804 名無しさん@秘密の花園 [] 2009/10/20(火) 22:06:05 ID:7iU7rEc6 Be:
かじゅモモで久しぶりに短いです。
書き上げた日付が8月2日とかになっていて、なぜか投下してなかった作品なので若干アニメと整合性のとれない部分があってすいません。
「そういえば、ユミちんたちはどこまでいったんだ?」
ことの発端は多分、蒲原のこの一言だったのだろう。
インターハイ予選まではもう時間がなく、私たち鶴賀学園も所謂合宿というものをすることになったのだ。
合宿といっても実際はほとんどお泊まり会のようなもので、皆で卓を囲みはするが、多分に絆を強めるためといった意味合いが強かった。
朝も早いうちから合宿所にやってきて、午前中一杯牌に触れ、昼食をとった後はまた少し牌と遊んだ。
夕方からは自由時間。
暇つぶしにお遊びで卓を囲むこともしたけれど、基本的にはお遊びだ。
備え付けの卓球に手をだしてみたり、蒲原にいたってはよく分からないシューティングゲームに精をだしていた。
それはとてもとても平穏な時間で、私の後ろをついてまわるモモも、どうやら楽しんでくれているようだった。
しかし平穏とは突然に失われるものなのだ。
合宿所に備え付けの露天風呂につかったあたりからなにやら雰囲気がおかしくなった。
蒲原と睦月と妹尾。
湯の中で三人集まって、こそこそとなにかの話題で盛り上がっているようだった。
夕食をすませている途中にも、どうも妹尾がそわそわとして、なにやら落ち着かない様子で蒲原に耳打ちをしていたりする。
今思えば、蒲原の問いは、妹尾のこれに応じたものだったのかもしれない。
女三人寄れば姦しい。
私たちはモモと私を抜いたとしても、その数に十分足りる。
なにか花の咲くような話題には事欠かないのだった。
妹尾の好奇心。
悪くいえば野次馬的な感情は、本当は閉じ込めておくべきだったのかもしれない。
しかし、大層迷惑なことに蒲原がそれを拾い上げた。
それは布団を敷いて、眠りにつこうかというときにおこった。
蒲原の「どこまでいったんだ?」という問いだ。
私としてはなにを言っているんだコイツは、といった気持ちで、適当にあしらおうと考えていたのだが、
津山も、そして妹尾もこういった話には興味津々らしく、気がついたら全員が枕を持って私の蒲団を囲んでいた。
それはある種修学旅行の夜のような状況で、ただ一つ異なったのは、それは暴露大会的な意味合いではなくて、尋問という形態に近いことだった。
ふと気づくとモモが私のすぐ後ろまできていて、もう肌が触れ合いそう。
顔を向けると、彼女は風呂上がりの桜色の頬を緩ませてニコリと笑った。
どうやら助け舟をだしてくれる気はないらしい。
ムッとした表情を見せても、するりと受け流されるばかりだった。
「わっ、私もそれ知りたいです!」
睦月が珍しく、声を高くして蒲原に続いた。
少し頬を赤らめ、枕に半分顔を埋めながらそわそわとした視線を送ってくる。
睦月はあまりはしゃいだりはしない方だと思い込んでいたのだが、やはりそれでも高2の女の子。
色恋沙汰には興味がないはずもなくて、チラリと見えた瞳はキラキラと輝いていた。
「あのぅ。私も聞きたいなぁって…。」
おずおずと妹尾も二人に続く。
つい先程就寝の準備のためかはずされていた眼鏡が、いつの間にか定位置へと戻っている。
ふわふわと欠伸なんかして、今にも意識を手放してしまいそうだったはずなのに
すっかりと目はさえて、むしろギラギラしているようだった。
「はぁ…。」
一つ大きな溜息をついて、視線を巡らす。
好奇心を山盛りにたっぷりと含んだ、ニヤニヤとした笑みが突き刺さって、私はガクリと肩を落とすのだった。
最後の頼みだとばかりに、もう一度モモへと視線を送ってみたが、
彼女はこういった暴露的な行為にあまり羞恥心を感じないのか、なんだか幸せそうに頬を赤らめて私の腕に絡んでくる。
突然にモモの体温を感じて、頬がびっくりするぐらいに熱をもった。
「モモ…こういうのは秘密にするものじゃないのか?」
こっそりとモモに耳打ちするが、すっかりとテンションのあがった三人の聴衆はそれだけで歓声をあげた。
「変な話かもしれないっすけど、私は嬉しいんすよ。こんなこと初めてだから…。」
言葉を進めるにつれて、段々とモモの声は小さくなっていく。
視線の先のモモの頬は出来の良いイチゴみたいに真っ赤に染まっている。
それだけでなぜだかこちらまで恥ずかしくなって、ますます熱は高まるのだった。
堪らなくなって、腕に擦りよるモモの腰へと余った腕を回す。
そうなのだ。私たちにとってはある意味慣れた状況なのだけれど、モモにとっては初めて尽くし。
モモは多分、こういった話の輪に入ったことはないのだろう。
耳に飛び込んでくるそういった会話は、きっと随分と楽しそうで、どんなにか輝いて見えたことか。
なんだかどうしようもなくモモのことが愛しく思えて、人前でさえなければそのまま口づけを落としたかった。
「少しだけだからなっ!!」
照れ隠しもあって、蒲原たちに向けた声は知らずに大きくなる。
モモに年並な会話を体験させてやりたい。
そんな意味もない使命感は、もしかしたら私の心の中にも惚気たいという気持ち
がある証拠だったのかもしれない。
「きっ、キスはもうしたのでしょうか!!」
当事者でもないのにガチガチに固まって、妹尾が声を絞り出す。
実はこういう話が一番好きなのは、妹尾なのかもしれない。
膝の上に抱えた枕にはすごい勢いで指が沈み込み、まるで身をのりだすみたいに私たちへと視線を向けていた。
それにしてもいきなりダイレクトな問いである。
普通なら付き合っている相手がいるのかいないのかの話から始まって、馴れ初めやらを問い質すものだ。
けれど私たちの場合にはそういったことは既に漏れているから、展開も嫌になるぐらいに早い。
それに、答えるのも私たちだけだから、適当に話をまわすこともできないのだ。
話してもよいものだろうかと思い悩んで、私はモモへと視線をやった。
私の腕の中、ちょこりと膝の上におさまったモモは、恥ずかしそうにこくりと頷く。
それでも、なんだか嬉しそうに私には見えた。
「キスは…したよ。」
顔から火がでそうだ。
実を言うと、色恋沙汰の話が苦手なわけではなかったけれど、今までそういった
こととは無縁だったから問われる側に立つのは初めてなのだ。
耐えられないぐらいの恥ずかしさと、ほんのちょっぴりの嬉しな気持ちが混ざって、私の胸を駆け巡っていた。
「いつですか?どっ、どちらから?」
私が言葉を終えると、矢継ぎ早に睦月から追撃がくる。
言葉足らずになってしまうぐらいに睦月もあせっていて、食い入るような視線が送られてきた。
恥ずかしくて死にそうだ。
それでも、私のモモを自慢したい気持ちもあって、それが背中を押した。
「デートに行ったんだ…。神社で待ち合わせをして、買い物をして映画を見た。
ふ、普通のデートだったのだが、別れる時になってなんだかモモが消えてしまうような気がして…だから私からした。」
それはモモにも言ったことのないことだった。
段々と開き直り始めている自分がいて、思いの丈を全てはきだしてしまいたいような気分だ。
モモはギュッと私の胸に顔をうずめて、赤らめた頬を隠していた。
「そのまま…。そのまま先輩は何度もキスしてくれたっす。それでっ、それで。その後…」
「ダメだモモ!!」
モモはほうっておいたら話されたらどうしようもなく恥ずかしいことまで言ってしまいそうだ。
慌てて口をふさいだけれど、面白い展開を求めている蒲原たちがそれを見逃すはずもなかった。
「かおりっ!!むっきー!!ユミちん抑えて!!」
「「はいっ!!」」
モモの唇をふさいでいた手を引き剥がされる。
モモとも引き離されて、私はなぜだか妹尾に口を抑えられて、睦月に腕を取られていた。
「ささっ、続き続きぃ~!!」
蒲原の心底楽しそうな声が響く。
だめだだめだとモモに視線を送るのだけれど蒲原のヤツが、
「こういうときにダメだというのはお約束で、ユミちんもホントは止める気はないいんだよ」
なんて白々しい嘘をつくものだから、モモはすっかりと騙されてしまっている。
妹尾と睦月もにたーっと悪い笑みを浮かべている。
どうにかして止めようと身体を暴れさせるのだけど、2対1ではなんの意味もなかった。
「その日ですね…先輩が初めて抱いてくれたんす。」
おおーっと歓声があがる。
モモの頬は熟れた林檎みたいに赤く染まっている。
そして多分、それ以上に私の頬も深く染まっているに違いなかった。
「それでっ、どうだったんですか桃子さん!!」
今までに見たことのないぐらいに熱心に妹尾が問い質す。
お願いだ。もうこれぐらいでいいじゃないか!
こういう話しのときに祭り上げられている友達の気持ちが痛いぐらいに良くわかって、今度からは自重しようと思った。
「先輩は優しくて…でもすごくエッチで…」
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結局初体験の話から、それから週に1回は床を共にしていることまで洗いざらい喋らされた。
もう蒲原たちの顔をまともに見れる気がしない。
それからたっぷり二週間は、ムッツリスケベ扱いされてからかわれる日々が続くのだった。
Fin.
最終更新:2009年10月23日 15:15