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266 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2009/12/09(水) 11:41:28 ID:5E9Hk8IJ
どこに投下しようか迷ったが結局ここに落とす。
四レス。部キャプ。微エロかどうか判断に迷う。欝ありかも。
「福路さんはキスが長い」と言う言葉に反応して脊髄反射で書いた。
後悔は今はしてないが多分あとでする。故に後悔。
タイトルは「ロングキスグッドナイト」

267 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2009/12/09(水) 11:41:39 ID:5E9Hk8IJ

久と合うのは本当に久しぶりだ。
わたし福路美穂子は風越OBとして、卒業後二度目のインターハイ見学に着た。
そこで偶然にも久と巡り会えた。
大学生になって大人っぽく口紅をさし耳にピアスを入れた久は、
まだ子供っぽさの残るわたしからしてみたら、本当に大人の女で、羨ましくもある。
そしてその飄々とした変わらない風貌と受け答えは、わたしの青春を思い出させるのに十分だった。
無論、当時意識もしてなかった恋心も。
大会後、わたしは久を食事に誘った。
極力控えめにしていたつもりだったが、「強引ね」と言われてしまったのには苦笑した。

食事と言っても、お互い財布も軽い大学生。
どうしようと頭を突き合わせて、選んだ先は居酒屋だった。
ゴタゴタした店内は喧騒に包まれ、顔を近づけないと互いの声が聞き取れないほどだ
いつもの、で通じるあたりどうやら久の行きつけらしい。
相変わらず悪いことしてるのね、と言ったら
少しの悪いことをしておかないと、すごく悪いことをしちゃうと思わない?ですって。
じゃあわたしはすごく悪いことをするのかしら。
そう言ったら久は大笑いした。失礼しちゃう。
でもわたしはお酒を呑むのが初めてで、というと
久は大層ビックリした様子で、生真面目なのねぇと返した。
別に真面目だからお酒を飲んでいなかったわけでなくて、
お酒を飲む機会も暇もお金もなかったんだから。
それにお酒を飲んで、自分が変わってしまうのが怖くて…。
「それを生真面目って言うのよ?」
せめて久の前では感じのいい人間と思われていたい、と言う下心もあった。
それも含めて生真面目、と言う言葉でくくられると、
それは多少齟齬があるなぁなどと思いつつも、久の勧めだもの。
飲みました。

■

失敗したかなぁ…
風越の元キャプテンさんに会ったものだから、懐かしくって話し込んで。
食事に誘われたものだから、行きつけの居酒屋を紹介したまでは良かった。
まさか一杯でここまで正体をなくすとは思わないでしょ?
暑いと言って胸元をはだけた時点で気づけばよかったのに、
放っておいたものだから、私の服にまで手をかけて胸元にキス。
猫のようにしなやかに、私の身体を蹂躙していくと、
もう体中がキスマークだらけになってしまった。
彼女が付けているのが口紅でなく、リップクリームだったのは不幸中の幸いか。
今も私の身体にしなだれかかって、ビール瓶をふらふらと弄んでいる。
非常に危なっかしい。
周りの客にぶつけないようにするため、身体を抑えているけど、
これって傍から見たら、抱きしめているって言うわよね。
なんとも艶っぽくないハグだこと。
でも二年前も思ったけど豊満で羨ましい限りだ。
一方の私といえば、二年前から変わらずのささやかな膨らみ。
ちょっと分けてもらいたくもなるわよね。
でまぁ、ちょっと揉ませてもらったりなんかして。
そしたら強烈に喘ぎ始めちゃって、もうなんというか。
本当にしちゃっていいわけ?
「是非!」
あらら…こりゃ本格的に運ばなくちゃダメみたい。

■

連絡先も分からないし、どうしたものか思案して、結局ホテルに泊まることにした。
本当にする気はないけど、ラブホテルに。
だって安いんだからしょうがないじゃない。
おんぶして運んでいる最中、ずっと耳元で大好き、大好きって囁かれたけど、
こんな可愛い美人さんに言われるのなら、まぁ悪い気はしないわよね。
それでまぁ部屋について風越の、えーっと福路さんだっけ、をベッドに寝かせて、
はぁこれで一安心、とベッドに腰を下ろしてふと横を見てみると、もうそこに居ない。
で、どこだどこだって探したら。
居ました、冷蔵庫の前。
あ~ぁ駄目だって、それは高いお酒なんだから…
え、私も飲め?しょうがないわね、じゃあ一杯。
あ、美味しい。もう一杯。
ちょっと福路さん、それ貸して。もう一杯。
もう一本。
あれ~なんか世界がぐんにゃりしてきた~。
ねー、福路さん、私もう寝ちゃった方がいいわよねー。
寝かせないって、そんな事言わないで。
顔近いって。
いや、近いってレベルじゃないし。
いや、可愛いわよ。
嫌いじゃないわよ、だからなんでそんな話になるの。
あぁ、もう好きよ!第一印象で決めていました!
好きでも無い人間と、一緒にお酒飲みに行くと思うの?!
だからそんな潤んだ瞳で見ないでよ、色々と本気になっちゃうでしょ。
だから顔近いって…
ん…
福路さんの唇柔らかい…
初めてだからしょうがないけど、唇重ねるだけなのね…
というかちょっと長い。
アレ、鼻で呼吸って、どうやるんだっけ。
ちょっと福路さん…抱きついた腕を緩めて…
あ、駄目だ…景色が暗く…
網膜に綺麗な顔を焼き付けておくのもいいかもね。
あぁでも、福路さんは私が死んだら泣いちゃうかなぁ…
ごめんね、もう限界

■

気がつくと、わたしはぐったりとした久を抱きしめていた。
一気に頭の中のもやが晴れる。
幸せだった気持ちが急転して、胃の部分にずしりと重くのしかかってくる。
駄目だ、早くなんとか誌ないと。
急いで唇を離して呼吸を確認。反応なし。
心音を確認。反応なし。
わたしは何事かを叫びながら、急いで気道を確保すると、再び久の唇に自分の唇を重ねた。
呼吸を送り込むと、心臓マッサージに移る。
服の前を開き、久の胸を露出させ、両手を胸の上に置き、力を込める。
一回、二回、三回、四回。
気が狂いそうだけど、狂っていたら久が死んじゃう。
呼吸を確認。駄目!
お願い、久。死なないで。だってまだ告白もしてないんだから!
こんな色気の無いキスじゃなくて、もっと大人のキスをしたいの!
一回、二回、三回、四回!
「大好きだから死なないで!」
ゲホッゴホッ!
久が激しく咳き込んだ。
わたしはもう、そこで脱力して、正座した自分の膝に手を置いて、涙をぽろぽろ。
嗚咽も混じって呼吸が苦しい。あぁわたしもこのまま呼吸が止まっちゃうんじゃないかな。

◇

咳き込みすぎて苦しい。苦しいってことは生きてるのかしら。
いや、天国かも。だって傍にこんな綺麗な天使が居るんだもの。
こんな可愛い人と一緒にいられるのなら、死ぬのもいいかもね。
あぁ違う。こんなに綺麗な人は一人しか居ないじゃない。
そうだ、福路美穂子だ。
駄目駄目。綺麗な子があんな、顔をくしゃくしゃにして泣いてちゃ。
美人さんは笑ってるか、頬を赤く染めてるかの方がいいわよ。
それが私のために、だったら最高よね。
だから私は力が入りにくい上体を強引に起こして、泣いてる福路さんの頬に手をやる。
「もう、福路さんったら、キス長すぎ。」
脂汗がにじんじゃってるかな。でも笑ってみせる。
福路さんはもう嗚咽混じりで、なにか喋ってるんだろうけど、なにを言ってるのか分からなくなってる。
多分、死んじゃったんじゃないか、とか生きてて良かったとか言ってるのかな。
それじゃこう言うしかないわよね。
「馬鹿ね、貴女を置いて私が死ぬはず無いじゃない。」
そうそう。笑わなくちゃ。とっても綺麗よ、貴女。
私は福路さんをそっと抱きしめた。
夜は、まだ長い。

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最終更新:2009年12月10日 20:49