番外編1-4 ただいま
雨針「おかえり」
雪鎖「ただいま。 ほい、おみあげ」
雨針「おお、ハーブだ」
この笑顔にはほっとするな。
雪鎖「あとこれ」
雨針「何?」
雪鎖「滝茸」
雨針「たきたけ・・・ああ、あれか」
雪鎖「群生してた」
いくつかはまた取れるように残しておいたけど。
雪鎖「いやー、しかし大量だ」
とってきた魚や肉、野菜を置く。
雨針「ふー、今夜は豪華にやるぞー」
雪鎖「おー」
ドン
雪鎖「ん?」
ドン
雨針「何だろう?」
ドドン
雪鎖「お、花火だ」
雨針「なんで、花火が?」
雪鎖「そういや、何でだろう」
ドドン、ドン
雨針「さてと、花火でも見ながら、夕飯の準備でもしようかな」
雪鎖「そんじゃ、僕は少し外を散歩してくるよ」
雨針「気をつけてねー」
雪鎖「ああ」
しかし、この時期に花火?
花火は夏がいいだろ。
雪鎖「んー、しかし暇だな」
なにかをやるわけでもないので、とても暇だ。
雪鎖「・・・そうだ、武器屋にいこう」
暇を潰すにはもってこいだ。
雪鎖「やあ、鷹爪さん」
鷹爪「おお、久しぶりだな、雪鎖」
雪鎖「なんか新しい鎌か大剣はありますか?」
今使っているのはハンドガンの<雪片>。
その他に量産型のナイフが何本かと、普通の針を50本ほど。
おまけで、大剣の<椿>を持っている。
椿はあまり使わないが。
鷹爪「なら、これはどうだ」
雪鎖「<赤>、ですか」
鷹爪「<赤>の在庫はこれしかないぞ」
雪鎖「そもそも、<赤>自体、この世に一つしかないでしょう」
鷹爪「まあな」
昔々、この世界には7人の賢者、通称「七聖者」がいたという。
その7人が、それぞれ銃・剣・鎌・弓・斧を作ったという。
合計35の武器が作られたが、それの量産は不可能。
雪鎖「まさか、『赤空』が作った鎌が、ここに」
『赤空』。
七賢者のなかで一番の力を宿す武器を作った賢者。
赤空の作った銃は、一撃でランクZ(討伐不可ランク)の生物を殺せるという。
鷹爪「俺も驚いているさ。 で、買うか?」
雪鎖「まあ、本物なら、ですけど」
鷹爪「本物、だと思うがな」
雪鎖「そんなこと、分かった上で言ってるんですよ。 この鎌からは、火のエネルギーが見て取れる」
鷹爪「問題は、いくらか、だろうな」
雪鎖「いくらで?」
鷹爪「金貨5枚・・・なら?」
雪鎖「うわ、高いな。 まあ、妥当だな」
そういって金貨を5枚だす。
鷹爪「まあ、狙うやつもいるかもしれん。そうなったら、俺では対処できんからな」
雪鎖「そう言って昔、なんども体術で押さえ込んできたのはだれだったかな」
鷹爪「はっはっは、気にするな」
雪鎖「んじゃ、お邪魔しました」
鷹爪「気をつけて・・・」
後ろで、鷹爪さんが小声でつぶやいた。
雪鎖「っくぅ!!」
逃げている。
少しでも、町から遠ざけるように。
雪鎖「いってぇ!!」
さっきから何度も被弾している。
正直、もう限界だ。
雪鎖「っくぅぅ!! いってぇぇぇ!!」
<赤>があるが、ここで使えば、明らかに火事になるだろう。
<赤>には、火属性が備えられている。
よって、振ることで周りに火を散らばらせてしう。
森で使えば、山火事になるだろう。
戦闘員A「<赤鎌>だけでも取り返せ」
これはお前らのものではない。
少なくとも、今の所持者は俺だ。
戦闘員B「くそ、どこだ!」
雪鎖「はぁ・・・はぁ・・・」
こうなれば、やるしかないだろう。
まずは針だ。
これを体内に転送すれば、殺さない程度で戦力を奪える。
雪鎖(いくぞ)
ビュン
バタン
声も挙げずに、近くの戦闘員が倒れる。
もしかして、死んじゃったのか?
雪鎖(殺したらすまない!)
ビュン
戦闘員B「う!」
バタン
雪鎖「はぁ・・はぁ・・・」
戦闘員A「いたぞ!」
ガガガガガガガ
雪鎖「っくぅ!! いてぇ!」
戦闘員A「逃がすか!」
雪鎖「なら、こっちも容赦しないぜ」
バリ
雪鎖「・・・すまない」
戦闘員A「!!」
バリバリ
雪鎖「許してくれ」
ベチャ
グサッ
バリッ
ベチョ、ベチャ
雪鎖「・・・」
戦闘員A「ぐぁぁぁぁぁ!!! やめろ!!!!!」
ユルセ。
ボクハ、マダシニタクナイ。
ユルシテクレ。
ネエサンノタメニモ、イキタインダ。
スマナイ。
雪鎖「・・・・・・・・・・・・・ぐぅ」
イタイ。
雪鎖「痛い。・・・服がびしょびしょだ」
「まったく、返り血がすげぇじゃん」
早く帰ろう。
服を洗ってから。
雪鎖「・・・」
ガチャ
雪鎖「・・・」
雨針「雪鎖?」
雪鎖「ああ・・・」
バタン
雨針「だ、大丈夫!?」
雪鎖「ああ、大丈夫・・・だ・・・」
精神破壊をうけたような状態だ。
吐き気がする。
雨針「しゃべらないで、今治療するから。
雪鎖「すまない・・・」
雨針「いいって」
姉さんの手から緑色の光がでてくる。
治癒魔法。
雪鎖「姉さん・・・」
雨針「何?」
雪鎖「・・・ただいま・・・」
ガクリ
もう、ほとんどなにも聞こえない。
雨針「おかえり、雪鎖」
最後に聞こえたのは雨針さんの優しい、なきそうな声。
そして、意識は戻らなかった。
雪鎖「いやー、あの時はつらかった。目覚めたのはそれから1ヵ月後。病院にいて、全身を包帯で巻かれてたよ。しかも、そのときは精神が不安定で、発狂したこともあった。まあ、今でも精神は不安定だけどね。それから2年ぐらいで、病院からは出れた。その後、行く当ても無く、ぶらぶらしてたところ、この学園に拾われた。いやー、ほんと、ついてたよ。能力者って、特かもね」
The past is unchangeable.
However, the future is changeable!
過去は変えれない。
だけど未来は変えれる!
最終更新:2011年11月03日 20:12