大石と今後の練習メニューについて話していたら、
パタパタという音と共に背中に衝撃がきた。
「くっ…」
肺に入っていた空気が強制的に押し出され
変な声が出てしまった。
「ぶちょー」
俺にタックルをかましてきた主が
声をだした。
「越前…」
「ぶちょー」
名前を呼んでも『部長』としか返事がこない。
それに今は部活中だ。
くっ付きたくてもくっ付けない、もどかしさは俺にもある。
「越前。今は部活中だ。」
「……」
バッと顔をあげ、ムッとした表情でおれを見上げる。
「えち「ちゅーしてくれたら許す。」
許すもなにも悪いことは何もしていない気がする…
「許す。」
こうも強く言われたらするしかない。
それに俺は、越前のお願いを無碍には断れない。
「後で覚悟しとけよ」
「へ?」
ちゅッ
自分から強請ってきたくせに…
キスした途端に顔から耳まで赤くさせ俯いた。
「へへっ!ぶちょー大好き!」
まだ、ほんのり顔を赤くさせたまま
越前はふわりと笑った。
「フッ…当然だな」
「バーカ!」
帽子のツバを持ち、引き下げる。
越前なりの照れ隠しだ。
「じゃあ俺、不二先輩と練習試合あるんで…」
「あぁ、頑張れよ。」
「うぃーすッ」
それだけ言うと不二の居るコートへ駆けて行った。
後日、不二にこの行動の理由を言われ
少し照れくさく、
少し強気になれた。
【まるでその行動は、】
(越前は手塚がこっちを見てくれなかったのが
気に食わなかったんだよ。)
2009.09.28.志花久遠.
最終更新:2010年02月03日 16:31