アットウィキロゴ
856 名無しさん@秘密の花園 [sage] 2009/10/22(木) 00:25:28  ID:5gUP6eHX Be:

私、片岡優希は1人街を歩いていた。
新しいタコス屋さんの開拓のためだじぇ!
部長と染谷先輩はデートで、のどちゃんも咲ちゃんとデート。
ちなみに京太郎は合宿の片づけを部長に頼まれてやってるらしい。
はぁ~、のどちゃんはすっかり咲ちゃんにべったりだじぇ…。
中学の時は私だったのに。
でも、のどちゃんが幸せなら、それでいいんじぇ。
まだ吹っ切れないけど、いつか吹っ切れる時がくる。
きっと私にも何か新しい出会いがあるはず…!


とりあえずいつものタコス屋さんに行きタコスを購入。
私には、私にはタコスがあるじぇ。
やっぱりタコスはおいしい。
口に頬張りながらふらふらと歩くと見たことのあるお子様がいた。

「あれ?あれは龍門渕のお子様…?」

黄色の髪にウサギの耳みたいなカチューシャ。
間違いないじぇ!
でも、なんでこんなところに1人でいるんだ?
近づいてみると、あっちも私に気付いたみたいだ。

「何見てるんだ?衣に何か用なのか?」

明らかに警戒した顔でこっちを見てる。
まさかとは思うけど…。
私のこと覚えていない…!?

「清澄の片岡優希だじぇ!お前は龍門渕の…」

あれ?いつもお子様お子様って言ってたから名前が思い出せないじぇ。

「清澄…?はらむらののかのところか!はらむらも一緒なのか!?」
「むぅ。今日は私1人だじぇ。」
「そうなのか。」

あからさまにがっかりするなよ。

「おまえはなんでここにいるんだ?」
「おまえじゃない!天江衣だ!」

両手を腰に当て、胸を張って答えるこの人はどう見たって子供にしか見えなかった。
だからつい、いつものように言葉が口から出てしまった。

「ぷぷ。お子様だじぇ。」
「衣は子供じゃない!!」

顔を赤くしてむきになって、余計お子様に見えるじぇ。

「ぷくふ。なんか可愛いじぇ。」
「なっ!?」

身長的にも、顔的にもこれは…

「いい子、いい子。」

撫でたくなる頭だじぇ。

「ふぇ…。撫でるな~!」

おうおう、照れてる照れてる。
可愛い生き物だじぇ。

「お、お前はなんでハラムラと一緒じゃないんだ?」

ズキッ。
なんか今胸が痛んだ。

「それは…」
「それは?」
「咲ちゃんとデートだじぇ。」
「清澄の嶺上使いと?」
「そうだじぇ。」

考えるともやもやしてくる。
泣きたくなる。
まだ吹っ切るのは遠そうだ。

「じゃあ衣がお前の相手をしてやろう!」

はい?

「どういう意味?」

「だから、衣がお前とデートしてあげると言っているんだ!」

両手を腰にあてたお子様ポーズで満足げに何を言ってるんだ?このお子様は。
でも、1人は寂しいからな…。

「私がお前とデートしてやるんだじぇ!私のことは優希と呼ぶがいい!」

このお子様のポーズを真似て私も言ってやったんだじぇ。


**********


そんなわけで私はこのお子様とデートすることになった。
ほとんど初対面でデートってどうなんだ?
まぁでも、これはデートというより子守だじぇ。

「ゆーき?」
「ん?」
「何を食べてるんだ?」
「タコス!」
「タコスとはなんだ?」
「タコスを知らないのか!?人生半分以上損してるじぇ!」

このお子様はタコスが何たるかも知らないというんだじぇ!
あり得ないじぇ!

「それは、美味いのか?」
「あったりまえよ!」

このお子様にタコスが何たるか教えてやらねばならないな。
しかし、もう今の一口で終わってしまったじぇ。
どうしよう?
ぐるりと周りを見渡すとタコスの屋台があった。
ラッキー!

「衣!」
「ん?」
「今日はデートだからな!私がお前にタコスをごちそうしてやろう!感謝するんだな!」

そう言って私はタコス屋さんへ駆け出した。
衣はちょっとムッとした表情を作ったけど、渋々私についてきた。
タコスの誘惑に勝てるわけもないんだじぇ!

「いらっしゃいませ。」
「タコス2つくれ!」

屋台に着くなり、そう注文した私はテンションが高かった。
このタコス屋さんは初めて来たからだ。
当初のタコス屋さんの開拓もしてるなんて、天才だじぇ!

「はぁはぁ…。デートなんだから衣のこと置いていくな!」

やっと追い付いた衣は息を切らしながら言ってきた。
運動不足なんじゃないか?
それともまだお子様だからか…。
ぷぷぷ。

「おい!ゆーき!今笑ったろ!笑うなー!」

やっぱり可愛いじぇ。

「お待たせしました。」

そんなことをやってるうちにタコスが出来上がったらしい。
お金を払って、タコスを受け取った時だった。


「あっ!お前は!」

衣が店員を指さして叫んだのだった。
だから、私もタコスから視線をあげて店員を見た。

「風越の大将!」

「天江衣?」

店員さんは風越の大将の人だった。


********


「なんでこんなところでタコスを売ってるんだじぇ?」

私のことをこの人も知らなかったみたいで、お互いに自己紹介をしてから質問した。
衣はタコスをまじまじと見ている。

「見ての通りさ。バイトだよ。合宿明けってことで今日の部活がオフだから。」

池田さんは元気なく言った。

「なんでバイトしてるんだじぇ?」

衣はタコスに鼻を近づけ、匂いをかいでいる。

「もうすぐ妹たちの誕生日なんだ。だから姉として何かプレゼントを買ってあげたくて。」

そうなんだ。
妹たちのために…か。
偉い人だじぇ。

「お願いだ!他の人には言わないでくれ!変な心配かけたくないんだ。」
わかったじぇ…って言おうとした瞬間だった。

「うむ!!これは美味なり!!」

衣がタコスを頬張りながら叫んだ。

「ゆーき!風越の大将!こんな美味いものをありがとう!」

衣の笑顔を見て私は思い付いたんだじぇ。

「池田さん!!タコスパーティーをするんだじぇ!」

「タコスパーティー?」
「む?それは何なんだ?」


******


池田さんの妹さんたちの誕生日パーティーとしてタコスパーティーをする!
という素敵なアイデアが浮かんだ私はこの2人に宣言した。

「なるほど…。」
「妹さんたちもきっと気に入ってくれるじょ。」
「だけど、あたしは1からタコスを作るのは無理だし。」

池田さんが俯いた。
なにを言ってるんだじぇ!
言いだしっぺで、タコスを知り尽くした私が参加するに決まってるじゃないか!

「い、いや、気持ちは嬉しいけどさ…。」
「たこすぱーてぃー?それは衣も参加していいのか?」
「当たり前だじぇ!池田さん!ここで会ったのも何かの縁だじぇ!」

衣はぽかんとしながら口の周りを汚してる。
ハンカチあったかな?
やっぱりお子様だじょ。
とハンカチを出して衣の口を拭いてやってから池田さんの方に振り向くと

「うん!そうだな!」

池田さんは生き生きとした表情で言ったんだ。

「これも何かの縁だ!天江衣!清澄の…えぇと。」

もう忘れてる。
しっかり私の名前を覚えときな!

「片岡優希だじぇ!優希って呼んでいいじょ?」
「衣も衣でいいぞ。」
「あたしのことは華菜でいいし!」

タコスのパワー恐るべし!
こうやってタコスによりできる友情もあるんだじぇ!

「優希!衣!絶対タコスパーティー成功させるんだし!!」

「あったりまえだじぇ!」
「うむ!」


*******


「なぁゆーき。」

華菜ちゃんと連絡先を交換して、華菜ちゃんのバイトの迷惑にならないように別れてから、衣が私に言ったんだ。

「ん?どーした?」

衣はいつもの屈託のない笑顔で私に聞いたんだ。

「誕生日パーティーって何をするんだ?」

このお子様は誕生日パーティーをしたことがないのか?

「衣は誕生日パーティーをしたことがないのか?」
「とーかたちに祝ってもらったことはあるぞ。ただ…。」
「ただ…?」
「祝う方をやったことがないんだ。」

ちょっと寂しそうな横顔だった。

「簡単だじぇ!心の奥から生まれてきてくれてありがとーってするんだじぇ!」
「それは…。」
「?」
「それは衣が祝ってもらった時もそうだったのかな?」

寂しそうな横顔に涙が追加された。

「…あったりまえだじぇ!衣!今度、私も衣の誕生日を祝ってやるじぇ!」
「ゆーき…。」

よしよしって頭を撫でてみた。
最初の時と違って衣は素直に従った。

「よしよし…。」
「ゆーき!」
「なんだ?」
「衣もゆーきの誕生日を祝ってやろう!いっぱいいっぱいおめでとーをしてやろう!」

衣は顔をあげてに―って笑った。
それを見て私もに―って笑った。

衣の手を繋ぎながら歩く。
これから忙しくなるじぇ!
華菜ちゃんの妹さんたちに極上のタコスを作ってやるんだじぇ!
華菜ちゃんのために、華菜ちゃんの妹さんたちのために、そして衣のために最高のパーティーにしてやるんだじぇ!

「衣。」
「ん?」
「折り紙で飾りを作ろう!わっかのやつ。」
「それは衣にも作れるか?」
「簡単だじぇ!今度教えてやるじょ。」
「うむ。」

こうやって衣といれば吹っ切れられる気がした。
少なくともタコスパーティーに奔走する間はのどちゃんのこと考えなくてすみそうだ。

「ゆーき!」
「なに?」
「ゆーきとのデートは楽しいぞ!」
「私も衣とのデートは楽しいじぇ!」

うん、今はこうして衣の手を引いて歩いてるのが楽しいんだ。幸せなんだ。

「衣。ありがとな!」

衣にありがとうを言いたくなった。
何の脈絡もない言葉に衣の頭に?が浮かんでる。
ふふふ、それもまた可愛いかったじぇ。



おしまい

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2009年11月03日 20:46