Story ID:/IeufyLU0 氏(12th take)
(session)
Music ID:/IeufyLU0 氏(12th take)
「・・・・・あら?これは・・・・」
夕焼けの差し込む教室。
水銀燈は一冊の
ノートが金糸雀の机の下にあるのを見つけた。
金糸雀が落としていったものなのだろう、丁寧に名前が油性マジックで書いてある。
「楽譜じゃない」
水銀燈のパートであるギターは五線譜を使わない。
中学の授業以来、タブ譜以外の楽譜なんて見た記憶がなかった。
ぱらぱらと捲ると、最初の数ページにだけ音符が書き込まれているほかは空白のようだ。
水銀燈は金糸雀の机の中にノートを入れようと―――
翌日。
「うぅ、とんだ失態かしら・・・あのノートを忘れるなんて」
見るからに落胆した様子で、金糸雀は教室の扉をくぐった。
教室の中を見回すと、例のノートは自分の机の下に置き去りにされている。
「誰にも取られてない・・・良かったかしら~」
一件落着。
ノートをバイオリンケースの間に挟み、机の横にかける。
と、水銀燈が机に突っ伏して眠っているのが見えた。
(こんな予鈴前に水銀燈がいるなんて、珍しいこともあるものかしら)
放課後、金糸雀はバイオリンを抱えたまま、鞄を取りに教室へ向かっていた。
今日はバンドの練習もなく、あとは家に帰ってだらだらするのみ。
いつもの忙しさが嘘のようである。
と。
「・・・・んん~?」
ロッカーから鞄を取り出し、ふと耳を澄ます。
教室から、エレキギターの音が漏れてきている。
聞き覚えのあるメロディを、1フレーズだけずっと繰り返しているようだ。
(・・・・・って、この曲・・・・!!)
金糸雀は鞄を投げ出し、バイオリンをケースから引っ張り出すと、教室の扉を勢いよく開け放った。
そこには、水銀燈が夕焼けを背にギターを弾いていた。
金糸雀に気づくと、ふふっ、と笑っただけで演奏を止めようとはしない。
慌ててあのノートを開くと、そこには書いた覚えの無い『続き』が書き込まれていた。
途切れたメロディのあとに、ボールペンで書かれた下手くそな音符が並んでいる。
「・・・・・水銀燈、」
バイオリンを肩に当てる。
水銀燈のメロディに音を重ねていく。
自分の頭の中だけにしかなかったイメージが、現実となって押し寄せてくる。
1フレーズを弾き終わると、水銀燈は踵で床を叩いてタイミングをとった。
・・・・・・・・・・2人のセッションが終わる。
こんな短くて無茶苦茶な曲をセッションと呼ぶかどうかは分からないが、
何か言葉では言い表せないものだけが胸に残った。
「金糸雀、貴方上手いじゃないの」
「とっ、ととと当然かしら!私を誰だと思って・・・」
「はいはい、Rozen Maidenいちの策士様でしょぉ。ふふ」
「わかってるならいいのかしらっ!・・・・も、もう帰るかしら」
「そうね・・・・あ、あと金糸雀ぁ?」
「何かしら?」
「楽譜、ゴメンね」
そう言うなり、水銀燈はさっさとギターを抱えて教室を出て行ってしまった。
「ま、待つかしらー!」
fin
最終更新:2008年04月05日 10:51