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前書きみたいな注意書き

龍門渕物で一x透華x衣の三角関係物なんだけど、ちょっと龍門渕一家が好き過ぎてスッゲー長いです
何回かに分けて投下する予定だけど、読むのめんどくて脱落者出そうwww
あと透華が初っ端から変です。元から変ってのはもっともだけどそうじゃなくて、冷たいバージョンに常時変身してます
それとかなりシリアス入る上に、うだうだ三角関係みたいな二股やっちゃうので苦手な方はスルー推奨
学校シーンは次からだけど龍門渕高校は女子高にしてあります。原作では不明だけど、百合なのでいっそ女子高にしちゃえ的なw
では、どぞ

488 Dragon Blood [sage] 2010/03/06(土) 15:26:53  ID:RL9LxVsi Be:

Dragon Blood




 屋敷の窓から庭のバラ園を見た透華は小さなため息を吐いた。
 窓の外には、真っ赤なバラが鮮やかに咲き誇っている。
 以前の彼女なら、その手入れの行き届いた見事な花達を見れば、幾らか胸を躍らせたものだ。
 だが、今は何も感じない。
 まるで、世界から色が消えたような景色だった。

 透華の雰囲気が変わったのは、いつからだったか。
 高校一年の夏の全国大会。高校二年の県予選敗退後の合宿。その時々で、今の彼女の片鱗を見せていた。

 透華は強敵と出会う度、自分の中にもう一つの顔が存在するのを感じていた。
 その顔は人知を超えた存在みたいに力強く、それ故に彼女は恐れて表に出さないようにしていた。
 だが、衣との関わりを捨てられない彼女に、力を抑える術はなかった。
 衣の人並外れた力に当てられ続け、それに呼応するように力は表に這い出て来た。
 力に支配された透華は、並大抵では動じない心を手に入れた。でもそれは、何も感じないのと同じだった。無感動は人を無関心にする。

 以前の目立ちたがりのお嬢様だった彼女は、何かあればどこでも騒いだものだ。
 だが、もうあの甲高い金切り声を聞くこともない。
 今の落ち着いた彼女の物腰は、どこか別世界を思わせる程の高貴な雰囲気を醸し出していた。
 そして、何よりも変わったのは彼女の目だった。
 どんなに澄んだ水よりも透き通った瞳は、まるで奥が見えなかった。

 きれい過ぎる水では魚も住めないと言うが、彼女付きのメイドの一も、その澄み切った瞳をどうしても好きになれなかった。
 その目で見つめられてまず感じるのは寒気だった。その感じを例えるなら、絶対的な何かに見られるような感覚。
 一でさえ、透華の前に立つと、口を利くだけで勇気が必要だった。
 今も一は、窓の外を見て憂う主人に、声を掛けられないでいた。


 屋敷の者のほとんどが、透華の風格に萎縮する中、例外がいた。

「とーか」と可愛い声が呼ぶのが聞こえる。
 透華が振り向くと、同じ金色の髪と青い目を持つ衣が駆け寄って抱きついた。彼女と透華は従姉妹だった。
 屈託のない笑顔で見上げる衣に、透華はほんの少しだけ頬を緩ませる。
 この広い屋敷で、色を見せてくれるのは、この小柄で可愛い小さな魔物だけだった。衣と勝負やかけ引きをする時だけ、胸に熱い鼓動を感じることができた。透華は特に麻雀がお気に入りだった。
 それは衣も同じで、悪魔のように冷たい瞳とぶつかり合う時、彼女もまた言いようのない充足感に満たされた。

 二人が打つ麻雀は、いつも激しかった。衣は遊びだと言っているが、彼女は全力で遊んでいるのだ。対する透華も、容赦はしなかった。圧勝しようがボロ負けしようが、二人は互いに実感を得ていた。
 そこに頭数合わせのように入れられる一は、二人の麻雀が恐ろしくもあり、羨ましくもあった。
 一には、二人がお互いに快楽を貪っているようにしか見えなかった。退廃的な肉体関係に見えてしかたがなかった。

 事実、透華が変わってから、衣も変わった。もっと正確に言えば、衣の透華に対する態度が変わった。
 以前の衣なら、このように透華に抱きつくような真似はしなかった。触れ合って甘える相手は別にいて、それは主に純の役割だった。
 衣は龍門渕という家に好い印象はない。当主である透華の父は衣を別館に住まわせ、龍門渕の家族と接点を持たせないようにした。透華はそんな衣を放っておけなかったが、天江衣は基本的に歓迎されてなかった。
 そして、衣は自分の特異さに気付き、他人の心に踏み込もうとはしなかった。

 それが今では、事ある毎に透華の名を呼び、彼女の後を付いて回るほどだ。

 一は、急に懐いた衣の存在を危惧していた。
 衣が麻雀の相手をするせいで、透華を活発だった頃の姿に戻す妨げになっているのではないか。
 もう一つ、衣と仲が良くなることで危惧していることがある。それは、一が抱く恋心に関係していた。

 一の心配を余所に、衣は無邪気に笑う。透華の手が肩に触れると、瞳を潤ませて頬をほんのり赤らめた。
 その仕草が、そこはかとなく女を感じさせる。
 一はどうにも信じられなくて、二人が戯れるのをただ見ていることしかできなかった。

 夜も更け、仕事を終えた一は屋敷内に充てられた自室で肩を落としていた。
 自室と言っても相部屋なので、同室の純と智紀が、そんな彼女を心配そうに見ていた。

 パジャマに着替えた一が、ベッドの上で胡坐を掻く。「はぁ……」と溜め息を一つ。
 見かねた純は、声を掛けてあげることにした。

「元気ねーな」
「うん、ちょっと……」

 理由を話す様子もないのを見て、純は智紀に目配せをした。かなり落ち込んでいるようだ。
 二人は、理由を聞かなくても大体の想像は付いた。十中八九、透華絡みだろう。

 透華が無表情のままになってから、一の心が安らぐことはなかった。透華とは麻雀の実力も、心も引き離されるばかりで、今みたいに肩を落としていることが多くなった。

「透華と何かあったのか」と純が推測したままを尋ねると、一は今日のことを思い出して口ごもった。
「透華と、って訳じゃないけど……」
 このまま黙ってしまいそうだったので、純はすかさず話を拾う。
「話してみ。聞いてやるから」
 一が話そうか悩んでいると、今度は智紀が話しに入ってきた。「私も聞いてあげるから」と一のベッドに腰を下ろす。

 心配してくれているのを感じた一は、もしかしたら自分だけの勘違いかもしれないしれないと思い、話してみることにした。

「近頃の衣、透華と仲がいいよね」

 一がこう切り出す。だが、いくら勘の良い純でも、これだけでは一の不安が分からなかった。まさか、あの衣が恋心を、しかも透華に持つとは想像できなかった。
 なので、純は適当に話を合わせて様子を見ることにした。

「だな。張り合いのある相手が身近にできて嬉しいんじゃねーかな。今の透華の威圧感なら衣に負けてねぇし」
「衣の調子によっては勝ってることも」と智紀が付け加える。

 うまく話に乗れたと思った純と智紀だったが、それ以上この話は進まなかった。一は、少し申し訳なさそうに言葉を濁す。

「えっと、麻雀のことじゃなくて、その……麻雀以外でも仲がいいというか、よすぎるというか」
「ああ、それはオレも思う。衣のやつ、いっつも透華にくっ付いてやんの。前はオレが可愛がってやってたのによ」
「まるでカルガモの親子」と智紀が例え、純が「本当に親子みたいだけどな」と笑った。

 そんな二人のやり取りを見て、一は理解してもらうことを諦めた。女同士で女を取り合って悩んでいるとは言い難かった。

「ボク、もう寝るよ」

 一は横になって二人に背を向けた。
 純と智紀は何が悪かったのか分からなくて顔を見合う。一が透華に気があるのは知っているが、衣が透華にべったりで普通に面白くないのが原因だと思ったのだ。透華付きのメイドの一だったら、主人を独り占めにされた気分になってもおかしくはない。でも、それは違った。
 それ以上の理由を考えて、二人は同じ可能性に行き着いた。仲良し以上に深い関係は、あれしかない。
 だが、それもにわかには信じられなくて、「まさかな」と純が呟いた。



 一度気付いてしまえば、衣の変化は手に取るように分かった。
 透華に話しかける度に、何かを期待するような視線を送り、手を繋ぐ度に、頬を上気させた。先に手を取るのはいつも衣だった。
 一は、そんな光景を幾度も見せられ、どうしようもなく胸が痛んだ。衣の嬉しそうな顔が、余計に一を苦しめる。

 それでも、一は衣を憎めなかった。変わってしまった透華と距離を置いているのは自分なのだ。あの冷たい瞳に恐れを抱いている自分を、完全に否定する事はできなかった。

 対して衣は、変化をむしろ喜んでいた。透華の凄まじい気迫と、触れるだけで斬り捨てられそうな高貴さに惹かれさえした。

 一は、器の大きさの違いを見せられたような気がして、嫉妬することもままならなかった。

 そんな一の気持ちを知ってか知らずか、衣は自分のしたいように振舞った。おそらく悪気はないのだろうが、どうせそんなことは関係ない。彼女は周りに流されるような性格ではない。
 優しかった透華の様変わりもあり、一の苦悩は日を追う毎に増すばかりだった。




 衣と透華が一緒にいるのが日常と、屋敷の誰もが思うようになった頃、使用人の仕事で屋敷を掃除して回っていた純は、ある部屋に入って思わぬ光景に出くわした。

 その部屋は客間で、普段は使われない部屋だった。
 だが、廊下で水の入ったバケツを置いてドアを開けてみると、部屋の奥に人影があった。
 無人のはずの人影に若干驚いた純だったが、その人影をよく見てもっと驚いた。
 一つに見えた人影は二人の物だった。衣と透華が部屋の奥で身を寄せて立っている。だが、ただ立っているだけではない。

 抱き合った二人の唇は重なっていた。


 キス現場に遭遇した純は、ドアを閉めるのも忘れて口をぽかんと開けていた。
 目の前では、衣と透華が目を閉じて唇を重ねている。だが、どうしてもその光景に現実味が湧かなかった。

 純が知るついこの間までの衣は、本当に子供だった。知識は豊富で難しい言葉を使ってはいたが、行動も姿も子供そのものだった。
 ちょっとはしゃいで走っては転び、膝を擦り剥いては涙を浮かべて泣きかけていた。それで泣かないように頭を撫でると「子供じゃない」と怒り、子供みたいに強がった。
 どうしても我慢できない事が起こって泣いてしまった時は、わんわん泣いて慰めてもらっていた。叱りながらも優しく慰めるのは大抵透華で、その関係はまさに母と子だった。

 その透華だって、純が知る限り、恋や愛には縁がなさそうな人だった。変わる前の彼女が考える事は自分が目立つための手段ばかりで、どこか常識外れなお嬢様だった。それに、学業と麻雀に打ち込む彼女にそんな暇はないように見えた。

 だが、現実に純の視界には、キスをする衣と透華が入っていた。
 ただ唖然とする純に、二人はかまわずキスを続ける。

 透華が唇を合わせたまま瞼を上げ、すっと横目で純を見た。
 なぜだか、純は背筋に寒気を覚えた。透華が見る目はキスの最中だと言うのに、ひどく醒めて見えた。

 寒気でやや冷静になれた純は、このまま見なかった事にして部屋を出ようとしたが、二人の唇が離れたのでやめにした。ここで出て行くのも、逃げるみたいで格好悪い。
 透華は何を言うでもなく純を見ていたが、衣は気にもせず、今も潤んだ瞳で透華の顔を見上げていた。その衣の様子は、完全に恋する少女だった。

「お前ら、デキてたのかよ」と、純が苦笑に近い笑顔を作って声を掛け、やられたと頭を掻く。

 どんな惚気話が返ってくるだろうと、純は少しは期待した。この鉄面皮の透華でも、焦ってあたふたするかもしれないと思った。
 だが、返ってきたのは期待とは真逆の言葉だった。

「衣がして欲しいと言うから、しただけですわ」

 その言葉に衣の顔が真っ先に曇る。
 そして、純の顔は瞬く間に怒りで目が吊り上った。これでは、衣の好意を踏み躙っているも同然だ。

「透華、お前それでいいのかよ」

 純は語気を荒げることもなく静かに問う。だが、わずかに震える声から、彼女の憤怒が尋常ではない事が窺えた。
 だが、睨み付けても透華の顔には何も見えなかった。恐れも怒りも悲しみも見えない。
 透華は普段通りの口調で淡々と答えた。

「女同士ですし、私は別に嫌ではありませんもの」

 衣はそれを聞いて途端に顔を綻ばせた。嫌々やったのではないと分かっただけで嬉しかったのだ。
 純は衣のそんな笑顔が不憫で、同じことを彼女にも聞くしかなかった。
「衣は、それでいいのか」
 問い質され、衣は言葉に詰まる。これでいいわけがない。それでも、次にはにっこりと笑顔を咲かせていた。

「うん、いい。今はそれでもいい。こうしてれば、きっと好きになってくれると衣は信じてる」

 あまりにも裏表のない笑顔に、純はもう何も言えなかった。できるなら、こんな痛々しい関係を終わりにしてあげたかった。だが、衣の想いの並ならぬ大きさを見せられ、二人を引き裂くことに躊躇いが生じた。
 透華は特に表情を変える事もなく、返事をする事もなかった。
 なのに、衣はそんな透華を見て、想いを伝えるようにさらに笑顔を弾ませた。
 もう純に出る幕はなかった。

 それでも、純には一つ見過ごせない懸念があった。それは、一の事だ。
 純は、一が透華に想いを寄せているのを知っている。今は透華の変化に多少戸惑ってはいるが、その想いの大きさは衣に決して負けてない。

 この場に一がいたらどんな顔をするだろう。激昂して怒鳴り散らすかもしれない。あるいは、悲しくて泣き喚くかもしれない。どうなるにせよ、純は想像したくなかった。

 純が、これだけはと二人に釘を刺す。

「頼むから、国広くんにだけは見せ付けんなよ。そんな半端な関係じゃ、あいつはぜってー認めてくれねぇから」

 純はきっちり注意してから念を押すように二人を見る。透華が相変わらずな顔なのは分かるが、衣まで目をぱちくりさせているのには純も参った。

「どうしてはじめなんだ」と言い出したのを見て、純はある意味呆れ返って溜め息を吐いた。そして、仕方がないので全部説明することにした。

「あのな、国広くんも衣と同じなの。本人がコクってねーみてぇだから透華の前では本当は言いたかねぇんだけど、キスとかする関係になりたいわけ。そういうこと」

 少々投げやりにも聞こえる説明を聞いた衣は、一転して表情を険しくした。ちゃんと理解したようだ。
 そして驚いた事に、透華も少しだが表情を変えた。

「はじめが私を……」

 寂しげに呟いたのを衣は見逃さなかった。明らかに透華は一を意識している。
 衣は突然の強敵の出現に戸惑いながらも、負けじと拳を握り締め、己を奮い立たせた。

 純は底知れない不安を感じたが、仕事を再開することにした。
「じゃ、オレここの掃除始めるから」とバケツを持った。


 掃除で部屋を追い出された衣は、透華を置いて廊下をのしのし歩いた。両の拳を握り締めたまま進む先は決まっている。今、一がいるであろう透華の部屋だ。一は主人の部屋の掃除中だ。

 衣は憤りを感じずにはいられなかった。一の気持ちに気づけなかった事もあるが、それ以上に一が許せなかった。好きなら、もっとはっきり態度で示すべきだと思った。最近の透華に距離を置く彼女の姿を見ていると、余計にそう思えた。

 透華の部屋の前に来た衣は、乱雑にドアを開け放つ。

 いつもより大きな音を立てて開いたドアに、床を箒で掃いていた一は反射的に手を止めた。見ると、衣が何やら剣呑な表情でこちらを睨んでいるように見える。
 普通ではない態度だというのは何となく分かったが、一はとりあえず差し障りのない言葉を選ぶことにした。
「ごめん、まだ掃除中なんだ」と笑って見せる。

 そんな一が呑気に見えて、衣は歯噛みして足を前に進めた。
 一は「だから掃除中だって」とやんわり追い返そうとしたが、衣は聞きそうもなかった。
 近づいて来る衣に異様な迫力を感じたが、逃げるわけにも行かないので、半笑いになりながらも笑っていた。

 正面に立った衣は、まず一を睨み付けた。大きく息を吸って、そしていきなり、ありったけの気持ちを込めた一言をお見舞いする――。

「――衣は、透華が好きだ」

 瞬時に一が真顔になる。一は、衣の言葉の意味を理解できた。同じ想いを持っているのだから、分からないはずがなかった。
 でも、だからこそ分かりたくなかった。少しでも、自分の恋に不安要素はできてほしくなかった。

 衣の突然で直球すぎる告白に、一はほとんど無理だと分かっていても、一縷の望みを捨てられなかった。これは恋愛的な意味での告白ではないと思いたかった。
 一は笑顔に無理やり戻して、この場を無難にやり過ごそうとした。

「みんな好きだよね。純くんやともきーも何だかんだ言って信頼してるし、ボクも――」

 一が『ボクも』と言った所で、衣が「はじめは?」とすかさず言葉を挟む。衣にとって重要なのはそこなのだ。衣は間髪入れずに尋ねる。

「はじめはどうなんだ。衣は純やともきとは違う。透華が家族以上に愛しい。言うなれば、衣の生涯の伴侶にしたい」

 ここまではっきり言われては、一も笑顔でいられなかった。もう聞き間違えや勘違いでは済まされない。今もしっかり目を見て話す衣の態度も冗談には到底見えない。

 一は引き下がるわけには行かなかった。相手がどんなに強大で真剣でも、透華だけは譲れなかった。いつも誰よりも透華の近くにいたという自負がある。彼女の想いは、言葉では表せないほど大きかった。

 はじめは、そこではっとした。
 いくら透華が変わってしまっても、その気持ちは変わっていなかった事を今更ながら自覚した。
 一は気迫に負けないよう、衣の目を真っ直ぐ見返した。受けて立つ決意をしたのだ。もう、自分からも透華からも逃げないと決めた。

「ボクも透華が好きだよ。だから、いくら君でも透華は渡せないな」

 二人の視線がぶつかり合う。今、二人は恋敵になったのだ。

 衣は、敵を見る力の篭った目でありながら、一が逃げなかった事が嬉しくもあり、笑みを浮かべずにはいられなかった。
 一も、どれだけ透華が好きか思い出させてくれた衣を嫌いにはなれず、つられて笑みを浮かべた。

 それに、同じ人を好きになったのだ。お互いに悪い気はしなかった。

 奇妙な友情が生まれた瞬間だったが、熱い恋愛ゲームの時間はそう続かなかった。
 開けっ放しのドアの所に人影が見える。
 二人が同時に振り向くと、そこには透華が立っていた。
 一は全部聞かれたのではと口をあわあわさせたが、もう手遅れだった。透華が珍しく戸惑いを見せて目をそらした。

「何て言っていいのか分かりませんけど……、『ありがとう』でいいのかしら」

 この言葉と仕草から、聞かれたと判断するのは容易だった。一は恥ずかしさで顔から湯気が出るほど真っ赤になる。
 衣は、動揺する透華が不安で、さっそく彼女に抱きついていた。



今回はここまで
衣は透華にベタ惚れです。一も負けてませんが
次回から学校編入ります。学校王道展開の目白押しですwww
ではノシ

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最終更新:2010年03月11日 08:41