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885 靖子・貴子1 [sage] 2009/10/22(木) 11:20:09  ID:znTOmos9 Be:

「ああ…またやってしまったな」

深夜11時。長野にある、とあるバーで名門風越女子麻雀部でコーチをしている久保貴子は、一人寂しくウィスキーをちびちびと口に流し込んでいた。

また、今日もやってしまった。
私は、短気な性格のためすぐにカッとなっては部員を怒鳴り、平手打ちをしてしまう。

そして、先程あった出来事を思い出す
「池田!ちょっと来い!」
「はっ、はいぃっ」
「てめえ、何でさっき二萬二萬・四萬・五萬・白白白・中中中・発発の手から、発を切ったんだ!」
「あ…あれはっ、吉留さんが発を一枚切ったので、多分もう発をツモることは無いと思って…白はドラで五萬は赤なので、あの手でも十分な得点…」
「ふざけるなァ!!」
「ひゃああああっい!!」
「14順目とは言え、あそこは大三元を狙うところだろうが!この根性なしがっ!!結局、あのあと16順に文堂にチートイツを上がられたんじゃねえかよ!」
バシッ!
「ひぃっ…すっ、すみません…ぅう」

「池田…すまないことをしたな」

ギュウっとこぶしを握り締める

その時、突然横から誰かに話し掛けられた。

「よぉ。なーに落ち込んでるんだ?」
「っ!!あなたはっ、藤田プロ!」
「やぁ。なんだか知っている顔が見えたと思ったから来てみたんだが。やっぱり、風越の人だったか」
「あ、私はコーチの久保貴子と申します…」
彼女はふぅーっと、キセルから口を離して白い煙を吐き出した
「ん、久保さんね。よろしく」

突然の有名人の登場に、私は緊張してガチガチになる
「おいおい、そんなに堅くなるなよ」
「ああっ、すみません…」
「…で?」
「はい?」
「何を落ち込んでいたんだ?」
「あの…実は」

普段はあまりベラベラと自分のことを喋らない私だが、今は酒が入っていることもあり、今日あった出来事を洗い浚い全て話してしまった。

「なるほどね…。そういうことか」
「はい…。本当は部員を叩きたくないんですが。カッとなるとつい…」
「まぁ、暴力はあまり良くないと思うが…」
「はい…」
「お前にとって、それは愛のムチなんだろう?」
「まぁ…」
「お前なりに一生懸命にやっていることなんだから、あんまり自分を責めることも無いんじゃないの?」
「そうですか…」
「ああ。それに部員達だってきっと、お前の考えや指導の仕方を理解してくれてると思うよ」
「だと良いんですが…」
「さっ、落ち込むのはそこまでだ。今から飲み直そう。付き合ってやるよ。なっ?」
「はい。そうですね…」

カチン。とグラスの音を立て、藤田プロと乾杯をした。
話を聞いてもらい、気持ちが少し楽になったこともあり、私はそこからどんどんと酒が進んだ。

そして―――

「ふじたさぁぁさ~ん!もぅ、わたし歩けませ~ん」
「おいおい…しっかりしてくれよ…」
「無理れす!」
「全く…酒弱いんなら最初から言えよ…。で、お前の家はどっちだ?」
「こっちれ~す!」

「おい、着いたぞ」
「たっだいまぁ~!私のおうち!」
「やれやれ…おい、水飲むか?」
「はぁい」
「じゃあ台所借りるぞ」
「どうぞ~!」

「ほら、飲め」

水を飲んで、頭はまだまだボーッとしているものの、少し、正気に戻ってきた私。
ああ…何をやっているんだ…

「どうだ?少しは落ち着いたか?」
「はい…」
「そうか、なら私はこれで…」
「待って下さい!」
「なんだ?」

何で、あの時あんなことを言ってしまったのかは分からない。が、私はとんでもない事を口走ってしまった
「寂しいんです…今夜は帰らないで下さい」
「は?…正気か?」
「はい」
「やれやれ…お前、彼氏は?」
「居ません、そんなの」
「まぁ、私もそうだが。でも寂しくはないぞ」
「私は寂しいんですよ……」
「まったく。どれ…」

「んんっ!」

少々乱暴に唇を奪われた。荒々しいものの、体に快感が走る。
そして、体が熱い

そこからの事は、全く覚えていないが、次の日に目が覚めたらテーブルの上に置き手紙が。

「昨日は熱い夜だったな。まぁ、お前は覚えていないかもしれないが。気が向いたら連絡してくれ」

その文字の下にはケータイの番号と、アドレスが続いていた。

「………」
本当に、昨日のことはキスしたところまでしか覚えていないけど…
私は抱かれてしまったのか?

でも、不思議と嫌な気分はしなかった。むしろ嬉しい…。いやいや待て、しかし相手は女性だ…
私にはそんな趣味はないはずだ

でも…連絡先を残してくれたということは、とりあえず嫌われた訳ではないのだろう。
少しホッとした

そして、その日の風越麻雀部では

「池田!」
「ひゃああっい!」
「お前!さっきの、混一色、凄かったぞ!その調子だな!」
「えっ?あっ、はい…ありがとうございますっ」
「文堂!」
「はっ、はいっ」
「さっきのチートイツ、無駄な引きヅモがなくて良かったぞ!」
「あ、えっ?ありがとうございます…」
「吉留!」
「はい…!」
「相変わらず、お前の河は綺麗だな!」
「えっ…あ、ありがとうございます…」

そこには、妙にテンションの高い久保コーチの姿があった。

ヒソヒソ
「今日の久保コーチ、なんか変だし…」
「だよねぇ…。私、何で河のことなんて誉められたんだろ…」
「私なんて引きヅモに無駄がないとか、そんなのたまたまなのに、意味不明ですよ…」
「やっぱ変だし…豆腐の角に頭でも打ったのか?」
「華菜ちゃん、それは…」

―――――――――――――――
後日談。
先日、迷惑をかけてしまったことを謝罪しようと藤田プロに電話をかけた久保コーチ。

「先日はすみませんでした…」
「ああ、気にするな。それとだな…」
「はい?」
「熱い夜だったなって、書いたの。あれ嘘だから」
「ええっ?嘘だったんですかっ?」
「はははっ。残念だったか?まぁ、私はこれからそうゆう関係になっても構わないが?」
「かっ、からかわないで下さい!」
「はははっ」

藤田プロにいじられまくる、久保コーチであった。

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最終更新:2009年10月23日 15:44