
残された者たちは亡者軍団と対峙する。そしてその中のまさおが爆散する、瞬の異能殺しだ
所詮、異能で蘇った亡者たちだ、異能殺しの敵ではない。だが、続いて放たれた異能殺しが掻き消える
「おっと、お前の相手は俺だぜ瞬」「…………天狼」瞬の前に天狼が立ち塞がる
襲いかかる亡者軍団を九夜やシェフを中心に対応する一行「戦えぬものは下がるんだ!」ウェデマイヤーの指示が飛ぶ
そんな光景を一歩引いたところで見ていた某だったが、これまで死んだようだったその目が開かれた
「雷炎――――ッ!」その中に仇の姿を認め、蜻蛉切を片手に向かって行った
243 この手が救えなかったもの 神奈瞬、有馬天狼
「まさかあんなのの手下だったとはな。失望したよ天狼」
「別に、アイツの下についたわけじゃないさ。目的が一致したから手を結んだだけだ」
対峙する天狼と瞬。既に互いの目に迷いはない
「言っておくが、僕は敵に容赦はしない」「知ってるよ。だからお前を選んだ」
異能殺しと幻想殺し。互いの能力が殺し合い無効化され、残るは肉体のみ。能力なしの拳と拳が衝突する。
格闘戦では天狼が上、押される瞬
「どうした瞬。俺を殺してみろ、お前なら俺を殺せるはずだ!」「天狼、お前……」
瞬は自分を殺せる人間を選別する為に神と手を結んだという、天狼の目的を知る
死に急ぐ天狼を止めたくとも能力のない瞬はただの戦いなれた高校生に過ぎず
何より異能殺しがあった所で、あれは殺すためだけの能力だ。誰かを救うことなどできない。何もできない。前島の時のように
思い悩む瞬。そこに天狼の強烈な一撃が直撃し、瞬がその場に崩れた
244 前哨戦 東海道和馬、クロ、グラハルト・フォン・ウェデマイヤー、薬師寺瑪瑙、天川星太、松浦愛、真討煉、結城豊重、九夜恭介、相葉智和、足利輝義、一ノ瀬慶悟、紫宮宮子、鈴木某、毒島信子、ジョン・シェフ、黒井龍太、カズマ、織田良子
亡者軍団に対する対主催軍団
「懲りない連中だ」復活したグレゴリオ一味を前にする九夜だが、その前に立ちふさがるようにフィリップが現れる
「あなた方は私が料理して差し上げましょう」変わるようにグレゴリオ一味に対するのは庖丁を構えたシェフだった
「まずはあの男を抑えねば」大火力で破壊をまき散らす山岡の下へウェデマイヤーが一人駆ける
「僕らも行こう、力を貸してくれ。紫宮さん」「はい」目の前には不気味な影を纏う覆面男笑う影。対するは光を纏う一ノ瀬と紫宮のペアである
「ぼ、ぼぼ僕らも行こぅ。松浦さぁん!」「だ、大丈夫、天川くん?」初の実戦に緊張しながらも複座型に乗る天川、愛ペアも駒場に向かってゆく
「さて、最期くらいは働きますか」「だな」蛇教院にカズマが、蛇教院の放った蛇神を龍太が相手取る
「いや、僕じゃなくて、この人が用があるみたいです」椚山の前に相葉が立つ。降霊された三葉をインストール。娘を殺した殺人鬼の前に母が立つ
「よぅ先生、会いたかったぜぇ!!」復活した栗木が和馬へと迫る。和馬はウェデマイヤーに頼み込んで持たせてもらった銃を手に対抗する
「ま、一応の因縁だ。少し相手をしてやるよ」やる気な下げながらも魔王ギオスに相対する元・勇者結城
「――――――――――」仇を前にした復讐鬼に言葉はない。ただ刃だけが奔る
「なんなんですかこれ?」光を追って辿り着いた良子である。話しかけた足利に事情を聞いて首輪を外してもらった
それぞれが衝突する総力戦が始まる
九夜は三度現れた同族に対して、残念だけど亡霊にかける情けはないと瞬殺。同じくシェフもグレゴリオ一味を瞬殺
山岡の圧倒的大火力を潜りつけながら、正確な一発の弾丸で敵を仕留めるウェデマイヤー
だが負傷は免れず手傷を負う、これ以降の戦闘は困難となった
紫宮が口や鼻という気管を塞いでもなお動き続ける覆面男と笑う影に脅威を感じながらも
天使の力で対抗する一ノ瀬だったが、天使の浄化が効果的であることに気づきこの二人を退ける
なぜ浄化が効果的だったのか? それは復活した死者故なのか? その理由はわからないままである
戦いになれず最初のうちは駒場の攻撃を一方的に食らうだけだったが圧倒的スペックによりノーダメージ
強化された愛の重力操作による攻撃。想像以上の強化具合に驚いてしまう場面もあったか、何とか制御し勝利を収める
ここにきて初めて真の姿を見せる龍太。蛇が龍にかなうはずもなく勝利を収める
蛇神の死に動揺する蛇教院をカズマの小指ガトリングが仕留めた
三葉のスペックはやはり凄まじく、既にネタの割れた椚山をまったく寄せ付けない
相葉が魔法少女ルックになったこと以外は特に危なげない勝利だった
栗木を相手にいざとなっても引き金が引けず、追い詰められる和馬だったが、そこに駆けつけた九夜が栗木を仕留める
やはり撃てなかった、と自らの甘さを悔やむ和馬を、貴方はそれでいいと九夜が慰める
同じく追い詰められている結城にシェフ加勢しギオスを倒す
だが、シェフには結城が最初からギオスを倒す気などなく防戦に徹していたように見えた、そのことに若干の違和感を覚えた
圧倒的な力で雷炎を凌駕する某。
雷炎を確実に倒すため、真の実力を彼に知られぬようこれまでは力をセーブして戦ってきたのだ
見下していた相手に追い詰められる事実を認められない雷炎
騒ぎ立てる雷炎に対して、力とともに殺意と殺戮衝動を開放した某がくれてやったのはただ一言だけだった
「死ね」ストンと雷炎の首が落ちる
「我が復讐、我が悲願! 我が復讐、我が宿命! 我が復讐、我が生涯! 我が復讐、我が全て!
 今、ここに成就せり!!!
 ……おとうさん、おかあさん……私は、空は……やり遂げました……!」
復讐の達成を己が名と共に空に向かって報告する
245 それでもこの手が救ったもの 神奈瞬、有馬天狼、東海道和馬、クロ、グラハルト・フォン・ウェデマイヤー、薬師寺瑪瑙、天川星太、松浦愛、真討煉、結城豊重、九夜恭介、相葉智和、足利輝義、一ノ瀬慶悟、紫宮宮子、鈴木某、毒島信子、ジョン・シェフ、黒井龍太、カズマ、織田良子
瞬は朦朧とする意識の中、友の幻影を見る
「お前の手は友達を助けるためのもんだろ。だったらキッチリ勝ってあのバカの目を覚まさせてやれ」
その言葉に鼓舞されて、崩れ落ちそうになる足を奮い立たせ、トドメを刺しに来た天狼にカウンターの一撃を叩きこむ
下顎に入ったその一撃は脳を揺さぶる、こうなっては超回復も無意味だ。天狼は倒れる
「お前の勝ちだ。殺せ、幻想殺しは解いてある。俺はもう、死にたいんだ」
観念したように天狼は目をつむり終わりを待つ
「……けんな」瞬が天狼の胸倉を掴んで引き上げる
「ふざけんなよ! 死にたいってなんだよ! 殺せなんて言うなよ!
 全員で生きて帰ろうって言葉も嘘だったのかよ。前島の前で流したあの涙も嘘だったのかよ!」
瞬の目からこぼれる熱い涙が天狼の頬を打つ
「一匹狼気取って、カッコつけてんじゃねぇよ! 辛いなら僕たちを頼れよ!
 この手が殺す以外のこともできるって言ってくれたのはお前だろ? それを証明させてくれよ、天狼!!」
気づけば、戦いを終えた皆が見守っていた
「……天狼」和馬が語り掛け。同じく死を望みながら、それでも生きる希望を得た毒島がたどたどしくも言葉を紡ぐ
「僕の手を取れ天狼!」瞬が差し伸べるその手を
「無茶言うな。まだ立てねぇよ、バカが」悪態をつきながら天狼は差し伸べられた手を確かに握りしめた
246 東海道和馬、クロ、グラハルト・フォン・ウェデマイヤー、薬師寺瑪瑙、天川星太、松浦愛、真討煉、神奈瞬、有馬天狼、神使勇護、恐怖の大王、結城豊重、九夜恭介、相葉智和、足利輝義、一ノ瀬慶悟、紫宮宮子、ミスサイタマ、群馬王マエバーシ、鈴木某、毒島信子、ジョン・シェフ、黒井龍太、カズマ、織田良子、神州王
亡者軍団を殲滅したものの、混乱のせいで非戦闘員と逸れてしまったことに気づく
そこでカズマが彼らの捜索を申し出る、ここから先の戦いにはついていけそうにない、という理由もあり
30近い首輪を解除し疲労した足利、三葉を降霊し魔法を行使した相葉も同じく探索に回ることに
残ったメンバーはすぐさま先行した神使たちを追おうとするが、天狼は倒れたままである
「先に行け、回復したらすぐに追いつく」その言葉に皆が頷く。天狼から神州王の向かった先を聞き移動を開始する
「飛ばしますよ」愛が重力操作で自身と共に皆を浮かべ、文字通り飛ぶが如く目的地へと駆け抜けた
「よう、追い詰めたぜ…………神ッ!」
その頃、神使は東京駅の最奥で神州王へと追いついてた。追従していた群馬王、ミスサイタマも合流。大王ちゃんは逸れた
「おお勇者よ、歯向かうというのですかあなたを生み出したこの神に?」
「神も魔王も関係ねえ、俺は勇者じゃなく神使勇護としててめえを倒し、ダチと一緒に卒業式に出る!!」
「そこの二人も同じ考えというわけですか。都道府県王ともあろうものがなんと愚かな」
神が黒く染まり死神と化す「死国王のモード。あなた方の人生もここで終わりです」
247 東海道和馬、クロ、グラハルト・フォン・ウェデマイヤー、薬師寺瑪瑙、天川星太、松浦愛、真討煉、神奈瞬、有馬天狼、神使勇護、結城豊重、九夜恭介、一ノ瀬慶悟、紫宮宮子、ミスサイタマ、群馬王マエバーシ、鈴木某、毒島信子、ジョン・シェフ、黒井龍太、松井さん、神州王
迫りくる即死攻撃の嵐に苦戦する神使たち。死の塊と化した死国王には触れれば死ぬため攻撃すらできない
「直接触れれなくたって!」ミスサイタマが埼chicによる攻撃を仕掛ける
だがそれよりも早く、白い茨『香川の誇り(うどん)』がミスサイタマに絡みつく
神使がその拘束を切り落とそうとするが予想以上のコシにてこずる。そこに迫る死国王
それを群馬王が殴り飛ばし撃退する。触れた時点で死を遣わす死国王を素手で殴っては群馬王も終わりか
そう思われたが、群馬王の拳の周りには黒い靄、魔闘気である。元よりグンマ琉拳と群馬神拳は源流は同じ、扱えぬ道理はない
「とはいえ、拳に纏う程度が限界だがな」そでもお前を殴るには十分だ、と群馬王
「ふむ流石ですね。四県程度の力では失礼に当たりましたか」神州王がモードを変える。先ほど見せた闘歩駆王のモードだ
神州王の展開した『試される大地(アバシリ)』により周囲は極寒の世界に代わり動きが鈍る
その状態では特殊な超高速を捉えることはできず、三人は追い詰められ、召喚された『奇蛇奇常(キタキツネ)』により吹き飛ばされる
その隙を逃さずトドメを刺そうとする神州王だったが、その動きが止まる
いつの間にそこにいたのか。そこには謎の女が立っていた。吹雪の中、スクール水着とパーカーだけの女が堂々と
「何者です?」「私は海洋生物学者の松井…………です」その声は強い吹雪で一部が掻き消え神使の耳には届かなかった
「どうやってここに辿り着いたというのですか?」「さあ? 私は迷い込んだだけですから」
神州王が呆気にとられれているうちに、瞬たちが決戦の地に辿り着く
愛が重力操作で重圧をかけ闘歩駆王の足を鈍らせ、ミスサイタマが埼chicで方向感覚を狂わせ、そこを狙うは必殺の異能殺しである
異能殺しが直撃する、だが「――――吸収王のモード。言ったでしょう、私には通じないと」
あらゆる攻撃を吸収していく吸収王。だが吸収王側の攻撃も適切に処理され被害は出ていない、瑪瑙の指示によるものである
互いに決め手に欠ける状況に業を煮やしたのか、神州王が防御のモードから攻撃のモードへと姿を変える
「終焉の時は来た。我の秘められし力の一端を見るがよい。散りゆく刹那の手向けと知れ」
痛々しい言動と共に現れたのは厨極王のモードである。トラウマをえぐられ天川は喘いだ
長ったらしい詠唱によって放たれるのは多彩にして強力な技の数々、実力は間違いなく本物だ
耐久力のある九夜や神の攻撃に耐性のある一ノ瀬、都道府県の名産を調理でき九夜が苦手な炎の扱いにも長けたシェフが受けに回り凌ぐが、そこに『無限なる砂世界(トットリサキュウ)』が放たれる
全てを破壊しつくすかと思われたその攻撃はしかし、なにも破壊することなく掻き消える
「よう。待たせたな」「天狼!」その真正面に立つのは天狼が立っている
「この我を裏切るつもりか天狼?」「裏切るも何もあんたの下についた覚えはない。これ以降お前の攻撃は通じないぜ」
「はっ。確かにお前は異能に対して無敵だ。だがなぁ天狼、お前が立ってる世界はどうだ?」
放たれるのは大規模破壊攻撃『リトルボーイ』、狙いはこの世界そのもの。轟音と共に世界が崩壊した
248 東海道和馬、クロ、グラハルト・フォン・ウェデマイヤー、薬師寺瑪瑙、天川星太、松浦愛、真討煉、神奈瞬、有馬天狼、神使勇護、恐怖の大王、結城豊重、九夜恭介、一ノ瀬慶悟、紫宮宮子、ミスサイタマ、群馬王マエバーシ、鈴木某、毒島信子、ジョン・シェフ、黒井龍太、松井さん、鯰、神州王
「――――バカな」世界は崩壊、しなかった
凄まじい破壊に様々なものが崩れたものの、世界を支えるという使命に専念した鯰がギリギリで世界崩壊を食い止めたのだ
「よぉ。なんだかわかんねぇが、また予想外が起きたって顔だな」
「……………」神使の言葉に無言のまま神州王がモードを変える
「誅武王のモード。もう争いは終わりにしましょう。これより先、この空間での一切の武力行使は許されません
 あなた方が心を入れ替えると誓うのならば、神に逆らったあなた方の罪を赦しましょう」
神の最後通知に対する答えは当然拒否。魔神剣を放とうとした神使の右腕が吹き飛ぶ
負傷した神使を下がらせるが、下手に動けば二の舞になるため誰も動けない
「愚かな。他の者たちも心を入れ替えるつもりはないようですね、嘆かわしい事です」
神州王が天へと光の粒を放ると、雨のように降り注ぐ『神の宿りし粒(コシヒカリ)』
シェフが愛用のフライパンを巨大化させ、なんとか光の粒を受け止め、装甲が貫通される前に炊きあげて無力化してくれている傍ら天狼が叫ぶ。
「ッ。お前は攻撃できんのかよ!」
「当然です、これは武力行使ではなく神による天罰なのです」
「……そういう理屈が通用するんなら」瑪瑙の助言を受けた群馬王が真正面から神州王へと突っ込む
放たれるのは子供の喧嘩のようなテレフォンパンチ、しかし鍛え上げられた群馬王の肉体から放たれるそれは十分に必殺だ
それは武力ではなく純粋な暴力。そこにいるのは武を極めた群馬王ではなく武神に師事する前の武を知らぬ野生の獣
追い詰められた神州王は、咄嗟に吸収王へとモードを変え難を逃れる
死国王と誅武王は群馬王が攻略した。闘歩駆王は愛とサイタマが封じ、厨極王は天狼が無効化できる
だがそれでも吸収王の絶対防御を攻略しない限り、この戦いに勝ち目はない
それにいち早く気づいた瑪瑙が策を講じる。沖縄を抑えるのである
沖縄は天気予報がワイプになってる事からわかるように、本州から離れた位置にある島群である
「つまり本体とは別の場所にある、と?」「けど、それらしいのは見当たらないぜ?」
瑪瑙は自らの推論を語る。神州王は先ほど世界を壊そうとしたが、それは自分は無事であると確信があるから
この空間で無傷の場所が必ずあり、沖縄はそこにある。
「というわけで真討さん。探してください」「ええ~!?」ここにきての無茶ぶりである
見かねたウェデマイヤーも協力を申し出る
一方治療を受ける神使。紫宮が傷口を塞ぎ止血するが右腕は完全に失われてしまった
「ぱんぱかぱ~ん! 真打ち登場!」そこに大王ちゃん登場。神使の負傷に気づき慌てて駆けよる
「どうしたの神使、大丈夫!?」大王ちゃんが腕を繋げようとするが神使は否定
「すぐに出る。時間のかかる治療は後でいい」左手だけでも戦えると神使は立ち上がる
「やめとけよ、行ったところで今のお前じゃ足手まといだ」そう声をかけたのは結城だった
要の魔神剣も通じていない。負傷した神使が言ったところで何の役に立たないと
「いいえ、通じるわ。魔神剣の真の力が解放されれば」だがこの言葉を大王ちゃんが否定する
そして、大王ちゃんが気づいた魔神剣の正体について語る
魔神剣は神使の感情に呼応する力である。だから感情を高ぶらせた前島戦で最大の出力を示した
感情の制御ができない子供だったからこそ、大王ちゃんは2歳の神使に敗れたのだ、と
「つってもどうすりゃいいんだよ。今でも十分ブチ切れてるぜ、これ以上たって……」
だが結城の言うとおり今の出力では神州王は倒せない。どうすればいいのか
「理性が邪魔ならそれを無くしちゃえばいいんじゃにゃいか?」
それは、これまで戦いを傍観していたクロだった
「まぁアタシの力は大したことねーから。神を倒すとかはできねーんだけど、オマエの理性を無くすくらいはできるじぇ」
そうすれば魔神剣の力は最大限に解放される、そう小さな悪魔は言っている
「さぁ願いを言えよ神使。オマエは何を望むんだ?」
249 シークレットミッション 真討煉、グラハルト・フォン・ウェデマイヤー
渋りながらも沖縄探索に動く真討。目立たぬよう気づかれぬよう戦場をひっそりと歩いてゆく
だが、辺りを舐めるように見渡せど、それらしいものはどこにも見当たらず、マイヤーに励まされながらも焦る真討
そのすぐ隣で流れ弾が爆発する「マジ無理、マジで!」一般人である真討は余波だけでも余裕で死ねる
だが、この探索の結果次第で戦況が左右されるほどの重大な任務だ投げ出すわけにもいかない
一度立ち止まり発想を変える。自分ならどこに隠すか、考えるうち一つのひらめきがあった
ここは地下深くの最下層、そして今立っている地面は殆ど崩れていない
「下か!?」そう辺りをつけ注意深く探してみれば地面に隠し扉を発見。そこには脈動する赤い宝玉があった
250 東海道和馬、クロ、グラハルト・フォン・ウェデマイヤー、薬師寺瑪瑙、天川星太、松浦愛、真討煉、神奈瞬、有馬天狼、神使勇護、恐怖の大王、結城豊重、九夜恭介、一ノ瀬慶悟、紫宮宮子、ミスサイタマ、群馬王マエバーシ、鈴木某、毒島信子、ジョン・シェフ、黒井龍太、松井さん、神州王
激戦の続く中、皆の疲弊は明らかだった。そして吸収王のモードで回復している神州王は無傷に等しい
圧倒的不利に不利な状況は未だ覆らず、それでも誰一人の目にも諦めの色はない
その不屈をへし折るべく、ついに神州王が切り札を切る
「完闘王のモード。このモードが完成した時点であらゆる戦いは完結します。
 終わらぬ戦いをつづけるも苦痛でしょう。せめてもの慈悲です、一瞬で息絶えなさい」
完闘王の力を振おうとする神州王、だがその目の前に一つの魂が現れる。東京王だ
東京王の魂は貴様なぞに使われるほど我の魂は安くないと神州王を拒否。要である東京力を失い完闘王は不発に終わった
「…………何故だ?」勇者も鯰もアナザー世界の王たちも、自分が生み出した存在が尽く自らに仇を成す、そのことが神州王には理解できない
「もういい、終わりにしましょう」「は。またそれかよ。何度目だ?」「余裕がないぜ神州王」
ボロボロでありながら強気を崩さない天狼と瞬の言葉に、ギリと神州王が歯を噛み締める
「―――いいでしょう。人間相手に本気になっては神の沽券にかかわると思い控えてきましたが、貴方たちに私の真の姿を見せましょう」
姿を現す最終モード、真終王のモード。互いにもう後はない、最終決戦は最終局を迎えようとしていた――
そして神使はクロの問いに対して迷いなく答えを返していた
「願いなら最初から言ってるぜ、俺の願いはみんなで生きて帰ることだ。
 そのためにアイツはここで倒しとかないと、そのためなら俺は何でもするぜ」
その様子を心配そうな顔で伺う大王ちゃんの頭をなで笑顔を返した
「心配すんなって。俺は元々バカだから理性がなくなった所で大差はねぇさ」「……けど、神使!」
「さあやってくれ、クロ」「当然代償はあるぜ、それでもいいんだな?」「おうともよ!」
クロはニヤリと笑うと、三頭身幼女だった姿を八頭身美女へと変貌させる
「――――契約成立。あなたの理性はこれから徐々に溶けてゆくわ。完全に理性が溶ける前に決着をつけなさい」
勇者の顔を撫で、悪魔は妖艶な笑みを浮かべた
「ふむ。まだ息があるようですね。まあ首都を欠いてはこんなものですか」
瞬たちと神州王との戦いはすでに勝敗を決していた
まだ死者こそ出ていないものの全ては倒れ、真終王となった神の力はまさしく圧倒的だった
真に日本を統べるこのモードは全ての都道府県を同時に扱える。こうなっては瑪瑙の予測も意味がない
トドメを刺すべく動いた神州王だったが、何かに気づきその手を止める
「そういえば、まだあなたが残っていましたか、勇者よ」
そこには遺された片腕に魔神剣を持った勇者が立っていた
「だが貴方一人でなにができるというのですか? 所詮、魔神剣など私が与えた力に過ぎません、そんなものは私には通じ、」
その言葉を遮るように魔神剣が放たれ、神州王の左腕が吹き飛ぶ
「な…………!?」その威力に驚愕する神州王
「ぅがあああああああああ!!」木霊する叫びは勇者ではなく狂戦士のモノだった
すぐさま左腕を再生させる神州王、雄たけびをあげ向かってゆく神使。真終王と勇者の最終決戦が始まる
圧倒的な力を振るう真終王に対して、その攻撃を魔神剣の出力一点押しの力技で突破してゆき互角に渡り合う神使
理性を失うとともに威力を増してゆく魔神剣。魔神剣は完全体時の神州王が与えた力。
最大出力なら東京、埼玉、群馬、沖縄が欠けた今の神州王をも上回る。だがそれと共に戦い方も雑になってゆく
加えて桁違いの出力を片腕で制御できずに振り回される神使
その隙をついて真終王が最終奥義『緋宣真闇(ひのもと)』を放つ
神州王の腕の中に太陽が生まれ、地下深くに太陽が墜ちる
さすがの魔神剣でも打ち消せない大質量。避けようはない、防ぎようもない攻撃、だが
「この瞬間を待っていた!」「!?」そこに最大級の攻撃を待って息を潜めていた瞬の異能殺しが炸裂する
真終王の手元で恒星爆発に匹敵するエネルギーが炸裂する
神州王は吸収王へとモードを変えそのエネルギーを吸収するが、全てのエネルギーを吸収してしまうのは吸収王の弱点である
そして沖縄を占拠されている今、このモードは完全ではない。47あるという神の命さえ許容オーバーし、内側から爆発する吸収王
絶対防御を打ち破り、ダメージを受けている今こそ絶好の勝機。だが力の暴走に振り回される神使は、魔神剣の狙いを定められない
暴走するその手をそっと包むものがある。大王ちゃんの手だった
そして続くように和馬が瑪瑙がウェデマイヤーが真討が、それぞれが手を伸ばし神使を支える
「今だ、行け、神使あああああああ!」
「バカなああああああああああああああああああ!!?」
神州王の絶叫。全員の思いを乗せて振り下ろされる魔神剣が遂に神州王を消滅させた
251 東海道和馬、クロ、グラハルト・フォン・ウェデマイヤー、薬師寺瑪瑙、天川星太、松浦愛、真討煉、神奈瞬、有馬天狼、神使勇護、恐怖の大王、結城豊重、九夜恭介、一ノ瀬慶悟、紫宮宮子、ミスサイタマ、群馬王マエバーシ、鈴木某、毒島信子、ジョン・シェフ、黒井龍太、松井さん、カズマ、相葉智和、足利輝義、霧子・ヒューズ、鴻上友朗、ジェニファー・シャルパンティエ
力を出し尽くした神使が倒れる、大王ちゃんはそれを支えすぐさま治療を始める
「終わったのか?」ちょうどそこに友朗たちを引き連れたカズマが合流する
神が消え、大地を支えていた鯰が役割を終え消滅する、それに伴い東京駅も崩壊を始めた
だがここは広大な東京駅の最下層。多くの怪我人を抱え、ここが崩れ落ちるまでに脱出するは不可能である
そこに突然、黒渦。ブラックホールが現れる
「なっ。こんな時に!?」立て続けに起きる緊急事態に慌てるウェデマイヤーたちだったが、その混乱を紫宮が制する
「大丈夫、だと思います」そういって、紫宮がブラックホールの前に立つ
「…………きっと私たちを運んでくれるんだと思います。多分『話はついてる』はずだから」
どちらにせよここにじっとしていれば全滅、一か八か飛び込んでみるしかない
全員が意を決してブラックホールに飛び込もうとした瞬間、その後ろから魔法が襲いかかった
何とか大王ちゃんが打ち消したものの、襲撃者――結城は立ち塞がるようにブラックホールの前へ
「行かせるわけにはいかないな。お前らにはここで死んでもらう」
「何考えてんだ……お前も死ぬぞ」問いかけてきた天狼を蹴り飛ばす結城
「心配するな。俺には迷宮脱出魔法がある。いざとなればいつでも俺一人なら脱出できる」
「ぐっ……! 貴様」動こうとした群馬王を魔法で吹き飛ばす
「現勇者も、名だたる都道府県王たちも今や力を使い果たしてこのざまだ。残るはザコばかり、俺に勝てる奴はいない」
結城は真討へと向き直る「その宝玉をよこせ」求めるのは真討の手にある赤い宝形『沖縄』。神の力の一部である
「お前らを殺して、神の力を手にし、俺はもう一度勇者になる! もう一度人生をやり直すんだ!!」
さあ、と真討へと詰め寄る結城。だが「お前のような輩に、渡すわけにはいかんな」ウェデマイヤーはこれを拒否する
「そうかい。だったら殺してから奪うまでだ!」襲い掛かる結城に、まだ動けるカズマと龍太が立ち向かう
「ドラゴンなんて終盤のザコ敵に過ぎないんだよ!」が、あえなく敗北
誰も対抗できないと思われた中、みんなを守るように立ち塞がったのは和馬だった
「結城。人生をやり直したいというお前に何があったのかを俺は知らない。だから話してくれ、俺が力になる。
 けど、それでも止まらないというのなら、力づくで止めて見せる」
そういって拳を握りしめる和馬。その言葉にハハハハと狂ったように笑う結城
「力になるぅ? 力づくで止めるぅ? 笑わせんなよ村人風情が! だいたい俺は教師っての大嫌いなんだよ! なぁ”先生”!」
叫びをあげ和馬へと襲い掛かる結城。大王ちゃんの援護もあり、ぼろぼろになりながらも魔法をくぐり抜ける和馬
「ガキども、あの背中を覚えておけ。俺っちみたいな日陰もんじゃない。
 お日様の下で堂々と生きている大人の男の背中だよ」
息を呑み見守る生徒たちに真討が告げる中、和馬は結城が振り下ろした刃もヘッドスリップで躱すと、カウンターの右ストレートで顎を打ち抜く
結城は膝から崩れおち、その場に倒れこんだ
「……先生、強かったんだ」
「いや、学生時代、ボクシングをちょっとね。生徒を守れるくらいにはって自主練続けてたんだけど。その、みんなに比べたら全然弱いよ」
(日本人て「謙遜」というイメージだったけど……本当だわ)「それよりも急ごうぜ、もう崩れる!」
巨大な瓦礫が落ちてゆき刻一刻と崩壊してゆく東京駅。そこから逃れるために次々とブラックホールに飛び込んでゆく
(…………終わりか)そんな中、倒れたまま一人終わりを受け入れる結城
そこに一つの手が差し伸べられる。和馬だ「何を…………?」「もう崩れる、早く!」
その手を見て、ああそうかと勇者として勝ち続け、救い続けねばならなかった結城は気づく
(負けるのも、手を伸ばされるのも、こんな感じなのか……)
和馬たちがブラックホールをくぐると同時に東京駅が崩壊
ブラックホールの抜けた先は、元の世界のさいたま新都心の郊外だった
そこで紫宮と大王ちゃんの治療を受け、何とか全員がある程度持ち直した
「結城。こっちでも何かしようってんなら、こんどは先生じゃなく僕が相手になるぞ」「俺たちだ、俺たち」
釘をさす瞬と天狼に、結城は何も答えず項垂れるばかりだった
「で、これどうすんの? 持てきっちゃったけど」真討が『沖縄』を取り出す
「破壊しておいたほうがいいだろうな」「けど、何しても壊れないぞ、これ」
貸してくださいと瞬が真討から『沖縄』を受け取ると、宙に放り投げて異能殺しで粉砕した
これで、本当に戦いは終わったのだ
「んじゃま、帰るか」
その掛け声とともに、それぞれがそれぞれの日常へと帰ってゆく

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最終更新:2013年12月24日 01:04