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A-17

第十七奏 一日の終わり

 おなかすいたな~。
フィーラ「どうしたの? 大丈夫だった?」
 なんか食べたいなー。
ユイナ「んーー」
フィーラ「おーい?」
ユイナ「んーーー」
 おなかすいたー。
テレナ「はい、林檎」
ユイナ「ありがと」
フィーラ「何なの、この対応の差は・・・」
 あー、おいしー。
 でも、ちょっと物足りないかも。
ユイス「くぴー!くっぴぴー!」
ユイナ「はいユイス」
 ──もしゃもしゃ
ユイス「くぴ!」
 かわいいなー。
フィーラ「かゎいいー・・・ご飯食べてる姿もかわいいー・・・」
 さっきからフィーラが面白い反応を見せてくれる。
 この人は典型的なからかわれ体質だな。
テレナ「とにかく、戻ろうか。もうすぐ日が暮れるから」
 あ・・・
 もう陽が傾いていたんだ。
 そっか。そろそろ戻らないと。
ユイス「くぴ?」
ユイナ「ん? ・・・ああ、うん。 ・・・え?違う?そっちじゃなくて? ・・・ああ、そっちか。うん。そうだね。 ああ、ちょっと待って」
 ユイスがピョンッと跳ねたり、クルッと回ったりしている。
 何を伝えたいのかわかるけど、他の人にはどう見えるのかな?
ユイナ「うん。そうだね。じゃ、後でお願いに行ってくるよ」
ユイス「くぴぴ!」
テレナ「何してるの? 早くいこ」
ユイナ「うん。ユイス、行くよ」
 ユイスが私の頭に飛び乗ってくる。
 この可愛さがほしいぜ・・・。
フィーラ「ねね、こんど私の家に泊まりに来てよ。たっぷりごちそうするからさ」
 ──ガスっ
フィーラ「すいません。冗談です」
 テレナの蹴りがフィーラに直撃した。
 痛そうだなー。
テレナ「さて、帰ろっか」
『跳びます』
 ・・・。
『飛びます!』
 はい、それでいいです。(何がだ?)

 「・・・・・・け・・・」
ユイナ「ん?」
 何かいるのか?
 ・・・。
 気のせいか。
テレナ「どうしたの?」
フィーラ「なにかあった?」
 気のせい・・・だよね?
 「みー・・・け・・・」
 ?
 何の声?
 「みーつけた」
ユイナ「!?!????!!!!!?!!?」
 後ろかっ!
ユイナ「誰だ! !?」
テレナ「っ!」
 偶然か・・・それとも必然か・・・。
??「みつけたぜ。水族の生き残り・・・」
 そんな・・・。
ユイナ「逃げるよ!」
テレナ「うん!」
フィーラ「え? え?何?」
 駄目だ・・・。
 あいつはだめだ!!
??「逃がさないよ」
ユイナ「くっ!」
 別の場所から、それも正面から新しい影が現れる。
??「いやー、苦労した甲斐があった。こんなすごいやつを見つけられるなんて」
テレナ「ユイナちゃん、突破しよう・・・」
フィーラ「なんだかわからないけど、加勢するよ」
ユイナ「うん。やるしかない・・・かな」
 私の術式でこいつらは倒せるか?
 いや、倒す必要はない。動きを止めればいい。
ユイナ「水の術式、第Ⅰ。ウォーターⅠ」
 初心忘るべからず。弱い魔法は強い魔法では代用できない特権がある。
テレナ「炎の術式、第Ⅲ。ファイアⅡ」
 しかし、奴らの出方をうかがいながら、こちらの魔力がもつか・・・。
 いや、持たせて見せよう。
 あの人が来るまで・・・。
フィーラ「解! 響け雷鳴!」
 フィーラって、ロッド使うのか。
テレナ「こっちは準備完了だよ!」
ユイナ「おっけー。影の術式、第Ⅳ。ダークⅠ」
 魔方陣を多重起動すると、誤作動が起きることがある。
 Aの魔方陣とBの魔方陣が対になって、片方が暴発することがある。
ユイナ「いけ!ウィング!」
 とくに多いのが、風と土の対。
テレナ「ディール!」
 私のウィングと、テレナのディールが対となり、反発しあう。
 ゆえに、暴発が起きる。
ユイナ「退避!」
 ウィングが暴発する。
 おそらく、ハリケーンぐらいの威力はあるだろう。
??「なるほどな。だが、同じ手は二度も喰らわない!」
 なっ!
テレナ「させないよ!」
 ──ガスッ!
??「くっ!」
テレナ「これでも体術は親から叩き込まれてるからね。接近戦なら負けないよ」
 私も体術は得意だけど、さすがにテレナほどは・・・。
フィーラ「あんたら、雷族ね?」
??「そうだ。水族を仕留めるのに好都合だろ」
ユイナ「でも、水族は水属性だけを使うわけじゃないからね」
 水族はすべての種族において、一二を争うほどの実力を持っている。
 だから、ほとんどの戦闘において打ち勝ってきた。
テレナ「水族の真骨頂、って言っても、ほかの種族の受け売りだけど、受けてみなさい!」
 あれはもしかして?
テレナ「テレス!」
 テレナの補助道具、テレス。
 ユイスと同じようなものだが、何よりも、その形状が色々と問題があるので、あまり目にすることはない。
 なんでこんなこと知ってるんだろうか?
 自分でも謎だ。
テレス「ひゅーーー!!」
 何処から来るかと思ったら、空から降ってくるという、そのセンスは・・・。
テレス「参・上!」
 なんだろうね、こいつ。
テレナ「はい、魚」
テレス「ありがと」
 なんか和んでるな、あそこ。
??「なんだ、それ」
ユイナ「見ての通り、妖精ですが。こいつの補助道具です」
 こいつの補助道具、どこぞの妖精なんだよな。
 某有名アイドルグループ(仮)のメンバーらしい。
ユイス「くぴぴぴ!」
テレス「おー、ユイス。久しぶり。元気か?」
 なんか雰囲気が台無しだ。
ユイナ「こら」
 ──ガスッ
テレス「痛っ。わかったよ。ちゃんとやるよ」
ユイナ「ユイスも、こっち来て」
ユイス「くぴぴ」
ユイナ「えっと、大変長らくお待たせしました」
 なんか妙な空気になってしまったが、気にしないでおこう。
??「もしかして、(某有名アイドルグループ)(仮)のメンバーのテレスさん!?」
??「おい、サボるな」
テレス「一応ね。って言っても、いつもセンターは他の人に取られるから、目立たないポジションばっかりなんだけどね」
 なんだろう、この空気は。
ユイナ「ユイス、見つからないように逃げるよ・・・」
ユイス「くぴ・・・」
 とにかく、目立たないようにそっと横から逃げよう。
 色々と面白い設t(殴
 ・・・。
 色々と面白いタイプの人がまた増えたな。
ユイナ「はぁ・・・」

ユイナ「ただいまー」
 何も覚えていないのに、ここにたどり着くまではそんなに苦労しなかった。
 でも、ここはどこだろう?
ユイス「くぴい!」
ユイナ「おなかすいた? ちょっと待ってて。すぐに料理するから」
テレナ「なんか殺風景だね。もう少しなんか装飾したらいいのに」
 そんなことできるほど金銭的に余裕がないです。
ユイス「くぴ!くぴ!」
ユイナ「はいはい。ちょっと待ってね」
 ホットケーキ、ホットケーキ・・・。
 あ、小麦粉が無い。
 どうしようか。
テレナ「なんか足りない?」
ユイナ「うん。小麦粉が切れてる」
テレナ「ちょっと待ってて。すぐ持ってくるから」
 優しいっていうか、なんていうか。
 それとも、恩を売ってるとか?
 ・・・。
 いや、人の好意は素直に受け止めよう。
ユイナ「ちょっと待っててね。すぐに作るから」
ユイス「くっぴ!」
 ・・・・・・。
 ・・・・・・・・・・・・。
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
ユイナ「お茶でも飲む?」
ユイス「くぴぴ!」
 こんな感じで、私の最初の一日は終わろうとしていた。
 ・・・最初の一日?
 もっと昔から生きていたような気もする。
 どうして・・・だろう。
 こんなにも、心に穴があいたような喪失感を感じるのは・・・。

NEXT・・
最終更新:2012年06月18日 12:56