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812 :名無しさん@秘密の花園:2009/09/29(火) 19:19:59 ID:nfK7tQPh
ここで敢えて咲→照の拙いSSを投下
全然エロくないけど前半に自慰ネタ有り
設定としてはアニメ最終回の後で原村さんとの名前呼びイベントはなかったことになっています
2レス借ります






「お姉ちゃん……」
 合宿初日のその夜、私は寝付けないでいた。
 今日は久々にお姉ちゃんの話を聞いた。そう、大好きな、お姉ちゃんの話を。
 話といっても、本当にほんの少しで、それも残酷な内容だった。
『私に、妹なんていません』。
 お姉ちゃんは、未だに私のことを許してくれてはいないのだ。
 それでも――どんな話にせよ、お姉ちゃんの話を聞いただけで私の心はお姉ちゃんのことで
  いっぱいになっていた。
 私は、お姉ちゃんのことが好き。女の子同士なのに、それも実の姉だというのに、その想いを捨
  て去ることが出来ず、それどころか日を重ねるにつれどんどん強くなっていった。
「お姉……ちゃん……」
 お姉ちゃんの顔を思い返す。優しかった頃のお姉ちゃんを。今でも鮮明に覚えていた。顔の輪
  郭、瞳の大きさ、唇の赤さと――その柔らかさ。
 ずっと昔に一度だけ、お姉ちゃんと一緒に寝ていたときに偶然その唇に触れたことを思い出す。
  思えばあの出来事が、お姉ちゃんの存在が私の中で大きく膨れ上がっていったきっかけだった。
「ぁ……んっ……」
 自然と自分の秘部に手が伸びた。指を中に入れて、掻き回す。
「あっ……あっ……お姉ちゃん……!」
 この手がお姉ちゃんのだったら、と思った途端にいっそう興奮は高まっていった。高ぶった体は
  もう抑えることは出来そうにない。自分の寝間着の襟を噛んで声を押し殺しながら、指を動か
  す。
「ぁふっ……お姉ちゃん……好き……!」
 隣に眠る原村さんや優希ちゃんが起きないか冷や冷やしながら、それでもやめない。やめられ
  ない。
「お姉ちゃん……好き……好きぃ……っ!」
 くちゅ、という水音が聞こえてきた。このままだとまずい、これ以上は、と理性が訴えかけるが、
  やはり、無理だった。水音はどんどん大きくなっていく。
「んっ……はっ……! お姉ちゃん……ぁはっ!」
 頭の中がお姉ちゃんでいっぱいになって、幸せな気持ちが満ちてくる。気持ちいい。笑みが零れ
  る。ぐちゅ、ぐちゅ、と音が立つのを気にする余裕は既になく、体の奥から徐々に快感の津波が
  押し寄せてくるのを感じていた。私は指を出し入れする速度をいっそう速める。
「――っんん!」
 びくん、と体が跳ねる。私は達してしまった。お姉ちゃんのことを想って。
「っ……はぁ……お姉ちゃん……大好き……」
 脱力感に包まれながら、小さく呟いた。


「……最低だな、私……」
 私は静かに部屋を出て、誰もいない真っ暗な廊下を通って洗面所へ向かった。火照った体と頭
 を冷やす為だ。
 蛇口を捻って水を出し、水が跳ねるのを気にせず荒っぽく顔を洗った。冷えた水が心地いい。
 が、なかなか心を鎮めることは出来なくて、何度も何度も顔に水を打ちつける。
 何回繰り返しただろうか、水の冷たさを肌が感じなくなったあたりでようやく水を止める。ふぅ、と
 一息ついて、顔を上げた。
「あっ……」
 そこで、鏡に映った自分に気付く。前髪が濡れ、目元までかかった自分の姿。そこに、お姉ちゃ
 んの姿を見つけた。
「お姉ちゃん……」
 呟きながら、鏡にそっと顔を近づける。どんどん自分の顔が、お姉ちゃんの姿が大きくなってい
 く。
 そして――
「……ん……」
 唇に触れたその感触は、固くて、冷たかった。それでも暫くそうしていて、やがて鏡から離れ、俯
 く。
「……何やってるんだろ……」
 酷い自己嫌悪。自分自身の中にお姉ちゃんの姿を映しだして、あまつさえキスまでしてしまっ
 た。何の意味もない行為。ただの自己満 足の行為。
「ほんとに……最低だ……」
 ごつん、と頭を鏡にぶつけた。痛みが走る。それでも癒えない心の傷。
 果たして周りはどう思うだろうか。実の姉が好きな、姉を想って自慰をしてしまうような私を、なん
 て思うだろうか。
 ……きっと、気持ち悪いって思われるのだろう。
 ましてや、お姉ちゃんがこんな私を見たら――。
「……お姉ちゃん……」
 涙が滲んできた。一度そうなってしまうと、もう感情の奔流を止められない。私はぼろぼろ泣き出
 してしまった。
「お姉ちゃあん……」
 嗚咽が漏れる。誰かに気付かれないようにと必死で抑えようとするが、どうしても堪えられない。
 どん、と鏡に握り拳を叩きつけた。
『私に、妹なんていません』
 風越の部長さんから聞いたお姉ちゃんの言葉を思い出して、いっそう涙が溢れた。『妹なんてい
 ない』。つまり、お姉ちゃんにとって 私は赤の他人だと言うことだ。それは、私とお姉ちゃんは
 無関係であることを意味する。
「会いたいよ……お姉ちゃん……」
 同性なのだ、私が幾ら思っても姉と結ばれることはない。だから、一緒にいられるだけで良かっ
 た。家族という絆に甘えれば、いつま でもお姉ちゃんに寄り添うことが出来ると思っていた。
 しかし、その絆さえもお姉ちゃんは認めてくれない。すがりつく術が何もない。
「会いたいよ……会って話したいよ……声が聞きたいよ……誉めて欲しいよ……撫でて欲しい
 よ…………お姉ちゃん……」
 呟けど、お姉ちゃんには決して届かない。届くはずもない。
 自分でもわかっていた。私の歪んだ恋心が叶うはずのないことを。世界どころかお姉ちゃん自
 身にも受け入れてもらえるなんて有り得ないことを。だけど、自分でもそうわかっているのに、
 想いは募るばかりだった。
 ――どうしてこうなっちゃったんだろう――
 無力な私には、無様に泣くことしか出来なかった。



 了

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最終更新:2009年09月30日 16:57