蒼星石になって、男くんにご奉仕したいよぅ・・・@ ウィキ

ほんと・・・みんなおばかさぁん。by銀

208 : 三銃士(ネブラスカ州):2007/03/20(火) 23:21:41.96 ID:zWRSNdVHO
銀友「最近さ、銀ちゃん明るくなったよね。」
銀「そ、そうかしらぁ?」
銀友「うん、前よりよく笑うし、感情豊かになった気がする」

それはきっと彼女達のおかげだ。
彼女達と関わるようになって、私の毎日が騒がしいものになったのだ。

銀「ほんと、おばかさぁんたちね・・・」

210 : 三銃士(ネブラスカ州):2007/03/20(火) 23:45:03.45 ID:zWRSNdVHO
私は自分が嫌いだった。
小さいころ病弱だった私は、入退院を繰り返し、同年代の友達と遊ぶ機会が少なく、家に閉じこもりがちだった。
何かしようとしても、病弱な体が邪魔をする。
そんな幼少期のトラウマからか、私は他人と接しない暗い少女となり、健康になってからも友達がまったく出来なくなった。

ある日の夜、私は衝撃的な出会いをする。
たまたまテレビをつけると、かわいい服を着た人形達が登場するアニメがやっていたのだ。
私は、このローゼンメイデンというアニメに、特にその中でも水銀燈に魅せられた。
ジャンクと呼ばれ、不完全な彼女が、私に重なる気がしたからだ。
どんどん水銀燈にのめりこんでいった私が辿り着いたのは、私自身が水銀燈になること。
水銀燈と同じ衣裳を着て、同じ口調で喋ることである。
初めてこのコスプレをした時は、心が震えた。
身も心も水銀燈になれた気がしたから。
この格好をした私は友達がいなくても大丈夫な気がしたのだ。

212 : 三銃士(ネブラスカ州):2007/03/20(火) 23:56:52.24 ID:zWRSNdVHO
ほどなく、私は水銀燈の格好のまま学校に行くようになった。
今でこそコスプレや女装が堂々と歩いているような学校だが、最初は私しかこんな格好をしている人間はおらず、風あたりは厳しかった。
教師には目の敵にされ、親にも家を追い出され一人暮らしをするようになった。
私の急な変化にクラスメイトはさらに距離をとるようにもなった。
けれど、そんなことはどうでもいい。
孤独になればなるほど、痛みを抱えれば抱えるほど、私は水銀燈に近付ける気がしたから。
だから、私はすべてを無視した。
私の世界は水銀燈だけで十分だったから。
・・・そう思うしかなかったから

218 : 高専(ネブラスカ州):2007/03/21(水) 00:22:38.75 ID:8c23gFghO
紅「それって、ローゼンメイデンのコスプレですよね?」
ある日、真面目そうな下級生に突然声をかけられた。
銀「・・・ええ、それがなにかしらぁ?」
紅「そういうのって、学校に着てきていいんですか?」
銀「私が何着ようと私の勝手でしょお?」
紅「そうですね・・・あの、私にもそういうのの作り方教えていただけませんか?」
銀「え?」
不思議な子だった。
とても真面目そうな子なのに、私みたいなことをどうしてもしたいと言う。
いつもならうざったいと思うはずが、なぜか気付くと頷いていた。
・・・ただ私が誰かとのふれあいに飢えていただけかもしれないけど

224 : 高専(ネブラスカ州):2007/03/21(水) 00:40:42.28 ID:8c23gFghO
銀「じゃあ、幼なじみのためにコスプレするのね」
紅「そ、そんなんじゃないですよ。ただ…」
銀「ただ?」
紅「ただあいつのこと、少しでも知りたくて。あいつが何を思ってるのか。」
銀「そう、その幼なじみのことが好きなのねぇ。」
紅「ち、ちがいますよっ!何いってるんですか!」
銀「うふふ、でも本当に真紅でいいの?蒼星石じゃなく?」
紅「なんか、男の好きな蒼星石になるのは違う気がしたんです。私、赤好きだし…男を知るためならこれかなって・・・それに」
銀「それに?」
紅「真紅って、水銀燈と関係ふかいんですよね?」
銀「・・・」
紅「銀先輩?」
銀「…ふふっ、真紅と水銀燈はライバルだけどね。」
楽しかった・・・
彼女と話してると、私の中の何かが埋められていく気がした。

244 : 高専(ネブラスカ州):2007/03/21(水) 01:07:22.71 ID:8c23gFghO
紅「もうすぐ完成なのだわ。」
銀「ふふっ、これで愛しの男くんとも近付けるわねぇ?」
紅「だ、だから何度も違うって言ってるでしょ!?あなたは学習能力がないのだわ。」
銀「あらぁ、先輩にそんな口聞いていいのかしらぁ?」
紅「人をおちょくって楽しむ人なんて、先輩でもなんでもないのだわ。」
銀「ずいぶん言うようになったじゃなぁい?」
楽しい時間はあっという間に過ぎ、真紅の衣裳は完成した。
彼女はそれを着て学校に来るようになり、気付くと他のドールのコスプレをした子も何故か増えていた。

銀「あ、紅じゃなぁい。少しからかってやろうかしらぁ?」
ある日、廊下を歩いていると紅が誰かと話しているのを見かけた。
教師「・・・真面目な君まで銀の悪い影響を受けたのか?」

256 : 高専(ネブラスカ州):2007/03/21(水) 01:45:58.26 ID:8c23gFghO
紅は教師と話していた。
教師「君は成績も性格もいいから、あんな落ちこぼれにつきあってやってるんだろうけど、ここまでやってやる必要はないんだ。悪い先輩に影響を受けるな。」
足元が崩れ落ちる気がした。
ずっと心の中で思っていた。
彼女は私を哀れんで、接してくれてるんじゃないか。
ずっと不安だったのだ。
私はどうせ不完全なジャンクと同じ出来損ない。
水銀燈と同じで孤独と絶望しかないんだ・・・


紅「勘違いはやめてほしいのだわ。」
教師「え?」
紅「私は私の意志で真紅を着ているのだわ。それに・・・」

紅「私の大切な友達を悪く言うのはやめなさい。」

・・・息が詰まる。喉が引きつる。
暖かな何かが頬へと流れ落ちた。

258 : 高専(ネブラスカ州):2007/03/21(水) 01:54:26.03 ID:8c23gFghO
教師「きょ、教師にそんこと言っていいのか!?」
紅「そういうことは少しは尊敬できるようになってから言いなさい。」
教師「後悔するぞ!」

紅「ふぅ…馬鹿の相手は疲れるのだわ。あら、銀?」
銀「・・・真紅」
紅「もしかして、見てた?」
銀「…なんのことかしらぁ?もしかしてあなた、みっともなく転んだりしたんじゃないのぉ?」
彼女は何も言わない。
ただやわらかく微笑んで、一言つぶやいた。
紅「さっき言ったことは本当よ。」
銀「なんのことかしらぁ。」
私はまたこみあげてくる熱い何かを必死に耐えた。

259 : 高専(ネブラスカ州):2007/03/21(水) 02:07:59.58 ID:8c23gFghO
あれから、私のまわりには人が増えた。
蒼星石になりたい女の子、なぜか翠星石の格好をしたかわいい男の子、他にもたくさんの賑やかな面々。
私はもう逃げない。
水銀燈をいいわけにして。
私が一歩踏み出せば、彼女達は待っていてくれるのだから。
だから私は、少しづつでも幸せになろうとする努力をしようと思う。
私は私の中の水銀燈を幸せにしてあげたい。
それが私が水銀燈であり続ける理由だから。

銀友「やっぱり、銀ちゃん変わったよ。前より近寄りやすくなった。」
銀「そうかしら?それは・・・」
女「待って、男くん!ご奉仕するからっ!」
兄「べ、べつにおまえのためじゃないですよ?」
紅「まったく廊下は騒ぐ所じゃないのだわ!聞いてるの、男?」
男「・・・蒼星石のマスターになれたらいいのに」
銀「あらあらぁ、ちょっと行ってくるわねぇ。」
銀友「銀ちゃん、なんかうれしそうだね。」
私は微笑む。
心からの笑みを浮かべる。
銀「ほんと・・・おばかさぁん。」

おわり

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最終更新:2007年03月29日 13:05