【名前】空目恭一
【出典】missing
【性別】男
【名セリフ】
「己の浅薄さを恥じるとしよう。この世には予想もし得ない事柄が数多く存在している」

「”なのに”ではない。”だから”だ。
カードに描かれた人物は、裏の模様を見ることはない。無理に見せればカードは折れ曲がる。
そして俺は曲がったカードであり、お前はそもそもカードですらない」

【AA】

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【人物】
房総半島に位置する聖創学院大附属高校の2年生。文芸部所属。
性格はいっそ冷徹と言っていいほどに落ち着いており、社交性といった類のものは一切放棄している。愛や人の純粋性といったものを欠片も信じておらず、本人も他者に一切の期待をかけないため他人を怒ることは決してない。
頭はいいが、知識はオカルトや異常心理といった”黒い”ものに偏重している。
その圧倒的な存在感や威圧感、そして美貌をぶち壊す目つきの悪さから同級生からは畏怖されており、ついたあだ名が”魔王陛下”
幼いころに弟の想二と共に”神隠し”に遭遇し、一人だけ元の世界に戻ってくることができたという過去を持つ。
このことが原因で両親からは虐待を受けていたが、本人にしてみれば割とどうでもいいことのようだ。
衣服は常に黒づくめだが、これは未だに連れ去られた弟の喪に服しているからとのこと。
無意識に異界に行くことを望んでいるが、同時に異界が人間にとって害悪であると自覚している。

【本編での動向】
参戦時期は不明だが、恐らく十叶殺害よりも前と思われる。

歩く図書館、黒い知識の集大成とも呼ばれ、同級生から畏怖された少年は、しかし殺し合いにおいて動揺も混乱もなく、ただ近くの椅子に腰かけるのみであった。
厄介なことに巻き込まれた。さて、自分はこの場で一体どうするべきであろうか。
殺し合いにのって優勝する? 不可能だ。身体面で常人に大きく劣る自分が殺し合いに勝ち残れるわけもないし、そもそもそうまでして生き足掻こうとも思わない。
ならば首輪を外して脱出する? これも不可能。自分に機械工学の知識はないし、知識ある人物を探そうにも、下手に動いて誰かに襲われればその時点で自分の命はない。
ならば自殺する? 論外。思考の停止に逃げるつもりはない。
結局出た答えは、現状できることはなにもなし。ゆえに彼はとりあえず、支給品の中にあった魔道書(アル・アジフ。当然だがSANチェック不可避の代物)を手に取り読み進めることにした。新たな引きニートの誕生である。

事態が動いたのはロワ開始から数時間後、自分のいる民家に入ってきた白野蒼衣との遭遇である。
奇しくも同作者のキャラ同士の対面となったが、お互い殺し合いに一切の動揺をしていなかったことから関心し合い、情報交換の場を開くこととなった。
なお、実体化して逃走したアルを二人そろって目撃し、その反応から互いが怪異の関係者であることがわかったことでより円滑に考察ができるようになっていた。
その後、第一回放送にて参加人数の割に死亡者数が少なかったことから、二人して他参加者の探索に移ることとなる。

探索を始めて間もなく、出会ったのはシンジ・十神ペア。上から目線の十神に蒼衣は引き気味であったが、終始冷静でかつ論理的な空目を十神が気に入ったらしく、両者は合流することに。シンジと愉快な仲間たち結成である。

今までの情報を交換するなか、殺し合いという状況に気疲れしたシンジが仮眠をとることに。しかし、空目は眠るシンジから酷く血と焼けた肉の臭いが漂っていることに気付く。
当のシンジは夢の中でフレディに襲われており、まさに絶体絶命という状況だった。
そこで危険を伝えられた十神がシンジを無理やり叩き起こし、シンジがしがみ付いていたせいでフレディ諸共現実世界へ帰還に成功。
無理やり引きずり出されたフレディは、しかしシンジ以外の3人が自分に対し全く恐怖を抱いていなかったことから弱体化、再び夢の世界へ逃げ帰ることとなる。

胸を撫で下ろしたのも束の間、一難去ってはまた一難と今度は紫が襲撃をかけてくる。
小手調べの魔法弾に十神が沈み、今度こそ上手くいくと紫が内心ガッツポーズを浮かべ、戦闘力のない彼らは万事休すかと思われたが……

十神「何を勝手に勝ち誇っている? この薄汚い老いぼれが」

そこには痛みから復帰し、憤怒の形相を見せる十神が立っていた。
その後は十神が煽りまくり、ムキになって反論する紫をシンジと蒼衣が二人がかりで「それは違うよ!」してボロをつつき、最後に空目が散々にこき下ろすという見事な精神攻撃を披露。
涙目になって帰っていく紫を見送り、今度こそ一同は安堵の息を吐くのだった。

中盤も終わりに差し掛かり、ここで愉快な仲間たちは対主催最大勢力だったチーム・サティスファクションと合流。
そこに在籍していた少女―――マリィに対面したことで、空目は長年信じ続けてきた持論を打ち破られることになる。

「真の意味で純粋な人間など存在しない」「存在するとすれば、それは狂気以外にありえない」

それが真実だと自負し、実際に遭遇した「純粋な人間」が十叶詠子という規格外の狂人であったという経験もあった。
しかし目の前の少女はどうか。抱き留めるだけで幸福を感じ、他を幸せにすることで自らの救いと為す。
字面だけならば子供でも言えようこの完全なる利他性を、嫉妬や怒りといった人として持つべき当たり前の感情と共に保有している。
狂気の域に入った性質を持ちながら、その本質は狂気ではなく慈愛。
それは空目恭一が今まで想像もしていなかった人種に他ならなかった。

「己の浅薄さを恥じるとしよう。この世には予想もし得ない事柄が数多く存在している」

その言葉と共に、空目は自分の価値観を改めるのであった。

また、満足曼荼羅の人数の多さ故の情報量と、何より超越の物語を知っていた藤井蓮や覇吐・竜胆らと合流できたことで空目・蒼衣の考察は一気に進むこととなる。

空目「物語は現実へと侵食する」
蒼衣「断章であってもだ」
空目「そしてそれは時に神をも創る。最も新しき旧神がその最たるものだ」
蓮「今を超越し新世界へと塗り替える物語、か。くそ、身に覚えしかねえぞ」
空目「どうやらとんでもない物語が、いや、物語とさえ言えないものが紡がれようとしている。
   幻想と現実、向こう側と此方側、永遠と刹那。本来相容れることのない裏表が混ぜられようとしている」
蒼衣「混沌、か」
空目「そうだ。神州王、旧神、覇道と求道の神、古き神々を生贄に捧げてまでなされた物語とも呼べない混沌だ」

神州王、旧神、覇道神。それら神々の情報を元にこのロワが何らかの物語を作るためのものだと推定。これが後に大きな意味を持つことになる。
その後、チームサティスファクションは残存したゾンビの後始末のため、また先行した蓮を追いかけるために離脱。戦闘力のない愉快な仲間たちは安全地帯に残されることに。
また、周囲の捜索の過程において蓮コラ化した光彦を発見、蒼衣がこれを消滅させることに。
この時蒼衣の使った目醒めのアリスを見て、空目はこれが神に対するカウンターに為り得るのではないかと推察していた。

波乱が起こったのはその直後。
未だ総軍大戦の後始末からチームサティスファクションが帰ってこない時を狙われ、ジョーカー化した野原ひろしが来襲。シンジが凶刃に倒れることとなる。
幸いにもそこに熱血化した狛枝が駆けつけてくれたこと、そしてマーダーに容赦ない飛竜がさっくりスレイしてくれたことで事態は沈静化するも、この騒動でシンジが死亡してしまう。
しかし、シンジという連れ添った仲間の死ですら空目の表情は何ら変わることはなかった。
流石に仲間の死に無反応なのはどうなのか、そう蒼衣が問い詰めようとしたが……

十神「やめろ白野、こいつはお前の言動一つで変わるような男ではない。それにな……」

こいつとて、何も思ってないわけではないようだぞ?
その言葉にはっと空目を見つめる蒼衣の目には確かに空目の口元が苦々しく歪んでいるのが見えた。
この騒動をきっかけに十神は精神的に成長、蒼衣や空目も真に信頼関係を築き、狛枝も加えてようやく一つのチームとして完成することができたのだった。

ロワ終盤、BRSやゾフィーといった強マーダーを打倒し、残るは主催だけとなった。
蓮や覇吐主導による宴会が開かれる中、他参加者と交流するチームメンバーとは裏腹に、空目は図書館組の二人と共に更なる考察に入る。
蓮の死想清浄・諧謔、蒼衣の目醒めのアリス、そして―――

宴もたけなわ、前哨戦となるダークザギ戦においては狛枝の身を挺した犠牲もあって何とか潜り抜け、対主催は対水銀・対四文字、座の入り口を守る3組に別れることになる。
そんな中、空目は蒼衣に告げる。お前の断章が、神に対する切り札に為り得ると。
その言葉を受けた蒼衣は四文字攻略組に合流。ならばお前たちはどうするのだ?と聞いてくるトゥバンやラグナたち特異点守護側に聞かれるも……
それに返答する間もなく、十神と空目の二人は闇に包まれることになる。

視界が開けたさきにあったのは、暗闇でありながら地平線の彼方まで見通すことのできる不可思議な空間。
無名の庵―――闇に名を売り渡した魔人の住まう「どこでもあってどこでもない場所」。
君たちの培った渇望を、答えを見せてくれと嘯く魔人に対し、しかし二人は微塵も臆してはいなかった。
そしてここに、世界を賭けた舌戦が開始される。

世界はこんなにも悪夢なのに、君たちはまだ普通の夢を見たがっている
そう語りかける魔人に、しかし十神は鼻を鳴らして反論する。
―――それこそが人間だ。子供のように何も考えず奇跡を待ち望むのではなく、悟ったふうな大人のように目の前の不条理を受け入れるのでもない。世界に絶望があることを知り、それでも空を見上げながら歩き続けるのが人間なのだ。

現実と幻想は裏表だ。それなのに、何故それを否定する? 何故それが一つになることを拒む?
そう語りかける魔人に、空目は常と変わりない無表情で反論する。

空目「”なのに”ではない。”だから”だ。
カードに描かれた人物は、決して裏の模様を見ることはない。無理に見せればカードは折れ曲がる。
そして俺は曲がったカードであり、お前はそもそもカードですらない」

故にお前はお呼びではない、どことも知れぬ場所で一人寂しく徘徊しているがいい。
長い舌戦の末、そう十神が締めくくるのと同時だった。
蓮が水銀を、蒼衣がYHVHを打倒し、混沌の物語が解かれて拡散した。
そのことを悟ると、神野は全てを嗤いながら二人に告げる。
人は幻想を手放せるほど器用ではない。君たちの願望のその果てを楽しみにしている。
そう言い残し、原初の魔人は姿を消した。

あとに残ったのは十神と空目、そして崩壊しつつある無名の庵。
これで全てが終わったと安堵する十神に、しかし空目は告げる。

まだ終わってなどいない。分散させた混沌を安定させる役が必要だ、と。

YHVHは目醒めのアリスによって消滅し、それと共に混沌の物語も紐解かれる。さらに蓮の死想清浄・諧謔によって現実と幻想は隔てられ、世界は輝きを取り戻す。
しかし、それも即座にとはいかない。
仮にも神座に据えようとしたほどの巨大な物語だ。保有する質量は膨大であり、即座に消えてなくなるわけではない。
下手をすれば座なき世界を破壊し尽してしまいかねないほどに強大であり、それを力づくで押さえつけることは不可能に近い。
ならば、その物語に指向性を与えてやればいい。
誰かが人柱となり、物語に人格を与えれば。そしてその人格が世界の崩壊を望まず、自らの力を押さえつければ。
それで、全てが解決する。
対主催による宴会の折、空目が図書館組と話していたのはこれだったのだ。

適任は自分しかいなかった。生き残ったあの中で異界を、幻想を望んでいたのは自分しかいないのだから。
そう嘯く空目に、十神は何故黙っていたと激昂する。
知っていれば他に方法を見つけていたかもしれない。たとえ不可能だとしても、自分は認めたくなどない。
そう叫び、うつむく十神に、空目はだから言わなかった、と言葉を返した。

だったら最後に答えろ、そう十神は空目に問いかける。
感情と理性、両者で考えが裏腹だったとき、お前はどちらが正しいと考える?
その問いに、空目は即座に答えを返した。
―――理性だ。感情も直観も、全ては思考の延長線。思考も直観も理性に基づくものならば、人間のあるべき姿はここにある。

そのあまりに”らしい”答えに、十神は笑いながら続けた。

十神「俺もかつてはそう思っていた。いや、むしろ感情なんてものは必要ないとさえな。だが、それは違うんだ。理性は意志を生み、感情が意志の方向を決定づける。両者は互いがあってこそのものだ。だからこそ」

十神「俺は感情のままに言おう。ありがとう、空目。お前、いやお前たちがいたからこそ、俺は成長することができたんだ」

思いもかけないその言葉に、空目もほんの一瞬、虚を突かれたように表情を崩してしまう。
それを見た十神は、何かおかしそうに微笑するのだった。

ようやくお前の鉄面皮を崩すことができたな。これで俺の1勝だ。リターンマッチはいつでも受け付けている。負け逃げなど決して許さんからな。

言葉を投げかけると同時、ついに無名の庵の崩壊が二人のいる場所を巻き込み、十神と空目は離れ離れになってしまう。
ついぞ返答を聞くことはできなかったが、しかし十神の心中は晴れやかなものだった。

消滅の最中、薄れていく視界の中で、確かに空目は静かな微笑を浮かべていたのだから。



本編ではこれで退場かと思われたが、諧謔流出の恩恵もあってか幻想郷に放逐されることで存在を許容されていたことが個別エピローグで判明する。
かくて幻想郷に居を構えることになった彼は、霖之助とよく長話をしたり、カズマ・早苗らに生存を驚かれながらも仲良くなったり、覇吐・竜胆らと親交を持つようになる。
また、マリィや混沌に触れた影響か、微々たるものではあったが彼自身の眠っていた感情が多少回復し、少なくとも他者に期待を持つことができるようになっていたという。
たまに異変こそあれど、基本的には平和な毎日。そんな日常を過ごすなか、ふと長い黒髪と臙脂色の服を着た少女の後ろ姿が目に入り―――

その後、「物語を編纂する程度の能力」を持ち、奇妙な殺し合いのなかで足掻く者たちの物語を紡ぐ一組の男女が、幻想郷で話題になったという。


なお、勘違いされがちだが彼はmissingの主人公ではない(主人公は近藤武巳)。しかし原作では終始大活躍の上話の中心に居続け、最終巻のあとがきで主人公ではないと明言されるまでほとんどの読者は彼が主人公だと思っていた(一部読者は最初から近藤が主人公だと知っていたというが、果たしてどれほどの数の人が気づいていたかは定かではない)。
恐らく、ホームズで言えば近藤がワトソンで空目がホームズの立ち位置だったのだろう(シャーロックホームズの主人公はワトソンであり、彼の視点で見たホームズの物語とされている)。
さらに余談だが、某ラノベロワでも空目は参戦したが、主人公の近藤は参戦していない。
今回といい、本当に主人公でないのかと疑いたくなるものである。

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最終更新:2014年12月03日 13:24