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今まで書いてたものから、かなり時系列が飛びますが、照が大学を卒業して、プロになった直後という設定になっています。

ちなみに、これは書いても書かなくてもSSでは分からないと思いますが、照と咲は二人で長野で暮らしているという裏設定も妄想して書きました。


250 「春」 1 [sage] 2009/10/28(水) 19:38:25  ID:cl9il2Cs Be:

―― 春

まだ少し、外の空気は肌寒く感じる。
けれど、桜の木につぼみができたり
次第に木々の緑が濃さを増してゆく。
そんな季節 ――

この春、私は大学を卒業して晴れてプロの麻雀士になった。
まだまだ始まったばかりの新しい生活。
そこには、もちろん咲も居る。
初めて社会に出て、これからどんな試練が待っているのかと、不安になることもあるけれど――
それでも、応援してくれる人が身近に居るから

 私は頑張れる。


ピピピピッ!ピピピピッ!
朝7時を伝える目覚まし時計が鳴り響く。

「うう…ん…」

手をのばしてペチッと、時計のボタンを押して音を止める。

 眠い…
私は、ふわふわとする意識の中で考える。

あれ…?
そう言えば、今日は日曜で、仕事は休みだったっけ。
アラーム解除するの忘れてたんだな…

昨日は、私が所属している団体の先輩と夜遅くまで飲みに行ってきた。

アルコール類は、あまり得意じゃないので本当は行きたくなかったのだけれど…
「付き合いも仕事のうち」っていうのは、まさに昨日みたいな事を言うんだろうな。

あ…頭が痛い。
これは、完全に二日酔いだ。
気分がすぐれなくて、私はそのまま二度寝しようと決めた。

「んん…寒いよ」

春になったとはいえ、まだまだ朝方は冷え込む。
勝手に体がブルブルと震えて、より一層寒く感じてしまう。
私は、バサッと布団を頭までかぶり、中で体をまるく縮ませた。

少し時間が経ってから、トントンッと部屋のドアがノックされ、外から咲の声が聞こえてきた。

「お姉ちゃん、入るよ?」

ガチャっとドアが開く。
私は布団から顔を出し、薄く目を開けて咲がすぐそこまで来ているのを確認した。
あ…まだパジャマ姿だ。

「んん…おはよ、さき…」
眠いのと、頭がふわふわするのとで上手く喋れない。
「お姉ちゃん、大丈夫?昨日お酒飲んできたんだよね?」

咲がそう言いながら、床に膝をついて、私の肩に手を乗せる。
私はその手を握り締めた。あ、暖かいな…。

「大丈夫だけど、頭がふわふわするんだ…。まだ完全にアルコールが抜けてないみたい」

「そっかぁ…。大変だったね」

「まぁ、仕事だからしょうがないんだけどね」

心配してくれている咲の顔を見て、私は愚痴を吐かないように気を付けようと思った。

それにしても、咲の手…
暖かいな。

「ねえ咲…」

「ん?なあに?」

「お願い。ちょっとの間で良いから、こっちに来て」

私はそう言い終えてから、咲を布団に入れようと、手を引っ張った。
だけど、力を入れてグイっと引っ張ったつもりだったのに。
いざやってみると全然腕に力が入らず、すぽんっと咲の手が私の手から抜け出てしまった。

「あっ…」
「もう、お姉ちゃんったら…」

ふふふっと、咲が優しく笑い、モゾモゾと布団の中に潜り込んでくる。
そして、私は咲にピッタリとくっついて、キュッと抱き締めた。

「んん…咲あったかいね」

「えへへ…お姉ちゃんはちょっと冷たいね」

「うん。でも咲が来てくれたから、もうだいじょーぶ…」

咲の頬に、すりすりと顔を撫で付ける。

「や…っ、お姉ちゃんくすぐったいよっ…」

「だって咲が気持ち良いんだもん」

「あははっ。お姉ちゃん、今日は何だか甘えん坊さんだねっ」

多分それは、まだ完全に酔いが覚めていないせい。
でも、私はもっと咲とくっついていたかった。

「…もう少し、こうしてて良い?」

「うん、いいよ」

その返事を聞いて、私は心が穏やかになり、再び深い眠りについていくのだった―――

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最終更新:2009年10月28日 22:00