ダメだよな、こんなんじゃ・・・。
どうしようもないけど、こんなの・・・。
どうせ、あいつらは笑っているだろうな。
いつか、私は笑えるだろうか?
月視「最悪だ・・・」
ああ、おなかすいたな・・・。
一話 「絶望の果てに・・・」
茜色に染まる空を眺めていた。
彼女がこなくなって4日。
無情にも、みんな笑っていた。
無琴「無力だな、僕って」
やはり、助けたいと思う。
こんなのは、おかしいと思うから。
空は徐々に、漆黒に覆われていった。
◇
徐々に気温が下がっていくのがわかる。
もうすぐ夜だな。
ああ、おなか空いたなー。
月視「ホント、最悪だ」
指先がかじかんでくる。
このままじゃ、凍死してしまう。
動けないからどうしようもないが。
外からは、午後6時を知らせる教会のベルの音が聞こえてくる。
そろそろ、始まるころだろう。
今日こそ、終わる・・・。
◇
無琴「ここ・・・か」
ある廃校の前に立っていた。
彼女がここにいる。
僕の中で、誰かがそう言っている。
無琴「・・・・・行ってみるか」
正直、今の時間帯、廃校はかなり『出る』と噂されている。
お化けの類は苦手ではないが、さすがに雰囲気がある。
現に、数分前から無風なのに回りの木々がざわめいている。
無琴「ホント、よくやるよな、あの馬鹿共は」
さっさと行こう・・・。
◇
外から気配を感じる。
敵意のようなものは感じられないが・・・。
おそらく、同じ種類の人か・・・。
月視「<脚火>」
脚の辺りから少し火が出る。
弱い赤魔法。
自分は暑さを感じないようになっている。
脚を縛っていた縄が熱で切れる。
これで、歩けるだろう。
月視「<火絵>」
手に絵筆が握られる。
絵筆で手を縛っている縄をなぞる。
なぞられた部分が発熱している。
やがて、熱に耐え切れなくなった縄が切れた。
心なしか、さっきよりも気配が近づいているように感じられる。
◇
たどり着いたのは、最上階である4階だった。
この廃校は、公では3階建てとなっているが、実際には地下に2階、地上に4階がある。
──ガタガタガタ
その時、廊下の窓がいっせいにゆれ始める。
無琴「これは・・・」
(125.05)
無琴「どうしました?」
{無琴様!}
無琴「レィティさんですか。何です?」
{今、どちらに!?}
無琴「町の廃校、B-34地点ですが」
{どのようなご用件で?}
無琴「クラスメイトを・・・助けに来たんです」
ほとんど話したこともないし、特に仲がいいわけではない。
だが、もうそろそろ、嫌気が差してくる。
{わかりました。すぐに、搬送車を手配します}
無琴「よろしくお願いします」
{わかりました}
窓のゆれが収まる。
幾つかの周波数は、ガラスや木の枝、電線などを小刻みに揺らすことがある。
窓のゆれも、それによるものだったのだろう。
無琴「さて、と・・・」
反応があるのがこの階なのはわかった。
だが何処にいるかは、分からない。
となれば・・・
無琴「片っ端から、潰していくか」
◇
さっきまでの窓のゆれはなんだったんだろうか?
何かの周波数・・・ならば説明がつくか。
月視「・・・?」
隣の部屋の扉が開けられた音がする。
そして、中に入っていく足音。
誰だろうか?
まあ、ある程度の予想はついている。
いつもいつも、輪の中にいなかった人。
たった一人だけ、いたと思う。
月視「これで全部かな・・・」
手や足を縛っていた縄、目隠しのためにされていたであろう、バンダナを取る。
そして、そっと扉の外へと出る。
そしてようやく、ここが学校だと知る。
おそらく、<4階>部分だろう。
月視「3年9組・・・特進学科か」
ここは高校みたいだ。
隣の8組は、音楽推薦学科。
他にも、一学年当たり、計15の学科がある。
この町で一番大きな高校、『桜紡高校』だろう。
正確には、一番大きかった、だが。
──ガラガラガラ
その時、隣の10組の扉が開いた。
月視「あ・・・」
◇
教室から出ると、ちょうど、目的の人と鉢合わせになった。
無琴「月視さん・・・」
絵筆を握り締めて、こっちを視ていた。
魔術師・・・だよな。
いや、この場合は魔導師か。
月視「やっぱり、無琴君だったんだね」
やっぱり?
無琴「やっぱりって?」
月視「さぁ、どうゆうことでしょうね」
──カタカタカタカタ
無琴「意外と早かったですね」
レィティ「無琴様、お怪我は?」
無琴「大丈夫。それよりも、彼女を僕の家に連れて行ってくれ」
レィティ「わかりました」
彼女はレィティ。
僕の家・・もとい、屋敷で働いている専属のメイド(?)だ。
本人は、「無琴様の専属メイドですので、どうか、敬語などお使いになさらないでください」と言っていた。
だが、基本的に相当親しくないと呼び捨てなどはできない。
レィティ「わかりました」
月視「ねえ、無琴くん」
無琴「はい?」
月視「どうして、ここに居ることがわかったの?」
絵筆をいじりながら、そんなことを聞いてくる。
無琴「絵筆は、ペレットとセットじゃなきゃ、使えないっ、てことですよ」
しかし、月視さんはキョトンとしている。
無琴「レィティさん、そろそろ帰りましょう」
レィティ「わかりました」
NEXT・・
最終更新:2012年03月27日 20:44