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少女-2


1

 三人がブリッジヘッドの町の中を探索を始めた時と同時刻、一つのギルドが動き出していた。それはブリッジヘッドに席を置くシーフギルド。
彼らは冒険者達を襲い金品を強奪し、時には人殺しまでもする凶悪なギルドで有名だった。
「…どうだった。」
一人の男性がギルドの根城からゆっくりと姿を現して偵察に向かわせていた手下達を引き戻し状況の聞いている。
「はい、マスターの言うとおりあのランサー。やはりそうです。」
「…そうか。」
マスターと呼ばれた男は一つため息をついて右手を肩までゆっくりと上げてからぱちんと指を鳴らす。すると数名のシーフたちが姿を現し一つ頷くと再び姿を消した。
「…今お迎えにあがりますよ、王女様。」



 「ダメね、人っ子一人いないわ。」
「こっちもです、ミトの方はどうでした?」
「私も特に…この町から人が全て消えてしまったかのように誰も見当たりませんでした。」
集合場所と集合時間を決めた後、三人はばらばらに散らばり捜索を始めていた。そしてなんの成果もなく集合場所へと舞い戻ってきた。
雪の降るこの町で、中央広場はおろか家の中にまで誰一人として姿が見えない。
「私、もう少し探してきますね。」
そういうとミトはそそくさとまた町の中を走り出し、そしてすぐに姿は雪にまぎれて消えた。
「…どうなってるのかしら。」
ミルが両腕を組、ゆったりとした体制で考え込む。その隣ではアレンが空を見上げて何時まで降り続ける雪を見続ける。
「この町のことも気になりますが、私としてはこの異常気象がそれ以上に気になりますね。」
「ん…この雪のこと?」
「そうです、この小国ブルンでこのような大規模の積雪は長い歴史の中でも過去にあったかどうか分らない状況です。降り始めてからおおよそ二ヶ月、明らかにこれは異常気象だと私は思うのですが。」
アレンが小さな手帳を取り出し、ページをパラパラとめくる。その手帳はアレンが調べていた個人の趣味である歴史に関しての手帳だった。その手帳をしぶしぶと見つめていると手帳から一枚の写真がポロっと落ちた。
「あれ、アレン君…何か落ちたよ。」
ミルがその写真をヒョイっと拾い、裏面で拾った写真を表に返した。
「あ、ミルそれは…。」
「あれ、これ私じゃない。」
ミルはその写真をゆっくりと見ながらそう言った、そしてアレンに写真を返そうとした時アレンの顔がふと目に映った。
「…どうしたのアレン君。」
アレンの顔は困惑の色と疑問の色に満ちていた、それはその写真に写っている人物とミルに対するものだと推測がつく。
「…ミル、今何と言いました?」
「え、だから私だって…。そもそも何で私の写真なんてアレン君が持ってるのよ。」
ミルはようやく気付いた事を口にする、そう…考えればなぜアレンが自分の写真なんかを持っているのだろうかとすぐに疑問に思うところだろう。
「…人違いです、その写真に写っているのは…もう亡くなったか行方不明のまま消息がつかめない人です。」


2

アレンはバッとミルから写真を取り返すと再び手帳にしまい込み懐へと手帳をはさんだ、だがミルはそれでは納得いかない様子だった。
「でも、それ私だって。証拠にほら、その写真に写ってるこの指輪。」
「指輪?」
アレンが再び写真を取り出し、その写真に写ってる人物の左手の指にはめられてる指輪を見た。そしてミルはみだり手を差し出して指輪を見せる。
「ほらね、おなじ指輪でしょ?」
「その通りです、王女様。」
突然一人の男性の声が聞こえた、二人は瞬時に声の聞こえたほうに振り向く。そこには一人の男がミトの首元にナイフをつきたてて姿を現した。
「ミト!」
ミルとアレンはすぐさま戦闘態勢へと入る、だがその瞬間に二人の周りに数名の男が瞬時に姿を現し短剣を構える。
「動かないほうが良いですよ王女様。」
「…王女だと?」
「然様、本来ならばお前のようなウィザードが声を掛ける事も、一緒に旅をする事もかなわぬお方だ。お久しゅうございます、”オリエンタル・A・ブルンネンシュティグ”様。」
アレンはバッとミルのほうを向いた、だがミルは困惑した表情でアレンの方を振り向く。そして一つ首を振ると槍を構えなおす。
「…私が王女?人違いね、私は…。」
「記憶をなくした一人孤独なランサー、とでも言いますか?」
そこで言葉を失った、ミルは明らかに動揺した様子でカタカタと持っている槍を振るわせる。そして焦点が合わない目で男を見る。
「あの転落事故で生きておられるとは思っても居ませんでした、…この半年、必死で探し回りましたよ。」
「…なぜソレを。」
カタカタといわせる槍を持ちながら動揺している様子は引かずに男を見る、そしてその隣で男が発した言葉に驚きを隠せない様子でミルを見ているアレンの姿があった。
「王家が没落して120年余り…ようやく見つけたあの石の手がかりを手放してしまったかと思うと少々残念でしたが、再びこうして会えるとは思っていませんでしたよ。」
男はにやりと笑うと一歩前に踏み出してきた、二人は同時に一歩後ろへと下がり周りを取り囲んでいた男達はじりじりと間合いを詰める。
「…貴様、一体何者だ。」
アレンが杖を目の前に構え、ミルの前に立つ。そしてミトの喉元へ短剣を当てている男に向けて視線を送る。
「…私はレイ、”レイ・F・カルバレイセス”。現在のレッドアイの幹部にして長老の息子。そして…。」
男がミトを突き飛ばすと右腕を大きく上げた、そうすると取り囲んでいた男達はいっせいに二人に襲い掛かり、致命傷にならないほどの攻撃を与え二人を気絶させた。
「悪魔に魂を売った追放天使ですよ…。」


 少女-2
 END


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最終更新:2009年06月03日 20:51