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C01:05

 「どんな感じ?」
 「ちょっと不思議な感じ。生まれた時からあれだったから、出し方もよくわからないし」
 「私も、生まれた時からだったから、初めて体験する、変な感じだな」
 「私もちょっと不思議かも。普通になっただけなのに、まるで自分の身体が別人のものみたい」
 「あはは、たしかに、ちょっと不思議だよね。これが当たり前のはずなのに、私たち、これがおかしいみたいな感じに思ってるよね」

第五話 α体、β体、γ体、δ体、εKOR


??「いやー、あの時はさすがに焦ったね。私、結構自信あったんだけど、上には上がいるもんだね」
??「え? あんたが負けるほどの強敵だったの? あちゃー、そりゃ見ておきたかったなー」
 どこからか声がする。
 なんだろう、この感覚は。
 まるで自分の体が自分のものではないような感覚。
??「あ、でもさ、結構優しくて、そのあとお友達になってもらったんだよ。それに、まえ不良に絡まれてた中学生を助けてたし」
??「へー、その人すごいね。やっぱり、どこかの有名な人?」
 聞いたことのない、澄んだ声が聞こえる。
 誰の声だろう?
??「ん? あれ、目が覚めた?」
桔梗「ん・・・あれ、ここは・・・」
千夏「や、少年。お目覚めかい?」
桔梗「あれ・・・千夏さん・・・。それに、千春さんと千冬さん・・・千秋さんも・・・」
 あれ?
 少し声がおかしい?
 それに、声が少し聞き取りにくいし、視界が少しぼやけている。
??「こんにちは。大丈夫?だいぶ長く寝てたけど」
 何にも触れている感覚がない。
 どうなってんだ?
桔梗「あの、一体これは・・・?」
??「ごめんなさい。私たち、あなたの体の一部を借りてるんです。たぶん、そのうち慣れてくると思いますけど、ごめんなさい。ごめんなさい」
桔梗「あ、いえ、そんなに謝らなくても」
 って、え?
 千秋さんの声?
千秋「ごめんなさい。私たちのせいで、ご迷惑をおかけして。ごめんなさい。ごめんなさい」
桔梗「い、いいんですよ。そんなに謝らないでください」
 なんか声が1オクターブ上がった感じだ。
千冬「この子、ちょっと責任感が強い子でね。なにかあると、自分の責任だと思っちゃうの」
 なんだか、俺が悪いことしたみたいだな。
 すごい罪悪感があるんですが。
千秋「お詫びに、私の身体を──」
桔梗・千夏「「なんでだよ!」」
 千夏さんと声がかぶった。
桔梗「あ、す、すいません」
千秋「い、いえ・・・」
 千秋さんが自分の言おうとしていたことに気がついたのか、顔を耳まで真っ赤にしている。
 てか、本気だったのかな?
千春「きっきょん、電話だよ」
桔梗「その呼び方やめてくれませんか?」
 悪びれる様子もなく、俺に受話器を渡してくる。
 てか、なんで俺に電話が?
桔梗「はい、もすもす?」
椛『なによ、その言い方ー』
 受話器の向こう側で椛がくすくすと笑っているのがわかる。
桔梗「よ、椛」
椛『やっほー。どう?調子は』
桔梗「ま、それなりだな。そっちはどうだ?首尾はどうだ?」
椛『こっちは全然大丈夫だよ。ユリたち、だいぶ焦ってるみたいだけど、百合とか、椿が対応してる』
 ま、あいつらしいな。
 ユリは基本的には落ち着いてるけど、瀬戸際になってくると焦って、最終的に自滅するタイプのやつだからな。
椛『桔梗、なんか声おかしくない?』
桔梗「ああ、ちょとな。なんかおかしな感じなんだ」
椛『何それ?』
桔梗「ま、気にするな」
 なんかのどに引っかかってるかんじだな。
 なんだろう?この感覚。
桔梗「コードε、決行と伝えてくれ」
椛『うん、わかった。そろそろ切るね』
桔梗「ああ。よろしく伝えておいてくれ」
 なんだかなー。
 受話器持ってる時も、持ってるのかどうかわからなかった。
千春「えーっと、ちょっといいかな?」
桔梗「はい?」
千春「改めて、自己紹介しておくね」
 そういって、コホンと一つ咳払い。
千春「私は千春。千と春で千春ね。これでも、<桜の守護者>だから、よろしくね」
千夏「私は千夏よ。こいつと同じで、春を夏に変えて千夏。<光の守護者>をやってるわ。よろしく」
千秋「えっと、私は千秋といいます。千の秋で千秋です。<椿の守護者>です。よろしくお願いします」
千冬「私は千冬。わかると思うから、綴りは言わないわ。先祖代々、<雪の守護者>をやってるから、その辺、抑えといてね」
 春夏秋冬、四季折々のいい名前だな。
 ハル達と同じ感じだよな。
桔梗「えーっと、僕は立花 桔梗です。一応、第参の狐火です。狐火を名乗っていますが、ただの呪術師なんですよね」
千春「あれ?狐火って言ったら、日本の三大魔術師の一つだよね。確か、迷術師が多いって」
 なんで呪術師なんかやってんだ、僕は。
桔梗「本来なら、迷術師になるはずだったんです。親も迷術師でしたから」
 父方の母と母方の祖父が、呪術師だったらしい。
 なせか、その力が強くなってしまったみたいだ。
桔梗「まあ、呪術師も悪くないです。強さは迷術師に劣りますが、多種多彩な魔法や敷紙を用いた戦法で、いかなる状況下でも活躍できますから」
千冬「狐火の中では珍しいけど、日本全体では、迷術師のほうが少ないもんね」
 狐火の規模は極々わずかなものだ。
 メンバーも、二桁で数えられるぐらいの数で、拠点やギルドをもたない。
 見分ける方法は、耳についている青い火の玉を模したピアス。通す時は魔法を使うので、痛みはさほど大きくない。
桔梗「どうすれば帰るるんだ・・・?」
千夏「んじゃ、そろそろお暇ってことで」
千秋「そうですね。そろそろ彼らが来ると思いますし」
 彼ら?
 誰だろうか?
??『おーい、元気かー?」
 あまり聞きたくない、でもなぜか安心できる声が聞こえた。
桔梗「この声は・・・牡丹!」
牡丹「よう! 桔梗!」
 飛んできた右ストレートを、身体を右に反らしてかわす。
 目の高さまで届く右回し蹴りを、腕を使って流す。
 こめかみに向かってくる左ジャブを後ろにブリッジするようにしてかわす。
 脹脛への右回し蹴りを、足で地面を蹴って頭の先へ下半身を移す。
桔梗「手ぇ抜けよ・・・」
牡丹「ふっ、さすがだな」
 両手をついて前かがみのような姿勢に。
千夏「すごいアクロバットだね」
千冬「だね。私には絶対できない」
千春「間違えて頭をぶつけそうだね」
千秋「でも、かっこいいですよね」
 牡丹と対峙している間に、なんか話が盛り上がっていた。
牡丹「おらぁ!」
 腰の投げナイフ2本同時投げ。
 それを後転してハンドガンで撃ち落とす。
牡丹「まだまだ!」
 弓の3連射。
 前転をして一本掴み、もう片方の手で一本掴む。
 もう一本を身体をそらして回避。
桔梗「あばよっ! 達者でな!」
牡丹「てめっっ!待ちやがれ!」
千春「賑やかだねー」
千夏「ほんと」
 もう勘弁してほしい。
 下手すりゃ死ぬってのに。
椿『桔梗、こちら椿。作戦は成功だ。俺達の勝ちだぜ!やったな!』
桔梗「こちら桔梗。今、牡丹とエンカウント中。少し待ってくれ」
椿『了解』
 はぁ、しょうがない。
桔梗「牡丹、悪いっ!」
 牡丹の後ろに回り込み、背中を手刀でたたく。
 牡丹が倒れこみ、気絶。
桔梗「さて・・・帰ろうか・・・」

To Be Continue...
最終更新:2012年07月25日 14:41