897 :名無しさん@秘密の花園:2010/08/16(月) 02:49:51 ID:cEFDjvZb
霞さんは年上なのにその自覚が無くて、困ったものです。
巫女服はいつも帰って来て脱ぎ散らかしたまま。
畳まないから皺になっているし、おまけに寝坊までするから、朝はいつも大変です。
私が起こして巫女服を着せてあげなかったら、遅刻で出席日数が足りなくて、進級出来なかったかも知れません。
もうちょっとちゃんとして欲しくて
「霞さん、もっと自覚を持って下さい」
口を酸っぱくして言うのですが、当の本人は
「私が寝坊しなかったら、姫様はやることがなくてつまらないでしょう?」
と、どこ吹く風。
そのくせ
「いつも起こしてくれてありがとう」
なんて言うから、悔しくなってしまいます。
私が霞さんを好きなことも、放っておけないことも、霞さんはを知っている…。
知った上でわざとだらしなくしている。
だからいつも切なくなるんです。
(霞さんは私のことを年下の『姫様』としか思っていない)
(だから私がどんな気持ちでいるのか知っているくせに、こうして意地悪をする…)
そんなある日、いつものように霞さんを起こしに行った時
「ありがとう姫様。これ、ご褒美」
といきなりキスをされて、私はつい涙を流してしまいました。
霞さんが好きだから、そんな風にキスして欲しくなかったんです。
私のことを『姫様』としか見ていないことはわかっていました。
『小蒔』とは呼んでくれないことも諦めていました。
でも、せめて私の思いをそんな風にからかって欲しくなかったのに…それなのに……
898 :名無しさん@秘密の花園:2010/08/16(月) 03:02:32 ID:cEFDjvZb
悲しくて走り去ろうとして、腕をつかまれました。
振り向くと霞さんが今まで見たことがない真剣な顔をしていて
「ごめんなさい」
と言ったんです。
「謝らないで下さい、霞さん。謝られたら、もっと辛くなります」
目が合ったら涙が止まらなくなってしまう気がして、私は目をそらしたままそう答えました。
手を離して欲しい。
でも霞さんに触れていて欲しい。
こんな瞬間まで霞さんに焦がれている自分が恥ずかしくなって、唇を噛んでいたら
「ごめんなさい、小蒔」
不意に後ろから抱きしめられました。
「不器用だから、あなたの真っ直ぐな気持ちに上手く答えてあげられなくて…」
「霞…さん?」
「だから本当はあなたが好きなのに、からかうことしか出来なくて」
「そんなの嘘です…」
いきなりで、信じられなくて、駄々をこねる子供みたいに首を振った私の唇を、霞さんは鮮やかに奪いました。
そして、それ以上何も言わせてくれませんでした。
おしまい
最終更新:2011年11月28日 19:21