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RED STONEシリアスシリーズ-4


1

748 名前: 名前がない@戦士のようだ 投稿日: 2005/09/05(月) 19:36:50 [ hNlLsBE2 ]
 >>735-737
第一章終わりましたね、なかなか複雑な人間模様ですな

 >>747
お疲れ様です、毎回楽しみに見ています
こちらも山場ですな

RED STONEシリアスシリーズ
第十二回 銀の龍
目が覚める、ベッドから起き上がろうとすると背中に痛みが走る
龍と戦ったことを思い出す、夢でなかったのだ
そして気がつく、自分が見知らぬ部屋に居ることに
森の中で倒れたはずなのだ、ひびの入った石で出来た壁
調度品は何もなく、生活のにおいが感じられない
ゆっくりとベットから抜け出して立ち上がる
足がとても重たかった、そして派手に転んでしまう
背中に痛みが走り、思わず呻く、ベットに戻って腰掛ける
少し深呼吸して頭をはっきりとさせる、ここはどこだろう?
自分に問いかける、答えはすぐに出た
女が部屋に入ってきたからだ、孤児院の女だ
女と目線を合わせる、気まずい空気が流れる、女が大丈夫?と尋ねる
死にそうだよ、と無理矢理笑いながら答えると、女が少し微笑む
正直助かったよ、と言う彼女は何を言っていいのかわからないみたいだ
何で森の入り口で倒れてたの?と彼女が聞く
竜退治してたんだよ、と答える
ふうん、と少し不機嫌そうな声で言う
本当だよ、と言って真面目な顔をして女を見る
何で俺を助けたんだ?あんたの敵だぞ?と言う
まぁ放っておけないしね、と言う
そうか、と言って天上を見上げる、女は食事を持ってくると言って部屋を出た
じっと天上を見上げる、ふと龍との戦いで手に入れた宝石と剣を思い出す
部屋を探して鞄を探し出す、鞄から宝石と剣を取り出して、色々な角度から見てみる
直径5センチくらいの六角形をした青い宝石で、今まで見てきたどんな宝石とも光り方が違った
30センチ位の鞘から剣を抜くと1メートルくらいの綺麗な剣が出てくる
よく見てみると、剣の柄の部分に、ちょうど宝石と同じ形のくぼみがある
なんとなく宝石をはめてみると、剣が青白く光りだして形を変える
長さはだいたい2メートル、見た目よりも重さは無く、普通の両手剣よりも少し軽い
剣は青白く光りながら白い霧を少し放出している
剣身には銀色の龍が描かれていて、さっき戦ったものと良く似ていた
俗に言う魔法剣、架空の存在だと思っていたが、大層な代物だと思った
何かが起こり始めている、そんな気がした

2

766 名前: 名前がない@戦士のようだ 投稿日: 2005/09/06(火) 19:46:14 [ hNlLsBE2 ]
 >>748の続き

銀の龍が描かれた剣をほんの少しだけ振ってみる
狭い部屋なので壁に当たらないように気をつけなければならない
二、三回振ってみると何故か疲れが急に出てきた
もしかすると、呪いのようなものがあるのかもしれない、それ位非現実的な剣なのだ
ありえないことは無い、剣を鞘に仕舞う、そしてベットに横たわり天井を見上げる
故郷の孤児院に良く似たカベだった、石造りで冷たくて切ない壁だった
急に心細くなって泣きたくなってくる、何かが心の琴線に触れて悲しい音色を出すことがある
昔、一人の女の子が居た事を思い出す、年は同じで一緒によく話をしていた
村の葡萄畑を治める家の一人娘だった、身分は違って周りは少女から俺を遠ざけた
それでも、色んな所で色々な話をした、でも全ては焼き払われてしまったのだ
急に涙が出てきた、涙なんて出尽くして枯れたと思っていた
女がコーヒーとパン、目玉焼きを持ってきて部屋に入ってきた
顔を背けて涙をぬぐう、女が怪訝な顔をするが何も言わない
黙ってコーヒーを飲んでパンを食べる、悪くは無かった、どちらも俺が居たところよりも上等だった
全部食べ終わって、ご馳走様、と言う
女が美味しかった?と聞いてくる、美味かった、と答える
「ねぇ、何でさっき泣いてたの?」
「昔のことを思い出したんだよ、故郷の事を」
「その話興味があるな、聞かせてくれる?」
嫌だ、と言うとムッとした顔でこちらを見る、そしてその顔が故郷の少女の表情と似ていることに気がつく
少し天上を見る、そして新たに注がれたコーヒーを飲んで語り始める
「昔、スマグとブリジヘッドの間に小さな村があった、誰も名前なんて知らないような村だよ
俺はその村の孤児院で育ったんだ、寝ぼけたような村でな、人は少ないし
孤児院は小さくて汚かった、一日中腹を減らしてたし、村自体に活気が無かった
村に比較的大きいブドウ畑があってな、ふとしたことで畑の地主の娘と親しくなったんだ
俺と、ブドウ畑の娘と孤児院の唯一の親友と、よく遊んだんだ
そのうち親友は養父に引き取られてブルネシュティングに行ってしまったんだ
確か俺が15歳の時だ、あの頃が平和で幸せだったと思う
でもな、ある日川で魚釣りをした帰りに、村が焼かれていたんだよ
沢山の兵士達が村を焼いて、人を殺して、皆殺しだった、あの少女も殺されていたし
孤児院も焼き払われていた、俺も兵士の剣で斬られたよ
まぁ俺は何とか助かったんだ、それから・・・・・俺は復讐だけをするために生きてきたんだ」
最後の言葉に力を込めて言う、そしてコーヒーを飲み天上を見る
大変だったんだ、と女は言ってコーヒーを飲む
沈黙が続く、女が食器を持って部屋を出る
「傷が治りきってないから寝たほうがいいわよ、おやすみなさい」
ああ、と言ってベットに横たわる
いつの間にか、日は暮れている、夜だった

3

767 名前: 名前がない@戦士のようだ 投稿日: 2005/09/06(火) 20:00:11 [ hNlLsBE2 ]
少し目を閉じる、何も考えない、なんだか頭がざわつく感じがする
耳鳴りも少し聞こえる、疲れてると思う、目を開ける
いつの間にか寝ていたようだ、人がおきている気配は無い
おそらく2時くらいだろう、だれも起こさないように静かに部屋を出る
鞄からマッチを取り出して、玄関を探す
古びた扉を見つけ、そこから外へ出る。月も出てない、本当の夜だった
とりあえず、シーフギルドへ向かう、近道をするために森の中へ入る
5分ほど森を歩いてから気がつく、いつもの森と気配が違う
何か居る、気配を感じる、ベルトに繋げていた魔法剣の鞘を少しずらし
歩きながら手を鞘に当てる、しばらくすると周りの木々がざわめく
前のほうに何かの気配を感じる、人間ではないと思う
人の形をした何か、そしてモンスターよりも邪悪だ、禍々しい威圧感がある
足を半歩ほど開き、居合いの構えに入る、何かがゆっくりと近づいてくる
居合いの間合いに入った瞬間、刀を抜き斬りつける
手応えは無い、目の前に気配も無い、代わりに四方八方からうなり声が聞こえてくる
なかなか厄介な事になった・・・・・・・・

4

777 名前: 名前がない@戦士のようだ 投稿日: 2005/09/09(金) 20:50:53 [ hNlLsBE2 ]

RED STONEシリアスシリーズ
第十三回 真冬のカラス

四方八方から向けられる殺気と唸り声
何かが一匹森の中から飛び出してくる、首筋に食らい付こうとするそれを剣で切り捨てる
その正体は狼だった、毛は赤い色をして大きさは小熊程もある
後ろに気配を感じて振り返ると、人のシルエットをした何かが立っている
月が出てきてぼんやりと輪郭が見える、髪は長く、ローブのような物を羽織っている
何かが口を開いて呟く
「脆弱な人間、その剣を置いて立ち去れば、命は見逃してもいいぞ」
ふん、と鼻で笑い、声の主の方向に唾を吐く
命が要らぬか、と何かが言う、それには対応せずに脇構えで剣を持つ
少しすると一斉に狼が飛び掛ってくる
後ろに下がりつつ、間合いに入った一匹を仕留めてすぐに移動する
リズム良くスッテプを踏みながら、左右に移動しつつ狼を切り捨てるが数が減る気配は無い
人の姿の何かは一切手を下さずに、余裕の表情で見ている
鞄の中から丸薬を取り出し噛み砕く、体が少し熱くなる感覚
そして、身体能力と魔法能力を最大限生かすためにリミッターを外す
世界が急激に遅くなり、五体が融通無碍を得る感触
臍下丹田に力を込めて、5人に分身した自分が剣を振るう
さらに意識を集中させて分身の数を増やし、人の形の何かに一斉に突きを入れる
突きが全て当たった、だがそれに苦痛の表情は無い
雲と霧が晴れ月明かりで、それの全貌が明らかになる
ヴァンパイア、恐ろしげな牙と爪、青白い肌、道理で突きが効かないのだ
ヴァンパイアを殺す方法はただ一つ
首を胴体から切り離すだけだ
分身を消して辺りを見回す、狼の姿は無く、死骸や飛び散った血さえない、魔法の一種だろう
剣を青眼に構える、相手は余裕の表情で無造作に間合いを詰めてくる
一瞬視界から相手が消える、後ろに気配を感じて振り返るが、鋭い爪の一撃を受けて倒れこむ
不意打ちを食らって倒れるが大した威力ではない、舐めているのか、なぶるつもりなのか
どちらか知らないがその油断を後悔させてやる、そんな気持ちが頭に広がる
倒れたまま分身を生み出し、鞄からカラスが書かれた刺青を出して背中につける
ウィンタークロウ、かつて賞金稼ぎとして悪党を震撼させた男に戻る
背中から刺青の魔力が広がり、分身を使用する負担が減る
魔力が全身に広がったのを確認してからゆっくりと立ち上がる
攻撃してこないのは油断からだろう、ゆっくりと振り向いて剣を構える
ヴァンパイアは無造作に間合いを詰めてくる、そして一瞬視界から消える
背後に気配を感じるが今度は振り向かない、変わりに封印していた翼を背中から出す
一撃を翼で阻み、分身で吸血鬼の腕を叩き切る
吸血鬼の顔に戦慄が走るが気にせずに首に突きを入れる
声にならない叫びを上げながら吸血鬼は倒れる
剣を鞘に戻し、翼を封印してから刺青を取り出す、魔法で封印してから鞄に片付ける
念のため、吸血鬼の頭を踵で砕き、それから森を出る
東の空にはすでに朝焼けが広がっていた

続く

5

793 名前: 名前がない@戦士のようだ 投稿日: 2005/09/10(土) 15:28:39 [ hNlLsBE2 ]

RED STONEシリアスシリーズ
第十四回 選んだ

朝焼けが綺麗だ、ブリジヘッドは海に囲まれているので、太陽が海から出てくる
シーフギルトのアジトに帰る、久しぶりに来たが雰囲気は変わっていない
自分の部屋に戻り、ウォッカ、ライムジュース、コアントローをガラス棚から取り出して
KAMIKAZEというカクテルを作る、朝から酒を飲むのもアレだが他にすることも無い
窓から外の景色を見る、秋の影も薄れて冬の足音が聞こえてくる景色だった
グラスに三杯ほどKAMIKAZEを飲むが酔いが回ってこない、なんとなく剣を鞘から抜いて眺める
30㎝ほどの鞘から2mほどの長剣が出てくる、銀の刀身には昇り竜が彫られている
剣からは微弱な冷気が感じられ、遠くから見ると剣から霧が出ているのがわかる
剣の柄にはめ込んである、メダル型の宝石を外す
すると剣は光りながら形を変えて、長さ90cmほどの片手剣になる
見れば見るほど不思議な剣だった、宝石をもとに戻してグラスをテーブルに置く
椅子から立ち上がり、2m位の大きさになった剣で素振りをする
青眼に構え、そこから独自に編み出した技を繰り出す
突き、踏み込み、フェイント、なぎ払い、賞金稼ぎの頃に培った技を一つ一つ確認する
気を集中させ、腕に力を込めて剣を振るう、それをしばらく続ける
小一時間ほどすると、少し疲れたので剣を壁に立てかけて椅子に座る
汗を拭いて、服を着替えていると部屋を誰かがノックした
なんだ、と言いながら壁にかけていた剣をしまう
「兄貴、首領が呼んでます」
わかった、と言って酒を片付けて部屋を出る
首領の部屋に入る、座れと言われて椅子に腰をかける
「なぁ、お前は昔何をしていたんだ?ただのゴロツキではないだろう?」
「いきなり何を聞くんです?」怪訝な声で問いかける
「俺も歳を取った、昔ほど体も動かないようになってきた
そろそろ俺も引退しようと思う」
なるほど、と言う、他に何を言えばいいのだろう
「昔何をしていたんだ?」同じ質問を繰り返される
天上を少し見上げる、天井はまるで生きているように見える
「ウィンタークロウ・・・・・・・・・」ぼそりとつぶやく
首領の顔に少し驚きが走る
「お前が伝説の賞金稼ぎ、真冬のカラスと呼ばれた男なのか?」
ああ、と静かに答える
「ウィンタークロウ、千の軍勢を一人で切り伏せ、最悪と言われた盗賊団
スターヒールを一日で壊滅させた男、まさかお前だとわな
ここに来た目的は俺の首か?」
違う、とつぶやく、それ以外に言うことは無いし、何も言えない
しばらく沈黙が続く、5秒かもしれないし、1時間にも感じられる
「来週、俺は引退してお前を二代目にする、それまでお前は仕事は無しだ」
何も言わずにゆっくりと、静かに部屋を出る
アジトから出て、街にある行きつけのバーに行く

6

794 名前: 名前がない@戦士のようだ 投稿日: 2005/09/10(土) 16:46:11 [ hNlLsBE2 ]

 >>793続き

行きつけの店ジェイズバーでキールロワイヤルを飲む
つまみにピスタチオを食べながら壁に掛かっている絵を眺める
二匹の猿が何かを投げ合っている絵だった
キールロワイヤルを三杯も飲む、いくらでも飲めそうだが、きりが無いので止めて店を出る
暇つぶしに川へ行く、近くにちょうどよい木陰があるのでそこで横になる
少し目を閉じるつもりだったが、ずいぶんと寝ていたようだ
酒のせいだと思った、空が朱に染まっていた、夕方だった
川原から街へ戻り駄菓子屋へ行く、ケーキとクッキーを買い込んで孤児院へ向かう
歩いて5分ほどで孤児院へつく、いつもと様子が違って子供の声が聞こえず静かだった
扉を開けて中に入る、女と子供がテーブルに座ってうつむいている
怪訝な顔をしていると女が立ち上がって言う
「今日一人子供が死んだわ、孤児院を潰しに来た男たちに殺されたのよ」
頭がバラバラになりそうだった、クッキーとケーキの箱を思わず床に落とす
「二度と来ないで、帰って!」
怒鳴り声が聞こえてくる、何か言おうとするが言葉が思いつかない
そのまま、きびすをシーフギルドに戻る
部屋に入ってウォッカの入った瓶に口をつけて一気飲みする
孤児院の子供が殺されたのだ、シーフギルドの地上げに巻き込まれて
どうすればいいのだろう?無性に悲しかった
自分が世界で一番の屑に思えてきた、新しい居場所が出来た気がした
でもそれは儚い夢だった、板ばさみ、出口の無い闇、カオス
おそらく、このまま行けば孤児院は潰れてしまうだろう
子供も、あの女も殺されるだろう
それを止めるにはシーフギルドを潰すしかない
でも、レッドアイの情報が手に入らなくなる
首領の後釜になれば、レッドアイの事もわかるだろうし、復讐にも近づけるのだ
頭の中で昔聞いた歌のフレーズが流れた
「手に入れるために捨てるんだ 揺らした天秤が掲げたほうを こんなに簡単な選択に
いつまでも迷う 事は無い 」
何もかもが奇妙でグロテスクに感じられた、誰かが世界の滅亡を予言している気がした
殺すしかないのだ、シーフギルドを潰すしかないのだ
でも、だが、なかなか行動に移せなかった
首領は俺を死んだ息子と重ねてみているのだ、それを俺が殺すのか?
仕方が無いから首領の部屋に行った、部屋に入って視線を交わらす
「孤児院を見逃してもらえませんか?」静かに言い放つ
駄目だ、と強い語調で首領が言う
「それなら、俺は貴方を殺さなければ行けない」
そういいながら詰め寄り、剣を抜いて袈裟切りにする
「やはりウィンタークロウだな」と首領がか細い声で言う
選んだだけなのだ、天秤が掲げたほうを選んだだけなのだ
目から涙が出てきた、悲しかった、自分が許せなかった
ただ手に持っていた剣だけが静かに光っていた


(第一章終わり)

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最終更新:2008年07月08日 22:15