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そして誰かいなくなった - (2012/03/19 (月) 09:34:20) の1つ前との変更点
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*そして誰かいなくなった ◆1yqnHVqBO6
「ガキの頃、遠い異国の地で両親を殺された。
殺したのは神を信じるクソッタレ達さ」
「それで、お前はどうしたんだ?」
「神を信じるヤツらを片っ端から殺した。
巻き添えになった連中も大勢いたけど
そんなのはわたしの知ったことじゃない」
「赤き血の神も神を信じるのか」
「お前、そういうの言ってて混乱しないか?
バカは信じるんだよ。
誰かが自分を救ってくれるってな」
「おかしくないか?」
「あ?」
「お前がやってることが復讐だとしたら
両親を殺した連中だけを殺せばいいだけだ。
そうでなくても、神を信じる者だけ殺せばいい」
「そうだな」
「だがお前の“願い”はその先にあるんだろ」
「そうだ。神を殺す。神の座を手に入れてな」
「神を殺す……どうしてだ?」
「ああ?」
「神が最初からお前と関係ないのなら。
お前を救いはしないとわかってるなら
神を殺す必要はないだろ。神を信じてないんだから」
「違う。わたしは神を殺して神を信じる奴を――」
「信じようと信じまいと
神と会ったことあるやつなんていねえよ。
ウリュウ・ミネネ。オレにはお前が……」
「わかった。もういいだろ。
お前が知りたがっていた“願い”は教えてやったんだ。
あとは契約通りわたしの言うことを聞けばいい」
「誰よりも神に救われたかったようにしか見えねえ」
大きな音を立てて鳴り響いたレオの頬。
殴った反動で少し擦り剥けたみねねの拳。
「痴話喧嘩してる場合じゃないでしょ」
北岡が割り込んできたのは沈黙の中。
「誰かが大学の前を通ってるみたいよ?」
――――――――――
七原が死んだ。
その事実が杉村の脳をぐるぐると駆け回り
脳を不快に揺さぶる。
視界が歪んで吐きそうになり、口を抑えて堪えた。
「大丈夫? ヒロキ」
優しく手を繋いできた雛苺が
心配そうに杉村を見上げる。
彼の膝より少し高いくらいの大きさしかない
彼女の表情は痛いほど
杉村の心情を慮っているのが見てとれた。
「ごめんな。大丈夫。
平気だよ、俺は全然」
雛苺の頭を優しく撫で杉村は微笑む。
根が繊細で人付き合いも得意ではない彼だが
浮かべた微笑みはなんとか形になっていたはず。
それでも、雛苺は彼から離れず。
杉村の手を一層強く握った。
「ヒロキ」
なだらかな丘陵。
照りつける太陽は、
もう疑いなく紛い物なのだろう。
偽物だと意識すると
それの発する熱が煩わしく感じられた。
このゲームは杉村達が参加していた
糞益体もないゲームとは違う。
川田章吾もいない以上、
七原が順調に脱出の道を
進めていたと思えるほど楽観的ではない。
けれども、杉村は心のどこかで信じていた。
七原なら何かやってくれるはずだと。
かつて自分に道を示してくれたあの男ならと。
緩やかな斜面を登ったキャンチョメは
少し後ろを歩く二人へ振り返る。
「大切な人が死んだら。
その人を想っていた人も死ぬのかな」
逆光に照らされてキャンチョメの顔は見えない。
しかし、その声音には
壊れそうなほどの無垢が感じられた。
「そうじゃない、キャンチョメ。
俺の親友は家族が目の前で殺されても
必死に生きようとしてた」
「ゼオンは強かったんだよ凄く」
ゼオン・ベル。
たしかガッシュの兄だという人物だ。
キャンチョメが言うには訳あってガッシュを憎悪していたが
ようやく和解し、魔界に帰ったらしい。
と言っても、魂としてではあるが。
何か、言わなければならない。
杉村は口を開き言葉を発しようとしたが、
喉に栓が詰まったようになり。潰れた吐息しか出ない。
杉村が焦燥を感じ始めたそのとき。
爆音とともにノイズ混じりのダミ声が聞こえた。
「こんにっちはあ~~~~!
私はテロリスト「雨竜みねね」です!
お前たちは今私の標的になりました~!」
猛スピードでこちらに向かってくる
オープンカーが杉村たちの前に現れた。
運転手は深緑の装甲に身を包んだ
おそらくは仮面ライダーなる存在。
そしてその隣に立つのは拡声器を手に
大声を張り上げる眼帯をつけた女性。
「なっ!?」
驚愕のあまり杉村は思考が停止してしまった。
こんな平野で拡声器を使うのは愚策だ。
禁止エリアと南東に現れた謎のオブジェを見ても
南東に向かおうとする参加者はかなり多いはず。
「選択肢は二つ!
おとなしく降伏して情報を吐き出すこと!
もう一つは抗戦して捕虜になってから情報を吐くこと!」
車が杉村たちの横を走りすぎると
後方で大きく旋回し再びこちらに向かってくる。
「どっちでもDEAD ENDは決まってるんだけどな!」
突如として現れた襲撃者たちに対応すべく
杉村はデッキをバックルに挿し込み変身する。
キャンチョメたちを庇おうと前に出ると。
目前に接近したスポーツカーを底からの打撃で
掬い上げようと杉村は重心を低くする。
杉村の背後から膨大な熱気が感じられ
思わず意識を遮られ振り向いてしまう。
失態に気づくもどちらに対応すべきか迷った
杉村は振り返る途中の姿勢で固まってしまった。
「フォウ・スプポルク!」
隣から声が聞こえ、
杉村はキャンチョメに助けられたと知り。
地面に大きな車の影が射し、
雛苺が失態をカバーしたことを悟った。
雛苺の蔓によって天高く持ち上げられたスポーツカー。
奇襲を仕掛けてきた男はキャンチョメの術によって
炎の剣が霧散し、一瞬だが動揺を見せていた。
「雛苺! 車ごと捕らえてくれ!」
蔓がスポーツカーごと襲撃者たちを包み込んだのを背に
杉村は地上に残った男へ攻撃を仕掛ける。
突き出すのは鋼の拳。相手も装甲に包まれている。
一撃ならば相手を殺さずに無力化できると踏んだ。
狙いは肩。
キャンチョメの術により剣を喪った相手に防ぐ術はない。
毎日練り上げてきた突きが吸い込まれるように進む。
「あめえよ」
だが、それを半歩だけ身を捻り躱した相手が
続けざまに杉村の胸へと裏拳を叩き込む。
「ぐっ……!」
予想外の反撃に杉村は大きく後退しようとしたが
腕を相手に掴まる逃れることができない。
「俺は防人だ、仮面ライダー」
裏拳に使った左手で右腕を封じられた杉村は
畳み込まれるように至近距離からの肘鉄の連打をくらう。
「俺の中には今までの防人たちの戦闘経験がある」
的確に防御の隙を縫って出される攻撃に
杉村は為すすべなく打たれるのみ。
「剣術だけじゃねえんだよ」
杉村の腕から手を離すと両手を腰に構え、
強く地面を踏みしめると
防人レオは両掌を杉村の腹部に当てる。
産みだされた衝撃は絶大。
胴体が陥没する錯覚を覚えながら
杉村は地面を転げまわる。
「これで終わりか? 弱いぞ」
拍子抜けに溜め息をついて
レオは杉村が倒れている方へと歩く。
「闘いに迷いでもあるのか。
これなら龍騎の方が遥かに強かった」
レオの手に再び炎が集まり
粘土のようにこねて剣へと形を変える。
レオの追い打ちを防ごうと
キャンチョメがレオの前に立ちはだかる。
「機械……ではなさそうだな。
お前も抵抗するか。ならやってみろ」
「フォウ・スプポルク!」
キャンチョメの手から光と音が放たれ
先ほどと同じようにレオの剣を覆い、霧散させる。
「さっきと同じ手じゃねえか」
鼻で笑い、レオは一瞬で間合いを詰めると
キャンチョメの首筋に手刀を打つ。
「コポルク!」
しかしその一撃は空を切り
レオの視界からキャンチョメの姿は消え失せた。
「ディマ・ブルク!」
レオの周囲を取り囲む8体のキャンチョメ。
その全てが実体を持ちレオへと襲いかかる。
舌打ちして、周囲に炎を撒き散らすと
跳躍し、キャンチョメたちから離れる。
「……強いな。おまえの“願い”が知りたくなった」
もう片方の手にも炎の剣を生み出すと
二刀流の構えをとり、キャンチョメの分身たちと対峙する。
「オレと闘え」
その言葉を背後に置き去りにするほどの速度で、
レオはキャンチョメへと躍りかかり――
「ゲームセットだレオ!」
襲撃者、雨竜みねねの声で踏みとどまった。
声のした方を見るとそこにいるのは
蔓すべてを焼き払い。
雛苺を取り押さえたみねねと
少し離れたところから
興味なさげにあらぬ方を見ている
仮面ライダーゾルダ、北岡の姿。
「抵抗すればこいつを殺す!
大人しく降伏しな!」
冷酷な笑みに歯を剥き出しにして
みねねは勧告する。
その要求に従って
キャンチョメは分身を消し、ひとりに戻った。
「ひな、いちご……」
腹部を抑え、声を絞り出す杉村。
瞳には敗北感がありありと浮かんでいる。
「相手は子供みたいよ?」
事態を静観していた北岡が口を挟んだ。
「嫌ならすっこんでろ」
煩わしげに北岡を一瞥した
みねねはもがく雛苺の口を抑え、
目の前に手榴弾をちらつかせ。
ひたひたと雛苺の丸い頬に冷たい手榴弾をあてる。
「やめろよ! 雛苺から離れろ!」
これから受けるだろう行為を想像するだけで
足が震えても必死にキャンチョメは抗議する。
「なんで……そんなことをするんだお前たちは」
動かない手足、
やけに重くなっていく体に不甲斐なさを覚えつつ。
杉村はみねねに問う。
「状況を受け入れな。
弱いからお前たちは負ける。それだけのことだ」
「……それで納得できるわけないだろ!」
「納得しようがしまいがゲームは進む。
言っとくけどあたしたちはまだ誰も殺しちゃいないよ」
「つまりは口だけっていうね」
「黙ってろクソ弁護士」
痛いところを突かれ、憮然と北岡に返事し。
みねねは肩を竦めると改めて杉村たちに告げる。
「諦めな。お前たちはここで死ぬ」
「――――ディカポルク」
その声にはたしかに怒りが混じっていた。
強い、強い、怒りが。少年の口からでていた。
その時、天を衝く程の巨人がその場に現れた。
大きさは30メートルを優に超えている。
巨人、キャンチョメは拳を引くと
力任せに雛苺ごとみねね達に叩きつける。
それを防いだのはレオの炎。
しかし、腕をこんがりと焼くかと思われた
キャンチョメの腕は炎を通さず。
蜃気楼のように揺らめくのみ。
「幻影か」
「コポルク」
「痛っ!」
突然の巨人の出現に呆気にとられたみねね。
指先までよじ登っていた
小さなキャンチョメに気づくことができず、指先を噛まれた。
「ヒロキ!」
――FREEZE VENT――
キャンチョメの機転に呼応して
杉村はカードをデッキに挿し込む。
現れた白銀の大虎が吹雪を伴う冷気を吹きつける。
草木すらもたちまちに凍りつき、
バリバリとした音とともにキャンチョメは雛苺を抱えて走る。
「逃げよう!」
杉村に半ば押し付ける形で雛苺を預けると
キャンチョメは杉村の背中を押すように走る。
「逃すかよ」
だがそこを先回りしていた
レオが杉村の頭部へと回し蹴りを放つ。
軽く、速度もなかった攻撃を杉村は前転で避ける。
「おまえは逃さない」
だが後続のキャンチョメに
そのままつま先の向きを変え。
踵落としをすると抉られた
大地や草木がクリスタルのように砕け散り宙を舞う。
「レオ! おまえはそのまま二人を追え!」
みねねの指示にレオは一瞬反抗の意思を見せたが
大人しく従い、杉村達を追う。
「キャンチョメ!」
「行って! 後で追いつくから」
「二対一でやる気か?」
遠くに消えていく杉村たちの背を見送ることもなく。
キャンチョメはみねねと対峙する。
「…………二対一?」
場に満ちる緊張感にそぐわぬ仕草で
キャンチョメは首を傾げる。
その反応にみねねは巨人の出現から
北岡の姿が見えなくなっていたことを思い出し。
首筋をちくちくとした違和感があるのに気づいた。
手をやってみるとそれは紙切れであり。
『体調が優れないんで帰るよ。
同盟は破棄ってことでごめんね。
PS、べつに子供を傷つけたくないとか
そういうのじゃないからね。勘違いしないでちょうだいね』
「あんのクソ弁護士があ!!」
みねねは怒りのあまり置き手紙をびりびりに引き裂き
紙切れを地面に叩きつける。
「おまえはここで倒す!」
「あー、そうですかー。
これ、レオも知ってて置いてったよなあ。
いいね。いいねえ。雨竜みねねらしくなってきたっ!」
ヤケクソに叫び散らしつつ、冷静に爆弾と日記を手にし
みねねは次の一手を考え始めた。
【D‐6/一日目/日中】
【キャンチョメ@金色のガッシュ!!】
[状態]:健康、力への渇望、全身裂傷、疲労(中)、心の力消費(中)
[装備]: キャンチョメの魔本@金色のガッシュベル!! 、粘土@現実、ポップコーン@現実
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:仲間を探す
1:みねねを倒す。
[備考]
何故かパートナーがいなくても術が使えることは理解しました。
本がフォルゴレ以外でも読めると知りました。
フォウ・スプポルクを修得
参戦時期:ファウード編以降
【雨流みねね@未来日記】
[状態]:疲労(小)、色々と考えたい
[装備]:MKⅡ手榴弾[4個]@現実 BIM(烈火ガス式)[7個]@BTOOOM!、拡声器(現地調達)
[道具]:基本支給品一式、逃亡日記@未来日記、
[思考・状況]
基本行動方針:優勝して“神”を殺す
1:キャンチョメを対処する
[備考]
※参戦時期は原作六巻以降のどこかからです。詳しい時期は後の書き手にお任せします
※龍騎の世界観、城戸、秋山、浅倉についての大体の情報を得ました。(霧島については聞いていません)
※カードデッキは他人が使うと死ぬと誤認しています。
※仮面ライダーデッキを誰でも使えると知りました
※未来日記で周囲に杉村たちしかいないことを確認済みです。
【D‐6→E-6/一日目/日中】
【レオナルド・エディアール@WaqWaq ワークワーク】
[状態]:軽度の打撲、
[装備]:アシャ@WaqWaq ワークワーク、
[道具]:基本支給品一式
[思考・状況]
基本行動方針:頭スッキリ。お目々パッチリ。俺、どうしよう?
1:杉村たちを追う。
2:キャンチョメに興味があるがお預け。
3:他の“神”らしき女にも会いたい。
4:防人以外にも戦えるやつがいるみたいだ 。今はどうでもいいが
※由乃の返り血を浴びています。
【雛苺@ローゼンメイデン】
[状態]:疲労(中)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、クレヨン@現実、人参@現実
[思考・状況]
基本行動方針:誰も傷つかない世界が欲しい。
1:東へ逃げる
※シュナイダーの愛称はウマゴンでいいよねと思っています。
【杉村弘樹@バトルロワイアル】
[状態]:疲労(大)、精神的疲労(小)、心の力消費(中) 、全身裂傷、
指の爪剥離
[装備]:英雄の証@ブレイブ・ストーリー~新説~ 、仮面ライダータイガのカードデッキ
[道具]:基本支給品×2、
[思考・状況]
基本行動方針:どう、すれば……
1:東へ逃げる
2:時間を見つけて仮面ライダーとしての力の使い方の練習をしたい。
3:城戸真司に会えたら霧島美穂からの伝言を伝える
4:もし、桐山が琴弾を殺したのだとしたら、俺は……
[備考]
この殺し合いを大東亜帝国版プログラムだけでなく、
それとよく似た殺し合いの参加者も集められていると暫定的に推測しています。
仮面ライダーへの変身の仕方を理解しました。
カードの使い方も大体把握しました。
参戦時期:琴弾と合流後、桐山襲撃直後
【D‐6→???/一日目/日中】
【北岡秀一@仮面ライダー龍騎】
[状態]:疲労(小) 、
[装備]:カードデッキ(ゾルダ)
[道具]:基本支給品一式、マスターキー@オリジナル、黒のアタッシュケース
香川英行のレポート?
[思考・状況]
基本行動方針:???
1:子供殺すとかないって
[備考]
※参戦時期は劇場版開始前のどこかからです。詳しくは後の書き手にお任せします。
※未来日記の世界観、雪輝、由乃、来須、マルコ、愛のみねね視点で知っている大体の情報を把握しました。
※逃亡日記は所有者の逃走経路を予知するものだと勘違いしています。
※香川英行のレポートに仮面ライダーの弱点が書かれていると
北岡は言っていますが真っ赤な嘘です。
|[[ポツンとひとり]]|投下順|[[けれど彼は前を見る]]|
|[[ポツンとひとり]]|時系列順|[[けれど彼は前を見る]]|
|[[☆北岡秀一☆]]|北岡秀一|[[First bet]]|
|~|雨流みねね|~|
|~|レオナルド・エディアール|[[けれど彼は前を見る]]|
|[[歩くような速さで]]|雛苺|~|
|~|杉村弘樹|~|
|~|キャンチョメ||
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*そして誰かいなくなった ◆1yqnHVqBO6
「ガキの頃、遠い異国の地で両親を殺された。
殺したのは神を信じるクソッタレ達さ」
「それで、お前はどうしたんだ?」
「神を信じるヤツらを片っ端から殺した。
巻き添えになった連中も大勢いたけど
そんなのはわたしの知ったことじゃない」
「赤き血の神も神を信じるのか」
「お前、そういうの言ってて混乱しないか?
バカは信じるんだよ。
誰かが自分を救ってくれるってな」
「おかしくないか?」
「あ?」
「お前がやってることが復讐だとしたら
両親を殺した連中だけを殺せばいいだけだ。
そうでなくても、神を信じる者だけ殺せばいい」
「そうだな」
「だがお前の“願い”はその先にあるんだろ」
「そうだ。神を殺す。神の座を手に入れてな」
「神を殺す……どうしてだ?」
「ああ?」
「神が最初からお前と関係ないのなら。
お前を救いはしないとわかってるなら
神を殺す必要はないだろ。神を信じてないんだから」
「違う。わたしは神を殺して神を信じる奴を――」
「信じようと信じまいと
神と会ったことあるやつなんていねえよ。
ウリュウ・ミネネ。オレにはお前が……」
「わかった。もういいだろ。
お前が知りたがっていた“願い”は教えてやったんだ。
あとは契約通りわたしの言うことを聞けばいい」
「誰よりも神に救われたかったようにしか見えねえ」
大きな音を立てて鳴り響いたレオの頬。
殴った反動で少し擦り剥けたみねねの拳。
「痴話喧嘩してる場合じゃないでしょ」
北岡が割り込んできたのは沈黙の中。
「誰かが大学の前を通ってるみたいよ?」
――――――――――
七原が死んだ。
その事実が杉村の脳をぐるぐると駆け回り
脳を不快に揺さぶる。
視界が歪んで吐きそうになり、口を抑えて堪えた。
「大丈夫? ヒロキ」
優しく手を繋いできた雛苺が
心配そうに杉村を見上げる。
彼の膝より少し高いくらいの大きさしかない
彼女の表情は痛いほど
杉村の心情を慮っているのが見てとれた。
「ごめんな。大丈夫。
平気だよ、俺は全然」
雛苺の頭を優しく撫で杉村は微笑む。
根が繊細で人付き合いも得意ではない彼だが
浮かべた微笑みはなんとか形になっていたはず。
それでも、雛苺は彼から離れず。
杉村の手を一層強く握った。
「ヒロキ」
なだらかな丘陵。
照りつける太陽は、
もう疑いなく紛い物なのだろう。
偽物だと意識すると
それの発する熱が煩わしく感じられた。
このゲームは杉村達が参加していた
糞益体もないゲームとは違う。
川田章吾もいない以上、
七原が順調に脱出の道を
進めていたと思えるほど楽観的ではない。
けれども、杉村は心のどこかで信じていた。
七原なら何かやってくれるはずだと。
かつて自分に道を示してくれたあの男ならと。
緩やかな斜面を登ったキャンチョメは
少し後ろを歩く二人へ振り返る。
「大切な人が死んだら。
その人を想っていた人も死ぬのかな」
逆光に照らされてキャンチョメの顔は見えない。
しかし、その声音には
壊れそうなほどの無垢が感じられた。
「そうじゃない、キャンチョメ。
俺の親友は家族が目の前で殺されても
必死に生きようとしてた」
「ゼオンは強かったんだよ凄く」
ゼオン・ベル。
たしかガッシュの兄だという人物だ。
キャンチョメが言うには訳あってガッシュを憎悪していたが
ようやく和解し、魔界に帰ったらしい。
と言っても、魂としてではあるが。
何か、言わなければならない。
杉村は口を開き言葉を発しようとしたが、
喉に栓が詰まったようになり。潰れた吐息しか出ない。
杉村が焦燥を感じ始めたそのとき。
爆音とともにノイズ混じりのダミ声が聞こえた。
「こんにっちはあ~~~~!
私はテロリスト「雨竜みねね」です!
お前たちは今私の標的になりました~!」
猛スピードでこちらに向かってくる
オープンカーが杉村たちの前に現れた。
運転手は深緑の装甲に身を包んだ
おそらくは仮面ライダーなる存在。
そしてその隣に立つのは拡声器を手に
大声を張り上げる眼帯をつけた女性。
「なっ!?」
驚愕のあまり杉村は思考が停止してしまった。
こんな平野で拡声器を使うのは愚策だ。
禁止エリアと南東に現れた謎のオブジェを見ても
南東に向かおうとする参加者はかなり多いはず。
「選択肢は二つ!
おとなしく降伏して情報を吐き出すこと!
もう一つは抗戦して捕虜になってから情報を吐くこと!」
車が杉村たちの横を走りすぎると
後方で大きく旋回し再びこちらに向かってくる。
「どっちでもDEAD ENDは決まってるんだけどな!」
突如として現れた襲撃者たちに対応すべく
杉村はデッキをバックルに挿し込み変身する。
キャンチョメたちを庇おうと前に出ると。
目前に接近したスポーツカーを底からの打撃で
掬い上げようと杉村は重心を低くする。
杉村の背後から膨大な熱気が感じられ
思わず意識を遮られ振り向いてしまう。
失態に気づくもどちらに対応すべきか迷った
杉村は振り返る途中の姿勢で固まってしまった。
「フォウ・スプポルク!」
隣から声が聞こえ、
杉村はキャンチョメに助けられたと知り。
地面に大きな車の影が射し、
雛苺が失態をカバーしたことを悟った。
雛苺の蔓によって天高く持ち上げられたスポーツカー。
奇襲を仕掛けてきた男はキャンチョメの術によって
炎の剣が霧散し、一瞬だが動揺を見せていた。
「雛苺! 車ごと捕らえてくれ!」
蔓がスポーツカーごと襲撃者たちを包み込んだのを背に
杉村は地上に残った男へ攻撃を仕掛ける。
突き出すのは鋼の拳。相手も装甲に包まれている。
一撃ならば相手を殺さずに無力化できると踏んだ。
狙いは肩。
キャンチョメの術により剣を喪った相手に防ぐ術はない。
毎日練り上げてきた突きが吸い込まれるように進む。
「あめえよ」
だが、それを半歩だけ身を捻り躱した相手が
続けざまに杉村の胸へと裏拳を叩き込む。
「ぐっ……!」
予想外の反撃に杉村は大きく後退しようとしたが
腕を相手に掴まる逃れることができない。
「俺は防人だ、仮面ライダー」
裏拳に使った左手で右腕を封じられた杉村は
畳み込まれるように至近距離からの肘鉄の連打をくらう。
「俺の中には今までの防人たちの戦闘経験がある」
的確に防御の隙を縫って出される攻撃に
杉村は為すすべなく打たれるのみ。
「剣術だけじゃねえんだよ」
杉村の腕から手を離すと両手を腰に構え、
強く地面を踏みしめると
防人レオは両掌を杉村の腹部に当てる。
産みだされた衝撃は絶大。
胴体が陥没する錯覚を覚えながら
杉村は地面を転げまわる。
「これで終わりか? 弱いぞ」
拍子抜けに溜め息をついて
レオは杉村が倒れている方へと歩く。
「闘いに迷いでもあるのか。
これなら龍騎の方が遥かに強かった」
レオの手に再び炎が集まり
粘土のようにこねて剣へと形を変える。
レオの追い打ちを防ごうと
キャンチョメがレオの前に立ちはだかる。
「機械……ではなさそうだな。
お前も抵抗するか。ならやってみろ」
「フォウ・スプポルク!」
キャンチョメの手から光と音が放たれ
先ほどと同じようにレオの剣を覆い、霧散させる。
「さっきと同じ手じゃねえか」
鼻で笑い、レオは一瞬で間合いを詰めると
キャンチョメの首筋に手刀を打つ。
「コポルク!」
しかしその一撃は空を切り
レオの視界からキャンチョメの姿は消え失せた。
「ディマ・ブルク!」
レオの周囲を取り囲む8体のキャンチョメ。
その全てが実体を持ちレオへと襲いかかる。
舌打ちして、周囲に炎を撒き散らすと
跳躍し、キャンチョメたちから離れる。
「……強いな。おまえの“願い”が知りたくなった」
もう片方の手にも炎の剣を生み出すと
二刀流の構えをとり、キャンチョメの分身たちと対峙する。
「オレと闘え」
その言葉を背後に置き去りにするほどの速度で、
レオはキャンチョメへと躍りかかり――
「ゲームセットだレオ!」
襲撃者、雨竜みねねの声で踏みとどまった。
声のした方を見るとそこにいるのは
蔓すべてを焼き払い。
雛苺を取り押さえたみねねと
少し離れたところから
興味なさげにあらぬ方を見ている
仮面ライダーゾルダ、北岡の姿。
「抵抗すればこいつを殺す!
大人しく降伏しな!」
冷酷な笑みに歯を剥き出しにして
みねねは勧告する。
その要求に従って
キャンチョメは分身を消し、ひとりに戻った。
「ひな、いちご……」
腹部を抑え、声を絞り出す杉村。
瞳には敗北感がありありと浮かんでいる。
「相手は子供みたいよ?」
事態を静観していた北岡が口を挟んだ。
「嫌ならすっこんでろ」
煩わしげに北岡を一瞥した
みねねはもがく雛苺の口を抑え、
目の前に手榴弾をちらつかせ。
ひたひたと雛苺の丸い頬に冷たい手榴弾をあてる。
「やめろよ! 雛苺から離れろ!」
これから受けるだろう行為を想像するだけで
足が震えても必死にキャンチョメは抗議する。
「なんで……そんなことをするんだお前たちは」
動かない手足、
やけに重くなっていく体に不甲斐なさを覚えつつ。
杉村はみねねに問う。
「状況を受け入れな。
弱いからお前たちは負ける。それだけのことだ」
「……それで納得できるわけないだろ!」
「納得しようがしまいがゲームは進む。
言っとくけどあたしたちはまだ誰も殺しちゃいないよ」
「つまりは口だけっていうね」
「黙ってろクソ弁護士」
痛いところを突かれ、憮然と北岡に返事し。
みねねは肩を竦めると改めて杉村たちに告げる。
「諦めな。お前たちはここで死ぬ」
「――――ディカポルク」
その声にはたしかに怒りが混じっていた。
強い、強い、怒りが。少年の口からでていた。
その時、天を衝く程の巨人がその場に現れた。
大きさは30メートルを優に超えている。
巨人、キャンチョメは拳を引くと
力任せに雛苺ごとみねね達に叩きつける。
それを防いだのはレオの炎。
しかし、腕をこんがりと焼くかと思われた
キャンチョメの腕は炎を通さず。
蜃気楼のように揺らめくのみ。
「幻影か」
「コポルク」
「痛っ!」
突然の巨人の出現に呆気にとられたみねね。
指先までよじ登っていた
小さなキャンチョメに気づくことができず、指先を噛まれた。
「ヒロキ!」
――FREEZE VENT――
キャンチョメの機転に呼応して
杉村はカードをデッキに挿し込む。
現れた白銀の大虎が吹雪を伴う冷気を吹きつける。
草木すらもたちまちに凍りつき、
バリバリとした音とともにキャンチョメは雛苺を抱えて走る。
「逃げよう!」
杉村に半ば押し付ける形で雛苺を預けると
キャンチョメは杉村の背中を押すように走る。
「逃すかよ」
だがそこを先回りしていた
レオが杉村の頭部へと回し蹴りを放つ。
軽く、速度もなかった攻撃を杉村は前転で避ける。
「おまえは逃さない」
だが後続のキャンチョメに
そのままつま先の向きを変え。
踵落としをすると抉られた
大地や草木がクリスタルのように砕け散り宙を舞う。
「レオ! おまえはそのまま二人を追え!」
みねねの指示にレオは一瞬反抗の意思を見せたが
大人しく従い、杉村達を追う。
「キャンチョメ!」
「行って! 後で追いつくから」
「二対一でやる気か?」
遠くに消えていく杉村たちの背を見送ることもなく。
キャンチョメはみねねと対峙する。
「…………二対一?」
場に満ちる緊張感にそぐわぬ仕草で
キャンチョメは首を傾げる。
その反応にみねねは巨人の出現から
北岡の姿が見えなくなっていたことを思い出し。
首筋をちくちくとした違和感があるのに気づいた。
手をやってみるとそれは紙切れであり。
『体調が優れないんで帰るよ。
同盟は破棄ってことでごめんね。
PS、べつに子供を傷つけたくないとか
そういうのじゃないからね。勘違いしないでちょうだいね』
「あんのクソ弁護士があ!!」
みねねは怒りのあまり置き手紙をびりびりに引き裂き
紙切れを地面に叩きつける。
「おまえはここで倒す!」
「あー、そうですかー。
これ、レオも知ってて置いてったよなあ。
いいね。いいねえ。雨竜みねねらしくなってきたっ!」
ヤケクソに叫び散らしつつ、冷静に爆弾と日記を手にし
みねねは次の一手を考え始めた。
【D‐6/一日目/日中】
【キャンチョメ@金色のガッシュ!!】
[状態]:健康、力への渇望、全身裂傷、疲労(中)、心の力消費(中)
[装備]: キャンチョメの魔本@金色のガッシュベル!! 、粘土@現実、ポップコーン@現実
[道具]:基本支給品
[思考・状況]
基本行動方針:仲間を探す
1:みねねを倒す。
[備考]
何故かパートナーがいなくても術が使えることは理解しました。
本がフォルゴレ以外でも読めると知りました。
フォウ・スプポルクを修得
参戦時期:ファウード編以降
【雨流みねね@未来日記】
[状態]:疲労(小)、色々と考えたい
[装備]:MKⅡ手榴弾[4個]@現実 BIM(烈火ガス式)[7個]@BTOOOM!、拡声器(現地調達)
[道具]:基本支給品一式、逃亡日記@未来日記、
[思考・状況]
基本行動方針:優勝して“神”を殺す
1:キャンチョメを対処する
[備考]
※参戦時期は原作六巻以降のどこかからです。詳しい時期は後の書き手にお任せします
※龍騎の世界観、城戸、秋山、浅倉についての大体の情報を得ました。(霧島については聞いていません)
※カードデッキは他人が使うと死ぬと誤認しています。
※仮面ライダーデッキを誰でも使えると知りました
※未来日記で周囲に杉村たちしかいないことを確認済みです。
【D‐6→E-6/一日目/日中】
【レオナルド・エディアール@WaqWaq ワークワーク】
[状態]:軽度の打撲、
[装備]:アシャ@WaqWaq ワークワーク、
[道具]:基本支給品一式
[思考・状況]
基本行動方針:頭スッキリ。お目々パッチリ。俺、どうしよう?
1:杉村たちを追う。
2:キャンチョメに興味があるがお預け。
3:他の“神”らしき女にも会いたい。
4:防人以外にも戦えるやつがいるみたいだ 。今はどうでもいいが
※由乃の返り血を浴びています。
【雛苺@ローゼンメイデン】
[状態]:疲労(中)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、クレヨン@現実、人参@現実
[思考・状況]
基本行動方針:誰も傷つかない世界が欲しい。
1:東へ逃げる
※シュナイダーの愛称はウマゴンでいいよねと思っています。
【杉村弘樹@バトルロワイアル】
[状態]:疲労(大)、精神的疲労(小)、心の力消費(中) 、全身裂傷、
指の爪剥離
[装備]:英雄の証@ブレイブ・ストーリー~新説~ 、仮面ライダータイガのカードデッキ
[道具]:基本支給品×2、
[思考・状況]
基本行動方針:どう、すれば……
1:東へ逃げる
2:時間を見つけて仮面ライダーとしての力の使い方の練習をしたい。
3:城戸真司に会えたら霧島美穂からの伝言を伝える
4:もし、桐山が琴弾を殺したのだとしたら、俺は……
[備考]
この殺し合いを大東亜帝国版プログラムだけでなく、
それとよく似た殺し合いの参加者も集められていると暫定的に推測しています。
仮面ライダーへの変身の仕方を理解しました。
カードの使い方も大体把握しました。
参戦時期:琴弾と合流後、桐山襲撃直後
【D‐6→???/一日目/日中】
【北岡秀一@仮面ライダー龍騎】
[状態]:疲労(小) 、
[装備]:カードデッキ(ゾルダ)
[道具]:基本支給品一式、マスターキー@オリジナル、黒のアタッシュケース
香川英行のレポート?
[思考・状況]
基本行動方針:???
1:子供殺すとかないって
[備考]
※参戦時期は劇場版開始前のどこかからです。詳しくは後の書き手にお任せします。
※未来日記の世界観、雪輝、由乃、来須、マルコ、愛のみねね視点で知っている大体の情報を把握しました。
※逃亡日記は所有者の逃走経路を予知するものだと勘違いしています。
※香川英行のレポートに仮面ライダーの弱点が書かれていると
北岡は言っていますが真っ赤な嘘です。
|[[ポツンとひとり]]|投下順|[[けれど彼は前を見る]]|
|[[ポツンとひとり]]|時系列順|[[けれど彼は前を見る]]|
|[[☆北岡秀一☆]]|北岡秀一|[[First bet]]|
|~|雨流みねね||
|~|レオナルド・エディアール|[[けれど彼は前を見る]]|
|[[歩くような速さで]]|雛苺|~|
|~|杉村弘樹|~|
|~|キャンチョメ||
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