ローゼンメイデンのメンバーは今日もスタジオで練習する……予定だった。
銀「皆遅いわねぇ……」
紅「そうね、約束の時間を5分も過ぎているわ」
そのとき、一人がスタジオに駆け込んできた。
紅「あら、雛苺、おそかったわね」
しかし雛苺は真紅の声など聞こえていないかの如く
雛「しんく~、すいぎんと~う、ヒナをかくまってなの~」
銀「あらぁ、それはいいけど何があったのぉ?」
自分達の後ろに隠れる雛苺に聞く。
と、同時にドアが開いた。
翠「チビ苺ォォォォ!!どこにいるですかっ!!」
我らがトラブルメーカーこと翠星石登場。
蒼「ちょっと翠星石、落ち着いてっ!」
それを止めるのは彼女の役目、蒼星石登場。
紅「貴方達、一体どうしたの?」
翠「どうしたもこうしたも無いですぅ、オバカ苺の奴がぁぁぁぁ!!!」
二人の後ろに隠れている雛苺があからさまにおびえている。
銀「一体なにがあったのぉ?」
水銀燈はこの場で一番落ち着いているであろう蒼星石に聞く。
蒼「え~っと、僕達の道具がね……」
銀「ベースとドラムセットがどうかしたのぉ?」
翠「そっちじゃないです!!」
この二人の道具で楽器じゃないとすれば……。
紅「庭師の道具ね……」
翠「そうですっ、スイドリーム!!」
翠星石の人工精霊が翠星石の周りを飛ぶと、翠星石の手に庭師の如雨露が現れる、が少し変だ。
ノズルから取手まで数本の糸が張ってある。
これはまるで……
金「胡弓かしらぁ!」
全員「居たの~(ぉ ですかっ だわっ かいっ)!?」
金「この扱いはいくらなんでも酷いかしら~」
翠「で……、どうしてくれるですか、このオオボケ苺!!」
雛「雛は悪くないもん!翠星石が雛のうにゅーを!!」
蒼「翠星石……君まだそんなことを……」
紅「まったく、小学生からやることが変わってないのだわ。」
翠「そんな!!皆して翠星石を疑うですか!?」
他の皆が翠星石と雛苺の言い分をそれぞれ聞いている間に
薔「……(皆楽しそう)……?(何?これは)」
スタジオに入ってきてもだれも気づかない薔薇水晶。
彼女はそこにホッポリ出された庭師の如雨露を見つける。
薔「……♪」
ポロン
指で弦を弾く。
どうやら雛苺が張った弦はギター用の弦だったらしい。
(なんでそれを雛苺が持っていたかはこの際触れない)
チューニングがあってないとはいえ、綺麗な音がする。
銀「あらぁ、薔薇スィーじゃなぁい、いつからいたのぉ?」
薔「少し前……。……これ……誰の楽器?」
蒼「楽器じゃないよ、薔薇スィー」
翠「翠星石の如雨露です!!」
薔薇水晶が翠星石の逆鱗に触れたのではと心配する蒼星石。
それをよそに薔薇水晶は弦をもう一度弾く。
ポワーン
今度は弦の上で指を滑らせながら、要するにグリスして。
紅「あら、なかなか興味深い音がするわね」
翠「翠星石の如雨露を楽器にするなです!!」
薔「金糸雀……弓を……貸して?」
金「はいかしら、でも何を……」
金糸雀がいい終わらないうちに薔薇水晶は如雨露の弦に弓を当てる。
♪フワーン ヒュイ フワワ―ン♪
チューニングのしようが無いこの物体(敢て楽器とは呼ばない)で、薔薇水晶はスケールを一発で当てて即興でフレーズを弾いて見せた。
銀「綺麗な音色ねぇ」
紅「えぇ、この音色は……」
弓が引いているのは普通は引かないギターの弦。
その弦が共鳴させるのは普通ではありえない如雨露。
それはエナメル線を使った糸電話のような違和感で、それでいてどこか懐かしい響きだった。
蒼「なんだろう、いつも聞いていたような音だね」
雛「でも初めて聞く気もするの~」
まぁ、実際初めてだから雛苺は正しい。
翠「当然ですぅ、翠星石自慢の如雨露ですから~」
薔「♪~♪~」
自分の鼻歌に合わせて引く薔薇水晶。
翠「って、音色に騙されるなです!如雨露を返せです!!」
薔薇水晶から如雨露を取り上げようとする翠星石。
彼女にとって自分の分身である如雨露が彼女の意志に反し、それ以外の役目でつかわれているのだ。
取り上げたくなる気持ちはわかる。
薔「♪~ラプラス・ザ・ラビット~♪」
鼻歌交じりに彼女がその名を呼ぶ。
薔薇水晶の隣に立つように兎頭の紳士が現れ翠星石を止める。
蒼「幽波紋(スタンド)能力!?」
翠「他スレの作者様の作品から出てくるです!!!」
驚く蒼星石とそれ以上前に進めない翠星石。
パクリと罵られようと作者は(書くのを)やめない。
ラ「命は音色、音色は命、今彼女はその如雨露を生かしている」
蒼「うわ、スタンドが喋った!?」
翠「ちゅーか私達にスタンドが見えるわけねーです!!」
ラ「確かに私は"すたんど"なる人とはちがいますよ」
確かに翠星石と蒼星石はスタンドを持っていない。
が、しかし現に見えている。というか会話が成立した。
ならこの兎は一体……。
ラ「あぁ、私は気まぐれな時の旅人ですよ」
雛「答えになっていないの~」
ラ「まぁ、とりあえず生命エネルギーではありません」
紅「そう、なら思い切り殴り飛ばせるのだわ」
真紅はマイクを持った手に薔薇を集める。
薔「……その人は……我が家の……執事……」
金「つまり槐社長宅の黒子頭かしら!!」
喋りながらも弾き続ける薔薇水晶(初めての楽器だから結構高テク)に金糸雀が付け加える。
そう、薔薇水晶は槐社長の娘です。(血縁はご妄想にお任せします)
全員「……居たの~(ぉ ですかっ だわっ かいっ …… ですね)!?」
金「そのネタさっきも使ったかしら~、というかラプラスさんまで~」
蒼「いや、地味に今までどこにいたの?」
翠「この翠星石たちがスタンドと勘違いして騒いでいた時にです!!」
金「ずっとここに居たのかしら!!!」
ラ「おや、見えませんでした、これは失敬」
金「あぁ、カナってそんなに影が薄いかしら……(泣」
金糸雀は己の影の薄さを悔やんだ。
が、同時に彼女は先程から薔薇水晶が出している音色の有効利用方法を考えていた。
金「そうかしら!!」
銀「ちょっとぉ、イキナリどうしたのよぉ?」
翠「ついにバカリアが壊れやがったです!!」
金「誰がバカリアかしら!」
翠「ならヘタリアですっ」
金「なんで某国擬人化漫画になるのかしら!!」
蒼「まあまあ、二人とも落ち着いて」
翠「……まぁ、いいです。今日は許してやるです。」
金「カナも引いてあげるかしら。それより聞くかしら!!」
金糸雀のデコが光る。そのまぶしさに皆は目をつぶる。
金「薔薇乙女一の頭脳派、この金糸雀が楽してズルして新曲完成かしら!」
金糸雀はそういいながら薔薇水晶と如雨露を指差す。
突然のことで固まってしまう薔薇水晶。
金「ずばり新曲は薔薇水晶と如雨露フューチャリングかしら!!」
全員「そんな馬鹿な!!」
金「全員そろって某約束の島に送還された高校生の真似かしら」
山田「ハックショーン!! 誰かボキのことを……」
それは無い。
翠「絶対におかしいです!!」
蒼「そうだよ、いくらなんでも……」
やはり庭師姉妹は反論する。
そりゃ、自分自身の分身を気軽に使われたくはないだろう。
翠「その如雨露は翠星石のものですから翠星石をフューチャリングするです!」
雛「そっちなの~?」
紅「さすが目立ちたがりなのだわ」
銀「第一貴方ぁ、弦楽器なんてつかえないでしょぅ」
翠「それを言うなら薔薇水晶だって……あれ?」
蒼「なんで薔薇水晶は如雨露で音を奏でられるの?」
全員の視線が薔薇水晶に注がれる。
ラ「お嬢様は昔クラシックと民族音楽の融合に走られまして……」
薔「楽器は……ドラム以外……オーケー」
ビシッと親指を立てる薔薇水晶。
銀「薔薇スィー貴方ァ……さりげなく職人だったのねぇ……」
雛「薔薇しーすごいの~!!」
紅「……だそうだわよ」
感心している蒼星石の隣で地団駄踏んでいる翠星石に真紅は微笑む。
翠「……しかぁぁぁし!!薔薇しーはドラムがたたけないです!!」
銀「……だからぁ?」
翠「その如雨露をドラムセットの一部にすればいいです!!」
蒼「……あのさ、翠星石……そんなことしたら」
金「如雨露がぼろぼろになるかしら~」
翠「はう、そこまでは考えてなかったです、不覚ですぅ」
頭を抱える翠星石。
こうなると彼女は論戦を繰り広げられない。KOだ。
薔「不覚……深く反省……フッ」
自分で言ったギャグに自分でフく薔薇水晶。
場の体感温度が2度下がった。
銀「薔薇スィーおちつきなさぁい」
ラ「寒いですよ。お嬢様」
薔「そんな……ラプラスまで……(泣)」
金「気を取り直して、早速録音開始かしら!!」
凍りついた場の空気を珍しく読んだ金糸雀が口を開く。
蒼「そ……そうだね、で、どんな感じの曲?」
金「ずばり これかしらぁぁぁぁ!!」
金糸雀が取り出したのは
彼女がさっき作った歌詞と以前から用意していたメロディーだった。
金「こんなこともあろうかと、前々からメロディを準備しておくなんて
あぁ、カナってば天才かしらぁ!」
翠「偶然ですっ!というかおバカ苺に感謝するですぅ」
銀「確かにぃ、彼女の悪戯がなければ永遠に日の目を見なかったわねぇ」
金「うっ……それも予想の内かしら!!」
蒼「そんな滅茶苦茶な……」
全員が金糸雀に呆れている中、一人だけ違う反応を見せた人がいた。
薔「で……どんな感じ?」
紅「あら、薔薇水晶、アナタが乗り気なんて珍しいのだわ」
薔「……(ニコッ)」
翠「薔薇しーが笑ったですぅ!?ありえんですぅ!!」
雛「雛も久しぶりにみたの~!」
蒼「二人とも……そういう言い方はどうかと……」
金「とりあいず聞いてみるかしら!!」
彼女はMDをプレイヤーにセットする。
スピーカーから静かな旋律が流れ出す。
『庭師の夢』 作詞作曲 金糸雀 歌い手:真紅 コーラス:全員
(如雨露によるイントロ)
庭師の夢は春の夢 雪解け水は命水
翠の木葉に包まれて 私は貴方を夢見るの
あなたの心の成長を いつも少し手を貸すの
挫けそうなら呼んでみて 心に栄養与えます
あぁ健やかに伸びやかに あぁ健やかに伸びやかに
(翠星石台詞)私の如雨露を満たしておくれ 甘いお水で満たしておくれ
庭師の夢は春の夢 春一番はカマイタチ
蒼の空から舞い降りる 私は貴方を夢見るよ
あなたの心の成長の 助けを少ししてあげる
あなたに絡むしがらみを 切り裂きあなたを守るから
あぁ伸びやかに健やかに あぁ伸びやかに健やかに
(蒼星石台詞)アナタがそれを望むなら 僕はそれを叶えたい。
(間奏 ギターと如雨露の掛け合い)
あぁ伸びやかに健やかに あぁ健やかに伸びやかに
あぁ伸びやかに健やかに あぁ健やかに伸びやかに
あぁ伸びやかに健やかに あぁ健やかに伸びやかに
(フェードアウト)
金「……で、どうかしら?」
しばらくの沈黙の後、最初に声を出したのは水銀燈だった。
銀「金糸雀ぁ、結構いいじゃなぁい!」
紅「面白そうじゃない、私は賛成だわ」
翠「翠星石と蒼星石に台詞を用意したのは中々の仕事です!」
蒼「いや……僕らの台詞は無いほうが……」
翠「(ギロリ)」
蒼「(ギクリ)いっ……いや、なんでもない……」
蒼星石をひるませた翠星石、もはや敵なしか!?
金「じゃぁ早速録音するです!!」
銀「ギターソロはどんな感じがいいかしらぁ?」
翠「適当です!」
雛「翠星石はお気楽さんなの~」
翠「なんか言ったですかぁ?このチビ苺がぁぁぁぁぁ!!」
紅「ちょっと、録音前に騒ぐのはやめなさい!」
真紅はカップを傾ける。
銀「こんな時に紅茶飲むのぉ?」
紅「あら、アナタこそそのヤク○トをどこかにやりなさい」
銀「乳酸菌を馬鹿にするつもりぃ?」
真紅と水銀燈は今にも杖と剣で戦いはじめそうだ。
そんな中、一人淡々と録音準備を始める薔薇水晶。
薔「…………楽しい……」
しかし彼女達はこの後に待つちょっとした問題に気づかずにいた。
最終更新:2007年03月29日 23:51