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>>187の続編を書き上げたので、早朝からですが投下します

まず今回のは菫さん視点です。
しかし菫さんが少し怖いことになっていて、終盤は不愉快に思う描写もあるので苦手な方はスルーでお願いします。 
一万字越えでロング、微エロ注意。次レスからスタートです 
タイトルは「後悔」


227 「後悔」 菫視点1 [sage] 2009/10/28(水) 06:39:22  ID:cl9il2Cs Be:

「菫、今日久しぶりにうちに遊びに来ない?」

学校からの帰宅途中。隣に居る私の想い人から、嬉しいお誘いを受けた。

「え…良いのか?」
「うん。私達、同じ大学に行くじゃない?これからも長い付き合いになるんだし、またお茶でもしようよ」
「そうだな。最近、あまり二人で話する機会も無かったしな」
「うん。あ、いつも通り、誰も居ないから安心して」
誰も居ないから、か。
こいつは、やはり天然というか…。
そういう台詞は、相手にベッドへ誘ってるようなものだってことに、まだ気付かないのか。
彼女はそんなつもりで言った訳では無いんだ。と頭では理解しているが、その言葉に一瞬ドキっとしてしまい、苦笑してしまう。

照は、妹と仲直りをしてから本当に変わった。精神面において、強くなったんじゃないだろうか。
前までは、自ら相手に親睦を深めたい、というような発言は全くといって良いほどしなかった。
なんというか、ここ最近は自分の気持ちを素直に主張をするようになった気がする。

そう言えば、照は私からのプレゼントに気付いてくれたのだろうか…
先週の金曜は、彼女の誕生日だった。
私はもちろん、そのことを知っていた。
だから、事前にプレゼントとして香水を買っておいて、当日に渡そうと思っていたのだが…

まさかのサプライズで、こいつの妹が照に会いに東京まで来てしまい、その日は結局渡すタイミングを失ってしまったのだ。

でも、週が空けた今日。
妹のようにはいかないけど、私も照を驚かせてやろうと思い、こっそりとこいつの机の中にプレゼントを潜ませておいた。

まぁ、さすがに気付いていない訳ではないのだろう。
今日、家に呼んでくれたのは、きっと私に礼を言うためだ。
だから、照から切り出してくるまでその話題には触れないでおこう。

家に着き、照の部屋に上がる。
「今お茶入れてくるから、待っててね」
そう言い、照は部屋から出ていった。

「しかし…」
ベッドに腰を掛け、部屋を見渡す。相変わらず殺風景な部屋だな。
この部屋に来るのは、照が妹と仲直りする前…。そうだ、全国大会前に来た以来だな。

「三、四ヶ月ぶりってとこか…」
数字にして考えてみると、かなり久しぶりだったんだな、と一人で思いふける。
まぁ、唯一変わったことと言えば、机の上が少し賑やかになったくらいか。
勝手に人の部屋のものをジロジロと見るのは悪いので、座りながらボーッと机の上を眺める。
おそらく、妹と写ってる写真だな。あれは。
あとは雑誌や本などの類が増えたってところか。

「お待たせ」

照が戻って来た。

「菫はストレートで飲むんだよね?」
ベッドの前にあるテーブルに、コトッと紅茶を二つ置きながら、私に尋ねる。

「ああ。ありがとう」

そして照はテーブルを挟んで私の向かい側に座った。
紅茶をすすりながら、チラッと照のほうに目を向ける。さずがに以前のように隣には座ってくれないか…。
それはそうと、そろそろあの話を切り出してくるはずだ。

「ねえ、菫」
「ん。なんだ?」
さて、なんて言葉を返してやろう。

「菫は大学卒業して、プロになったら、どうするの?東京でやっていくの?」

ん…?
なんだ、全然違う話じゃないか。
予想外の返答に、私は少し戸惑う。

「さあ…どうだろうな。所属する実業団にもよるんじゃないか?」
「そっか…」
「お前は?どうするんだ」

「私はね…」

照が、ティーカップを両手で持ち、少しうつむき気味になりながら、何故か頬を赤らめた。

「長野か東京、どっちでも良いんだけど、プロになったら咲と二人で暮らしたいんだ…」
「そう、なのか…」
「うん。」

何で、妹との将来夢の話になるんだ…。
私がまだお前のことが好きなのを、分かってて言っているのか?
いくら天然とはいえ、さすがにこれは酷じゃないか?
それか、あれか?今のは「妹とずっと一緒だから、菫が入る隙間は無いよ」と、遠回しに言ったのか?
彼女のことが好きな故に、私の思考回路はあれこれと複雑に絡まってゆく。

非常に気分が悪い

「なあ、お前…まさか私のプレゼントに気付かなかったのか?」
あまりにも、もどかしくなり私からこの話を切り出すことにした。

「プレゼント…?」
「ああ、そうだ。お前の机の中に小さな箱が入っていなかったか?誕生日プレゼントだったんだが」
「え…やだ、あれ入れたの菫だったの…?」

照の表情がどんどん焦り始めてきたのが分かった。嫌な予感がする。

「おい!照」
「あれ、どうしたんだ!?」
私は苛立ち、口調が次第に荒々しくなっていく。

「ご、ごめん…。あれ、誰かのいたずらかと思って捨てちゃった…。菫からだったなんて分からなくて…」
「…………はっ?」

捨てた、…だと?

「中身も見ずに捨てたって言うのか?」
「うん…」

一瞬、頭が真っ白になった後、沸々と怒りが込み上げてきた。

「なあ。普通、中身くらい確認するだろ!?先週の金曜がお前の誕生日なんだから、自分へのプレゼントかもしれないって思わなかったのか!?鈍いにも程があるだろ!」

カァッと頭に血が昇り、一気に言いたいことを全て吐き出した。
そのせいで、息が少し乱れる。

突然私が怒鳴りつけたものだから、照が小さく「ひゃっ」と声を上げ、びくびくしながら私を見ている。

ああ…やってしまった。
今の私は酷く恐ろしい顔をしているんだろうな。こんな自分の姿を照に見せたのは初めてだ。
私は肩を落とし、視線を下の方に向ける。

「菫…」

顔を下に向けたまま、照がこちらに近づいてきたのを、横目で確認する。

「あの…本当にごめん」

私の肩に彼女が手を置く。だが、今の私にはその行為がとても鬱陶しい。

「触るな」
ぱしっと照の手を払い除け、私は続けて言う

「なあ。直接お前に渡さなかった私にも非はあるが…。でも、どうして気付いてくれなかったんだ」
「ごめん…」
「いくらなんでも、捨てたっていうのは酷すぎないか?」
「ごめんなさい…」

はぁ…。と、私は大きくため息をつく。
お前にとって、私は一体なんなんだ…。
「なあ、お前さ…何であの時私と体を重ねたんだ?」

私の言葉に、照が肩をピクッと震えさせた。

「私は今でもお前の事が好きだ。だが、お前は違うよな?あの時だって。何でその気がある訳でも無いのにあんなことが出来るんだ。まるで、私が弄ばれたみたいじゃないか…」

「本当にごめんなさい…」
「どうしたら…許してくれる?」

泣きそうになりながら、彼女が訴えてくる。

「私、菫のことも大切だから失いたくない…」

照のその言葉に、頭がグラっとする。
さっきまで、鬱陶しいと思っていたのに…
やはり、私はこいつの事が好きなんだな。

まあ、脅かしてやるくらいの事はしても良いか。

冗談でそんな事をしてはいけない、と頭の中では認識しているが…

「じゃあ…お前を抱かせろ。そうしたら許してやる」

「えっ…」

「私を失いたくないんだろ?」

人の弱みに付け込むのは最低だが、正直にいうと、もう一度照の体に触れてみたいという気持ちもあった。

「わ…分かった、それで許してくれるなら」

その返事を聞いた途端、私は照の手をグイッと引っ張り、ベッドへ体を放り投げた。

「きゃっ」と、小さい悲鳴が上がる。

それから、私は照の衣類を全てはぎ取り、首元や胸に口付けを落としていく。

白くて綺麗な肌に、思わず見とれてしまい、背筋がゾクゾクする。

だが、口付けをしても照はギュッと目を瞑ったまま涙を浮かべ、必死に耐えているようだった。

さすがに冗談でもこれはやり過ぎたか…
やはり、こういったタチの悪い冗談は良くないな。

しかし、これだけだと私の気がまだ晴れないので、あと少しだけ。
あと少しだけ、脅かしたら止めてやろう。
そう思い、指を入れるつもりは全く無かったが、照の太ももの付け根に手を延ばし、寸止めにして
「ここまでだ。安心しろ、これは冗談だから。脅かして悪かったな」
と、謝ろうと思っていた。

しかし…

「いやぁああっ」

「えっ?おいっ照!」

思いもよらない自体に、頭が混乱する。
手が下腹部に触れた瞬間に、照が悲鳴をあげ、そのまま失神してしまったのだ。
「おい…しっかりしろ!」

慌て呼吸をしているか確認する。
良かった、息はちゃんとしているようだ。
だが、どうすれば良いんだ。
さすがに救急車を呼ぶわけにもいかないし…。
とりあえず、照に衣服を着せ直し、布団をかけてやる。
ふぅ、ふぅ、と苦しそうに息をして額からは大量に汗が流れ出ている。

「これは困ったな…」

まさか倒れられるとは考えていなかったので、私は後悔した。

まだ時間は夕方の五時だ。確か、母親はいつも八時か九時くらいに帰ってくると言っていたな。

そんなことを思い出しながら私は洗面所からタオルを持ってきて、照の汗を拭き取る。

置き紙でもして、今日はもう帰るか?
だが…もし、母親が帰ってくるまでにこいつが起きてなかったら母親にそのメモを見られる可能性もある。
それは、さすがにまずいな…。

「泣くな…」

私は照の目からつたう涙を人差し指ですくい取る。

今日のところは、もう引き上げよう…
さっきのことは、後でメールか電話でもして謝れば良いだろう。

第一、照のこの辛そうな表情を見ていると、私まで胸が苦しいのだ。
罪悪感でいっぱいになり、頭がガンガンと殴られているように痛い。
早く。早く、この場から立ち去りたい。

そう思い、私は荷物を持ち、照の部屋を出た。


家路に着き、時計を確認する。
「六時か…」

きっと、まだ彼女は起きていないだろう。
だが、念のため電話をかけてみる。

「プルルルルッ――」
「プルルルルッ――」
「プルルルルッ――」

5、6、7回とコール音が響くが一向に出る気配が無い。

「くっ…」
15コールくらい過ぎたところで、私は諦めて電話を切った。

気は重いが、明日学校で会ったら面と向かって謝ろう。
そう結論を出し、私は罪悪感と自己嫌悪感に包まれながら眠りについた。


翌日。

私は学校へ行き、驚いた。
何事も無かったかのように、照が話しかけてくるのだ。
「菫、おはよう」
「あ…ああ、おはよう」

その照の姿に私は戸惑う。

「なあ…昨日のことなんだが…」
「ああ、昨日ね。電話くれてたのにごめん。あの時まだ寝てたんだ」
「いや、それは良いんだが…お前、怒ってないのか?」
「え…何が?」
「何がって…お前、まさか昨日のこと覚えてない訳じゃないだろうな?」

「え…。菫がうちに遊びにきて、私が途中で寝ちゃったんじゃないの?あのタオル、菫が置いてくれたんでしょ」
「タオルを置いたのはそうだが…」

待て、こいつ、明らかにおかしいぞ。
確かに寝たと言えばそうだが、あれは失神だっただろう。

「なぁ…昨日私がしたこと怒ってないのか?」
「……。菫、なにか私にしたっけ?」
「えっ…」

嘘だろう…
昨日のあれを、忘れたというのか?
いや、あんなことをたった一回寝ただけで忘れる訳が無い。
これは、もしかして記憶障害というものなのかもしれない。

だが、照には悪いが、昨日のあの出来事を綺麗さっぱりと記憶から消しているのなら、私にとっては都合が良い。

しかし…

他にも忘れていることがあったらどうしよう。

「なあ、照。先週の金曜にお前の妹がこっちに来たの、覚えてるよな?あの日は本当に良かったな」

かなり無理矢理ではあるが、先週の話を振ってみる。

「うん、咲が来たね。でも急にそれがどうかしたの?」
「ああ…いや、あの時のお前が凄く楽しそうだったのをふと思い出してな」

「そっか」
「ああ…」

その時、チャイムの音が響いてきた。

「あ、チャイムだ。行こう、菫」
「そうだな…」

席につき、私は頭を悩ませる。

さっき照と会話をした分には、どうやら記憶を無くしているのは昨日の事だけのように思えるのだが…。

私は、昨日自分がしでかしたことに対して後悔してる。
本当は正直に謝るつもりでいたが、昨日のことを包み隠さず話して、もし照が記憶を思い出してしまったら…

もう私達はこれから先、会話を交わすことが無くなってしまうかもしれない。

それは、嫌だ。

このまま私が黙っていれば私達は今まで通りの関係でいられるんだ。

私は、自分のことを心底最悪な人間だと思ったが、昨日の出来事を隠し続けることに決めた。

そのほうが、照のためにもなるだろう。
これからも、大学で一緒にやっていく仲間なんだ。

おそらく、この罪悪感が消えることは一生無いだろうが、私は事実を告げることよりも、照とこれからも一緒に居たい、という願いを優先させてもらうことにした。

「照…すまないな」

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最終更新:2009年10月28日 15:09