122 :名無しさん@秘密の花園:2009/10/04(日) 23:17:25 ID:i9XrPEBJ
それを聞かされたのは、あの子の夢の話を聞いた翌日だった。
――転、勤?
――……うん、うん。
――お父さんは…まあ、職場が違うもんね。
――じゃあ、あの子…咲は?
――…お父さんと、一緒…?
――そう、だよね…うん、何となくはわかっていたけど。
――転勤先は、東京?
――東京…か。遠い、ね。
――あの景色も、もう見れなくなるのか…。
――…うん、わかってるよ。
――私は…お姉さんだから、平気だよ。
――平気、だよ…。
――だよね…?
――…咲。
そして、その一週間後。
私とお母さんは、東京へ発った。
咲。
初めに、ごめんね。
お前との約束は、思ってた以上に早く破れちゃった。
けど、安心して。
最近はお父さんも割りと早い時間に帰ってくるでしょう?
お前を一人ぼっちにしたくないって、お父さんも意気込んでいたから。
これからは、ちゃんと親子で食事する機会も増えてくるよ。
一人じゃないの。
大丈夫だから、ね?
…ほら、泣かないの。
前にも言ったけれど、私たちは姉妹だよ?
この縁は、そう簡単に切れない。
だから、またそのうち会えるよ。
さあ、もう行かなくちゃ。
またね、咲。
――あの子にはああ言ったけど。
案外、依存していたのはあの子だけではなかったのだと。
東京へ来てから、数日で思い知ることになる。
朝起きた時も、昼食をとっている時も、夜寝る時も、いつも、いつも。
浮かぶのは、あの子のことだけ。
笑ったり、泣いたり、手を繋いだり。
あの子の、ことだけ。
「咲…お前は今、泣いているの?笑っているの?」
「お姉ちゃんね、笑えないの」
「お前がいなきゃ」
「お前が…」
「…会いたいよ」
「…咲」
昨日も明日も、太陽はずっと曇ってて。
頂きの花は今日も咲まひず。
了
最終更新:2009年10月07日 00:20