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桜の花も散り、季節は足早に夏へと向かっていっていた。

私は真紅。
誇り高き薔薇乙女のメインボーカルよ。

唐突だが、私達は最低でも週に1回、ミーティングを行うように心がけている。
……まぁ、ミーティングといえば聞こえはいいけれど、
実際には学校近くのサイ○リアでのんびりお茶をする程度のものだ。
それは今日も変わらないだろう。そう信じて疑わなかった。

金「私達もそろそろ実力派と噂されても過言ではないわ!」
翠「何をとち狂った事言ってるですか、このおば金糸雀は……。」
銀「あら、金糸雀。良い事言うじゃなぁい。確かに実力はあるわよねぇ私達。」
薔「…銀ちゃんがいうと冗談に聞こえない所が凄いよね。」
雛「真紅にだって負けないのよー!」

だが、その願い(?)は金糸雀の一言で大きく変わる事となった。

金「だからアルバムを作るかしら!!!」

銀翠雛薔「「「な、なんだってー!?」」」

紅「……ふざけるのはこの辺にして。金糸雀、どういう事かしら?」
金「どういう事もそういう事も無いかしら!アルバムを作るのよ!」
蒼「急にどうしたんだい??」

金「薔薇乙女も結成してそろそろ一年半よ!ライブもやったし次はCDを作る番だと思ったかしら!

銀「確かに一理あるわねぇ…。」
翠「か、金糸雀にしちゃ珍しくまともな発言です……。」
雛「金糸雀かっこいいのー!」

金糸雀の言う事はもっともだと思う。
私達がバンドを結成してから約1年半。これまで色々な事があった。
通称「時計屋」での初ライヴ、薔薇女文化祭でのステージライヴ。
結成1周年の頃には薔薇水晶の加入 などなど。

私達もそろそろ次のステップに進んでもいい頃ではないか――。

紅「……そうね。やってみるのも面白いかもしれないわ。蒼星石はどう?」
蒼「うん、僕もいいと思うよ。寧ろ僕もいつ言おうかと思ってた頃だしね。」
金「2トップの許しがでたかしら!アルバム製作決定かしら!!!」

銀「誰と誰が2トップですってぇ?」
薔「…私と銀ちゃん?」
翠「ふざけるなです!翠星石と蒼星石です!他は脇役ですよヒッヒッヒ!」
雛「主役は雛なのよー!!!」

紅「……結局こうなるのね。」
蒼「まあしょうがないよ。僕はもう諦めたし……。」
雛「どんなアルバムになるのー?」
薔「…ラヴソングいっぱい。照れるぜ銀ちゃん。」
銀「なんでこっちみて照れるのよ……。」
蒼「そうだね、一人一曲ずつ作ってくるなんてどう?」

蒼星石の言葉を聞いた瞬間、その場にいる全員が固まった。

蒼「え、ええ?僕なんか変な事いった?」
翠「い、いえ 言ってる事はもっともですけど……ねぇ?」
銀「そうねぇ。全部一人で作るのは骨が折れるわぁ。」
薔「…じゃあ一緒に。」
蒼「そ、そっか。どうしようかな……。」

といいながらこちらをみてくる蒼星石。

紅「え、私?そ そうねぇ……。」
どうして私に振るのだろうか。私だって得意というわけでもないのに。

紅「ま、まあこれから頂点を狙うんだもの。1曲くらい作れて当然だわ。」

翠「真紅がやたらと大きくでたですよ。」
金「今日の真紅は一味違うかしら……。」
雛「でもでも、あの表情は動揺してる時にする表情なのよ?」
紅「う、うるさいわね!」

紅「とにかく!一ヶ月で一曲は必ず作ってくる事!いいわね!?」
一同「「はーい。」」

それから一ヶ月後――。

ついに各自のオリジナル曲を持ち寄っての発表会となった。
いつものように薔薇女近くのサイ○リアに集まった私達。
席は勿論、いつもの窓際。もはや店側公認の指定席といっても過言ではないだろう。

蒼「じゃあ、そろそろはじめよっか。皆、ちゃんと作ってきたかい?」

はーい蒼星石先生、と声を揃えて返事をする薔薇乙女達。

紅「……ここは保育所か何かなのかしら。」

雛「誰から作ったお歌見せるのー?」
翠「そうですね、こういう場合は1番から順番にいくのが筋ってもんです。」
銀「あら、私は別にいいけど?でも私の次に見せる人がちょっと可哀想ねぇ。」
薔「…私は何番でもいいよ。」
金「こういう場合はリーダーからみせるものかしら!」

蒼「え、ぼ、僕から?」

その場にいた全員の視線が蒼星石のに釘付けになる。

蒼「別にいいけど……、笑ったりしないでね?」
銀「当たり前よぉ。批評はしても笑いはしないわぁ。」
雛「ヒナもヒナも!蒼星石の作ったの楽しみなのよ!」

蒼「じ、じゃあ僕はこういう感じの歌を作ったよ。」

そういって2枚の楽譜をテーブルに置く蒼星石。

桜咲き誇る あの坂道に響くストローク 
今はまだ 名前の無い歌 

「私は夢を叶えたい」 街を出て行く夏の朝 
駅のホームで手を振り見送る 二人の姿が霞んで見えた 
初めて手にしたボロギター 一心不乱に掻き鳴らす 

あの高い空 真夏の日差しが照りつける 
今はまだ 名前の無い歌 
雨に濡れても 笑いながら歌い続けた 
今も尚 名前の無い歌 

語るだけの夢ならば 誰もが皆描いている 
私は今でも諦めていない どれだけ涙を流したとしても 
分ち合ったあの時を 胸に抱いて前を見る 

雪の降る夜 人ゴミに流され消えていく 
今はまだ 名前の無い歌 
悴む指先 雑踏に踏まれて消えていく 
今も尚 名前の無い歌 

「私は夢を叶えたい」 この気持ちだけを貫いて 
あの日の朝を思い出す 私の声は届いているか 

桜舞い散る あの坂道に響くストローク 
これからも 名前の無い歌 
月日は巡り 私は今も歌い続ける  
その歌の名は 名も無き歌 

蒼「前に雑誌で読んだ話をもとに作ってみたんだけど、どうかな?」

蒼星石は少し照れながら皆の反応を伺う。

銀「な、何よこれ、普通に凄いじゃない……。」
翠「蒼星石!こんな歌を作れるなんて姉として鼻高々ですよ!」
金「なんかとてもドラマチックな歌かしら……。」
雛「蒼星石すごいのー……。」

蒼「そ、そうかな。なんか照れるな、こういうの。」
紅「そうね、蒼星石らしい真っ直ぐでとても素直な歌だわ。」
薔「…路上ライヴする人の歌?」
蒼「そうだね。地方から上京して夢を追いかけていく人達の歌って感じかな。」

蒼「じゃあ、次は誰が出すの?」

蒼星石の言葉に固まる薔薇乙女達。
なんだか一ヶ月前にもこの光景をみた気がするのはきのせいだろうか。

翠「そ、そうですね……。」
金「だ、誰かしら?」
薔「…私はいつでも。」
銀「私もよぉ。」

雛「じゃあじゃあ、次はヒナが作った歌を見てほしいの!」


最終更新:2006年06月08日 02:28