【名前】とら
【性別】男
【出典】うしおととら
【支給品】大量のふかしいも@進撃の巨人、即席男溺泉@らんま1/2

【台詞】
「わしは獣だぞ。獣は…」
「『憎しみは何にも実らせねえ』――――けっ、バカガキ。おめーにはわかってるみてえだな」

【人物】
字伏(あざふせ)と呼ばれる、雷と炎の妖怪。大型猫科に似た体躯、顔には隈取り、黄金の体毛に朱色の鬣を持つ。太陰の化身「白面の者」との浅からぬ因縁のもと数千年の時を生き続け、象徴たる雷撃や業火のみならず、呪禁詠唱や変化を初めとする数多の術を操る狡猾な化け物である。

元々は紀元前のインドにて「シャガクシャ」という名を持っていた人間の英雄で、この世に産み落とされる間際に、まだ妖怪としての己の存在を確立する前の白面の者によってよりしろとして選ばれた際の衝撃で、母親や産婆含め、己以外の周囲にいた全ての人間が死んでしまったことから孤児となった経緯を持つ。周囲からは恐るべき忌み子として蔑まれながら、強大な力をもって英雄として大成し、憎悪に染まったその身の内で白面を育て上げた。

なお、とらが原作中で変化してみせた女性形態(本ロワ内での基本的な姿)は以下の通り。
○井上真由子:栗色の髪をした現代の女子中学生。とらにとって半無自覚的ながら大切な存在。
○尼:『うしおととら外伝 雷の舞』にて変化していた姿。源平合戦時代の温和な老尼僧。「ひたすら念仏さえ唱えて待っていれば人も妖も誰でも救われる」と嘯く。
○女官:『うしおととら外伝 妖今昔物語』にて変化していた姿。平安京で石姫の異名を取る貴族の女性に仕えていた黒髪の側女(そばめ)。


【本ロワでの動向】
本編終了、死亡後より参戦。縛られることの嫌いな大妖怪、それも因縁の物語に決着をつけた後の「とら」が、易々と主催の目論見に乗る筈もなく、偉ぶった連中なんぞ焼きつくしてくれると息巻いて対主催のスタンスを取る。しかし、ロワイアルの性質上本来の字伏の姿を禁じられ、幾つかの人間の女性体にしかなれなくなっており、腹立ちまぎれに支給品のふかしいもをあっという間に食いつくすと、ぶつくさ言いながら会場内を歩きだすこととなった。

その後すぐに、同じく単独行動を取っていた幻海を発見。小柄な老婆ながら、唯ならぬ気迫と秘匿された霊気を嗅ぎ取ったとらは警戒し、ひとまず尼の姿となって接触を試みる。が、そこは数多の妖怪と渡り合った霊光波動拳師範。柔和な口調で目の前に立った老尼の姿が「皮」でしかないこと、その奥に稲妻を纏う黄金の獣の影のあることを即座に看破した。


幻海「やれやれ、悪趣味なキグルミだね……サイズが合ってない。それじゃあよほど窮屈だろう」スゥ(拳を構える)
尼(とら)「……ちっ、やはりただの婆じゃあねえらしいな」ニタァァァァ


結果、霊光を纏い瞬速で戦闘する老婆VS口から牙を覗かせ凶悪な笑みで雷を迸らせる老婆…というまさかのババア対決が序盤から勃発し、スピードを生かした激しい戦いが繰り広げられる。しかし、ある程度やりあったのち、とらの気質を見抜いた幻海の方があっさりと戦闘を打ち切ってしまった。
振り被った次の拳の持って行きどころをなくしたとらに対し、幻海はいきなり「手を組まないか」と持ちかける。釈然としないとらは「てめえこらババアどういう了見だ」「バケモノが人間と慣れ合うわけねえだろ戯け」などとわめくも、飄々とした幻海のペースにすっかり呑まれてしまい、尼から真由子の姿に変わって、なし崩し的に同行することになる。

対主催を捜す二人が次に出会ったのはうずまきナルト。「九尾の狐(尾獣・九喇嘛)」をその身に宿す人柱力であるナルトに対し、とらは「白面と通ずる九尾の気配」を感じて俄に警戒する。ナルトの方も妖怪の普通でないチャクラを感知した上、真由子の顔で口を耳まで裂けさせたとらの「喰らってやろうかババア」という台詞を聞いていたため、「バアちゃん、危ねえ!」と幻海を助けようと突撃。今度は忍者VS妖怪というマッチが勃発しそうになるが、幻海が間に割って入り、両者を一喝。誤解を解いた上で、ナルトも加えたトリオとなる。

結果的にではあるが、九尾、妖狐、「クラマ」など、作品的にも奇妙な共通点のあるチームとなった三人は、エリア内を散策する。ゲームセンターに立ち寄った時は、どういう場所なのかわかっていないとらとナルトを尻目に、筺体ゲームのハイスコアを更新していく幻海などと言う絵面も見られた。
とらはナルトへの警戒を未だ解いてはいなかったが、聞きだした生い立ちが己のそれとひどく似ていることから、何とも言えない複雑な感情を抱き、たびたび突っかかる。ナルトもナルトで向きになりやすい性格のため、互いに角突き合わせて小競り合いの場面が多く、その度にめんどくさがった幻海に怒鳴られて喧嘩両成敗の態を成していた。
ただ、結局のところメンタル面で被っている部分も多々あったため、喧嘩しながらも行動面で様々に絡んでいる。ナルトお得意の「お色気の術」が披露された時には負けじと艶やかな女官への変化を披露し、出会った女性陣からまとめて非難の的となっていた。


ナルト「とらってばわかってねーなー!オレの術は高・度・な計算のもとに編み出された『ずのうプレー』ってやつだってばよ!」プリリーン
とら「ほーん、まあ、アホなサムライだかを女の柔肌で誑かすってのもバケモンの得意じゃああるがよ」ドロドロドロドロ


(なお、「真由子の姿」では頑なに誑かしの変化をやりたがらなかったため、ナルトのみならず幻海からもからかわれたりしている)

また、互いの好物に関しても譲らず、


とら「けけけ、てろやけばっかを知らねえたあ、おめーもつくづく不幸なガキだなァ。あぁ、ガキはガキでも乳垂らしだがよ」
ナルト「あんだとォ!?そっちこそ、一楽のおっちゃんのラーメン食ってからモノ言えってばよこの、オカマ趣味のクソ妖怪!」
とら「何ィ!?うぬが、少しばかり調子を合わせてやったら増長しやがって~~~、トサカに来たぜ!今喰らってやろうかバカガキ!!」
ナルト「そりゃこっちの台詞だってばよ!未来の火影が成敗してやる!」
ギャーギャー
幻海「……ラーメンとハンバーガーくらいであんだけぎゃーぎゃー騒げて羨ましいよ、ったく(ズズズ」


などという風景も日常茶飯事であった。
その後も、ナルトにポテンシャルを見出だした幻海による超スパルタ特訓をゲラゲラ笑いながら眺めるなど、意地の悪い喧嘩友達のような関係を築いていく。

また、巴マミ&二ッ岩マミゾウのコンビと行き遭った時には、古株の妖怪同士、旧知の邂逅となり、幻海を交えて酒を酌み交わした。


マミゾウ「お、誰かと思えば長飛丸ではないか」
とら「ゲ!!佐渡の団三郎ババア狸!」
マミゾウ「相変わらずの口の悪さじゃのう長飛丸、それに私はババアではないわ」
とら「けっ!その名で呼ぶんじゃねえや」
マミ「知り合いなんですかマミゾウさん」
マミゾウ「まぁ昔ちょっとな……まぁ久々の出会いじゃ、先ずは一献」


変化術の話などで盛り上がる会話の中で、マミゾウの旧友である封獣ぬえのことも知っていることが判明したが、これは妖怪の鵺の正体が一説に「雷獣(とらの異名の一つでもある妖怪)」とも言われていることから来るネタであろうと読み手に言われていた。
マイペースに絡んでくるマミゾウのことは昔から苦手にしていたようだが、のちに彼女が死亡したことを知った時には、「妖(バケモノ)が簡単に死んでちゃあ世話ねえな」などと言いながら、幻海から、「貶すのか怒るのかはっきりしな」などと突っ込まれるほど、稲妻を帯びて激昂している。


騒ぎの絶えない三人(主にとらとナルトのせい)であったが、強者の集まりであっただけに、中盤を越え、無事に対主催グループに合流。とらは、神衣・鮮血を見つけて話しかける。


とら「ほーお、"小袖の手"か"襟立衣"か……見た顔じゃねえが、とにかく衣の変化か。付喪神か?」
鮮血「何を言っているのだかわからないが……私は鮮血。"神衣"鮮血だ」
とら「カムイだあ?するってえとサンピタラだのあの湖の蛇神だのの親戚かよ」


かつてうしおとの旅の中で出会ったサンピタラカムイ・オヤウカムイのことを思い出しながら、ナルトにあれこれ話をせがまれるなど、相変わらずのやり取りを見せていた。

しかし、騒がしい風景もやがては壊れていく。
激化する戦闘の中で、ついに幻海が、怪物強盗“X”との戦いにより致命傷を負う。血の海に沈んだ幻海の前に、とらは歩み寄り、呆然とかがみこんだ。
殺しても死にそうになかった幻海、その命が、あまりにあっけなく消えようとしている――脳裏に、かつて目の前で死んでいった人間たちの名前が、その姿が、いくつも重なり合う。自分が今、どういう顔をしているのかわからなかった。そんなとらの表情を見上げ、幻海は口を開く。


幻海「でかい図体しときながら、なに情けない面してんのさ」
とら「うっせえやババア。くたばっちまう瞬間まで憎まれ口かよ」
幻海「……歳を取れば取るほど、人間ってのは最期まで余裕を持ちたくなるのさ。今のあんたと違ってね……」
とら「……けっ、別によ、わしは人間みたいに泣いてなんかねえぞ!自惚れんなよババア、わしは獣だぞ。獣は――」
幻海「――涙を流さない、だろう?」
とら「……」
幻海「……ほんと、素直じゃないひねくれ者だねぇ……」


差しのべられた皺だらけの手が、華奢な真由子の姿のままのとらの頬を撫でる。瞼の裏に、喧嘩っ早い馬鹿弟子と、かつて想い通わせた男の大きな背を浮かべ、泣き虫な少年忍者、たてがみの中の顔を影にした字伏の姿をそれへ重ねつつ、手はやがて静かに落ちた。
バアちゃん、ちくしょう、バアちゃん……と慟哭するナルトの隣で、かつて秋葉流にかけた「だから弱っちくてキレエなんだよ、人間は……」という言葉を再び呟きつつ、とらは、真由子に化けた己の頬を伝うものに手を触れていた。


その後は、幻海の死を噛みしめるナルトを叱咤し、或いは変わらぬ喧嘩腰を取りながら、相棒として常にそばにあり続ける。そして、対主催にとって最大のマーダー戦となったぬらりひょんとの戦いの最中、とらは、その手に一振りの槍を取り戻した。


とら「こいつは……無くなっちまった筈の……」


獣の槍。かつて、白面の者への憎悪から造り出され、とら自身も含めたいくつもの字伏の悲劇を生みだしながら、妖怪を屠り続けた砕魔無敵の霊槍。とらの無二の相棒たる蒼月潮が、希望の担い手として、とらの背中で振るった武器。全ての戦いの終結と共に光と消えて行ったそれが、ギリョウ・ジエメイ兄妹の遺志と、うしおととらの戦いの記憶を糧に再構成され、最古の字伏にして槍の使い手である「シャガクシャ」の元へ帰って来たのだ。

対主催連合の攻撃をものともせずに、絶望的な強さを見せつけるぬらりひょんに対し、極制服+仮面ライダーの一斉砲火に合わせ、マクゴナガルの策でとらに変化したナルトが隙を作り、即席男溺泉を使ってシャガクシャの姿に戻ったとらが、意識外からの槍の一撃を喰らわせる。星人であるぬらりひょんへのとどめとは成り得なかったが、無限に近い再生機構を根本から破壊し、結果的に、その後のカレイドルビーによる真のとどめへの繋ぎとなった。

ぬらりひょんが打倒され、主催戦が幕を開けると、とらは、前哨として大量に召喚された妖怪星人@GANTZを前に、本領とばかりに獣の槍での殲滅を行う。高得点組の脅威として現れた犬神に対しても、かつて四国のはぐれ外堂と戦った経験を生かし、「呪禁歌」を唱えながら槍での一撃で瞬時に滅ぼしてしまった。

そして――――とらは、未だ正体のわからない主催者の匂いを、いち早く嗅ぎつける。世界そのものをねじ曲げるような、白面ともまるで違うベクトルの圧倒的存在感の一端。それが、どこからか自分達を見ている。

とらの変化を察知して傍へ来たミネルバ・マクゴナガルに、とらは告げた。「あのバカガキを頼む」。
九尾を封じられた存在。呪われた子と蔑まれながら、里の中で一人ぼっちで生きて来た少年。
月に対する太陽、己に心を取り戻し、「とら」の名を与えてくれた無二の相棒とは異なり、どこか自分に重なるものとして、ナルトを見ていたことに気付く。
けれどナルトは、九尾の孤独を受け入れ、「共に戦う」ことを選んだのだ。ならば、別の答えを見つけられる。


「『憎しみは何にも実らせねえ』――――けっ、バカガキ。おめーにはわかってるみてえだな」


満足げにくくっと笑うと、とらは、銀に輝く槍を掲げる。
見上げるでも見下げるでもなく、何処よりか温度のない瞳を向ける、偉ぶった「気に食わない奴」の喉元へ。これまでそうしてきたように、ただ、思いのまま。

……そして、舞台は暗転した。
最期の言葉を残す暇さえ与えられぬまま、シャガクシャは、還ってきた「とら」は、「神」の手によって、一片の欠片も残さずに消滅した。
それが、初めから定められていたとでも言うように。


正統派対主催として、幻海やナルトと共に戦い続けたとら。しかし、その最期はあまりにあっけないものであった。ただ、彼の刹那の散りざまが神星人の脅威を示す結果となったことを考えれば、残された対主催の命を間接的に救ったとみてもいいだろう。

また、イレギュラーであった獣の槍は神星人にも消されずに残り、ナルトの手へと託され形見の得物となった。主催戦での活躍の後、生還したナルトによって新たに「鬼門(丑寅)の槍」と名付けられたそれは、とらの面影と共に、火影となったナルトの傍で輝き続けている。

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最終更新:2014年12月29日 16:17