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 「うひゃー、高いねー」
 「え?そんなに高い?」
 「高いよ。こりゃ、300はあるね」
 ──カタカタカタ
 「いや、別に怖いわけじゃ・・・」
 「ああ、ちなっちゃん、高所恐怖症なんだっけ?」
 「そ、そんなことはっ!」
 ──カタカタカタ
 「うぐ・・・」
 「まあまあ、いいじゃない。早く行こうよ」
 「ちょ、ちょっと待って。心の準備を・・」
 ──カタカタッカタタ
 「う、わ、分かったわよ。行くわよ・・・」
 「あら、ちなっちゃんが負けちゃったか」
 「う、うるさいうるさい!」

第四話 雪に埋もれた梔子


三春「行きますっ!」
 早速、各々が四方八方に散っていく。
 BREAKING MACINは、相変わらず、黙ってこちらを見下ろしている。
三秋「撃つよ!」
 どうすれば、これだけの重装でそんなに早く走れるのか聞きたいものだ。
三冬「発射!」
 この二人では、威力はアキ、機動力はフユが勝っている。
 だが、火力を補うのは、
三夏「う、撃ちこみますっ!」
 前兆3㍍を誇る、巨大な狙撃銃、<BLOCK BENDYNG>を装備している、ナツだ。
 使う弾丸は、長さ10㌢、重さ1㌔、最大弾速は時速2180㌔、口径は73口径。
 銃だけでも、重さは30㌔を上回る。
 それを、バイポッド無しで、立った状態で寸分の狂いも無く、正確に、かつ素早く、標的に銃弾を撃ち込んでいく。
桔梗「ポインター零、集中砲火!」
三春「うりゃああぁぁぁあ!!!」
 ハルが小型のコンバットナイフを持って、奴に突っ込んでいく。
桔梗「HARU、<切断炎火>」
三春「イキます!」
 ハルのもっていたコンバットナイフは、まるでエタノールを染み込ませて燃やした脱脂綿のように、激しく燃え盛る。
 刃の長さは、全長6㍍に達する。
三春「切ります!」
 ハルが宙を舞う。
 そして、奴の上で3回転。
 ナイフの刃は、左右の肩とど真ん中を貫く。
『アツイ、アツイデス。ショウカシマス』
 ──プシュゥゥゥゥ
 BREAKING MACINは、頭から水を出し、自らの体に着いた火を消化した。
桔梗「対応が早すぎるっ!」
三夏「ま、前に来たときより、修理の速度が上がってるぅ!?」
 威力は強いが、連射ができないBLOCK BENDYNGでは、これだけ早い修理速度に、追いつけないだろう。
三冬「一旦退きましょう!」
桔梗「戻れ!」
 対応の速さは、依然ここに来たときと比べ物にならない。
 それに、兵装やボイスも、少し変わっているようだ。
{降下部隊への援軍が到着しました。同時に、物資の投下が行われます。ご注意ください}
桔梗「援軍だと?」
??「おーーーうぃ、きっきょーーーーーん!!」
 き、きっきょん?
 だ、誰がきっきょんだ・・・。
??「よう、少年」
 降下してきたのは、桃色のワンピースを着ている千春さん、紫色のウェアを着ている千夏さん、あと二人、見たことない少女がいた。
 片方は、ツインテールに縛られた黄色の髪色に、藍色のセーラー服を着ている少女。服装、体格から推測し、中学2年生だろう。
 もう一方は、長く伸ばされた白銀色の髪に、真っ白な白衣を着ている少女。おそらく、高校1年生だろう。
千夏「少年、久しぶりだなー。元気にしていたか?」
??「ちなっちゃん、知り合い?」
千春「私が、きっきょんを拾って、千夏の場所に連れて行ったの」
 おいおい、僕は犬か何かですか?
 少なくとも、猫であってほしい・・・。
 ──カタカタカタカタ
 セーラー服を着ている少女が、小型のタイプライターを使って文字を入力している。
??『suimasenn situreinahitobakaride』
 ローマ字入力か。
桔梗「いえいえ。大丈夫ですよっと」
 寸でのところで、後ろからの砲弾をかわす。
三春「ご主人様、どうしますか?」
三夏「と、とりあいず、再生能力を弱めないと」
 【ソウサツ、シヨ?】
桔梗「だな・・・。相殺をするため、酸を使う。一旦、戻っていてくれ。
 十字架を描き、魔方陣を描く。
桔梗「ハル、ナツ、アキ、フユ、・・・みんなに、よろしく伝えといてくれ。すぐに戻るってな」
三春「しかし・・・」
三夏「わ、私達も・・」
三秋「お、お兄ちゃん、追いてっちゃ、いやだよ・・・?」
三冬「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・戻りましょう」
 状況を理解したのは、フユだけだったようだ。
三春「三冬・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・わかったわ」
三夏「う・・・・・・・・・・・・・・・・・・わかり・・・ましたぁ・・・」
三秋「お兄ちゃん・・・・・・絶対、帰ってきてね」
 4人が魔方陣の中に入るのを見届け、別の赤色の魔方陣を創る。
桔梗「ミウキュリャデントップケリュィング」
 中から、巨大なスライムが出てくる。
桔梗「ミウ、奴に洗礼を与えよ!」
 スライム、ミウが、奴に酸をかける。
 それによって、修理は相殺され、破損した部位の修復ができないようになった。
桔梗「よしよし。あとで、たっぷりと飯をやるからな」
 酸は徐々に機体を蝕み、侵食が進んでいた。
『コ、ロス。ゼンイン、コロシ、テヤ、ル』
千冬「あ、一応自己紹介しておくね。私は、千冬。ちなっちゃんたちの友達ね」
??『watasi ha tiaki desu. yorosiku onegai simasu』
 千冬さんと、千秋さん・・・。
 やっぱり、春夏秋冬なんだな。
 ハル達と同じか・・・。
桔梗「撃ちます。 FINE」
 両手にショットガンを持ち、素早くBREAKING MACINに近づく。
桔梗「シニたいカ? コわれタイか?」
 両方のショットガンを同時に乱射する。
 このショットガンはホップアップが必要なくて楽だ。
桔梗「サァ、オワラセヨウカ」
千冬「雪が降ってきたねー」
 雪?
 ここでは、雪は降らないはずだが・・・。
 空を見上げて、気づいた。
 時空が切り裂かれている。
 次元の狭間から、現実世界の雪が吹き込んできている。
千秋『watasi tati ga muriyari koko ni haitte kita kara?』
 無理やりかよ・・・。
 そりゃ、狭間もできるよなぁ・・・。
千冬「あ、やばい。下半身埋まっちゃった」
 千冬さんの周囲には、こお短時間で振ったとは思えない量の雪が積もっていた。
千冬「<雪に埋もれた梔子>を、なめないでよ」
千秋『<kawaita karinn ni yukiga huru>kotoga aru kara』
 <白銀に咲く桜>、<舞い散る桜に紫陽花を>、<乾いた花梨に雪が降る>、<雪に埋もれた梔子>。
 4つの呪文が、リピートされる。
 同時に、体中の力が抜けていく。
 自我が薄れ、徐々に気配が希薄になっていくような気がする。
 それから意識が途切れるまで、そんなに時間はかからなかった。

NEXT・・
最終更新:2012年06月24日 13:43