車に揺られながら、ふと思う。
無琴くんは、どこに住んでいるのだろうか、と。
噂では、結構大きなお屋敷に住んでいるらしいけど。
まあ、着いたら分かることだよね。
きっと、これからの日常は、少しずつ、変わっていくと思う。
今までとは比べ物にならないくらい、楽しく、なると思う。
二話 「新拠点へ」
月視「ところで、今何時ですか?」
レィティ「現在時刻は、午後6時34分18秒です」
空は大部分が漆黒に覆われていた。
周りには、帰宅途中の会社員や、高校生の姿が見える。
無琴「で、いつからあの高校にいたんですか?」
月視「たしか、5日くらい前からですね」
無琴「ってことは、その間は何も飲食いしてないってわけですか」
月視「そうですね」
よくやれるよな、ほんと。
こんな馬鹿馬鹿しいこと、よく思いつくよな。
まあ、もう終わらせてやるけどな。
その時、ひざの上に猫が乗ってきた。
無琴「ん?どうした?リューク」
月視「わー、かわいいーーー★」
無琴「なでてみるますか?」
そういうと、月視さんはリュークを抱えて、なで始めた。
リュークは気持ちよさそうに丸まっていた。
ルイファ「あらら?」
無琴「どうかしましたか?」
信号でもないのに、車は路肩に止まっていた。
運転手であるルイファさんが、外を見ている。
無琴「はぁ、またですか・・・」
レィティ「しょうがないですね」
扉を開けて、外に出る。
無琴「何か用ですか?」
見るからに柄の悪そうな高校生が数名。
ってか、煙草吸ってるよ、こいつら。
無琴「用が無いなら、帰ってくれませんか? こっちは忙しいんですよ」
男性1「ああん? なめてんのか?」
男性2「ガキが調子に乗ってんじゃねぇぞ」
・・・。
せっかく人が下手に出てってんのによ・・・。
無琴「てめぇらの相手をしてる暇はねぇって言ってんだよ。邪魔だ。失せろ」
男性3「このクソガキ!」
軌道が簡単に読めてしまう、簡単なパンチが来る。
無琴「失せろって言ってんだよ。邪魔をするな」
──ドガッ
男性3「ぐふっ」
レィティ「お帰りください」
──シュルルル、シュルルルルル
──バチッ
男性4「ぐああぁぁああぁ!!!」
無琴「っだぁぁ!」
回し蹴りと、状態を捻って殴りを当てる。
無琴「ったぁ・・・」
後ろから金属バッドで殴られた。
無琴「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ああん?」
右手を握り締め、手の甲から鉄釘を抜き出す。
男性1「な、なんだこいつ・・・」
無琴「・・・」
男性の胸倉を掴む。
無琴「・・・・・・・・・・・・・・・償え」
鉄釘で頬を突き刺す。
男性1「ぐっ!」
無琴「・・購え。償え」
もう一度。
──グシャ
もう一度。
──グシャ
もう一度。
──グシャ
男性2「ひ、ひゃあああ!!」
無琴「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・失せろ。クズ」
男性の胸倉を離す。
周りにいた高校生達は、一斉に逃げていった。
無琴「ったく・・・」
レィティ「大丈夫ですか!?」
無琴「ええ。服を洗いたいですね」
鉄釘を飲み込む。
とにかく、暴行とかで呼ばれたらたまらん。
まあ、先に仕掛けてきたのは奴らだが。
無琴「もう行きましょう。とにかく、屋敷に帰りたいです」
レィティ「わかりました」
車に乗り込もうとして、手を止める。
そして、掌から刀を出す。
無琴「あとで、少し洗ってやらないとな」
刀をしまい、車に乗り込む。
月視「大丈夫でしたか?」
無琴「ええ。ちょっと、頭を金属バットで殴られましたけど」
月視「強いですね、無琴君は」
いきなりなにを?
僕は、強くなんかない。
無琴「・・・強くなんか、無いですよ・・・・。それだったら、月視さんのほうが、よっぽど強いです」
月視「私は、いつも抗えてないですから。もっと、抗えたらいいな、って、思えてきますよ」
何故、抗えないんだろう?
これだけの魔力があれば、誰とでも戦えると思うのに。
月視「私・・・ね、誰も、傷つけたくないんです。誰も傷つけない、自分が、加害者になるのは、嫌なんです」
無琴「・・・・」
月視「もしも相手を傷つけたら、自分も相手と同じになってしまう。自分も、加害者になってしまうでしょう」
レィティ「そうですね」
そうだ。
相手から危害を加えられても、自分から危害を加えない限り、一方的な被害者でいられる。
自分から危害を加えてしまえば、助けてもらえなくなる。
月視「だから、私はただただ、受け入れるしかなかった。抗うことが、できなかった」
何故、だれも助けてくれないのか。
何故、彼女がこんな目にあわないといけないのか、僕には分からない。
月視「私、昔から、精神的にも、肉体的にも、暴行を受けたりしていましたから。慣れてしまうと、どうでもよくなってくるんです」
無琴「それで、本当にいいのか?」
NEXT・・
最終更新:2012年03月27日 23:10