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第四回目

 太陽が昇ってきて、周囲を少しずつ照らしていく。
 その中で顔を上げるその子は、僕よりも少し背が低くて、肩からポーチを下げている。
 右手には小さな折り畳み傘、左手には携帯電話を持っている。
 年齢は6歳ぐらいだろうか。
 僕はその子に近づき、そっと、手を差し伸べた。

四話「BLUE ROSEとRED LILYの守護者」

少年「あ、ありがとう・・・」
無琴「大丈夫?怪我はなかった?」
 少年が僕の手を取って立ち上がる。
 見たところ、怪我はなさそうだが。
少年「うん、大丈夫」
月視「は、破銃!」
少年「お姉ちゃん!」
 破銃とよばれた少年が、月視さんに駆け寄った。
月視「どうしたのよ、破銃。こんなところまできて」
破銃「あのね、僕、お姉ちゃんに会いに来たんだよ」
 この子が、月視さんの家の実子だろうか?
 男の子だったんだ。
 ってか、この子、魔力持ってるような感じだな。
無琴「この子が、月視さんの姉弟なの?」
月視「はい。私の親の、実子です」
無琴「じゃ、この子も僕の部屋に通しておいて。すぐに行くから」
ファレル・フュー「「はい」」
月視「いくわよ、破銃」
破銃「うん」
 破銃君は、月視さんに続いて、屋敷内に入って行った。
 さっさとアクセサリーを洗って、僕も中に入ろう。
レィティ「無琴様、あの子は・・・」
月視「たぶん、対人の魔法を使う魔法使いですね。しかも、相当な質量の魔力を秘めている・・・」
 アクセサリーの手入れをしながら、さっき感じたオーラを思い出す。
 対人の魔法。
 対人の魔法は、主に対人戦においてその実力を発揮し、対人においては一目置かれる存在だ。
 なぜあの子がこんなものを・・・。
 遺伝なのか、突然変異なのか。
月視「ま、会ってみればわかるか」
レィティ「そうですね」
 アクセサリーを収納し、軽く首を鳴らす。
 そして、二人が待つ部屋へと足を向けるた。

◇All.J.W.R.A 無琴の部屋◇(All.Japan.Witch.Raise.Agency「全日本魔法使い育成機関」)

 この機関は、育成される魔法使いはそれぞれに個人部屋が与えられ、内装などはすべて個人の自由。
 風呂やトイレもそれぞれの部屋に完備されていて、食事は食堂に行って取ることができる。
無琴「お待たせしましたっと」
 なぜか仕掛けてあったピアノ線を、上体をそらせて回避する。
 こんなことするのは、やつぐらいだろう。
??「ふっふっふ、やるな、無琴!」
無琴「やはり貴様かぁっ!」
 後ろから飛んでくる破魔矢を手でつかみ、後ろに振り替える。
無琴「危ないだろうが! おまえは俺を殺す気か!」
??「なーに、お前ならこのくらいよけるだろうと思ってのことだ。そんなに怒るな」
無琴「あと、もっと言葉使いを女らしくしたほうがいいぞ。モテなくなるぞ。錬銀」
錬銀「うるさいうるさい!どうせ身長低いからモテないよ!」
 いや、身長は関係ないだろ。
 こいつは鉄 錬銀。
 俺の部屋の隣の部屋に住んでいる「夢読の魔法」使いである。夢読(むよみ)の魔法は、依頼者の夢を読み、依頼者の見た夢を記憶する魔法である。
 ライセンス5、レベル14の、この施設の中ではそこそこ強い分類に入る。
 ちなみに、こいつは「他人の夢に干渉する魔法使い」なので、戦闘にはアクセサリーを使用する。
 こんな名前だが、一応女だ。
無琴「ったく。何の用だ」
錬銀「久しぶりに一緒に飯でもどうかと思ってな。どうだ、食堂に行かないか」
無琴「お前と一緒に飯を食う義理はないはずだが」
 はっきり言って、今日は客もいるし、帰ってほしい。
 てか、朝っぱらから元気な奴だ。こっちは一睡もしてないってのに。
無琴「いや、誘ってくれたのはありがたいんだけど、今日は客が来てるんだよ。だから、また今度な」
錬銀「そうか、それは残念だ。では、また会おう」
 そう言って錬銀は食堂へと駆けて行った。
 まったく、幼馴染だからってやりすぎだ・・・。
無琴「ごめん、待たせて」
月視「ううん。大丈夫。ほんと、広いお屋敷だね。何人ぐらい住んでるの?」
無琴「生徒はざっと1462人、マスターは総勢256人で、あとはメイドが2164人かな。あとは職員関係の人が356人いる」
月視「そんな細かいこと、よく覚えてるね」
無琴「まあね。でさ、なんなら食堂でも言って話さないかな?破銃君も、おなかすいてない?」
破銃「うん。おなかすいた」
 うちの食堂は、他の国の機関と比べても、相当いいものがそろっているらしい。
 まあ、日本全国から新鮮な素材を、「魔法」を使って鮮度が落ちないうちに輸送できるわけだし、素材一つ一つまでおいしいのは確かだ。
無琴「レィティさん、フューさん、付き添いをお願いします」
レィティ「では、鞄を」
無琴「ああ。ありがとう」
フュー「荷物をお持ちいたします」
月視「あ、いえ。そんな・・・」
無琴「気にしなくてもいいですよ。ここに在住することになったら、こんなこと常時ですから。あ、あと、入所手続きは済ませてあるから、ここの向かいの部屋は使っていいよ。・・・あと、ご飯食べたら、フューさんたちと一緒に職員室に行って。転入手続きも済ませてるから」
 さすがに破銃君の手続きは済ませてないけど、こんなのすぐに済ませられるから、大丈夫だろう。
 今はファレルさんが手続きに行ってくれてる。
無琴「じゃ、移動しようか。食堂はそんなに遠くないから」

◇All.J.W.R.A 食堂◇

無琴「えーっと、ここが食堂です。色々なものがありますので、なんでも好きなものを選んでください」
破銃「ありがとうございます」
月視「なにかお勧めのものはありますか?」
無琴「初めてだったら、無難に定食系がいいと思います。バランスも取れていますし、量もそこそこで、値段も安いですから」
 バランスって言っても、魔法系の意味であって、栄養素は少し偏った面もある。
 すべての属性の魔力がバランスよく補給できるので、好んで食されているものだ。
 まあ、それぞれの属性にあったものを食べたほうがいいって言われることもあるが、多重能力とかもたまにいるので、何とも言えないな。
無琴「あとは、いちばん右の券売機で、属性魔力を補給できる飲み物が売ってます。月視さんだったら、一番上の右から二番目、RED FROWERがいいと思います。破銃君は、下から二番目の一番右、BLUE ROSEがいいかと」
月視「破銃の能力を見破った・・・!?」
破銃「すごい・・・」
無琴「ぼくは、心読(こよみ)の魔法を使いますので。口に出さなくても、わかりますよ。破銃君はBLUE ROSE、青い薔薇。銃士の魔法。月視さんはRED LILY、赤い百合。描絵の魔法」

NEXT・・
最終更新:2012年06月06日 18:14