【名前】 柊聖十郎
【出典】 相州戦神館學園八命陣
【性別】 男
【年齢】 不明だが、40前後と思われる。
【名ゼリフ】
「空気が旨い!体が軽い!もう何も怖くない!」
「生きることに嘘も真もあるものか!」

【人物紹介】
原作主人公・柊四四八の父親。
隙のない凍結した鋼のような気配を纏い、顔立ちこそ整っているが非人間的なほどその印象は温かみを感じない。
威圧的な容姿ながら、幽鬼のような不確かな存在感を滲ませる「ただそこにいるだけで、すべてを不安にさせる人間」
極めて冷徹な精神を有し、遊びがないため過虐はないが、同時に情けもないため容赦もない。
息子である四四八に対しても欠片ほどの愛情も示さず、彼を含め全ての他者を自分のための道具としてしか見做していない。
ただし、友人の真奈瀬剛蔵曰く「あいつは俺達に嫉妬している」らしい。
全ての分野(特に文化人類学と語学)に秀でた類稀なる天才だが、生まれながらにして幾つもの死病を患っており、一度も健常者であれたことがない。
そのため自らを蝕む死病の快癒を目的としており、邯鄲の夢(作中に出てくる夢の世界。これに入ると夢の世界限定で異能が使える)に入ったのもこのため。
抱く願いは「生きたい」という純粋なものであり、誰に否定されるものでもないが、本人の人格が糞過ぎて霞んでいる。

保有する異能は「生死之縛・玻璃爛宮逆サ磔」。相手が聖十郎に対して敵意・憎悪・憤怒・憐憫・同情・嘲笑・興味のいずれかを抱くことをトリガーとして、聖十郎の抱える死病と相手の持つ「輝き」を交換するというもの。
この異能で奪える「輝き」とはその人物を特徴付けるものであり、体のパーツといった物理的な物から感情や記憶、能力といった無形のものまで含まれる。
ただし、奪う順番を指定することはできず、体のパーツといった表面的なものから順次奪っていくことしかできず、意外と精密性は低い。そのため奪われた身体パーツを即時再生することである程度簒奪に抵抗することが可能。
この異能を逃れることのできる者は、聖十郎の悪性を全肯定できる気狂いか、感情どころか理性の存在しない人外か、彼と対等な目線に立って向き合える家族・友人のどれかに限られる。
【本ロワの動向】
参戦時期は不明だが、少なくとも死亡より前だと思われる。
他者を他者とも思わず、自らの願望を叶えることしか頭にない彼は、この殺し合いに放り込まれてもなお何も変わることはなかった。
異能を扱えることからここが邯鄲の世界だと認識、優勝による願望成就は盧生の資格を得ることだと解釈し、迷うことなく優勝狙いのマーダーとなる。
そんな彼が最初に遭遇したのは司波達也。
奉仕寄りの対主催となっていた彼は聖十郎の放つ不穏な気配を見逃すことができず、いずれ妹に害を為す存在だとして戦闘に突入する。
当初はその感情の薄さから聖十郎の持つ逆さ磔の効果を受けず、素の戦闘能力の高さも相まって互角に戦闘していたシバさんだが、聖十郎による兄妹関係へのカマかけに引っかかってしまう。
その後は妹に関して散々煽られ穿られることで遂に聖十郎に対して強い敵意を抱いてしまう。そうなってしまっては聖十郎にとってはカモに過ぎず、逆さ磔により能力から何まで全てを奪い取られ、磔のミイラと化してしまったのだった。

ちなみに、シバさんの再生能力を獲得したことで聖十郎の死病はほぼ完治、「空気が美味ぇぇぇぇ!!」と喜びの声を上げている。
ただし直後に悟空の持っていたウィルス性の心臓病が何故か発病、結局元に戻ってしまうという一幕が存在した。

そんなセージが次に遭遇したのは野獣先輩を退けたばかりのレックス先生。
本来は自己犠牲の塊とも言うべき高潔な人物であるところの彼であるが、聖十郎に対してその生き様をイスラと重ね合わせることで聖十郎に『どうしてこの人は殺し合いに乗るんだろう』『他人をそこまで下に見るんだろう』と興味を抱いてしまう。

聖十郎「哀れんだな、俺を」

幸いにもレックスの抱いていた敵意や憎悪の質量は低く簒奪されたのは翠の賢帝に留まったが、死病を移されることで戦闘の続行は不可能となり撤退を余儀なくされる。
聖十郎はなおもレックスから輝きを奪おうとするも、制限により逆さ磔の射程距離が縮まっていたことが災いして取り逃がしてしまう。
しかし魔剣を吸収したことで身体能力と再生能力が大幅に上昇、カルマとか関係なく抜剣覚醒し放題というチートマーダーが爆誕してしまう。

その後は殺害する対象である他参加者を探して会場を練り歩くが、時はまさに怪獣大決戦。
中盤は複数の巨大怪獣による乱闘が頻発しており、非戦闘員は閉所に駆け込み実力者はその対処に奔走。聖十郎としては理性のない怪獣には関わりたくなかったがために中盤においては他参加者と遭遇することはなかった。

怪獣大決戦も落ち着き、終盤に差し掛かったあたりで今度はクロノスと遭遇。
人間そのものに強い憎しみを持っていたクロノスは当然の如く聖十郎に襲い掛かるも、そんなクロノスは逆さ磔の前ではカモも同然だった。
両者の戦いは最早戦いとは呼べないほど凄惨かつ一方的なものであり、人間の苦しみを知らないクロノスが人間たる聖十郎の苦しみを全て押し付けられ、保有する輝きを全て奪い取られることで戦いの幕は閉じるのだった。

幾人もの輝きを奪い取り、勝ち残るのは自分であると疑いもせず盲信する聖十郎の前に最後に立ちはだかったのは覚悟、ジョルノ、イルの三人だった。
彼らの戦いは酷く泥臭いものだった。近接特攻を仕掛ける覚悟とイルの、奪い取られた身体パーツをジョルノが補充するという消耗戦。決定打や活路は三人になく、ただ磨り潰されるのを待つばかり。
だがそこに漂うのは絶望や焦燥ではなく、尽きることのない戦意のみ。彼らは決して諦めることはなく、ただひたすらに聖十郎に攻勢を仕掛けてくる。
何かを待っているのか、それはこの状況を打開する何かを持っているのか。
聖十郎はそう考えるも、しかし撤退の二文字を実行することはなかった。現に三人に自分の能力は通じている。待っている何者かが何なのかは知らないが、人間である以上自分の逆さ磔から逃れることはできない。それにジョルノという少年が持つ能力は非常に有用だ、ここで取っておく必要がある。
溢れんばかりの自尊心。自分は絶対に負けることなどないという根拠のない自負。それが聖十郎の首を絞めていたのだ。

そうして現れたのは遊佐司狼。幻想に拠って立つ人間を認めないトリックスター。
司狼の持つ悪性腫瘍・自滅因子の効果は「異能の自壊」。それは聖十郎の逆さ磔も例外ではなく、ここにきて聖十郎は相性の悪すぎる最悪の敵と遭遇することとなった。
だが聖十郎とてただでやられるわけではない。司狼の自滅因子を僅かでも逆さ磔により取り込み、同種の異能を以って短時間の拮抗に成功。そのままこの場を離脱しようと試みる。
が、その退路にイルが割ってはいる形で乱入。殴るしか能のない役立たずが俺の邪魔をするなと言わんばかりに聖十郎は戟法で強化した貫手を見舞うが……

イル「……やっと、この距離まで来たな」
穏やかな声が耳元で聞こえてきた。
イルの胸を貫く腕には、何の感触もなかった。

イルの能力は「存在確率の改変による物理透過」。
全ての攻撃をすり抜ける無敵の防御能力にして、自分以外何も守れない無能の防御能力。
だからこそ彼は今までそれを使うことはなかった。それは端的に聖十郎をこの場から逃がさないため。聖十郎の目をこの場に留め、司狼が救援に来るまでの時間を稼ぐため。
攻撃が当たらない相手と、攻撃が当たっているのに死なない相手では勝手が違う。
全てはこの瞬間のために。

聖十郎「戦えば勝てると俺に思い込ませるためだけに、手傷を負い血を流したというのか……この気狂いがァッ!」
イル「失礼なヤツやな。現にお前はこうやって、俺と無駄な時間を過ごしてくれたやないか」

聖十郎の意識が目の前の不条理に向いてしまったその一瞬。
それだけあれば司狼が悪性腫瘍・自滅因子を再展開するには十分すぎた。
次の瞬間にはイルの透過能力ごと聖十郎の異能は解除され、胸を貫いていた腕はイルの肉体と完全に同化し身動きは取れなくなってしまった。

最早ここにいるのは狂気の逆十字ではなく、ただの哀れな重病人。
そんな聖十郎を、覚悟はただ静かな瞳で見つめていた。

慈悲の目に憎しと思う人あらじ。科のあるをばなほも哀れめ。
零式防衛術は相手を殺す技ではなく、己を殺す技。
生命を奪う拳ではなく、生命を吹き込む拳を与えよ。

そんな覚悟の表情に、聖十郎は耐えようのない恐怖を覚える。
まるで理解できない何かが自分に迫っているような、そんな言い知れない焦燥と共に。

なんだその目は、なんなのだ。
憤怒ならわかる。憎悪もわかる。それらは俺が常に外界へと抱いてきた感情なのだから。
だが善性と呼ばれるものだけは理解はできても納得はできない。化学反応を観察する科学者のように機械的に理解はできても、それを心から受け入れることはできないのだ。

覚悟「怖がらなくていい。これより私の固める拳は、貴殿を消し去るためのものではない」

ああやめろ。そんな目で俺を見るな。
俺はただ憎悪に凝り固まった闇にいればそれでいい。だからそんな光で俺を照らさないでくれ。

だがそんな聖十郎の胸中など誰も知るはずもなし。覚悟は怒りを両足に込め、己を支える礎とした上で続ける。

覚悟「もう哀しい思いはさせない―――生まれ変われ!」

正調零式四聖句、是無の構え。
一撃必生・輪廻。

放たれたのは転生を願う誕生の技。絶望の殻を打ち破る生命の技。

それはすなわち―――生まれ変わっても俺を追い回すということか。
この怖気の走る聖なる(穢れた)念を以って、幾度生まれ変わろうと俺を許すつもりはないと、お前はそう言うのか。

理解できない。耐え難い。俺はそんな安息(絶望)などいらない!

聖十郎「う、ああぁ、ぁ――――――オオオオオオ、ガアアアアアアァァァァァァッ―――!?」

いつくしみ深き天主よ。
どうかこの罪深き魂を、限りない愛で癒し(壊し)たまえ。
永久に地獄(救済)とは無縁であれかし。
聖人(悪魔)の祈りはどこまでも清らかに、福音(呪詛)となって逆さの十字に奏でられた。

こうしてただ生存のみを求めた男は、永久に救われることのない光の中へと消えていった。

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最終更新:2014年05月21日 05:24