※まるでその行動は、と少しリンクしています。


 ねぇ部長こっち見てよ…

 大石副部長なんかと話してるのさ

 今後の練習メニューなんかどうでも良いじゃん!

 ねぇ、こっち見てよ…

 その口で、その声で俺を呼んでよ。


 寂しいじゃん


 「バカ」

 誰にも聞こえない様な小さな声で言ってみた。

 「本当だよね」

 ビックリした。
 まさかこの声が聞こえていたなんて…

 「…不二先輩…」

 「越前がこんなに見ているのに
 気が付かないなんて…」

 不二先輩は気づいたみたい。
 けど、部長が気づいてくれなきゃ
 意味が無い。

 「ねぇ、越前。
 手塚に抱きついてみたら?」

 「…え?」

 またビックリした。
 不二先輩はいつも、大変な案をだす。
 なんていうか…大胆だ。

 「抱きついて、ふて腐れた顔を見せれば、
 流石の手塚も何とかなるでしょ。」

 無理に決まっている…
 今は部活中。
 やったらグラウンド100周ものだ。

 それに…

 彼氏がいる不二先輩は、
 部長と俺の関係は知っているけど
 他の人達には極秘なのだ。

 「…無理です。」

 「そんなことはないよ。
 手塚だって越前に触れたいんじゃない?
 みんなの前で『越前は俺のだ』って
 言いたいんじゃない?」

 「え、でも…」

 「ほら。行ってきなよ!」

 そう言って俺の両手を持ち、強制的に立たされる。

 「はい!僕はコートで待ってるからさ」

 俺の背中をトンッと押して、
 コートの方へ行ってしまった。

 …仕方ない。

 行くしかない。
 1歩、2歩、と俺は、
 大好きな手塚国光のもとへ
 駆け出した。

 【猫のようだ。】
 (手塚国光まであと少し。)






 2009.09.29.志花久遠.



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最終更新:2010年02月03日 16:31