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692 :名無しさん@秘密の花園:2013/03/08(金) 00:18:42.82 ID:gtqg6Y35
熱くなったので勢いで書いた
淡×渋、2レス。 たかみポエム

693 :【あわ×たか】桜の花が散る頃 (1/2):2013/03/08(金) 00:19:53.40 ID:gtqg6Y35
人は誰にだってターニングポイントはあると思う。
いつなのかは人次第だろう。
気がつかないほど小さな事でも、後から振り返ればそれが大事な転換点だと気付く事があるという。
私の場合は幸運な事に明白だった。

だから私にとってあの日は。

■

初めて出会ったのは二年最初の、桜の花が惜しまれながら散る、その時である。
ふわふわの金髪で大きな瞳でスキップなどをしながら部室に舞い降りた。
舞い降りた。
そう、まさに天使だった。

 「あたしの名前は大星淡! あんたら全員吹っ飛ばすためにやってきた!」

唐突だった。
天使に愛は無く、慈悲も無く。
ただ大天使ミカエルの熾烈な剣のように、白糸台の部員たちをなぎ倒していった。
それまで部上位に居た三年の先輩方、その自信と自負を軒並みへし折った。
翼で飛ぶように、一週間後には部のトップランクに大星淡は燦然と昇りつめたのだ。

■

私は…一年間特に成長の余地もなく地べたに張り付いてそれを見上げるばかり。
ただただ眩しかった。
だから憧れた。
振り向いて欲しかった。

だから、あの日は私にとって。

■

ある日、そんな憧れの人と同卓する機会があった。
忘れもしない四月最後の雨の日。
桜が憐れに全ての花を落とした日。
それまで何度も麻雀したけれど、その対局だけは一生忘れない。
これからずっと麻雀を続けたとしても、この対局だけが特別であり続けるだろう。
彼女の前で役満を和了してみせた、あの対局。

私の身体は喜びで震えていた。
気付かれないように茶碗を握りしめていたけれど。
茶碗の中のお茶はおおいに波立っていたけれど。
憧れの人は目を見開いて立ちあがっていた。
おおきな瞳を更に大きくして、こぼれおちそうなほどに。

 「なんでー!? なんであんた絶対安全圏で和了出来るの?!
 っていうかなになに、なんであんた配牌テンパイ出来てんの?! あたしの真似?!」

あの憧れの人が、私に興味を持って話しかけてきてくれている。
それだけで私は意識が飛んでしまいそうだった。
彼女はそんなわたしを尻目に順位表を確認して、私をにらんだ。
不当に低すぎる、と。 なんでもっと頑張らないんだ、と。
そんな事を言われても、私の実力では上位にまで行けるわけがない。
そう答えた私に彼女はこう言ってくれた。

 「あんた、私から役満和了っておいてこんなランクでいいわけ?! わたしが恥ずかしいのよ!」

それで気づいた。
彼女は私を激励してくれてるのだと。
だからありがとう大星さん、頑張りますって答えたら。

 「あんた、二年生なんだからもっと堂々としなさいよ!
 あと! わたしから和了ったんだから名前で呼びなさい! わたしも名前で呼ぶから!」

何度も何度も呼吸をして。
何度も茶碗の中で波打つ水面を見て。
一生分の勇気を振り絞って。

 「淡…ちゃん」
 「そう! がんばなさいよ、たかみ!」

■

彼女からしてみればどうともない平凡なある一日なのかもしれない。
これからの彼女の人生を考えればわたしなんて路傍の石なのかもしれない。

でも
その一瞬、その瞬間を
私は一生忘れない。

■

桜の花が散る。
桜は、花を散らせる事によって新しく生まれ変わるのだと古文の先生が言った。
私もあの花が散ったあの日に、生まれ変わったのだと。
そう、思いたい。

了

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最終更新:2013年03月11日 05:28