109 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2010/05/22(土) 07:25:45 ID:3n+i0Rpx [1/6]
かじゅももSS投下します
4レス予定
幼かじゅを書きたいがため、多少無理な設定をしているのでご注意ください。
110 名前:名無しさん@秘密の花園[sage] 投稿日:2010/05/22(土) 07:26:27 ID:3n+i0Rpx
長かった梅雨が明け、最近はすっかり夏めいてきた。私自身、高校3年生ということもあり、
進路のことや受験勉強などで忙しい日々を送っていた。
それでも今週末はようやく時間が空いたため、久々にモモとどこかへ出かけるつもりなのだが、
今の気分はいささか複雑だ。
それもそのはず。
今の私は、幼稚園児くらいまで若返っており、身長は1メートルにも達していない。
どうしてこんなことになってしまったのか。
事の発端は、蒲原が持ってきた赤いキャンディだった。
昨日のことになる。
蒲原が物売りをしている謎の老婆から、赤いキャンディを買ったそうだ。
部活中、誤って私がそのキャンディを食べてしまい、幼稚園児くらいまで若返ってしまった。
体が若返るなんて、まるで小説やマンガの世界だ。
あまりにも現実離れした事態に、最初は戸惑いを隠せないでいた。
しかし、1日で元に戻るとキャンディの包み紙に書いてある事から、とりあえずは現状を受け入れ
元に戻るのを待つしかないだろう。
今の私に合う服や靴などは、蒲原が知り合いを通じて準備してくれた。
また翌日は休日なので、学校に行く必要はない。
加えて、一人暮らしをしているため、差し当たって家族に心配をかけることもないだろう。
そして帰り道、モモから今日の外出について話題が及んだ。
こんな体になってしまったのだから、中止にしてもおかしくなかったが、忙しさゆえ今日を逃すと
次はいつモモと出かけられるか分からない。そのため、予定通りモモと出かける運びとなった。
本当に元へ戻る事ができるのか一抹の不安はあるが、とにかく今日はモモとの時間を楽しむこと
にしよう。
最近はだいぶ日射しも強くなったきたので、日中はなかなか外へ出る気にはなれない。
そのため、涼しげな水族館にいく事になった。
水族館の中はひんやりと涼しく、また休みとあって、親子連れやカップルでまずまずの
人ごみだった。
展示されている魚類達に配慮しているためか室内は暗く、ただでさえ気配の薄いモモが一段と
分かりにくくなっている。また私の背丈が小さくなっているため、人ごみにまぎれた際、
モモとはぐれてしまうかもしれない。
私たちはどちらからともなく手をつなぎ、順路に沿って歩き始めた。
私の歩幅に合わせて、モモも歩調を合わせてくれている。
そのため無理なく水族館内を回ることができた。
水族館には子供の頃に行って以来、久方ぶりだったが、色々な展示コーナーが私たちを楽しませて
くれた。その中のひとつにペンギンの展示コーナーがあり、そこで私の隠れた特技でもある
ペンギンのモノマネを、モモに披露してみることにした。
「すごいっす。本物よりも本物っぽいっす」
どうやらモモにも好評みたいだ。
また、ペンギンのモノマネをした後、どこからか、
「マジペン?マジペンの、マジペンの声が聞こえます!」
という、どこかで聞いたような声がしたが、まあ私達には関係のない事だろう思い、
その場を後にして、次の展示スペースへと移動していった。
次の場所でも、どこからか騒がしい声が聞こえてきた。
「アジだし」
「マグロだし」
「おいしそうだし」
声からして幼稚園児くらいの子供らが騒いでいるようだ。
ただでさえ静かな上に反響もしていたため、遠くからでも声がよく響いていた。
「静かにするし!周りの人の迷惑だし!」
という、これまたどこかで聞いたような声がしたが、気にせず先に進むことにした。
久しぶりの水族館では、カラフルな熱帯魚や目の前を優雅に泳ぐ魚の群れ、見た事もないような
珍しい魚など、色々と見ることができ、モモと一緒にゆかいな時間を過ごす事ができた。
水族館を見終わった私達は、帰路につくため駅へと向かった。
休日ということもあってか、プラットホームは人ごみでとても混雑している。
帰りの電車では是非とも座席に座りたい。
なにせ今は歩幅が短い為、いつも以上に歩いた事になる。そのため私はすっかり歩き疲れて
しまった。しかしこの混雑ぶりを鑑みるに、電車に乗っても、ずっと立ちっぱなしかもしれない。
そう考えると、ただでさせヘトヘトだというのに、よりいっそう疲れてしまいそうだ。
隣にいるモモの様子を伺うと、やはり疲れが溜まっているようだ。私の歩調に合わせてくれていた
ため、いつも以上に疲れてしまったみたいだ。
そうこうしている間に、電車が駅に到着した。案の定、空いてる席は見当たらず、
私達が立ったまま、電車が動き始めた。
何駅か停車した後、ようやく座れそうな席が一つ空いた。
これでどちらか一人は座れそうだ、私はそう安堵していた。
「その、重くないか?無理しなくていいのだが……」
後ろを振り向き、すぐそばにいるモモに問いかけた。
「大丈夫っすよ。それにこうすることで、2人とも座れてお得っす」
モモが平然とそう答えた。
今の私は、いすに座っているモモの膝上に乗せられており、言うなれば清澄の原村と
そのぬいぐるみのような格好だ。席が1つしか空いていなかったため、こうする事が自然といえば
自然なのだが、照れくさいやら恥ずかしいやらで、ついつい顔が赤くなる。
「今日は本当に楽しかったっす」
不意に、モモがそっと耳うちしてきた。耳元に息がかかり、覚えず体が震える。
「それに、小さい先輩もかわいいっす」
モモはそう言いながら腕を前に回し、後ろから私を抱きしめてきた。
「だっ、だめ。人前では止めろと言っただろう」
恥ずかしさで顔が熱くなってくる。
「大丈夫っす。今ここにいるのは幼稚園児のゆみちゃんで、高校生の加治木先輩じゃありません。
誰が見ても先輩だって気づきませんから」
そう言ってモモは私を放そうとしない。
私だってモモに抱きしめられて、別に嫌という訳ではない。
……どちらかと言えば、その反対の気持ちの方が大きいだろう。
だが、人前では気恥ずかしいという思いが強く、いつもは否定的な事ばかり言ってきた。
しかし、モモの言う通り、今の私の姿は幼稚園児そのものなのだから、抱きつかれていても
別にいいのではないか、だんだんとそう思えてきた。
「……今日だけだからな」
人前で抱きつかれたりするのは恥ずかしくて嫌なのだが、今日くらいはいいだろう。
その後、私はずっとモモの膝の上に乗り、後ろから抱きしめられていた。
時間が経つにつれモモの体温が伝わり、徐々に心身がリラックスしてきた。
私たちは疲れもあってか、多くの言葉を交わさず、ただその暖かな雰囲気を楽しんでいた。
(こんな時間も悪くない)
これからも、そしていつまでも、こんな風に彼女と過ごしていきたい、
そんな思いが私の中で膨らんでいった。
終わり
最終更新:2010年05月26日 04:56