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C01:02

奏「桔梗の信号が途絶えた・・・コースアウトしたか・・・」
椿「なんだと?」
茜「椛ちゃんからの通信だよ・・・」
こちら、赤井です。応答願います』
茜「こちら、茜。どうぞ」
『奥林に咲く桔梗が、LOST STAGEしました。どうしようか・・・』
茜「どうする?」
奏「一度、戻ってくるように言ってくれ」
茜「椛ちゃん、一度、HQに戻ってきて」
『でも、桔梗が・・・』
奏「椛、一度戻ってくるんだ。今からこっちで捜索部隊を組織する。詳しい話はそれからだ」
『・・・・・わかった』

第二話 舞い散る桜に紫陽花を


??「──────かな?」
 ん?
 何か・・・声が聞こえる
??「あんたね、ちょっと────────よ」
 別の人の声が聞こえた。
 誰だろう?
桔梗「・・・・・」
 声、出ないな。
 なんだろう?
??「あ、起きた?」
 ・・・・・
桔梗「んん、んんん」
 声、出ないんですが?
 口の中が冷たいんですが?
??「ちょっと待ってねー」
 ──ガスッ!
??「いたい・・・」
??「まったく、あんたは少し引っ込んでなさい!」
??「はぁい・・・」
 桃色のワンピースをきた少女の頭に、紫色のウェアを着た少女の踵落としが直撃した。
??「あ、ごめんね。すぐに溶かすから」
 何かの機械を操作する音が聞こえて、口の中に入っていた何かが解けた。
 ・・・雪だったんだな・・・。
桔梗「えーっと、何故に雪!?」
??「初回の質問それ? もっとさ、ここは何処?とか、あなた達は誰?とか、あるでしょ?」
桔梗「いや、何故雪を使ったのか気になって・・・冷たかったんですがね・・・」
 そう聞いた直後──
??「ぇいゃー」
 隣でぐでぇっとしていたワンピースの少女が飛びついてくる。
桔梗「え、っちょ、何?」
??「うーん、見た目的に華奢なのかと思ったら、本当に華奢なんだねー。声を聞かないと、男の人だって分からないと思うな」
 ・・・・
 何故だろう?
 どこか本気で怒れない・・・。
桔梗「は、離れてください」
 ──ガスッ!
??「はぅぅ・・・」
??「千春、そろそろホントに怒るよ」
千春「あはは、ごめんごめん」
 千春と呼ばれた少女は、なぜか笑顔だ。
 まるで、こんなことには慣れている、とでも言いたいような。
千春「でもでも、千夏が怖いからいけないんだよー」
千夏「千春がちゃんとしないからでしょ。私が厳しくしないと、千春は優柔不断なんだから」
 千夏と呼ばれた少女は、疲れたような表情を浮かべ、肩を落とした。
 疲れてるみたいだな・・・。
桔梗「ついていけん・・・」
千夏「あ、ごめんね」
桔梗「まあいいんですけどね。これぐら──」
 Pi.Pi.Pi.Pi.Pi.
 突然、無線が鳴った。
 って言っても、携帯に組み込んだ小型の無線だが。
桔梗「はい、もしもし。こちら桔梗だが」
『よかったー。やっとつながったよー。ずっとつながらなかったから、心配だったんだよー』
桔梗「椛か?」
『うん、私だよ。今、桔梗の捜索部隊を出そうと思ってたんだよ。全員HQに集合してたんだよー』
 そんな心配しなくてもな・・・。
『通信も途絶えちゃったし、無線も電話もつながらないから、心配したよーー』
桔梗「え?」
 慌ててウェアの中に仕込んでいた通信機を見る。
桔梗「悪い。どうやら、通信機は破棄したほうがよさそうだ」
『え?』
桔梗「メイン稼動チップが破損ている。復元は無理だろう」
『そっか・・・じゃ、今、何処にいるか分かる?』
桔梗「残念ながら、MAPはなくした。居場所を知る手段は無い」
『・・・・・』
 無線の向こうの温度が、少し下がったように感じられた。
桔梗「心配するな」
 少し強めの口調でそう告げる。
 ここで、俺が弱音を吐くわけにはいかないから。
桔梗「この程度のことで、俺がへこたれるとでも思ってんじゃねぇよ。こんぐらい、ユリ達に比べりゃ、軽いもんだ」
 少し明るめに、少し無理をして、無理にでも、明るく、そう告げた。
桔梗「俺を信じろ」
 そして、少しの間が空く。
『・・・・・・わかった』
 ほんとは俺だって、この事態をそう軽くは見ていない。
 ただ、椛たちが少しでも悲しい顔をするなら、おれは、・・・・・俺は・・・・。
桔梗「じゃあな・・・」
 最後に一言告げて、一方的に無線を切る。
千夏「大変そうね」
桔梗「前途多難です・・・」
 今になって、なぜか疲れが襲ってくる。
 そして、次にきたのは強烈な眠気。
 何かが、俺の中でうずいているような、嫌な感覚もある。
 強烈な寒気が、背筋を走り抜けた。
桔梗「タイム・・・・リミット・・・・・・・・だな」
 そういうのを待たずに、俺の背中は地面に叩きつけられていた。
千夏「千春、始めるよ」
千春「あ、うん」
 どこか遠くのほうで、声が聞こえるような気がする。
 意識は徐々に薄れ、瞼が重くなってくる。
 最後に聞いたのは、優しく、どこか力強い、温かみのある声だった。
千夏「<舞い散る桜に紫陽花を>・・・・」
 それと共に、暖かい光に包まれ、周りの景色が消えていった・・・。

NEXT・・
最終更新:2012年01月11日 21:16