この世界について

 ここは何処だろうか?

 暗い。

 目隠しをされ、声は出せない。

 手足は縛られ、身動きは取れない。

 もう何日、こうしているだろう。

 時間の感覚はない。

 ただ、もう3日はこうしている。

 遠くから聞こえてくる、教会のベル。

 一日に4回、打ち鳴らされる音が、ここまで聞こえてくる。

 6時間ごとに一度、その音が聞こえてくるだけで、他には音は無い。

 何も食べず、何も飲まず。

 そんなことには、慣れている。

 まあ、こんなのは初めてかもしれないけど。

 いや、もっとひどい物もあったっけ?

 ははは、まだ軽いほうか。

 はは、ははは・・・・ははは・・・。

 私の微笑みは、とても弱弱しいものだった・・・・・・。


 まただ。

 今日、昨日、一昨日にも、彼女は休んでいる。

 いつも、ひどいいじめにあっていた。

 僕は、それを見ていることしかできなかった。

 無力な自分に腹が立つ。

 僕は・・・彼女の役に立てるかな?

 役に立てるなら、今すぐにでも、そうしてあげたい。

 でも、彼女はどこにいるんだろう?

 それが分かれば、すぐにでも会いに行きたい・・・。

 周りの奴らは、彼女の悪口ばかり言っている。

 「どうぜ、仮病だろ」、「ずる休みだろ、あいつ」。

 そんな声が、僕の耳に届く。

 原因は分かっている。

 他の奴らは気づいていないだろうが、あいつの責任だ。

 あいつさえ、何とかすればいいんだ。

 そうすれば、彼女はここにいられるだろう。


 お姉ちゃん・・・・・。

 何処にいるの?

 帰ってきてよ・・・・。

 寂しいよ・・・・。

 父も母も、きっと心配なんてしていないと思う。

 だけど、僕は・・・僕は寂しいよ・・・・。

 早く、帰ってきて・・・。



 人はそれぞれの思いを抱え、生きていく。

 どんな想いかは、人それぞれだ。
最終更新:2011年11月19日 20:39