Music ピコピコ 氏
水、普段なにげなく我々が口にする水は全ての生命の母とも言えよう。
数十億年前にこの星が生まれ、生命を育んできたのも一重に水のおかげと
言っても言い過ぎではないだろう。それに水は清流、透き通った湖と姿形を
変え、現代ストレス社会に生きる我々に癒しの面でも大きな役割をもっている。そんな湖に人気ロックバンド、ローゼンメイデンは少ないオフを利用して遊びに来ていた。
緑濃き山々に囲まれ、目覚めは小鳥の愛らしい歌声、朝食はマーガリンを
たっぷり塗った厚いトーストにサラダ、そしてカリッと焼いたベーコンと
スクランブルエッグ。日常の忙しさから開放されたローゼンメイデンの
メンバーはゆっくりと過ぎていく時間を湖畔にある高級ホテルで過ごしていた。
「それにしも何にも無い所ですぅ~、湖に探索に出かけるですよ」
さすがに彼女達にとってこの静かな湖畔で3日もいれば多少は時間を持て余して
しまう。活動的な翠星石は本を読む真紅と
ノートPCで世界のオカルト情報を
漁っている金糸雀を無理やり湖に連れ出して探索を始めた。
「どーです、この清々しさ。部屋にこもって本やPCいじってるのは
もったいねぇーですぅ」
「そうね、翠星石のいうとおりだわ。所でなにキョロキョロしてるの
金糸雀?」
この山深き神秘的な湖畔、水木しげるが紹介する妖怪の姿を目撃できないかと
探っていたとは言えない金糸雀は笑ってごまかす。
「さ、さっき大きな魚が跳ねたからビックリしてただけかしらぁ~」
大きな魚、その言葉に翠星石は反応する。そう、何を隠そう翠星石は見た目
からは想像できないが釣りが大好きであった。
「どこです、どこで跳ねたですかッ!」足早に湖に向かって駆け寄る翠星石の
後をついていく真紅と金糸雀。その時、真紅は湖面にある異様な変化を
発見した。
「見て、アレは何なの?」驚き指差す方向を見る翠星石と金糸雀。
それは岸から離れた湖面に姿を現すと信じられない速度で泳ぎさっていった。
(NGワード・UMA。ヤツラはこんなにも早く泳げるのかぁ?)
「ウナギですぅ、それもとびっきりでかい大ウナギですぅ~!?」
バカな、あんなに巨大なウナギなど生息している訳がない、しかもウナギ
があんな速度で泳げるはずがない。あれはどう見ても・・・。
「いいえ、あれはアザラシのタマちゃんなのだわ」金糸雀はわが耳を疑った、
どう見たらアレをアザラシと見間違うのか。
そんな2人の言葉に驚きつつも金糸雀は湖で目撃した驚愕の事実を日記に記していた。
9月24日(月曜日)
今日みた事実が幻でもなく夢でもないならこれからの生物学の常識は
無残にも打ち砕かれてしまうだろう。そう、シーラカンスが6500万年前に
絶滅とされていた常識が壊れたように。私はこの目で目撃したものを幻や
見間違いではなくこの21世紀の現代に生きる一つの生物として信じていたい。
そしてこの湖を調べて来年、フランスで行われる未知動物学会に報告する
つもりである。
そう、これから私はバンド活動で得る収入の大半を使ってでも世界にある
数多くのミステリーの謎に挑んでいくと決意した。そのために、まずは真紅
に支払われるギャラを誤魔化さなくてはならない。
そう日記に書き終えた金糸雀はホテルから眺める透き通った神秘的な
湖をベランダから望遠鏡を片手に観察を始めた。
その一方、翠星石は滞在中ずっと大ウナギを求めて釣り竿を握り、真紅は
アザラシがいつ出てきてもいいようにホテルの厨房から貰ったイワシを
バケツいっぱいに持ち、ずっと湖の桟橋でいるはずもないアザラシに
向かって鼻歌で呼びかけていた。
「ルゥルルル~、ルゥルルルルルゥ~」
その真紅の鼻歌は金糸雀の耳にも届く。そして桟橋で湖面を見つめる
真紅を見ながら金糸雀は「真紅はどこか間違っている」と思っていた。
最終更新:2008年04月05日 13:19