笑うしかなかったんだ。私は藤岡を笑い、逃げたんだ。
私は激しく後悔している。藤岡の決心に答えられないどころか蔑む結果になってしまったからだ。

私はからかったんだ。私が「あんな事」を言ったらどうするか気になった。がっつくか、きっぱりと断るか。
しかし藤岡はどちらでもなかった。…いや、考えたら、考えなくても分かった筈だ。藤岡が如何に私を想ってくれているか。

藤岡の反応に困惑した私以上に藤岡は困惑していた。居ても立ってもいられずに、私は走り去った。


家に帰ると、チアキが座ってテレビを見ていた。
「ただいま、チアキ。」
「おかえ……」
チアキが目を見開いた。
「どうした?『私の顔に何かついてるのか?』とでも聞いて欲しいか?」
「…いや、おかえり。」
「?」
カナの奴は私の反応を不思議がりながら自室に向かっていった。




「いつにもまして、藤岡の臭いが…」


最終更新:2008年02月24日 21:22