友■・■力・■■ ◆s5tC4j7VZY


友情 努力 勝利
――――――週刊少年ジャンプ


「倉石…! おまえを殺したやつらの陰謀はこのおれが きっと あばいてやるぜ!!」
「ああドブスン。この世に頭のハゲた天使がいるとしたらな」
「あ…悪魔にだって友情はあるんだーっ」
「死なせはせん…おまえはオレにとって弟だ!!」
「…しばらくの間地獄はさびしいかもしれんが すぐににぎやかにしてやるよ……槇村……!!」
「へっ、へへ……そんじゃそこらの橋よりがんじょうだぜ」
「今オレたちの生命を!!オレたちの小宇宙を!!ひとつに結集してハーデスを討つ時が来たんだ!」
「そのうちてめぇん家見つけ出してピンポンダッシュしてやらぁ」
「ムカつくまんま暴れるだけなら奴らと変わんねーぜ キタネェ奴らにも筋通して勝つからかっこいいんじゃねーか? 大将」
『俺を待っている馬… それがくり子への恩返し…』
「ほれた!腹の底からほれたぞ!!」
「それでいいのかよ!負けっぱなしでいいのかよ!! ミドリマキバオ―――!!!
「誰がつの丸(チンピラ)やねん!!」
「もう俺とおまえの殷は無くなっちまったんだ… もうねぇんだよ…」
「いやぁ――― ゴメン ゴメン もれちゃったさ―――――――!!!」
「キルアじゃなきゃだめなんだ」
「居場所がねぇならオレが居場所になってやる オレがシャーマンになったらお前がオレの持霊だせ」
『この三日後 俺達はコンビを結成する』
「一護が命をかけてるんだ 充分だ 俺が命をかけるのに それ以上の理由は必要ない」
「ただなぁ!一方的にいたぶってるアンタら 刀魔とやってる事変わんねーよ!! 生温い方信じてみたくなったんだ!!悪いか!!」
「友達が脱糞した時は あなたも脱糞しなさい新ちゃん」
「……いじわる… そんなの無理だもん…!」
「お前の強さは… ……。 お前は そんなもんなくても強えだろ」
「一人で勝ってもイミなんかないだろ 「キセキの世代」を倒すって言ったのに 彼らと同じ考えでどうするんだ」
「誰にも守られたことねー奴なんていねーだろ そーやって助け合ってくのが人間っつー奴だぜ」
「早く稼ぎ(あそび)に行くよ!」
「どっちが魔法帝になるか 勝負だ――――!!!」
「…おはようございます! コガラシさん!!」
「人の地元をッ 笑うなァァァ―――――!!!」
「ゆったじゃんか? なんでやらすのこんなこと? こういったノリ ニガテって私ずっと言ってるじゃんか?」
「オルフェと呼んでくれ 相棒」
「残りおよそ1時間 改めて手錠を狩りに出る 泥棒達の逆襲開始だ」

その世界には友情が確かにあった。

☆彡 ☆彡 ☆彡

「これだ!!この色この輝き!これこそ本物だ!」
「根性だァ!!これがこの試合最後の顔面ブロックだァ」
『理乃ちゃんだけは絶対渡さんからな――― 悠矢なんかに負けてたまるか―――』
「入った……!」
『ひとつ 人知れず ふたつ 踏みしめ歩く みっつ 道の名は よっつ 世は知らぬ影の道 いつか花咲く 努力道 むっつ むなしさに ななつ 涙流しても やっつ やめるか ここのつ この手につかむまで 遠く輝く 努力道』
「努力が報われる時のよろこび 今度こそ味合わせてやる!」
「自分を信じない奴なんかに 努力する価値はない!!!」
「戻るさ 本物の栗見由奈を見つけ出してな きっとどこかで無事でいるさ 俺が何とか捜し出してみせる 理奈ちゃんのために」
「0.1秒縮めんのに 一年かかったぜ…!!」
「どんなに望みが薄くたって 何も確かなことが無くったって 僕は絶ッ対諦めない」
「だから手を抜いちゃいけないんだ より良いものにするため人生も漫画も同じ自分ならやれるってうぬぼれや運も必要だけど1番大切なのは……努力」
『並々ならぬ努力家か… きっと人にペラペラ話せる程度の努力など 努力の内に入らんのだろうな…』
「とりあえずいちごの真中ぐらいもてたいんでよろしく!!」
「俺…帰ってきたら 柊に話したいことがある 今は言えないんだけど すごく大事な事なんだ」
『まただ… また嫌われた もう慣れてるいつもの事だ 涙も出ない 当たり前だ僕には意志も必死になる理由もないから ただふらりと立ち寄って 偶然見て ちょっと夢見ただけ そんな事ありえないのに あんな風にうごけたらきっと気持ちいだろうって』
「僕は――― ヒーローになる!!!!」
「らっくんが…髪ば長い女の子らしか子が好き言いよるけん… 髪伸ばして 言葉遣いも直して… 頑張って変わりよったばい…!! やとに…!! らっくんは…!! 全部忘れたですませよるきか―――!!!」
「ところで平凡な俺よ 下を向いている暇はあるのか」
「今振り返ったら計祐のこと 一生軽蔑する!!!」
「殺すよ 殺す気じゃなきゃあの先生とは付き合えない」
「”虹の音”を目指してます」
「急に開けんなや 母上様(クソババア)」
「魔法はあなたの掌の中に」
「誰が相手だろうと一歩も引く気はねぇよ 相撲の神様? んなもんワシがぶん投げてやるわ!」
「次は絶対…!もっと上手くなろう…! 頑張って!頑張って!頑張れば…! 昔からやっている人達にもきっと追いつけると思うから…!」
「知らねぇよ… でも諦める方がずっと苦しいんだよ…!!」
「如是我聞一時仏在舎衛国祇樹給孤独園」
「あの人(桜さん)の夢を叶える為―――… 竜王になった私に 紅葉を挑戦させてみるよ」
「羽賀十三が 天童太星に勝ったっちゅー棋譜を残すためやから☆」
「救いたい魔女が目の前にいるのに目を背けたら この旅を始めた意味ないじゃない」
「私は犯罪そのものを推奨しているわけではありません 犯罪を犯す理由が犯罪者にはある そこに在る哀しい感情を私は肯定してあげたいんです」
「私決めた!!もう一度ここにクーロンズを取り戻してあげる!!」
「今は2人に全然敵わないけど 追う方が頑張れるタイプなので」
「俺は頑張るよ一生 歓喜(よろこび)のために」

その世界には努力が確かにあった。

☆彡 ☆彡 ☆彡

「ヒートショック!」
「死ぬ前にせめてこれから生きる若者たちのために道しるべをつけてやるのが老兵の使命よ!」
「またな!」
「てめーはおれを怒らせた」
「少年マンガのコードを死守しつつ「勝利」女の命を救う為最善の「努力」敵の閉じた心を開き「友情」を育む 完璧だ!!!」
「駄駄ってんじゃねーよ!!」
「臆病で弱っちい… ただの人間さ…!!」
「男ならサシでやりな!! 男ならな…!!」
「無論 死ぬまで」
「受け取れ理都 指輪のかわりだ」
『術式 開始』
「いいか………この程度の雨なら 濡れるのも風情だ」
「WOW!!トムの勝ちデース!」
「ポンコツ野郎はオマエだろ」
「…いいや 俺は悪役(ヒール)さ ヒャハハハ… ヒャーッハ ハッハァ―――ッ!!!」
「千年」
「我々は単体ではなく群れで生きるもの 重要なの群れの生き死にだ 多少の犠牲を払ったところで女王・卵…そして巣を守れば それは勝利なのだ」
「フーン 俺20ゲームはいけるけど」
「金だ――――――!!!!!」
「リュウイチ殿を 守り抜くと!!!」
「行こう 鬼退治の旅立ちだ」
「好きだあああっ西野つかさちゃん!! お…っ俺とつきあってくださ…っっっ」
「粋じゃねぇにも 程があらぁっ!」
「オレはまがったことが大嫌いなんだよ!」
「オレの目的は世界征服だ!!!」
「やっぱり風天組は英雄(ヒーロー)だったんㇲ!! 普段のは世を忍ぶ仮の姿だったんㇲ!!」
「計画通り」
「靴を舐めろ その全身で」
「謝りに行こう…ティエンや…機道で死んだ人達に 私も一緒に謝るから… なぁ 父上」
「スマートにいこうぜ」
「何が嫌いかより 何が好きかで語れよ!!!」
『W螺煌斬』!!!!
「読書の邪魔した罪は重い」
「俺は 男にみとれる趣味はない」
「さぁ共に信長様の下へ参ろうか秀吉」
「俺の答えは融通のきかねぇてめぇの石頭だ」
「御粗末」
「愛と勇気は標準装備だろうよ」
「居るじゃねーか今」
「あ…また動揺して力を――― 0.2%も出しちゃった…」
「いや! いいよいいよやらなくて! キミのおちんちんなんか見たくないもん!」
「無敵なんで自分 かかってこいよ」
「まったく好きになれませんね 美学を持ち合わせない人は」
「何度踏みつけられ奪われても私たちは立ち上がる。人間は弱くない!」
「おぼえてるぜ キミのこと… 拳でつけた百の刻印の一つだ」
「千手… 言ったはずだ 僕は… 霊媒師だと!!!!」
「俺流!!かぁぁぁめぇぇぇはぁぁぁめぇぇぇ波あ!!」

その世界には勝利が確かにあった。

そして……

☆彡 ☆彡 ☆彡

12の世界から 友情 努力 勝利が 奪われた

☆彡 ☆彡 ☆彡

「ん……ここは?」
無機質な部屋の床から伝わる肌寒さに眼を覚ます一人の少女。
少女の名は宮薙流々。
とある海辺の田舎町に住む中学生。

「たしか、学校帰りにスーパーに寄っていたはずだよね?」
目覚めたての赤ん坊のように口を大きく開け、目をこすりながら記憶の扉を開く。
そう、冷蔵庫の備蓄が尽きかけてきているため、学校帰りにスーパーへ寄っていた。そこまでは鮮明に覚えているのだが、必要な食材をかごに入れてレジへ歩いている最中から記憶がない。
まさか、店内で眠りこけたのかと焦るが、レジはおろか品物の棚も見当たらない。
周りを見ると、スーツや学生服を纏う男女だけでなく、5mを超す大男やマンガのキャラのコスプレなのかそれともハロウィンの仮装なのかといった人物まで見受けられる。
エプロンを付けたお店の店員さんらしき人もいるにはいたが、やはり少なくとも、地元のスーパーの店内でないということだけは確実だ。

「マグちゃんはいないのかな……」
不安の気持ちに包まれる。
まるで、もう二度といつもの日常へ戻ることができなくなるのではないかと本能が警鐘を鳴らしているからだ。
そして、それは……最悪の形で的中する。

「ようやく目を覚ましよったか……」

頭上から声が聞こえ、振り向く。
すると、そこには檀上に一人の着物を着た少女らしき人が立っていた。
スポットライトが照らされ、身に纏う漆黒の着物が深淵を映し出すかのように見える。
だが、着物の黒よりも目に恐怖を怯える。
まるで、あたしを含めた全員を下賤と蔑んでいる目に。

「ここの場所は、わしの母上が特別にこしらえた間。意識を取り戻したのならさっさと、えりを正すがよい」

少女の物言いにざわざわと声が反響する。
無理もない。意識を取り戻したら突如、訳も分からず見知らぬ場所にいるのだから。
そして、開口一番がその言葉。
少女へ抗議を訴えようとする者。
周囲の出方を様子見する者。
自らの身体に装着されている物に気づき、おとなしくしている者。
そして、中には殺気を纏う者もいる。
しかし、少女はそれらの視線はどこ吹く風。

「それでは自己紹介をしておこう。……わしの名はニノ前御前。偉大なる母”夜桜つぼみ”の子にして夜桜2代目当主じゃ」
そう、少女は厳かに名乗る。

「さっそくじゃが、お主らに命令を下す」
その立ち振る舞いに口調は天上天下唯我独尊。
上に立つ者だと威光を放つ。

「これより、殺し合いをしてもらう」

☆彡 ☆彡 ☆彡

「……」

ニノ前御前の宣言は部屋に立ち籠る空気を一瞬に殺した。
”殺し合い”その言葉は強烈過ぎる。

「えっと……これって何?……冗談だよね?」
現実味が帯びない。
それもそうだ、あたしの特技と言ったら”潮干狩り”に”釣り”。
当然、人を殺すような技術も経験もない。
そんな自分が殺し合うなんて冗談としか思えないのだ。
でも、ドッキリと書かれた看板は一向に現れない。

「それでは、ルール説明に……「火拳!!!」」
突如、一人の男が炎の腕を放出する。
それは、殺し合いに対する明確なNOを突きつける攻撃の証。

「空風」
突然の横やり。それも自身に向けられている攻撃。
そんな状況でもニノ前御前は涼しげな顔で人体を燃やし尽くすほどの巨大な炎を合気を駆使した空気の圧でいなす。
いなされた炎は会場の壁に当たるとその威力を証明するがごとく業火に燃やす。
その炎の威力に感心する者や表情を変えぬ者の姿が見えた。

「やるじゃねぇか……だけどな。蛍火!!!」
己の異名である炎拳をいなされたが、即座に次の攻撃の構えに移す。
ポポポと男の両の掌から小さな炎の粒が多数出現する。
そして、粒はニノ前御前を取り逃がすものかと多い囲む。

「綺麗……」
あたしはその技名に恥じない綺麗な翠色に見惚れる。
だけど、掌から炎を出すなんて、明らかに普通じゃない。

(もしかして、イズマくんのお友達なのかな?)
あたしの脳裏に浮かぶのはイズマ=キサラギくん
邪神達を封印した聖騎士団の末裔で世界観がガチな人。
そうこう考えているうちに事態はあたしが想像していた展開とは大きくズレていく。

「今すぐ、この場に集められている者を開放しな。でなきゃ、その身体、一瞬で火達磨になるぜ?……いっておくが、俺はマジだ」
男はこの場に集められた者全てを解放するよう睨みつけながら要求する。
男の名はエース。
白ひげ海賊団2番隊隊長にして海賊王ゴール・D・ロジャーの息子。

自由を追い求め海へ出て海賊となったエースが他人により強制される殺し合いに”はいそうですか”と素直に従うはずがないのだ。

「ふ、ふふ……」
「何がおかしい」
絶体絶命の状況のはずだが、やはり余裕を見せる。
そんなニノ前御前から目を離さず、直ぐに攻撃へ移れるように警戒を怠らない。

「いや、本当にお主はわしの思惑通りに動く駒だなと。本来なら頂上戦争で助かるはずった命を安い挑発に反応したために死んだのなら当然じゃが」
フッと見下す目でエースを貫く。

『エースを開放して即退散とは とんだ腰抜けの集まりじゃのう白ひげ海賊団 船長が船長…それも仕方ねぇか………!! 白ひげは所詮…先の時代の”敗北者”じゃけぇ』

エースの脳裏に浮かぶのは赤犬の言葉。

『人間は正しくなけりゃあ生きる価値なし!!! お前ら海賊に生き場所はいらん!!!』

何度聞いても絶対に否定する言葉だ。

『”白ひげ”は敗北者として死ぬ!!! ゴミ山の大将にゃあ誂え向きじゃろうが』

「そうじゃろう?敗北者白ひげの息子気取りの海賊よ」

「ッテメェ!!!火達「クン」」

ズン……!!

「がぁあ!?」
見えぬ空気の圧によりエースは首を下に向け跪く。
そして蛍火もその強烈な圧により消失していた。
ただ、指先を下へ向けただけ。
だが、その行動だけでエースは制圧されてしまった。

「ぐ……がぁ……ああ!!」
必死に抗おうと試みるが、肉体一つ動かすことはできず、ミシミシミシと床が軋む音が止まらない。

(ち……ちくしょう……)
抵抗することが出来ず、悔しさを抱くエース。
すると、エースの脳裏に声が聞こえてきた。

『グララララ………まだ立つか… 今死ぬには惜しいな小僧』

(オヤジ……!!!)

『まだ暴れたきゃこの海でおれの名を背負って好きなだけ暴れてみろ……!!!

『おれの息子になれ』

(ありがとよ……オヤジ)
強大な圧に押しつぶされるのを耐えきる。

『おれの愛する息子は 無事なんだろうな………!!!』
オヤジと慕う白ひげの言葉がエースを奮い立たせる。

(正直、死んだオレがどうしてこの場にいるかは分からねぇ……だが、一つ分かるのは兄貴として弟を守ることだ!)
カッと目を開く。
なんとかこの圧を吹き飛ばして反撃開始だ!と意気込む。
しかし次の一手はニノ前御前の言葉で塞がれる。

「ところで、どうして死んだはずの自分が生きていることに疑問を抱かぬのだ?そして首元の首輪の存在に警戒しないのだ?」
「な、何だと……!?」
エースは首に嵌められた首輪に気づく。
だが、それは時遅し。
死神の鎌を代用するかのごとく音が鳴りだす。

―――ピピピピピ

無機質なエースの首輪から流れる無機質な機械音。
それは、会場全体に反響する程の音。
耳から脳へ伝わる不快……いや呪いか。

「エース!!!」

麦わら帽子を被る青年が近寄ろうとする。
今度こそ守るために。
兄と慕う存在を再び失うことだけは防ぐために。
しかし、その歩みは止められる。
足元に無数の火の弾丸が着弾したからだ。
そして、その弾丸の出先はなんとか、指先だけでも動かすことができた救おうとしたエースからだった。

「来るな!!ルフィ~~~~~!!!」
弟を危険な目に合わせたくない兄の魂の叫び。
指先から火の弾を弾丸のように発射して弟を守ったのだ。

―――――ボォン!

その叫びと同時にエースの首輪が爆発すると、首と胴が離れた死体と化す。

【エース@ONE PIECE 死亡】

「兄弟の絆というやつか?……くだらん」
事切れたエースを侮辱する言葉。
麦わら帽子の青年は膝から崩れ落ちて微動だにしない。
ぐるぐるまゆげの金髪の男の人が必死に呼びかけているが、放心しているのだろうか反応を見せない。

一部の人はその様子に同情の視線を麦わらさんに向けているが、多くの周囲の人達は微動だにせず、ニノ前御前から視線を外さない。

「……と、まぁお主らの首に繋がれた畜生の証はあらゆる者に死を与える。先の敗北者のような悪魔の実の能力者であろうが、否定者であろうが、個性を持つ者であろうが、鬼・悪魔・呪霊といった人ならざる者に混沌の邪神でも……じゃ」
ニノ前御前の兆発ともいえる対象者の参加者は一人ひとり様々な感情を抱いておるだろう。

「さて、それではルールの説明を行う」

エースにより中断された殺し合いのルール説明が再開される。
もう、それを邪魔する行動をとる者はいない。
首輪があるということがどういうことか理解したからだ。

「この後、お主らを殺し合いを行う島へ転送する。殺し合う期間は3日間。参加人数は61人。3日目の24時に優勝者が決まらなければ、その時点で生き残っている者全員の首輪を爆破して終了となる。なお定時報告を6時間ごとに流す。状況に応じて立場を変えるのも良しということじゃ」
クククと小さな笑みをこぼす。

「そして、広い島なため定時報告の際に禁止エリアを順次設ける。当然だが禁止エリアに留まるもしくは侵入した者は首輪で死ぬので夢忘れぬように。そしてデイパックを支給してやろう。中には食料や名簿。それに加えて武器等といったランダム支給品が1~2個入っている。運も実力のうち……精々当たりが入っていることを祈っておくがよい」
説明は続く。

「なお、少しでも公平を期すために一部の参加者には能力等の制限をかけてある。本来なら到底敵うはずがない弱者でも強者に勝てる可能性は十分にあると言う訳じゃ。わしの優しさに感謝せよ」
今の言葉に”余計なことを……!”と怨嗟の顔を見せる者もいる。
フッフッフッと妙な口癖の声やウロロロロと苛立つ唸り声らしきのも聞こえた。

「そして、見事殺し合いを勝ち抜き優勝した者には元の世界へ戻すだけでは余りにも不憫。よって”あらゆる願いを一つ”叶えてやろう」
あやゆる願い。
まるで七つの球から出現する龍がいいそうな言葉。
だけど、多くの人はその言葉に喜びといった反応を見せない。むしろそれに懐疑的だ。
無理もない。あたしだってそうだ。

「ふふ、その顔は信じておらぬといった様子じゃな。しかし、それは想定の範囲内じゃ。見ておれ」
ごそごそと着物の袖から下部が尖っている玉を取り出す

「死返玉」
言葉と共に死んだエースの身体が光ると驚愕な出来事が起きた。
それは、死んだはずのエースが蘇ったのだ。

【エース@ONE PIECE 蘇生】

死者の復活という奇跡にニノ前御前を除いた参加者全員の顔色が変わる。
死者が蘇ったことに安堵する者。
本当に蘇ったのかと訝る者。
死者を想起する者。
あらゆる願いを叶えるのが本当なのかと驚愕する者。

(あの人生き返ったんだ!よかった……)
あたしはのん気なことを心の中にで言っていた。
けど、やっぱりそのあたしののん気な考えはニノ前御前の手で吹き飛ばされる。

「一体……俺は?」
唖然とした表情で身体を眺めている。
先ほど2度目の死を迎えたはずが、また生を得た。

「蘇ったところ悪いが、お主の役割は終えた。再び黄泉へ帰れ」
ピト……エースの胸に手を置く。

「木枯らし」
「がぁ!?あああ!!!???」
強烈な合気で作られた空気の圧がエースの身体を破壊する。
ブチブチブチィィィと耳をふさぎたくなる音が鳴り響く。

哀れエースは八つに引き裂かれて沈黙となった。

【エース@ONE PIECE 死亡】

エースは元の世界での死を含めると三度死んだ。
そして、彼らの手で蘇ることはもうないだろう。
なぜなら、ここでのエースの役割は無事に終わったのだから。

「見たであろう。このようにわしらは”死者蘇生”をも可能とすることができる。……もう一度言う。この殺し合いの優勝者には”あらゆる願い”を一つ叶えると約束しよう」
言葉と同時にニノ前御前の傍に顔上半身が賽子のいでだちをする怪物が出現した。

「ムーブよ、奴らを島へ送るのだ」
「ああ……」

空間にヒビが入ると一人、また一人と次々と殺し合う部隊の島へ送られる参加者達。
これから始まる殺し合いに喜びを見せる者。
”願い”に心揺らぐ者
立ち振る舞いをどうするか思考する者。
ニノ前御前を睨みつける者。

「マグちゃん……」
これから始まる殺し合いに身体を震わせながらあたしも送られた。

そして……転送はつつがなく完了を迎えた。

☆彡 ☆彡 ☆彡

静寂。
しかし、その静寂は直ぐに破られる。

「いやぁ、司会役が板についていたよ」
「お主か……」
開幕の幕が下りたのを見計らい飄々と現れる。
五条袈裟を纏う男。

男の名は羂索。
史上最悪の術師と忌み嫌われている加茂憲倫といった名を持つ術師。
さらに付け加えるのならその肉体は本来の彼のではない。
術師夏油傑の肉体だ。
百鬼夜行で死んだ夏油の遺体の脳を入れ替え手にした肉体。

「ね、見せしめは敗北者のバカ息子で正解だったろう」
そう、エースは初めから見せしめとする為だけに事前に蘇らせた。
メラメラの実の能力者としてそこそこの実力は殺し合いに刃向かう者の末路として相応しい。

「……ふん。それよりも島の結界は抜かりないな」
パチパチと拍手をされて褒めたたえられたが、喜びを見せない。
むしろ、計画の綻びはないのかと問う。

「そこは問題ないよ。自分で言うのも何だけど私の結界術は天元に次ぐと自負している」
「なら良いが」
ニノ前御前の問いに答えた羂索は視線をムーブにむける。

「私の結界術よりも転移の方は抜かりないのかい」
「抜かりない……”面白いもの”が見られるからな」
ムーヴ。
世界の理『移動』を司るUMA。
そもそも”面白いもの(イベント)を見せてもらう”の条件で組織(ユニオン)に協力する好き者。
幾多の世界から一堂に集めて殺し合わせるバトルロワイアル(イベント)が彼の琴線に触れるのは必然。
故にムーブは組織ではなく夜桜つぼみを選択した。

「外部からの介入が入らないようにしっかりたのむよ?」
「それは、こちらの台詞だ……」
互いに落ち度を出すなよと牽制し合っている。
羂索の呪力の結界にムーブの空間転移が盤石ならこの殺し合いが破たんする可能性は万に一つもないからだ。

(まったく……悪趣味にも程があるぜ)
一方、幕の裏。バトルロワイアルの開催に大手を振って喜んでいない者もいた。
その女性の名は五輪太夫。
夜桜製糸工場の最盛期を支えた夜桜家5代目当主。

夜桜家の歴代当主の一人であるため、つぼみの手により蘇っていた。もっとも本人は望んでおらず、傀儡と化した蘇生に不満を抱えている。
そして、首魁が初代党首ならば当然5代目も主催に否応なしにも関わる。
五輪太夫の役割は参加者達に支給されるデイバックの中身。

(可愛い孫たちよ……おれが言えた義理じゃないが、生きのびろよな)
参加者名簿に記された一族の名を見て、呟くと、別の部屋へ一人移動した。

「……」
(まったく、油断ならぬ男にUMAよ……まぁよい。母上の為に精々働くがよい)
ひっそりと移動した五輪太夫に気づかず、やり取りを眺めるニノ前御前。
異なる世界軸の連合。
油断すればそれぞれ寝首をかかれる危険な綱渡り。
それでも、各自の己の思惑が合致している。
故に成り立つ。
それが”バトルロワイアル”として証に現れた。

「ですが、貴方達との出会いは私にとって本当に僥倖です。羂索さんにムーブさん」
投げかけられる言葉に振り向く。
三人の視線の先にある大木。そこに一人の女性が埋め込まれている。

女性の名は夜桜つぼみ。
初代夜桜家当主にして此度のバトルロワイアルの首魁。

「こちらもだよ。夜桜の血は実に興味深い。私の長年仕込んでいた”死滅回遊”を一時中断するほどだからね」
「それを言うなら私も同じです。”あの子”を取り込む以外の道が見つかりました。私の望みを叶えるにはこちらの方がよいと判断しました」
互いに本来行うはずだった計画はムーブを起点とした出会いにより大きく変更された。
夜桜の血と呪力の融合により創られた”死返玉”は一つの好例だ。

死返玉。史書「先代旧事本紀」に記されている天璽瑞宝十種と称される神器の一つ。
神話で出てくる存在を創り上げたのだ。
計画変更は必然である。

「それでは、大願成就を心待ちするとしましょう」

果たして歪められた物語が”元の世界”にとって幸か不幸かはまだ分からない。
ただ一つだけ言えることがある。

それは……

☆彡 ☆彡 ☆彡

少年が読んで心躍るような週刊漫画のような物語は記されない。

☆彡 ☆彡 ☆彡

【令和ジャンプバトルロワイアル 開幕】

残り61人

☆彡 ☆彡 ☆彡

現時点で判明している主催

【首魁】
夜桜つぼみ@夜桜さんちの大作戦

【司会進行】
ニノ前御前@夜桜さんちの大作戦

【結界担当】
羂索@呪術廻戦

【空間転移担当】
ムーブ@アンデットアンラック

【デイパック担当】
五輪太夫@夜桜さんちの大作戦
最終更新:2025年08月11日 22:19