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夏も真っ盛りということで町の中心部で夏祭りが行われるらしい。
家の中でゴロゴロしているのも暇なので私はのりに連れて行ってもらうことにした。
ジュンは行かないらしい。
ジュンが部屋から出てしばらく経つ。
最初はちょくちょく部屋から出るだけだったが今となっては部屋に篭っている時間の方が少なくなっている。

「真紅ちゃ~ん、行きましょ~」

私はのりの車に乗り込んだ。先客がいるようだ。
私は誰なのかを尋ねた。

「私は草笛みつよ。真紅ちゃんってあなたのことだったのね。のりから聞いてるわ。」

彼女はのりが通っている大学のサークル仲間の草笛みつという人らしい。
綺麗な黒髪と眼鏡が特徴的な容姿は十分美人の範疇に入るだろう。
ただ夏なので頬を擦り付けるのはやめてほしい、鬱陶しい。

二人と共に私は一通り出店を見て楽しんだ後、中央にあるステージへ向かった。
どうやら町民が各々自慢の特技を披露しているらしい。カラオケを初めとし、早食い対決など色々なことをやっているものだ。
久しぶりに笑ったり、驚いたりなどが出来た。本当に久しぶりな気がする。

「次は可愛い女子高生四人組です!」

黒サングラスの司会がそう告げると四人の女子高生が出てきた。
みつが悲鳴に近い歓声をあげる、どうやら親戚がステージに立つようだ。
四人は楽器を持っていることからバンドをやっているようだ、なるほど、だからステージ後方にドラムセットがあったのか。

「それでは毎年恒例、薔薇乙女のみなさんに演奏してもらいましょう!」
「よっしゃ~いくですよ~!!」

長髪の活発そうな少女がスティックでカウントをとった。
ステージが吹き飛ぶような爆音が響いた。
私は頭の中が涼しくなるような感覚を覚えた。

「真紅ちゃん!!」

私を止めようとする声を振り切って私はステージへと駆け出した。
人ごみの中を掻き分け、隙間を掻い潜り、私はステージの上へと立った。
四人が驚いた瞳で私を見ている。当然だ、知らない人間がいきなりステージに上がってきたのだから。

「誰なんだ君は!」

ショートカットの少女が私に問いかける。私は視線を逸らさずに言った。

「演奏を続けなさい。」

ショートカットの少女は周りのメンバーに視線をやった。
銀髪の少女がウインクをするとショートカットの少女は溜息まじりに長髪の少女に言った。

「翠星石、もう一度頼む。」

夏の夜空に響く音色
甘い菓子に吸いよせられた蟻のように群がる人間たち
そしてその中心には5人の少女がいた
細い腕が叩く大地を揺るがす爆音、おとなしそうな容姿とはアンバランスな飛び跳ねる低音、二つ鍵盤から繰り出される空を華麗に彩るかのような音、天使のような少女が魅せる悪魔の音色
そしてその中心から発せられる七色の歌声
一年に一度の夏祭りは彼女たちのものになっていた




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最終更新:2007年10月20日 03:53