668 :名無しさん@秘密の花園:2010/01/01(金) 09:45:30 ID:vZvSb0zG
「あ…。」
年末の大掃除中、私はあるものを見て手が止まった。
それは写真立て。
中学時代の写真が入ってる。
そこには楽しそうに笑う私と、隣で微笑む美少女。
ふと作業を止めて、それを手にとる。
比較的ずぼらな私は部屋も汚いし、写真だって飾らない。
でも…、これは別。特別。
眺めていると涙が出てきた。
なんで涙なんて…?
いや、そんなのわかってる。わかってるじょ…。
ずっとずっと好きだった。
でもこんなの叶わない。叶うはずない。
だって…、のどちゃんは…。
「優希~?掃除終わったー?」
扉の向こうからお母さんの声がして、私は慌てて涙を拭って、なるべくいつも通りを作って返事をした。
「ま、まだだじょ!でも、あとちょっとで終わるじぇ!」
お母さんはまぁ頑張りなさいと声をかけて、部屋から遠ざかっていった。
ふぅ。
もう吹っ切れたと思ってたのになぁ…。
写真の中には2つの笑顔。
2人だけの世界。
写真を撮ったあの頃に戻れたら、こんな気持ちにならなかったのかな…?
…ううん。
私は首を振った。
意地っ張りで負けず嫌いの私は、あの頃この気持ちを素直に認めただろうか?
素直に伝えることができただろうか?
中学時代を思い起こすとやはり答えはNOなんだ。
高校に入学して、咲ちゃんと会って、のどちゃんが私から離れていく現実が目の前に見えた時、その時やっと、私は自分の気持ちを素直に認めることができたんだ。
涙がぽろぽろ出て写真立てに落ちる。
あぁ…あの日ののどちゃんはもういないんだ。
そんなつまらないことが頭に浮かんだ。
ううん、違うじょ…。
私が、勝手に好きになって、勝手に傷付いてるだけ…。
見ていられなくて、写真立てを伏せた。
もうすぐ、今年が終わる。
来年にはもう、こんなこと考えたくないじょ。
のどちゃんが笑って、咲ちゃんが笑って、私も笑って、みんなも笑う…そんな年にしたいじょ。
引き出しを開けるとそこには写真があった。
私はそれをとって新年の誓いを立てた。
「のどちゃんが笑っていてくれるなら、幸せならそれでいい。だから。だから、私は……」
伏せた写真盾の写真を引き抜き、引き出しに閉まった。
代わりに今持っている写真を入れた。
「優希ー!掃除終わった?」
「ま、まだだじょ!」
ちょっと不機嫌そうなお母さんに心の中で呟いた。
部屋の掃除は終わってないけど、心の整理はできたじょ。
写真盾に新しく入れた写真。
そこには清澄麻雀部の皆が笑ってる。
のどちゃんも、咲ちゃんも…私も、皆も。
おしまい
最終更新:2010年01月11日 17:26