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「ヴ…ヴァナータ……なんてことをしてくれたのよ…!!」



目の前にはアイスピックを持ったチャイナ服の女が構えていた。
アイスピックからは血が零れ落ちており、それを持つ右手は赤に染まっていた。
月の光も遮る雲のせいで、辺りは顔もよく見えないほど薄暗い。

ワタシはうっかり油断をしてしまった。
激戦の末やっと金色の闇と協力関係を組めて一安心していたところだった。

「う…うう…っ!!」

傍にはお腹をうずめるて倒れる綾里真宵があった。
金色の闇が彼女を庇っているが、彼女もワタシとの死闘で体力はほとんどないはずだ。
もちろん、このヴァターシも連戦、そして彼女との死闘で正直立っているのもやっとである。
対して目の前に立つ彼女はまだまだ余力がありそうであった。
つまり、絶体絶命というあれディップル…

彼女は一心不乱に隙を見せない、チャイニーズな構えを続ける。
むやみに攻撃しても、今のワタシの体力では返り討ちにあうであろう。
しかも瀕死の綾里真宵を治療するための体力も残さなくてはいけない。
彼女との間は約30メートル。綾里真宵と金色の闇はワタシと彼女の丁度間くらいにいる。
金色の闇も彼女の前に立つので精いっぱいであろう。

真宵の治療のぶんの力を残しつつ、真宵を助けるために一刻も早くこの場を切り抜け、かつ彼女を追いのける。

「ずいぶん…厳しい条件ディップルね…」



ワタシらしくない弱音をはいていると、チャイナ服の女は呟いた。
その声は震えていて、そして怒っている口調であった。


「乱馬を……殺したのは誰ね?」


乱馬?
ワタシはその名前を知っていた。
真宵と出会った遺跡で襲いかかってきた男の名前だ。
あの男の言動はどこか虚ろであり、まるで洗脳されているような様子だった。
あの時は逃げることでなんとかなったが、その後の死者放送で名前が呼ばれていた。


「…ヴァターシは乱馬と会ったけど、殺した人までは知らないわ」


イワンコフは察した。彼女の目的は復讐だ。
つまり、真宵を刺したのはそれに動揺によるもの。
その乱馬を殺した人でなければ、戦う動機はない筈である。

しかし、彼女はそうはいかなかった。
アイスピックを構え直し、叫びながらこちらに襲いかかってきた。


「乱馬乱馬乱馬乱馬乱馬乱馬乱馬乱馬乱馬乱馬乱馬乱馬乱馬乱馬乱馬乱馬乱馬乱馬乱馬乱馬乱馬乱馬乱馬乱馬乱馬乱馬乱馬乱馬乱馬乱馬乱馬乱馬乱馬乱馬乱馬乱馬」


アイスピックが風を貫き刺すように彼女はこちらに向かって走り出した。
彼女の目的は復讐であるが、狂っていた。
ワタシのホルホルの実の能力を使えばその狂気を鎮めることはできるだろうがもうもってあと一回分しかない。
死闘に続く不眠、そして極度の状況下におけるストレスと不安。
あと一回。

一回?


「一回もあれば十分じゃなーい!!ヒーハー!!」


ワタシは笑った。
そう、エンポリオ・テンションホルモンがあったのだ。
真宵から強く使用を止められていていたが、今までの死闘で何度も使わずにいたが、もはやこの条件下では使うしかなかった。

その時チャイナ服の彼女との距離は10メートル。
ワタシは爪を伸ばし、それを自分の首に刺した。
首筋から動脈に心臓に眼球に内臓に筋肉に骨に血管に脳に、その力がみなぎる。
彼女との距離は5メートル。それと同時にワタシの瞼が閉ざされた。


「  D E A T H   W I N K  ! !  」

「…ッ!?」


勢いよく閉ざされた瞼。その風圧によって彼女は吹き飛ばされる。
エンポリオ・テンションホルモンのおかげで力がみなぎる。後遺症の心配はしない。今はただ彼女をなんとかするのみだ。
彼女は難なく着陸し、再びこちらに飛びかかる。彼女のパンチとワタシのパンチがぶつかり合う。
周りの木々はその振動で揺れ動き、落ち葉が舞い散りだした。一面は橙の葉が散り交う。
彼女は体格通り、力の差ではイワンコフのほうが上だった。彼女はまた吹き飛ばされる。
その隙にその場に倒れる真宵と真宵をかばう金色の闇を髪の毛に収める。

「さーて、これで条件は同じディップルよ…チャイニーズガール!!」


「……乱馬…人殺し…!!人殺し……!!人殺し!!!」


うっすらと雲がかすれ、月の光が彼女の顔を照らす。
ワタシは驚いた彼女の顔右半分が血と火傷に染まっていたのだから。
残る左目も狂気に満ちた色合いだった。

再び月の光が途切れ、その瞬間二人は飛びかかった。
彼女はアイスピックを差し向け、ワタシは狂気を鎮めるホルモンの練成をした。
このホルモンが彼女に効くかは分からないが、試さないわけにはいかない。

空中で向かい合い、迫り合う二人。距離二メートル。

お互いの攻撃が当たる瞬間に音が鳴り響く。

雷の音だ。

その直後突然大雨が降りだす。
滝のような突然降った雨は互いの視界を奪い、攻撃の狙いがずれる。

イワンコフの爪は当たらず空回りした。
その同時左足に激痛が走る。彼女のアイスピックが刺さったのだ。
ワタシは負けじと彼女に攻撃を試みるが、そこにいたのは猫であった。

先ほどまで相対していた彼女の姿はなかった。
猫を眺めたまま、動揺していると地面につく。そして猫は突然走り出し、逃げ出した。

数秒の思考停止の後、イワンコフは思い出した。 これは"変身する女"による死のゲームで、彼女もまた"変身"をしたのであると。
イワンコフはそう考えると、急いで綾里真宵を引っ張り出す。

「大丈夫かい、レーバイシ!? いま治療しップルよ!!」
「う…あ…イワさん……」

彼女の傷口にホルモンを注入した。
しばらく休めば、明日には歩ける程度にはなるだろう。
そしてワタシの左足の傷にもホルモンを注入していると、金色の闇が尋ねる。

「あの…あの女は?」
「逃げたわ……それより!!」

降りやまない大雨、鳴り響く雷、瀕死の綾里真宵にはキツイ状況である。
ワタシのテンションホルモンの後遺症が来る前に一刻も早く森を抜けて休める場所を探さなくてはならない。
ワタシは金色の闇にそう説明すると、彼女は把握する。

近くのユキの遺体を埋めた彼女の墓に拝礼してから、
エンポリオ・イワンコフは荷物と二人を乗せ、森を抜けるために走り出した。

【D-4森/三日目/深夜】
【エンポリオ・イワンコフ@ONE PIECE】
[状態]:左腕に切り傷、左足に刺し傷、疲労、睡眠不足、ストレス
[道具]:支給品一式、鋏@魔人探偵脳噛ネウロ
[思考]:
1:対主催者
2:レーバイシを助ける
3:金色の闇との協力
4:ボン・クレーの捜索
5:彼女の素性が気になる

※エンポリオ・テンションホルモンにより現在は全ての負傷が無効化されています
※左腕の切り傷、左足の刺し傷はホルモンによる朝には完治します。
※後遺症は四日目昼に始まります。


【D-4森/三日目/深夜】
【綾里真宵@逆転裁判シリーズ】
[状態]:腹に刺し傷、疲労、睡眠不足
[道具]:支給品一式、少佐の眼鏡@HELLSING、スーツ@GANTZ
[思考]:
1:対主催者
2:みんなと仲良くする!
3:ユキの死に対する悲しみ
4:なるほどくんと再会したい

※腹の刺し傷はホルモンにより朝には完治します。


【D-4森/三日目/深夜】
【金色の闇@ToLOVEる】
[状態]:疲労
[道具]:支給品一式、ノヴィスソード@サモンナイト3
[思考]:
1:イワンコフとの協力
2:私は何をすべきか…?


▲▼▲▼▲▼▲


雨降る森の中、首にアイスピックをかけて走り逃げる猫が一匹。

その向かう先は温泉街だった。
彼女は元の姿に戻るために、お湯を求めなければならない。

桃髪の少女を殺し、黒髪の少女を指したがまだ乱馬の仇は見つからない。

その狂気に包まれた彼女は、彼が自分に恐れ自殺したことを知らない。


【D-4森/三日目/深夜】
【シャンプー@らんま1/2】
[状態]:顔面右半分火傷・出血、狂気、猫状態
[道具]:支給品一式、アイスピック@現実
[思考]:
1:乱馬を殺した人を殺す


【ユキ@アイアンナイト 死亡】
【蛇崩乃音@キラキル 死亡】
[残り21人]

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最終更新:2014年09月30日 19:06