アットウィキロゴ
                 Prologue 

私は今、パソコンのディスプレイと向き合い、時たま、キーボードから文字を打ち込んでは、すぐバックスペースを押すという行為を繰り返している。

…おっと、唐突な始まりで申し訳ない。
私の名は白崎。出版社で音楽雑誌のライターをしている。

この度、この音楽雑誌が創刊から10周年を迎えることになった。
私は創刊当時から携わっていたわけではないが、自分の担当する雑誌が10年目という節目を迎えたことに、
改めて読者への感謝の念を感じずにはいられなかった。
編集部全体でも、それぞれ立場は違えど私と同じような想いを心に抱いた人間は多かったようだ。
“このまま100周年目指すぞ!"と言わんばかりの、活気とやる気に満ち溢れた空気に部内は包まれている。

しかし、私は今いきなり壁にぶち当たった。
記事が書けないのだ。一体何を書けばいいのか分からない。

何の記事か?
これは10周年記念特別号の記事である。
10年の間に特に雑誌に貢献してくれたアーティスト達を担当する(もしくはしていた)記者が当時の写真などと共にアーティストの軌跡を振り返るという記事。
言わば総集編のような特別記事を書くことになった。

ここで1番気になるであろう、私は誰の記事を書こうとしているのか。
やっとここで、話がスレの趣旨に合うことだろう。

そう。今や、日本どころか世界までをも天下にしようとしている、美少女6人組実力派バンド「Rozen Maiden」である。

彼女達にはインディーズの頃から度々雑誌に登場してもらっていた。
それが今では、登場するとなれば必ず編集長が表紙にしたがる程だ。

思えば彼女達との付き合いも長い。
半端な記事を書くつもりは微塵も無い。むしろ、今までのライター人生の中で一世一代の仕事だと言っても過言じゃないと思っている。

なので、彼女達の結成から今までの軌跡をただ連ねるだけのような記事は書きたくない。
そんなことはRozen MaidenのHPにある“Biography"を見れば分かることで、私が書くべきことではない。
私が出逢ったインディーズの頃からの、私が見たありのままの彼女達を書くべきだ。

私はパソコンの前で前屈みにしていた身体を、後ろに倒して背もたれに寄り掛かる。

「ふぅ………」

注がれてから30分程デスクに放置していたブラックコーヒーの存在を思い出して、私はカップを手に取り口に運んだ………
当然、見事に冷め切っていたのは言うまでもない。

そういえば、彼女達Rozen Maidenの存在を初めて知った時も、こんな冷えたコーヒーを飲んでいたような………


最終更新:2006年11月06日 22:57